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新しい時代の守護者編
遠距離からの刺客
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ジョーは女性を一人、庇っている短い黒い髪の青年に狙いを定めていく。
彼の扱う魔獣覚醒は発射前の銃弾を自由自在に操れる『魔法の弾丸』
彼が銃の中にセットした弾丸は何があっても目標へと飛んでいくというものだ。
勿論、これに弱点がある事は今のケースを見てもよく分かる。
それが、あの青年が咄嗟にあの女性を庇った事により、弾が届けられなかった事だろう。
狙いを定めた位置が固定されるのはこの弾丸の弱点。従って、あまりよく動き回る相手には的確ではない。
どちらかと言えば、狩りや暗殺向けの魔獣覚醒。
向こうがこちらに気付いたとなれば、こちらも戦術を変えなければなるまい。
彼は第二の魔獣覚醒を使用する。それは自身の体に強力なバリアを張り、同時に相手の攻撃を受けるたびにバリアの防御率を高めていくというものであった。
サムライは接近戦で戦うと聞いているが、その斬撃が効かなければ接近戦もクソもないだろう。
彼はニヤリと笑ってサムライの青年を挑発する。
「カモン、ボーイ」
そう言うと、彼は青年を手招きしていく。
だが、それを見ても彼は青筋を立てるどころか、皮肉を秘めた笑みを浮かべて、
「わざわざこっちに来いという訳か、そりゃあ、わざわざご丁寧にどうも!」
彼はそう言って刀を振り上げていく。やはり、バリアーに、ピンク色の体を覆う膜に守られていたとしても、サムライがカタナを振り上げてくる姿は脅威だ。
堪らずに彼は銃口を風太郎に向かって突き付ける。
だが、銃弾は当たらない。どうやら、彼は銃口が向けられるのと同時に位置を変えているらしい。
それが、彼の視力よりも早いために彼の銃口は風太郎に追い付けないのだ。
風太郎はジョーの目の前に付くのと同時に、右斜め下から刀を振り上げて彼を始末しようと試みたが、直前になり躊躇ってしまう。
どうしてなのだろう。嫌な予感がする。
と、風太郎が躊躇っていた時だ。彼に迷いが生じた隙を利用してジョーは風太郎の彼が言うボーイの腹に至近距離で拳銃を突き付けていた。
「さてと……サムライボーイ。これでユーはチェックメイトになるんだ。日本語で言えば『詰み』だな。将棋っていうんだろ?あのチェス擬きのゲーム盤の名前は?」
「確かに、チェスと似たり寄ったりのゲームだが、オレはどちらも弱いんでね。一回、綺蝶に負けたきりどちらも全然やっていない」
「ボーイ、どうやら、キミは賭けに弱いようだな。オレが見たところによれば、選んだ番号についで自問自答した後に不安に駆られて直前の所でカードを変えて失敗するタイプだ。まぁ、今回に限ってはそれが正解だった訳だがね」
ジョーはそう言って風太郎の腹に突き付けている拳銃に込める力を強めていく。
彼は笑っている。生殺与奪の権を全て手に入れたと、と言わんばかりに。
実際にそうだと彼は心の中で同調する。
実際に、今の自分の状況は将棋でいう所の『詰み』の状態、何処に王将を動かしても負け、と言わんばかりの状態だ。
それでも、風太郎としては仲間が助けてくれる事に期待の票を入れたいが、彼よりも遠い位置にいる仲間では先にあの男の拳銃の餌食になってしまうだろう。
唯一、この男を倒せる可能性があるとするのならば、位置入れ替えの破魔式を持つ海崎英治。
だが、いかに海崎と言えどもわざわざ至近距離からピストルを放たれるためだけに自分と位置を入れ替えたりするだろうか。
いいや、しない。断言できる。
ジョーを打倒するための方法はないのだろうか。風太郎が策を巡らせていた時だ。
ふと、彼の脳裏に三年間の修行の日の事が頭に思い浮かんでいく。
これが、走馬灯という奴なのだろうか。いいや、違う。これは自分に与えられた汚名返上の機会。
彼は全神経を集中させて過去の世界に意識を投入させていく。
あれは、修行二年目。まだ破魔式が上手く使いこなせなかった時の事だ。
伸び悩んでいる彼を見て綺蝶がいつものあの柔和な笑みを浮かべて提案したのだ。
「獅子王院さん。良かったら、今日は将棋でも打ちませんか?良い息抜きになりますよ」
彼女はそう言っていつもの柔和な笑顔を浮かべて彼を将棋に誘った。
