80 / 223
第二章『王国を覆う影?ならば、この私が取り除かせていただきますわ』
血吸い姫に惚れたのはシュポス
しおりを挟む
「よぉ、シュポス」
「よぉ、ユーリ。久し振りだなぁ」
「お前の方こそ何年振りだよ、おい」
二人の美男子は馴れ馴れしく肩を叩き合い、前から少しも変わらない深い友情を確かめ合ったのだった。
二人はカウンター席に座り、酒のつまみとなる料理を注文し、先に届いた酒を飲み干すとお互いに積もる話を行なっていく。大抵がつまらない話だ。
二人が盛り上がる様子は異常とも言えた。話が盛り上がるにつれて下品で大きな笑い声を上げるものだから、周りにいる人々から奇異の目を向けられるほどであった。
昔話も終わりに近付いてきた頃のことだ。不意に短い黒い髪をしたシューポスと呼ばれた男が男が何気なしに切り出した。
「オレさぁ、今度フィンを殺すことになっているんだけどさ。それでお前もオレと協力して王子を殺してみないか?」
「……唐突だな」
ユーリは親友の突然の問いかけに対して混乱していたが、すぐに口元に怪しげな笑みを浮かべて答えた。
「悪くはないぜ、オレの鞭とお前の針の技が合わさればあの王子を必ず殺せる」
ユーリは懐から新調した鞭を取り出し、それを見せびらかしながら言った。
「おい、ユーリ、お前さんの得物はどうした?なんで鞭が違ってんだ?」
「ヘヘッ、ある男に鞭を奪われちまったからな……取り返すまではこいつで戦わなくちゃあならねぇんだ」
「お前さんが鞭を奪われるなんて初めてだぜ。余程のことがあったんだな」
「あぁ、そいつは強いからな。オレでさえしばらく前にそいつにやられて当分の間、病院のベッドの上で暮らしていた」
「病院のベッドの上?殺されなかったのかい?」
「運が良くてね。殺されなかったよ。そいつがオレを殺してくれなかったお陰でオレはこうしてお前さんと酒が飲めてるわけだ」
ユーリはグラスに入った酒を掲げながら言った。その後でグラスを一気に飲み干していく。
それから勢いよくグラスを机の上に置いた後に身を乗り出しながら親友に向かって言った。
「だが、相棒……お前さんも知っての通りだ。この世界っていうのは躊躇した方が負けなんだ。だから、今回の戦いではそいつの首を遠慮なく取りに行くぜ、そいつと違ってオレは躊躇なんかしない」
それを聞いてシュポスは満足そうな笑顔を見せて。それから無言で自身のグラスをユーリのグラスに近付けていく。
グラスがぶつかり合う。この時の音がなんとも気持ちがいい。
ぶつかり合う音を楽しんだ後でシュポスは一気飲みをしたのだった。
「いいねえ、それでこそオレの親友だ」
ユーリは感心したように言った。
「ありがとうよ、じゃあ、今夜は殺しの前祝いってことでよ、たっぷりと酒を飲もうよ」
「わかった、わかった。お前さんも本当に酒が好きだねぇ」
ユーリは困ったように言った。
「当たり前よ、『酒は百薬の長』って言葉があるくらいだからな」
ユーリはケラケラと笑うと、店員に新たな酒を頼み、シュポスともう一度乾杯を行なった後にグラスに注がれた酒を一気に飲み干していく。
その日の酒は二人を快くさせた。そのためにいつもより多くの量の酒を飲んでしまっていたのだ。
普段ならば飲むはずのない量の酒を飲んだことは明らかな失敗だった。シュポスは拠点にしている宿へと帰る最中にフラフラとした足取りで宿を逸れてしまい、路地裏へと迷い込んでしまった。
シュポスが慌てて引き返そうとした時だ。なにやらドタドタとした音が聞こえた。単に走り回っている音ではない。何かから怯えて逃げている音だ。
シュポスが異変を感じて、慌てて近くにある物陰に身を隠して様子を伺っていると、いかにも悪人という風体の人相の悪い男が何かに怯えるように逃げていた。
人相の悪い男は慌ててその場から逃げ出そうとしたのだが、背後から現れたと思われる人物に服の襟首を掴まれて、強制的に地面に顔をぶつけられてしまった。
その上に誰かが飛び乗った。シュポスが目を凝らしていると、スカートの裾が見えた。色は黒だ。辺りが暗くて顔はよく見えないが女性だろう。
人相の悪い男は慌ててその場から逃げ出そうと体をもがいたものの、女性の体が重しとなって動けそうになかった。
