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追跡編
武装警察隊との決着
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「ルイーダ!」
二人の少年と少女が呼ぶ声が轟く。と、同時にルイーダが地面の上に倒れるのが見えた。
彼女は剣を杖にして起き上がっていくのが見えた。なんと気高いのだろう。
二人が同情の念を送るのと同時に、誇り高く戦う主人に心の底から尊敬の感情を抱いていた。
電気の魔法は高速魔法で回避するものの、向こうも高速魔法を用いて格闘技で応戦してくるのだから、体への負担は大きい。
おまけに剣を巧みにすり抜けて、攻撃を繰り出すのだから、勝てるわけがない。
デニスは人差し指を横に振りながら、勝ち誇ったような目で剣を杖代わりにするルイーダを見下ろす。
「大人しく降伏したらどうかね?確かに、我々はあのイかれた殺人鬼のために大勢の仲間を失ったが、あの程度は補充が効くし、なんなら、そこで伸びている、あの若造に全ての責任を押し付ければ事は丸く収まるんだ」
その「若造」というのはジードに殴られ倒されたクルトの事だろう。
デニスが心底ではクルトの事を見下していた事がよくわかる。
だが、ルイーダからすればそんな事は知った事ではない。
例の高速魔法を利用して、デニスを倒すべく奮闘するばかりである。
エルリカとの戦いで疲れている自分の体に鞭を打ってまでも、決着へと突き動かしているのは今日「しか」決着を付ける日が残していないからである。
ルイーダは放電による攻撃とデニスの格闘技の猛攻とをじっと耐え抜き、ようやく、彼の脇腹を切り付ける事に成功する。
「ぐっ、私とした事が……」
「ここで貴様も終わりらしいな?安心しろ、責任はあそこで伸びてるクルトが取ってくれるからな」
「舐めるなよ。小娘……私とて武装警察隊の副隊長を務める身、そう易々とは殺されんよ」
デニスは口元を微かに緩めると、掌の上に電気を用いて、小さな雷を作り上げていく。掌の上の雷がバチバチという音を立てていくのが聞こえた。
「そんなものまで作り上げるとはな……貴様は中々に見所のある魔銃士らしいな」
「お褒めにいただき光栄だな。、そんな素晴らしい魔銃士に殺されるのだから、キミも誉れというものだろう?」
デニスがもう片方の手で拳銃を突き付けながら問い掛ける。
「いいや、殺されるのは貴様の方だ。この私、ルイーダ・メルテロイに殺されるのだから、貴様こそ光栄に思ったらどうだ?」
だが、デニスは鼻で笑う。
「光栄だと?ルイーダ・メルテロイなんて、フリードリヒ王に騙し討ちにされた情けない騎士の代名詞ではないか。総統が騎士道物語の中で一番小馬鹿にしていた相手だ。そんな奴に殺されては、私としても溜まったものではない」
「貴様ッ!ルイーダになんて事を言うんだッ!」
激昂したケニーが銃を携えて、デニスへと向かおうとしたが、ルイーダは手で自身の忠実な騎士を静止させる。
そして、そのまま黙って剣を抜いて、デニスへと向かっていく。
袈裟掛りに、或いは逆袈裟掛りに縦横無尽に剣を振っていくが、それらの全てをデニスは余裕ぶった表情を浮かべて交わしていく。
そして、剣を大きく外した隙を利用して、その腹を思いっきり殴り付ける。
ルイーダは予想以上の攻撃に唾を吐いてしまいそうになったのだが、目の前から迫る電気を見て、慌てて高速魔法を利用して、その場を切り抜けていく。
だが、高速魔法を使用できるのはデニスも同じ。彼は雷魔法を避けて、距離を取ろうとしたルイーダに追い縋ると、もう一度攻撃を繰り出していく。
今度こそ、膝を突かせ、その際に生じた隙を利用して、自身の電流を浴びさせるためである。
だが、ルイーダはその拳を利き手ではない方の手で受け止めると、そのまま彼の拳を押し返し、そのままデニスの顔を顔に思いっきり自身の拳をぶつけていく。
デニスは大きな悲鳴を上げながら、地面の上を転がっていく。おもちゃのゴムボールのようにゴロゴロと。
だが、ルイーダはそんな彼に容赦のない追撃を加えるために、再び剣を両手で持って、そのままデニスの元へと向かっていく。
今度は先程のエルリカとは対照的に、自身が相手の体の上に馬乗りになり、デニスの喉元へとその刃を立てる。
