魔法刑事たちの事件簿

アンジェロ岩井

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第一部 『白籠町のアンタッチャブル (決して触れられないもの達)』

第六話 炎と破壊!!

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男ーーー山城拓也は刈谷組の麻薬密造チームの大物であり、尚且つこの場での密造タバコ製造の監督を任せられた組の用心棒でもあった。
拓也は自身の能力に絶対の自信を持っていた。
誰だって人類最強の自然の力は炎だと答えるだろう。中には雷や嵐を上げる人もいるかもしれないが、大抵の人が炎だと答える。
だから、拓也がこの力を検査で身につけた時は、飛び上がるほど嬉しかった。
これで自分は誰にも見下される事はない。勉学や運動で劣っていたとしても、この炎が自分を守ってくれる。拓也はそう信じていた。
いや、今も信じていると表現した方が適切な表現かもしれない。
だから、目の前のこんな軟弱そうな学校を出たばかりのに負ける不安など一ミリも感じなかった。
「とにかく、お前さんたちはちょっと調子に乗りすぎたな、オレたちのやっていることは、この街の警察署の署長さえ認めているんだぜ」
「……」
孝太郎はしばらく黙った後に、大きく息を吸い込んでから、叫んだ。
「黙れ下郎ッ!お前らヤクザのせいで苦しむ人がいると思うんだッ!お前らの親分のせいで、タバコを買えない人はお前らの取り立てにどれだけ苦しんでいるか……」
孝太郎が拳を震わせていた時だ。
突然、拓也が表情を変え、炎の拳を振り上げて孝太郎に突っ込んでくる。
「黙れッ!オレの目の前で親分を侮辱するんじゃあないッ!」
拓也の炎を纏った拳は孝太郎の頰を掠めた。咄嗟に彼が自分の小さい火の粉がついた皮膚の一部分を消さなければ、孝太郎の頰が危うく焼けただれる所であった。
「チッ、惜しかったな、オレの炎なら確実にテメェを焼き殺してくれるのによぉ~」
拓也は炎に覆われた右手を緩ませることなく、依然として孝太郎を襲えるようにと準備の態勢を崩していない。
そして、拓也の危険性に気が付いたのは、周りで戦いを見守っていた絵里子であった。
(不味いわ、あいつ……今度は孝ちゃんの服に火を付けて体全体を燃やさせる気ね……でも、孝ちゃんはアイツの狙いに気が付いていない……ここはあたしが何とかするしかないわッ!)
絵里子は覚悟を決めると、拓也に拳銃を向ける。
拳銃の銃口に気が付いたのは、拓也の方だった。
「くっ、このアマッ!」
だが、拓也が一瞬でも孝太郎から絵里子に意識を写したのは彼の今までの人生においての最大の失敗であったに違いない。
気が付いた瞬間には、拓也は空間を削り取り近付いた孝太郎によりねじ伏せられてしまう。
「ちくしょうッ!しまったッ!」
拓也は孝太郎に手錠をかけられながら、悪態を吐いている。
「幾らでも叫ぶといいさ、冷たい監獄の中でな……」
孝太郎のまるで鬼のように冷たい視線に怯えたのか、それとも単に逮捕される恐れからかタバコの密造に関わっていた手下たちに四人を襲うように指示する。
「テメェらやっちまえよ!! 」
拓也の言葉に銃やナイフや金属製のバットを召喚したネクタイを締めていない派手な色のスーツを着た柄の悪そうな男たちが四人に襲い掛かってくる。
「孝ちゃんどうするの?この数は少し厄介じゃない?」
絵里子の問いかけに孝太郎は首を小さく動かす事により同意する。
「あわわわ~!! どうしましょう!?どうしましょう!?」
明美は自分が捜査官だという事も忘れ、まるでたまたま薬の密売現場を見てしまった一般市民のように狼狽えるている。
そんな明美を安心させたのは、女性らしい柔らかさもありながら、尚且つ成人男性のように逞しい手であった。
「ったく、情けねえなあ、ここはあたしが一肌脱ぐとするよ」
そう呟いたのは、警察学校で、孝太郎からスカウトされた青髪の美しい女性警官が姿を左腕に紫色のオーブを纏わせながら、複数のヤクザの前に立ちはだかる。
「おいおい、嬢ちゃんよぉ~たった一人でオレたちを敵に回すつもりかい?」
派手の金色の宝石の付いていない、チェーンのようなネックレスを付けた男が38口径のリボルバーの銃口を突きつけながら馬鹿にするような口調で尋ねる。
「一つあんたにも警告しとくよ、『拳銃を撃っていいのは、撃たれてもいい覚悟がある奴だけ』この言葉を忘れない方がいいよ」
そう言うと、聡子は紫色のオーブを全身に纏わせ、ヤクザたちの方に向かって行く。
「ちくしょう! 舐めやがってッ!ぶっ殺してやれッ!」
周囲のヤクザたちは他のメンバーの事も忘れ、聡子相手に銃を発射し続ける。
だが、聡子に拳銃は当たるのだが、まるで意に返していないようだ。弾は弾かれているわけでも、避けているわけでもない。
だけれど、聡子にはダメージを喰らったような様子は見えない。
すると、聡子は空中から、スコーピオンを取り出し、ヤクザたちの足に向かって乱射する。(ヤクザたちは周りを円を囲う形で絵里子たちを包囲していたために、聡子のスコーピオンの弾をモロに喰らってしまったのだ)
「グギャァァァァァ~~!! 」
誰かがこう叫んだのを皮切りに全員が脚を抑えながら、叫ぶ。
「どうだい?あたしの魔法敵全滅エナミーアナミッションの威力は?この魔法はさぁ~相手の銃弾やナイフと言った非魔法道具での攻撃を無効化し、尚且つ自分の武器の威力を上げる優れものなのさッ!」
聡子は両手を腰に当てながら、脚を撃たれたヤクザたちに向かって叫ぶ。
「くっ、まさか……あんな魔法を持った野郎がいるなんて……」
拓也は手下が全滅したのを見て、抵抗する気力を失ったようだ。
「さてと、お前の容疑は密造タバコの作成と公務執行妨害……この二つだな」
孝太郎は落ちぶれたヤクザの男を見下ろしながら言った。
「やれやれね、ようやく刈谷逮捕の大いなる一歩を踏み出せたわけなのね」
絵里子は一件落着とばかりに、ため息を吐く。
「そうだな、刈谷の逮捕にはまだまだ及ばないがな……」
と、二人が話している時だった。明美が申し訳なさそうな目で二人を見つめている。
ここで、孝太郎が明美の存在に気が付いたのか、用件を尋ねる。
「あの……味方の応援はいつ呼ぶのでしょうか……」
絵里子と孝太郎は顔を見合わせた。
「そうね、早い方がいいわ」
絵里子はすぐさまスーツの内ポケットに入れていた携帯端末を指でなぞり始めた。
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