女性はそんな男の首元に向かって勢いよく針を埋め込んだのであった。あまりにも素早く針を突き刺したのだからシュポスには女性が針を飛ばす姿が見えなかった。
シュポスは大胆にも自分へ向かって針を飛ばした女性の顔が気になって様子を伺う。シュポスは顔を見た瞬間に恋に落ちた。舞台に立つような美人女優も裸足で逃げ出すような顔とそれに似つかわしくない職業にシュポスは惚れ込んだのだ。あの女性はなんというのだろう。
シュポスは後をつけたい気持ちを我慢して物陰に潜んでその女性が立ち去るのを待った。
今の手口から見るに、彼女は害虫駆除人で間違いない。それも昨日今日駆除人になったばかりの新人からは見られない、手慣れたものだ。
躊躇なく針を突き刺して殺す姿から、そのことが容易に想像できた。
シュポスは彼女が立ち去るのと同時に彼女が殺した人物を黙って見下ろしていく。死体を見る限り針が延髄に突き刺さり、脊髄に到達したこと死因であることは間違いなかった。
シュポスはこんな難しい芸当を躊躇なくやり遂げた彼女に対してますます興味を持ち始めた。この瞬間からシュポスの中からは任務のことなどは全て消えてしまったといってもいい。害虫駆除人であろう美少女を自分のものにするのだという思いばかりが頭を支配していた。
翌日昨日の駆除のことを内緒にして付近の人々に彼女の情報を説明していく。
美しい顔に磨いたばかりの金貨のように光り輝く金色の髪、全身から溢れる気品などを付近の人々に対して伝えていった。
説明を聞いた人々は全員が同じ人物を示した。
「それはレキシーさんの診療所でレキシーさんの助手をしてるカーラちゃんじゃないかな?」
最後にそう答えた人物にシュポスはカーラの場所を問い掛けた。
最後に答えた人物にシュポスはレキシーの診療所の場所を聞いて真っ直ぐに駆け寄っていく。だが、走っている途中で何かを思い出したように足を止めた。シュポスはせっかく告白を行うのならば何か手土産を用意した方がいいと判断し、目に入った菓子屋でパウンドケーキが入った箱と新しく発売されたキャラメルという砂糖菓子を購入していく。
その二つの菓子を持ったままシュポスは診療所の扉を開けて、患者の応対を行なっているカーラに向かって叫んだ。
「これを受け取ってくれッ!」
カーラは思わぬ応対を受けて固まってしまっていたが、応対をしていた患者にことわりを入れ、菓子を持ったまま男の元へと向かっていく。
男をよく観察するとなかなかの美男子であった。絵画に描かれる空想上の美男子のように整った顔も魅力的であったが、短く整った黒い髪もカーラの関心を惹いた。だが、顔が美しいということと急な来訪を咎めることは別の問題である。
カーラはその美男子に向かって注意の言葉述べた上で今の時間が診療中であるということを告げた。
「そ、そんな堅いことを言わないでくれよ」
「いけませんわ!今は診察中ですのよ!私に御用でしたら終わった後にお尋ねしてくださいませ!」
カーラの気迫に押され、シュポスは小刻みに首を縦に動かし、すごすごとその場から立ち去っていく。
カーラは患者の応対に戻ると、先程までカーラの診察を受けていた小太りの患者は苦笑いを浮かべながら言った。
「カーラも大変だね。この前もレストランオーナーだったメイソンさんに婚約を言い渡されてなかったっけ?」
「えぇ、でもお断りいたしまたわ」
「やっぱり、宮廷でのことがトラウマになってたの?」
「まさか」と、カーラはその患者の言葉を笑い飛ばしたのであった。
「メイソンさんと私とでは親子ほど歳が離れていましたもの、うまくいくわけがありませんわ」
「なるほど、じゃあさっきの男はなんで振ったの?メイソンと違って若かったし、随分といい男に見えたけど……」
「単純に今が診察中だからですわ。さぁ、お分かりになりましたら診察を続けますわよ」
カーラはレキシーの助手として患者を診る作業に戻っていった。こうしてまたいつも通りの日々が過ぎていった。
最終診察の時間が過ぎ、レキシーと二人で診療所を閉めて自宅に帰ろうとした時だ。先程の男ーーシュポスの姿が見えた。
