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第七部『エイジェント・オブ・クリミナル』
大いなる闇の片鱗
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鷹峰は恐る恐る背後へと下がっていく。目の前の得体の知れない力を持つ青年が彼は恐ろしくてたまらなかった。何故に自身の鎧を壊せたのだろう。その原理が鷹峰は理解できなかった。
鷹峰はもう一度、腕を背後へと下げ、目の前の相手に向かって拳を握り締めて殴り掛かっていく。
だが、拳に纏わせていたプロテクターは孝太郎の腕の前に剥がれていく。まるで、かさぶたが剥がれるかの様に至極あっさり、と。
鷹峰は下唇を噛み締め、孝太郎の魔法を見ていく。
孝太郎の一連の動きを見た彼は武器保存から六連発式の回転拳銃を取り出し、闇夜からの不意打ちを試みた。
だが、それさえも孝太郎は見切っていたらしい。鷹峰が拳銃の引き金を引くよりも前に、彼の拳銃が撃ち落とされて発砲の機会を永遠に失ってしまう。
後退りをしようとする鷹峰の背後からも安全装置を外す音が聞こえる。
「そのまま弟に捕まりなさい。そうしないと、わたしも引き金をあんたの頭に当ててあなたの脳髄をあなたのその立派な絹のスーツにぶち撒けないという保証はできないわよ」
絵里子は声色一つ変えずに言ってみた。いや、本当に今の彼女には躊躇いがない。と、言うのも彼女にはつい数ヶ月前に自身が人質になり、弟の足を引っ張ってしまったという負い目があるからだ。
いざとなれば、彼女は顔に止まった蚊を潰すよりもあっさりとその人差し指を離すだろう。
この場は降伏した方が良いだろう。
鷹峰雪雄はいずれ、脱出の機会を伺うという名目で大人しく警察に投降する事にした。
が、その次の行動は流石の彼も予測できなかった。
孝太郎は何の躊躇いもなく引き金を引き、彼の腕に弾丸を捻じ込ませる。
悲鳴を上げた鷹峰雪雄はその場で彼は孝太郎に組み伏せられ、手には魔法を制御する手錠を掛けられた。
冷たい地面の上に手枷を嵌められ、周囲の人物から殺意を向けられる状態は常に部下に囲われ、女性を侍らせ、楽しく過ごしていた彼にとっては耐えられるものではなかったらしい。
孝太郎が最初に質問した時には彼はとっくに戦意を喪失し、うわごとの様に小さな声で何やらぶつぶつと喋るばかりであった。
が、孝太郎は逃がさない。地面の上に座る男の前髪を強く掴み、無理矢理、自分と視線を合わせると、彼の耳元で大きな声で怒鳴る。
「さっさと、この密貿易に関わっている奴らの名前を教えろ!」
「わ、分かった!な、何でも喋るから殺さないでくれ、頼む!」
これが組長の姿だろうか。むざむざと警察に負け、本来ならば守るべき相手の情報をも喋る。
その姿は到底組長とは思えない。浩輔も聡子もそこら辺にいる情けない年を取ったチンピラの様に思った。
威厳も何もあったものではない。彼は情けない声を上げて孝太郎に抱き着き、情けない声を出して、
「お、おれの貿易の取り引き相手は北京のさる大物マフィアとユニオン帝国のコミッションでも有数のマフィアなんだよ!」
「それは知ってる!貿易ルートを教えろ!」
「ぼ、貿易ルートは呉の港町、香港、デトロイトの港の三箇所……」
「他は!?」
「な、ない!いつもおれがあの人から聞いているのはそれだけだ」
「あの人と言うのは誰の事だ!?」
「お、おれも知らないんだ!いつも真っ黒なテンガンロンハットに黒い目出し帽に黒いライダースーツを着てたからな……おれやおれの部下はそいつの事を黒いライダーと言っている」
鷹峰はそれだけ言うと、今度はもう一度大きく孝太郎の懐に抱き着き、男とは思えない程に情けない声で泣き喚く。
「こ、ここまで言ったら、おれは必ず殺される!あ、あんた警察だろ!オレを逮捕してくれ!い、いや、一生刑務所に閉じ込めてくれ、じゃないとおれはーー」
鷹峰は言葉を途切れさせると、短い悲鳴を上げて孝太郎の元に倒れ込む。
孝太郎が鷹峰から離れ、背中を確認すると、そこには巨大な杭が突き刺さっていた。
巨大で頑丈な樫の木の杭が体の奥にまで突き刺さったのが死の原因となったらしい。余程、その杭は痛かったのだろう。鷹峰は目を大きく広げて助けを求める様な表情で手を伸ばした状態で絶命していた。