彼女から将棋の規則を教わり、そのままそれを打っていくものの、一向に勝てる気配は見えない。
風太郎が頬を膨らませて彼女に抗議の意思を見せると、彼女は可愛らしい顔を浮かべて笑って、
「確かに、将棋は難しいからですね。では、こうしましょう?私は金将と銀将無しで勝負致します」
その条件で風太郎は綺蝶に挑んだが、それでも負けてしまう。
悔しくて膝を落とす風太郎の肩を優しく撫でて、綺蝶は言った。
「安心してください。獅子王院さん。打てない事はありません!それに、勝つとまではいかずとも、きっと上手いところまではいけるようになれますよ」
彼女はそう言って将棋のやり方を教えていく。目から鱗だったのは飛車を取らせつつも、玉将を上へと逃す事で挽回を測るというものだった。
これには風太郎も抗議の言葉を述べたが、綺蝶は首を横に振って、
「所がそうでもないんです。案外、切り札と思われるものが人によっては大した事がなかったり、逆に大した事ないものが意外な所で切り札になったりする事が多いんですよ。これ、実は世の中では言われていませんけれど、これって結構、世の的を突いた言葉だと私は思っているんです」
彼女はそう言うと、風太郎に笑い掛けていく。
「さぁ、もう一戦、戦いましょうか!獅子王院さん。大事なのは自分では大事じゃない思っているものにふと目を向けてみる事です」
その後の将棋の結果は今も覚えている。結局の所は負けたが、綺蝶をいい所まで追い詰めたのを覚えている。
つまり、自分では左程、大事ではないと思っている事に目を向ける事に意義があるのではないか。
彼はここまでで自分が見落としていないかを探っていく。
一体、何があるだろう。そうだ。これは大きな事ではないのか。
風太郎は大きな声で、
「なぁ、最後に教えてくれよ。どうして、あんたは軍服を着ていないんだ!?」
風太郎は何気ない調子で言ったのだが、突然、男は青筋を立てて彼を怒鳴り付けていく。
「黙れッ!貴様に何が分かるって!オレはお前たちのようなバカのために軍務を追われたんだッ!そのオレを追い詰めた奴らの一員のお前がよくも……」
彼は声を震わせながら、風太郎に拳銃を突き付けていく。
いいや、最後は風太郎の予想の上をいく。彼はあのピンクの膜から手を出して風太郎に銃口を突き付けたのだ。
風太郎はその腕に目掛けて大きく太刀を振りかざしていく。
彼の扱う魔獣覚醒は発射前の銃弾を自由自在に操れる『魔法の弾丸』
彼が銃の中にセットした弾丸は何があっても目標へと飛んでいくというものだ。
勿論、これに弱点がある事は今のケースを見てもよく分かる。
それが、あの青年が咄嗟にあの女性を庇った事により、弾が届けられなかった事だろう。
狙いを定めた位置が固定されるのはこの弾丸の弱点。従って、あまりよく動き回る相手には的確ではない。
どちらかと言えば、狩りや暗殺向けの魔獣覚醒。
向こうがこちらに気付いたとなれば、こちらも戦術を変えなければなるまい。
彼は第二の魔獣覚醒を使用する。それは自身の体に強力なバリアを張り、同時に相手の攻撃を受けるたびにバリアの防御率を高めていくというものであった。
サムライは接近戦で戦うと聞いているが、その斬撃が効かなければ接近戦もクソもないだろう。
彼はニヤリと笑ってサムライの青年を挑発する。
「カモン、ボーイ」
そう言うと、彼は青年を手招きしていく。
だが、それを見ても彼は青筋を立てるどころか、皮肉を秘めた笑みを浮かべて、
「わざわざこっちに来いという訳か、そりゃあ、わざわざご丁寧にどうも!」
彼はそう言って刀を振り上げていく。やはり、バリアーに、ピンク色の体を覆う膜に守られていたとしても、サムライがカタナを振り上げてくる姿は脅威だ。
堪らずに彼は銃口を風太郎に向かって突き付ける。
だが、銃弾は当たらない。どうやら、彼は銃口が向けられるのと同時に位置を変えているらしい。
それが、彼の視力よりも早いために彼の銃口は風太郎に追い付けないのだ。
風太郎はジョーの目の前に付くのと同時に、右斜め下から刀を振り上げて彼を始末しようと試みたが、直前になり躊躇ってしまう。
どうしてなのだろう。嫌な予感がする。
と、風太郎が躊躇っていた時だ。彼に迷いが生じた隙を利用してジョーは風太郎の彼が言うボーイの腹に至近距離で拳銃を突き付けていた。