男に向かってカーラは冷静な口調で問い掛けた。
「それで、なんの用ですの?」
「これ受け取ってくれッ!」
菓子が入った箱を手渡しながら叫ぶ。突然のことに目を白黒とするカーラに向かってシュポスは勢いをつけて叫んだ。
「オレはシュポスって者だ。突然で悪いんだが、オレはあんたに惚れちまったんだッ!付き合ってくれッ!」
「ど、どうしてですの!第一、私はあなたを初めて見ましたわ!」
「そりゃあ、そうでしょう。実は私があなたを見たのは特殊な状況にあった時でして……」
シュポスはここで真剣な顔を浮かべてカーラの元へと近寄っていく。
それから困惑するカーラの耳元で囁いていく。それを聞いた時にカーラは自身の心臓が口から出ていくかのような衝撃を受けた。
男が自身の耳元から離れると、カーラは男に向かって冷たい声で問い掛けた。
「……シュポスさんと仰られましたわね?立ち話は何ですので、よければお酒の出る店でお話し致しませんか?ちょうどいい場所を知ってますの」
カーラはギルドマスターが経営する酒場のある方向を指差しながら言った。
「よぉ、ユーリ。久し振りだなぁ」
「お前の方こそ何年振りだよ、おい」
二人の美男子は馴れ馴れしく肩を叩き合い、前から少しも変わらない深い友情を確かめ合ったのだった。
二人はカウンター席に座り、酒のつまみとなる料理を注文し、先に届いた酒を飲み干すとお互いに積もる話を行なっていく。大抵がつまらない話だ。
二人が盛り上がる様子は異常とも言えた。話が盛り上がるにつれて下品で大きな笑い声を上げるものだから、周りにいる人々から奇異の目を向けられるほどであった。
昔話も終わりに近付いてきた頃のことだ。不意に短い黒い髪をしたシューポスと呼ばれた男が男が何気なしに切り出した。
「オレさぁ、今度フィンを殺すことになっているんだけどさ。それでお前もオレと協力して王子を殺してみないか?」
「……唐突だな」
ユーリは親友の突然の問いかけに対して混乱していたが、すぐに口元に怪しげな笑みを浮かべて答えた。
「悪くはないぜ、オレの鞭とお前の針の技が合わさればあの王子を必ず殺せる」
ユーリは懐から新調した鞭を取り出し、それを見せびらかしながら言った。
「おい、ユーリ、お前さんの得物はどうした?なんで鞭が違ってんだ?」
「ヘヘッ、ある男に鞭を奪われちまったからな……取り返すまではこいつで戦わなくちゃあならねぇんだ」
「お前さんが鞭を奪われるなんて初めてだぜ。余程のことがあったんだな」
「あぁ、そいつは強いからな。オレでさえしばらく前にそいつにやられて当分の間、病院のベッドの上で暮らしていた」
「病院のベッドの上?殺されなかったのかい?」
「運が良くてね。殺されなかったよ。そいつがオレを殺してくれなかったお陰でオレはこうしてお前さんと酒が飲めてるわけだ」
ユーリはグラスに入った酒を掲げながら言った。その後でグラスを一気に飲み干していく。
それから勢いよくグラスを机の上に置いた後に身を乗り出しながら親友に向かって言った。
「だが、相棒……お前さんも知っての通りだ。この世界っていうのは躊躇した方が負けなんだ。だから、今回の戦いではそいつの首を遠慮なく取りに行くぜ、そいつと違ってオレは躊躇なんかしない」
それを聞いてシュポスは満足そうな笑顔を見せて。それから無言で自身のグラスをユーリのグラスに近付けていく。
グラスがぶつかり合う。この時の音がなんとも気持ちがいい。
ぶつかり合う音を楽しんだ後でシュポスは一気飲みをしたのだった。
「いいねえ、それでこそオレの親友だ」
ユーリは感心したように言った。
「ありがとうよ、じゃあ、今夜は殺しの前祝いってことでよ、たっぷりと酒を飲もうよ」
「わかった、わかった。お前さんも本当に酒が好きだねぇ」
ユーリは困ったように言った。
「当たり前よ、『酒は百薬の長』って言葉があるくらいだからな」
ユーリはケラケラと笑うと、店員に新たな酒を頼み、シュポスともう一度乾杯を行なった後にグラスに注がれた酒を一気に飲み干していく。
その日の酒は二人を快くさせた。そのためにいつもより多くの量の酒を飲んでしまっていたのだ。