孝太郎は直ぐに応援と救急車を呼ぶ様に指示を出す。
救急車を呼ぶのは無駄だとは思うが、義務だから呼ぶだけである。
少なくとも、刑事である以上はそうするのが正解だと孝太郎は思っていた。
応援と救急車とが来るまでの間、孝太郎は現場保存を行うべく、死体の周りを塞ごうとしたのだが、その際に彼は死体の背後である物を発見する。
それは、ちぢれた赤色の毛に、無機質な笑顔、そしてそれを触るであろう年齢の少女に親しまれ、憧れる様にと可愛らしいエプロンドレスを着た小さな少女を模した人形であった。
孝太郎はそれを拾い上げてこの人形に纏わるある人物の事を思い出す。
「……大樹寺雫?いいや、そんな訳はない。あいつは大阪城で死んだ筈だ」
孝太郎はそう言って自ら首を横に振って否定しようとしたが、かつて、彼女と敵対した時に彼女が率いていた教団が既に殺害したヤクザの脳髄を抜き、ロボットに移植する事により、彼の人格を引き継いだ事を思い出す。
「……まさか、大樹寺雫はまだ死んでおらず、何者かがあの女の脳を?」
だが、孝太郎のその問い掛けには誰も答えられない。と、言うのも大樹寺雫を生き返らせるメリットがないからだ。
夜は明けた。が、孝太郎たちの中に巣食う漆黒の闇は明けない。むしろ、彼ら彼女らの中により大きな闇だけを残して孝太郎たちは街の外れを後にした。
翌日、早朝、ビッグ・トーキョー。
今や、政権与党、自由共和党の大物となった若槻葉子は珍しく緊張を隠しきれなかった。
と、言うのも目の前にはかつて日本を牛耳っていた伯爵家の令嬢とつい半年ほど前に捕まり、脱獄の末に死んだ筈のカルト教団の教祖、大樹寺雫の両名が長椅子の上に仲良く座り、自分と向かい合っていたからだ。
少し前に死亡が確認された筈の少女と昭和の時代には既に没した筈の女伯爵とが共に紅茶を啜る光景は何度見ても慣れない。
葉子が目を動かしている時だ。不意に大樹寺雫が口を開く。
「……作戦は成功した。あなた方の命令通りに、余計な事を喋りかねないあの男は始末させてもらった」
雫は淡々と告げた。無感動に、何の感情も込める事なく。
だが、もう一人の女性伯爵は彼女とは対照的に可愛らしい笑顔を浮かべて言った。
「そうなの!流石は雫!わたしが見込んだだけの事はあるわ!これからもよろしくね!」
雫は女性伯爵の言葉に対して黙って首を縦に動かす。
既に死んだ筈の伯爵はクスクスと笑いながら雫との会話を続けていく。
鷹峰はもう一度、腕を背後へと下げ、目の前の相手に向かって拳を握り締めて殴り掛かっていく。
だが、拳に纏わせていたプロテクターは孝太郎の腕の前に剥がれていく。まるで、かさぶたが剥がれるかの様に至極あっさり、と。
鷹峰は下唇を噛み締め、孝太郎の魔法を見ていく。
孝太郎の一連の動きを見た彼は武器保存から六連発式の回転拳銃を取り出し、闇夜からの不意打ちを試みた。
だが、それさえも孝太郎は見切っていたらしい。鷹峰が拳銃の引き金を引くよりも前に、彼の拳銃が撃ち落とされて発砲の機会を永遠に失ってしまう。
後退りをしようとする鷹峰の背後からも安全装置を外す音が聞こえる。
「そのまま弟に捕まりなさい。そうしないと、わたしも引き金をあんたの頭に当ててあなたの脳髄をあなたのその立派な絹のスーツにぶち撒けないという保証はできないわよ」
絵里子は声色一つ変えずに言ってみた。いや、本当に今の彼女には躊躇いがない。と、言うのも彼女にはつい数ヶ月前に自身が人質になり、弟の足を引っ張ってしまったという負い目があるからだ。
いざとなれば、彼女は顔に止まった蚊を潰すよりもあっさりとその人差し指を離すだろう。
この場は降伏した方が良いだろう。
鷹峰雪雄はいずれ、脱出の機会を伺うという名目で大人しく警察に投降する事にした。
が、その次の行動は流石の彼も予測できなかった。
孝太郎は何の躊躇いもなく引き金を引き、彼の腕に弾丸を捻じ込ませる。
悲鳴を上げた鷹峰雪雄はその場で彼は孝太郎に組み伏せられ、手には魔法を制御する手錠を掛けられた。
冷たい地面の上に手枷を嵌められ、周囲の人物から殺意を向けられる状態は常に部下に囲われ、女性を侍らせ、楽しく過ごしていた彼にとっては耐えられるものではなかったらしい。
孝太郎が最初に質問した時には彼はとっくに戦意を喪失し、うわごとの様に小さな声で何やらぶつぶつと喋るばかりであった。