その手に躊躇いは見えない。手が震えたりもしていない。
デニスは言い訳を繰り出す暇もなかったのだろう。
目を丸くしながら、「信じられない」と言わんばかりに口を大きく開きながらその命を終える事になった。
「クルトやデニス。それに武装警察隊が先に我々に襲い掛かった事は覚えているな?」
ルイーダの問い掛けというよりは確認に近い言葉を聞いて、その場に居合わせた全員が首を縦に動かす。
ルイーダがデニスを始末した理由としては、彼の能力にある。デニス・フォン・ロッテンハイツは生かしておけば、間違いなく、マナエ党の重要人物になっていただろう。
だから、始末したのだ。ルイーダは自らの手を汚した事に後悔はしていない。
ルイーダとは対照的にこの中で一番、後悔をする事になったのはクルトであろう。
クルトは翌日、自分達が乗ってきたのと同じようなT字型の自動車に乗って現れた、彼の上官により、帰還を命じられ、殺人鬼を捕縛できなかった事と武装警察隊の全滅の責任を問わされ、隊長の地位とマナエ党の党員の資格を剥奪された。
いや、そればかりではない。彼は現場における責任を問われ、裁判に問われる事になった。
「信じてくれ!あの女がデニスを故意に殺したんだッ!それだけじゃあない!あの女、キュルテンとオレたちを戦わせて、オレたちを全滅に追い込んだんだッ!だから、悪いのはあの女であって、オレのせいじゃあない!」
「仮にルイーダが策を講じたとしても、その策を見破れなかったのは隊長である貴様の責任だろう?」
「ち、違う!お、おれは!」
「黙れッ!総統閣下は貴様のために面目を崩されたと貴君にお怒りだッ!」
「総統閣下」の単語を出されてはクルトには言い訳の仕様もない。
クルトは判決を大人しく受け入れる事になり、結果、彼は禁錮十五年を言い渡された。
竜暦千年の夏の前の事である。
この判決の前後をして、そのマナエ党の総統本人が街を訪れる事になる。
国家の中心人物が訪れる事になるのだから、街を上げての歓迎が行われ、着いたその日には街一番の宿にて歓迎の祝賀会が行われた。
そんな時だ。周囲の止める声も聞かずに、ルイーダ・メルテロイが祝賀会に乱入したのは。
唖然とする周囲の人々を置いて、彼女は千年前と変わらない美しい容姿を持つ軍服を着た魔女に馴れ馴れしい口調で言い放つ。
「久し振りだな。エルダー」
二人の少年と少女が呼ぶ声が轟く。と、同時にルイーダが地面の上に倒れるのが見えた。
彼女は剣を杖にして起き上がっていくのが見えた。なんと気高いのだろう。
二人が同情の念を送るのと同時に、誇り高く戦う主人に心の底から尊敬の感情を抱いていた。
電気の魔法は高速魔法で回避するものの、向こうも高速魔法を用いて格闘技で応戦してくるのだから、体への負担は大きい。
おまけに剣を巧みにすり抜けて、攻撃を繰り出すのだから、勝てるわけがない。
デニスは人差し指を横に振りながら、勝ち誇ったような目で剣を杖代わりにするルイーダを見下ろす。
「大人しく降伏したらどうかね?確かに、我々はあのイかれた殺人鬼のために大勢の仲間を失ったが、あの程度は補充が効くし、なんなら、そこで伸びている、あの若造に全ての責任を押し付ければ事は丸く収まるんだ」
その「若造」というのはジードに殴られ倒されたクルトの事だろう。
デニスが心底ではクルトの事を見下していた事がよくわかる。
だが、ルイーダからすればそんな事は知った事ではない。
例の高速魔法を利用して、デニスを倒すべく奮闘するばかりである。
エルリカとの戦いで疲れている自分の体に鞭を打ってまでも、決着へと突き動かしているのは今日「しか」決着を付ける日が残していないからである。
ルイーダは放電による攻撃とデニスの格闘技の猛攻とをじっと耐え抜き、ようやく、彼の脇腹を切り付ける事に成功する。
「ぐっ、私とした事が……」
「ここで貴様も終わりらしいな?安心しろ、責任はあそこで伸びてるクルトが取ってくれるからな」
「舐めるなよ。小娘……私とて武装警察隊の副隊長を務める身、そう易々とは殺されんよ」
デニスは口元を微かに緩めると、掌の上に電気を用いて、小さな雷を作り上げていく。掌の上の雷がバチバチという音を立てていくのが聞こえた。
「そんなものまで作り上げるとはな……貴様は中々に見所のある魔銃士らしいな」