普段ならば飲むはずのない量の酒を飲んだことは明らかな失敗だった。シュポスは拠点にしている宿へと帰る最中にフラフラとした足取りで宿を逸れてしまい、路地裏へと迷い込んでしまった。
シュポスが慌てて引き返そうとした時だ。なにやらドタドタとした音が聞こえた。単に走り回っている音ではない。何かから怯えて逃げている音だ。
シュポスが異変を感じて、慌てて近くにある物陰に身を隠して様子を伺っていると、いかにも悪人という風体の人相の悪い男が何かに怯えるように逃げていた。
人相の悪い男は慌ててその場から逃げ出そうとしたのだが、背後から現れたと思われる人物に服の襟首を掴まれて、強制的に地面に顔をぶつけられてしまった。
その上に誰かが飛び乗った。シュポスが目を凝らしていると、スカートの裾が見えた。色は黒だ。辺りが暗くて顔はよく見えないが女性だろう。
人相の悪い男は慌ててその場から逃げ出そうと体をもがいたものの、女性の体が重しとなって動けそうになかった。
女性はそんな男の首元に向かって勢いよく針を埋め込んだのであった。あまりにも素早く針を突き刺したのだからシュポスには女性が針を飛ばす姿が見えなかった。
シュポスは大胆にも自分へ向かって針を飛ばした女性の顔が気になって様子を伺う。シュポスは顔を見た瞬間に恋に落ちた。舞台に立つような美人女優も裸足で逃げ出すような顔とそれに似つかわしくない職業にシュポスは惚れ込んだのだ。あの女性はなんというのだろう。
シュポスは後をつけたい気持ちを我慢して物陰に潜んでその女性が立ち去るのを待った。
今の手口から見るに、彼女は害虫駆除人で間違いない。それも昨日今日駆除人になったばかりの新人からは見られない、手慣れたものだ。
躊躇なく針を突き刺して殺す姿から、そのことが容易に想像できた。
シュポスは彼女が立ち去るのと同時に彼女が殺した人物を黙って見下ろしていく。死体を見る限り針が延髄に突き刺さり、脊髄に到達したこと死因であることは間違いなかった。
シュポスはこんな難しい芸当を躊躇なくやり遂げた彼女に対してますます興味を持ち始めた。この瞬間からシュポスの中からは任務のことなどは全て消えてしまったといってもいい。害虫駆除人であろう美少女を自分のものにするのだという思いばかりが頭を支配していた。
翌日昨日の駆除のことを内緒にして付近の人々に彼女の情報を説明していく。
美しい顔に磨いたばかりの金貨のように光り輝く金色の髪、全身から溢れる気品などを付近の人々に対して伝えていった。
説明を聞いた人々は全員が同じ人物を示した。
「それはレキシーさんの診療所でレキシーさんの助手をしてるカーラちゃんじゃないかな?」
最後にそう答えた人物にシュポスはカーラの場所を問い掛けた。
最後に答えた人物にシュポスはレキシーの診療所の場所を聞いて真っ直ぐに駆け寄っていく。だが、走っている途中で何かを思い出したように足を止めた。シュポスはせっかく告白を行うのならば何か手土産を用意した方がいいと判断し、目に入った菓子屋でパウンドケーキが入った箱と新しく発売されたキャラメルという砂糖菓子を購入していく。
その二つの菓子を持ったままシュポスは診療所の扉を開けて、患者の応対を行なっているカーラに向かって叫んだ。
「これを受け取ってくれッ!」
カーラは思わぬ応対を受けて固まってしまっていたが、応対をしていた患者にことわりを入れ、菓子を持ったまま男の元へと向かっていく。
男をよく観察するとなかなかの美男子であった。絵画に描かれる空想上の美男子のように整った顔も魅力的であったが、短く整った黒い髪もカーラの関心を惹いた。だが、顔が美しいということと急な来訪を咎めることは別の問題である。
カーラはその美男子に向かって注意の言葉述べた上で今の時間が診療中であるということを告げた。
「そ、そんな堅いことを言わないでくれよ」
「いけませんわ!今は診察中ですのよ!私に御用でしたら終わった後にお尋ねしてくださいませ!」
カーラの気迫に押され、シュポスは小刻みに首を縦に動かし、すごすごとその場から立ち去っていく。
カーラは患者の応対に戻ると、先程までカーラの診察を受けていた小太りの患者は苦笑いを浮かべながら言った。