「さてと……サムライボーイ。これでユーはチェックメイトになるんだ。日本語で言えば『詰み』だな。将棋っていうんだろ?あのチェス擬きのゲーム盤の名前は?」
「確かに、チェスと似たり寄ったりのゲームだが、オレはどちらも弱いんでね。一回、綺蝶に負けたきりどちらも全然やっていない」
「ボーイ、どうやら、キミは賭けに弱いようだな。オレが見たところによれば、選んだ番号についで自問自答した後に不安に駆られて直前の所でカードを変えて失敗するタイプだ。まぁ、今回に限ってはそれが正解だった訳だがね」
ジョーはそう言って風太郎の腹に突き付けている拳銃に込める力を強めていく。
彼は笑っている。生殺与奪の権を全て手に入れたと、と言わんばかりに。
実際にそうだと彼は心の中で同調する。
実際に、今の自分の状況は将棋でいう所の『詰み』の状態、何処に王将を動かしても負け、と言わんばかりの状態だ。
それでも、風太郎としては仲間が助けてくれる事に期待の票を入れたいが、彼よりも遠い位置にいる仲間では先にあの男の拳銃の餌食になってしまうだろう。
唯一、この男を倒せる可能性があるとするのならば、位置入れ替えの破魔式を持つ海崎英治。
だが、いかに海崎と言えどもわざわざ至近距離からピストルを放たれるためだけに自分と位置を入れ替えたりするだろうか。
いいや、しない。断言できる。
ジョーを打倒するための方法はないのだろうか。風太郎が策を巡らせていた時だ。
ふと、彼の脳裏に三年間の修行の日の事が頭に思い浮かんでいく。
これが、走馬灯という奴なのだろうか。いいや、違う。これは自分に与えられた汚名返上の機会。
彼は全神経を集中させて過去の世界に意識を投入させていく。
あれは、修行二年目。まだ破魔式が上手く使いこなせなかった時の事だ。
伸び悩んでいる彼を見て綺蝶がいつものあの柔和な笑みを浮かべて提案したのだ。
「獅子王院さん。良かったら、今日は将棋でも打ちませんか?良い息抜きになりますよ」
彼女はそう言っていつもの柔和な笑顔を浮かべて彼を将棋に誘った。
彼女から将棋の規則を教わり、そのままそれを打っていくものの、一向に勝てる気配は見えない。
風太郎が頬を膨らませて彼女に抗議の意思を見せると、彼女は可愛らしい顔を浮かべて笑って、
「確かに、将棋は難しいからですね。では、こうしましょう?私は金将と銀将無しで勝負致します」
その条件で風太郎は綺蝶に挑んだが、それでも負けてしまう。
悔しくて膝を落とす風太郎の肩を優しく撫でて、綺蝶は言った。
「安心してください。獅子王院さん。打てない事はありません!それに、勝つとまではいかずとも、きっと上手いところまではいけるようになれますよ」
彼女はそう言って将棋のやり方を教えていく。目から鱗だったのは飛車を取らせつつも、玉将を上へと逃す事で挽回を測るというものだった。
これには風太郎も抗議の言葉を述べたが、綺蝶は首を横に振って、
「所がそうでもないんです。案外、切り札と思われるものが人によっては大した事がなかったり、逆に大した事ないものが意外な所で切り札になったりする事が多いんですよ。これ、実は世の中では言われていませんけれど、これって結構、世の的を突いた言葉だと私は思っているんです」
彼女はそう言うと、風太郎に笑い掛けていく。
「さぁ、もう一戦、戦いましょうか!獅子王院さん。大事なのは自分では大事じゃない思っているものにふと目を向けてみる事です」
その後の将棋の結果は今も覚えている。結局の所は負けたが、綺蝶をいい所まで追い詰めたのを覚えている。
つまり、自分では左程、大事ではないと思っている事に目を向ける事に意義があるのではないか。
彼はここまでで自分が見落としていないかを探っていく。
一体、何があるだろう。そうだ。これは大きな事ではないのか。
風太郎は大きな声で、
「なぁ、最後に教えてくれよ。どうして、あんたは軍服を着ていないんだ!?」
風太郎は何気ない調子で言ったのだが、突然、男は青筋を立てて彼を怒鳴り付けていく。
「黙れッ!貴様に何が分かるって!オレはお前たちのようなバカのために軍務を追われたんだッ!そのオレを追い詰めた奴らの一員のお前がよくも……」
彼は声を震わせながら、風太郎に拳銃を突き付けていく。
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