「お褒めにいただき光栄だな。、そんな素晴らしい魔銃士に殺されるのだから、キミも誉れというものだろう?」
デニスがもう片方の手で拳銃を突き付けながら問い掛ける。
「いいや、殺されるのは貴様の方だ。この私、ルイーダ・メルテロイに殺されるのだから、貴様こそ光栄に思ったらどうだ?」
だが、デニスは鼻で笑う。
「光栄だと?ルイーダ・メルテロイなんて、フリードリヒ王に騙し討ちにされた情けない騎士の代名詞ではないか。総統が騎士道物語の中で一番小馬鹿にしていた相手だ。そんな奴に殺されては、私としても溜まったものではない」
「貴様ッ!ルイーダになんて事を言うんだッ!」
激昂したケニーが銃を携えて、デニスへと向かおうとしたが、ルイーダは手で自身の忠実な騎士を静止させる。
そして、そのまま黙って剣を抜いて、デニスへと向かっていく。
袈裟掛りに、或いは逆袈裟掛りに縦横無尽に剣を振っていくが、それらの全てをデニスは余裕ぶった表情を浮かべて交わしていく。
そして、剣を大きく外した隙を利用して、その腹を思いっきり殴り付ける。
ルイーダは予想以上の攻撃に唾を吐いてしまいそうになったのだが、目の前から迫る電気を見て、慌てて高速魔法を利用して、その場を切り抜けていく。
だが、高速魔法を使用できるのはデニスも同じ。彼は雷魔法を避けて、距離を取ろうとしたルイーダに追い縋ると、もう一度攻撃を繰り出していく。
今度こそ、膝を突かせ、その際に生じた隙を利用して、自身の電流を浴びさせるためである。
だが、ルイーダはその拳を利き手ではない方の手で受け止めると、そのまま彼の拳を押し返し、そのままデニスの顔を顔に思いっきり自身の拳をぶつけていく。
デニスは大きな悲鳴を上げながら、地面の上を転がっていく。おもちゃのゴムボールのようにゴロゴロと。
だが、ルイーダはそんな彼に容赦のない追撃を加えるために、再び剣を両手で持って、そのままデニスの元へと向かっていく。
今度は先程のエルリカとは対照的に、自身が相手の体の上に馬乗りになり、デニスの喉元へとその刃を立てる。
その手に躊躇いは見えない。手が震えたりもしていない。
デニスは言い訳を繰り出す暇もなかったのだろう。
目を丸くしながら、「信じられない」と言わんばかりに口を大きく開きながらその命を終える事になった。
「クルトやデニス。それに武装警察隊が先に我々に襲い掛かった事は覚えているな?」
ルイーダの問い掛けというよりは確認に近い言葉を聞いて、その場に居合わせた全員が首を縦に動かす。
ルイーダがデニスを始末した理由としては、彼の能力にある。デニス・フォン・ロッテンハイツは生かしておけば、間違いなく、マナエ党の重要人物になっていただろう。
だから、始末したのだ。ルイーダは自らの手を汚した事に後悔はしていない。
ルイーダとは対照的にこの中で一番、後悔をする事になったのはクルトであろう。
クルトは翌日、自分達が乗ってきたのと同じようなT字型の自動車に乗って現れた、彼の上官により、帰還を命じられ、殺人鬼を捕縛できなかった事と武装警察隊の全滅の責任を問わされ、隊長の地位とマナエ党の党員の資格を剥奪された。
いや、そればかりではない。彼は現場における責任を問われ、裁判に問われる事になった。
「信じてくれ!あの女がデニスを故意に殺したんだッ!それだけじゃあない!あの女、キュルテンとオレたちを戦わせて、オレたちを全滅に追い込んだんだッ!だから、悪いのはあの女であって、オレのせいじゃあない!」
「仮にルイーダが策を講じたとしても、その策を見破れなかったのは隊長である貴様の責任だろう?」
「ち、違う!お、おれは!」
「黙れッ!総統閣下は貴様のために面目を崩されたと貴君にお怒りだッ!」
「総統閣下」の単語を出されてはクルトには言い訳の仕様もない。
クルトは判決を大人しく受け入れる事になり、結果、彼は禁錮十五年を言い渡された。
竜暦千年の夏の前の事である。
この判決の前後をして、そのマナエ党の総統本人が街を訪れる事になる。
国家の中心人物が訪れる事になるのだから、街を上げての歓迎が行われ、着いたその日には街一番の宿にて歓迎の祝賀会が行われた。
そんな時だ。周囲の止める声も聞かずに、ルイーダ・メルテロイが祝賀会に乱入したのは。
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