「カーラも大変だね。この前もレストランオーナーだったメイソンさんに婚約を言い渡されてなかったっけ?」
「えぇ、でもお断りいたしまたわ」
「やっぱり、宮廷でのことがトラウマになってたの?」
「まさか」と、カーラはその患者の言葉を笑い飛ばしたのであった。
「メイソンさんと私とでは親子ほど歳が離れていましたもの、うまくいくわけがありませんわ」
「なるほど、じゃあさっきの男はなんで振ったの?メイソンと違って若かったし、随分といい男に見えたけど……」
「単純に今が診察中だからですわ。さぁ、お分かりになりましたら診察を続けますわよ」
カーラはレキシーの助手として患者を診る作業に戻っていった。こうしてまたいつも通りの日々が過ぎていった。
最終診察の時間が過ぎ、レキシーと二人で診療所を閉めて自宅に帰ろうとした時だ。先程の男ーーシュポスの姿が見えた。
男に向かってカーラは冷静な口調で問い掛けた。
「それで、なんの用ですの?」
「これ受け取ってくれッ!」
菓子が入った箱を手渡しながら叫ぶ。突然のことに目を白黒とするカーラに向かってシュポスは勢いをつけて叫んだ。
「オレはシュポスって者だ。突然で悪いんだが、オレはあんたに惚れちまったんだッ!付き合ってくれッ!」
「ど、どうしてですの!第一、私はあなたを初めて見ましたわ!」
「そりゃあ、そうでしょう。実は私があなたを見たのは特殊な状況にあった時でして……」
シュポスはここで真剣な顔を浮かべてカーラの元へと近寄っていく。
それから困惑するカーラの耳元で囁いていく。それを聞いた時にカーラは自身の心臓が口から出ていくかのような衝撃を受けた。
男が自身の耳元から離れると、カーラは男に向かって冷たい声で問い掛けた。
「……シュポスさんと仰られましたわね?立ち話は何ですので、よければお酒の出る店でお話し致しませんか?ちょうどいい場所を知ってますの」
カーラはギルドマスターが経営する酒場のある方向を指差しながら言った。
0
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
『処刑されるたびに12歳に戻る悪役令嬢、7回目の人生は「何もせず寝て過ごす」ことに決めたら、なぜか周囲が勝手に勘違いして聖女扱いされています
六角
恋愛
公爵令嬢リリアーナは、18歳の誕生日に必ず断罪・処刑されては12歳に戻るという地獄のループを6回も繰り返していた。 真面目に努力しても、剣を極めても、裏社会を支配しても、結局は殺される運命。 心折れた彼女は、7回目の人生でついに決意する。 「もう頑張らない。どうせ死ぬなら、今回はひたすら寝て過ごそう」と。
しかし、安眠を求めて「うるさい」と敵を黙らせれば『王者の覇気』と恐れられ、寝ぼけて放った魔法は『神の奇跡』と崇められ、枕への異常なこだわりは『深遠なる儀式』と誤解されてしまう。 気がつけば、ストーカー気味のヤンデレ王子、パン屋の元ヒロイン、狂犬の如きライバル令嬢、元部下の暗殺者、そして不眠症の魔王までもが彼女の信者となり、リリアーナは意図せずして国を、そして世界を救う「最強の聖女」へと祭り上げられていく。
「お願いだから、私を寝かせて!」 睡眠欲だけで運命(システム)さえもねじ伏せる、無気力悪役令嬢の痛快勘違いサクセス(?)ストーリー!
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
身代わりで呪いの公爵に嫁ぎましたが、聖女の力で浄化したら離縁どころか国一番の溺愛妻になりました〜実家が泣きついてももう遅い〜
しょくぱん
恋愛
「お前のような無能は、死神の生贄にでもなっていろ」
魔力なしの無能と蔑まれ、家族に虐げられてきた伯爵令嬢レティシア。 彼女に命じられたのは、近づく者すべてを病ませるという『呪いの公爵』アレクシスへの身代わり結婚だった。
鉄格子の馬車で運ばれ、たどり着いたのは瘴気に満ちた死の城。 恐ろしい怪物のような男に殺される――。 そう覚悟していたレティシアだったが、目の前の光景に絶望よりも先に別の感情が湧き上がる。
(な、何これ……汚すぎるわ! 雑巾とブラシはどこ!?)