が、孝太郎は逃がさない。地面の上に座る男の前髪を強く掴み、無理矢理、自分と視線を合わせると、彼の耳元で大きな声で怒鳴る。
「さっさと、この密貿易に関わっている奴らの名前を教えろ!」
「わ、分かった!な、何でも喋るから殺さないでくれ、頼む!」
これが組長の姿だろうか。むざむざと警察に負け、本来ならば守るべき相手の情報をも喋る。
その姿は到底組長とは思えない。浩輔も聡子もそこら辺にいる情けない年を取ったチンピラの様に思った。
威厳も何もあったものではない。彼は情けない声を上げて孝太郎に抱き着き、情けない声を出して、
「お、おれの貿易の取り引き相手は北京のさる大物マフィアとユニオン帝国のコミッションでも有数のマフィアなんだよ!」
「それは知ってる!貿易ルートを教えろ!」
「ぼ、貿易ルートは呉の港町、香港、デトロイトの港の三箇所……」
「他は!?」
「な、ない!いつもおれがあの人から聞いているのはそれだけだ」
「あの人と言うのは誰の事だ!?」
「お、おれも知らないんだ!いつも真っ黒なテンガンロンハットに黒い目出し帽に黒いライダースーツを着てたからな……おれやおれの部下はそいつの事を黒いライダーと言っている」
鷹峰はそれだけ言うと、今度はもう一度大きく孝太郎の懐に抱き着き、男とは思えない程に情けない声で泣き喚く。
「こ、ここまで言ったら、おれは必ず殺される!あ、あんた警察だろ!オレを逮捕してくれ!い、いや、一生刑務所に閉じ込めてくれ、じゃないとおれはーー」
鷹峰は言葉を途切れさせると、短い悲鳴を上げて孝太郎の元に倒れ込む。
孝太郎が鷹峰から離れ、背中を確認すると、そこには巨大な杭が突き刺さっていた。
巨大で頑丈な樫の木の杭が体の奥にまで突き刺さったのが死の原因となったらしい。余程、その杭は痛かったのだろう。鷹峰は目を大きく広げて助けを求める様な表情で手を伸ばした状態で絶命していた。
孝太郎は直ぐに応援と救急車を呼ぶ様に指示を出す。
救急車を呼ぶのは無駄だとは思うが、義務だから呼ぶだけである。
少なくとも、刑事である以上はそうするのが正解だと孝太郎は思っていた。
応援と救急車とが来るまでの間、孝太郎は現場保存を行うべく、死体の周りを塞ごうとしたのだが、その際に彼は死体の背後である物を発見する。
それは、ちぢれた赤色の毛に、無機質な笑顔、そしてそれを触るであろう年齢の少女に親しまれ、憧れる様にと可愛らしいエプロンドレスを着た小さな少女を模した人形であった。
孝太郎はそれを拾い上げてこの人形に纏わるある人物の事を思い出す。
「……大樹寺雫?いいや、そんな訳はない。あいつは大阪城で死んだ筈だ」
孝太郎はそう言って自ら首を横に振って否定しようとしたが、かつて、彼女と敵対した時に彼女が率いていた教団が既に殺害したヤクザの脳髄を抜き、ロボットに移植する事により、彼の人格を引き継いだ事を思い出す。
「……まさか、大樹寺雫はまだ死んでおらず、何者かがあの女の脳を?」
だが、孝太郎のその問い掛けには誰も答えられない。と、言うのも大樹寺雫を生き返らせるメリットがないからだ。
夜は明けた。が、孝太郎たちの中に巣食う漆黒の闇は明けない。むしろ、彼ら彼女らの中により大きな闇だけを残して孝太郎たちは街の外れを後にした。
翌日、早朝、ビッグ・トーキョー。
今や、政権与党、自由共和党の大物となった若槻葉子は珍しく緊張を隠しきれなかった。
と、言うのも目の前にはかつて日本を牛耳っていた伯爵家の令嬢とつい半年ほど前に捕まり、脱獄の末に死んだ筈のカルト教団の教祖、大樹寺雫の両名が長椅子の上に仲良く座り、自分と向かい合っていたからだ。
少し前に死亡が確認された筈の少女と昭和の時代には既に没した筈の女伯爵とが共に紅茶を啜る光景は何度見ても慣れない。
葉子が目を動かしている時だ。不意に大樹寺雫が口を開く。
「……作戦は成功した。あなた方の命令通りに、余計な事を喋りかねないあの男は始末させてもらった」
雫は淡々と告げた。無感動に、何の感情も込める事なく。
だが、もう一人の女性伯爵は彼女とは対照的に可愛らしい笑顔を浮かべて言った。
「そうなの!流石は雫!わたしが見込んだだけの事はあるわ!これからもよろしくね!」
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