実は、彼女が「無能」と言われていたのは、その力が『洗浄』と『浄化』に特化した特殊な聖女の魔力だったから。
レティシアが掃除をすれば、呪いの瘴気は消え去り、枯れた大地には花が咲き、不気味だった公爵城はまたたく間にピカピカの聖域に塗り替えられていく。 さらには、呪いで苦しんでいたアレクシスの素顔は、見惚れるほどの美青年で――。
「レティシア、君は一体何者なんだ……? 体が、こんなに軽いのは初めてだ」
冷酷だったはずの公爵様から、まさかの執着と溺愛。 さらには、呪いが解けたことで領地は国一番の豊かさを取り戻していく。
一方で、レティシアを捨てた実家は、彼女の『浄化』を失ったことで災厄に見舞われ、今さら「戻ってきてくれ」と泣きついてくるが……。
「私は今、お城の掃除と旦那様のお世話で忙しいんです。お引き取りくださいませ」
これは、掃除を愛する薄幸令嬢が、その愛と魔力で死神公爵を救い、最高に幸せな居場所を手に入れるまでのお話。
妹なんだから助けて? お断りします
たくわん
恋愛
美しく聡明な令嬢エリーゼ。だが、母の死後に迎えられた継母マルグリットによって、彼女の人生は一変する。実母が残した財産は継母に奪われ、華やかなドレスは義姉たちに着られ、エリーゼ自身は使用人同然の扱いを受ける。そんなある日――。
魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました
iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。
両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。
両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。
しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。
魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。
自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。
一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。
初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。
恋人になりたいが、年上で雇い主。
もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。
そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。
そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。
レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか?
両片思いのすれ違いのお話です。
婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました
由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。
彼女は何も言わずにその場を去った。
――それが、王太子の終わりだった。
翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。
裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。
王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。
「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」
ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる