よくある悪役令嬢ものの性悪ヒロインのポジにTS転生してしまったので、前世で培った知識を活用して、破滅フラグを回避しようと思います!

アンジェロ岩井

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夢に向かいたいのか?まだ不器用でも、生きている激しさを体中で確かめたいだろう?

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俺の部屋に現れたのは、黒いフロックコートに黒い帽子を被った中年の男であった。
男は分厚くて四角い眼鏡を掛けており、鼻の下には大きな黒い髭を生やしていた。
「やぁ、ご機嫌はどうですかな?姫君」
「ええ、まぁ、悪くはありませんわ」
ここで本音を言えば、相手の気を害する事になろうであろうから、敢えて言わないでおこう。
すると、相手は俺が黙っているのを怖がっていると解釈したらしく、またしてもヘラヘラと笑い出す。
「どうですかな?この部屋は私が用意したのです。あなた様をちゃーんと丁重におもてなしできる様にね」
何がおもてなしだ。世界の何処に客を連れて来るのに、人を雇わせて、その頭をぶん殴る馬鹿がいる。
勿論、その事を本人に告げるほど、俺は愚かではない。
嫌味を用いて、俺の心中を告げようとしたが、看破されても面倒だ。
やはり、貫くのは黙秘が一番だろう。
俺が黙っていると、向こうはますます調子付いたらしくて、腹を震わせて、
「そうですか、そうですか、やはり、恐ろしいですが、やはり、あなたは貴族のお嬢さんだ。怖くない筈がありませんものね。ご安心を、私の用件が飲まれれば、直ぐにあなたをお返ししますよ」
「貴方の御用とは何ですの?」
それを聞いた男は右端の口元を吊り上げて、
「それは、勿論、私がこの国の王になる事です。今でこそ、私の家単なる一貴族に過ぎませんが、私の家はかつての王でした」
男はそう言って、紫色の所々が曲がった剣を懐から差し出す。
「これが私の家が王であった証拠です」
成る程、伝説上の王朝の二つ目の王朝の時代に乱れた大陸に現れて、争いを繰り広げた十三の王家の王の一人が使っていた王家の剣である。
「この国は元々、私の祖先が受け継いだ国です。あんな奴らに奪わせてなるものですか」
男の目が燃えていた。ガチの目である。どうやら、この国の王や王家に変な逆恨みをしているつもりらしい。
こいつが漫画的、特撮的な悪の組織の首領が秘めている様なヤバい野望を胸の内に秘めている事が分かる。
だが、それが、なぜ俺の誘拐に繋がるのだろう。
俺が首を傾げていると、彼はカラカラと笑い出して、
「何故かっていう顔をしているので、答えてあげましょう。あなたはこの国の次代を担う王家の跡取り二人から期待を寄せられている。そんなあなたを誘拐すれば、王子二人は只事ではないと焦り始めるでしょう。私の要求にも答えてくれるでしょう。そう、『王位継承権の放棄』という、ね……」
成る程、こいつの手が読めた。二人の王子に継承権を放棄させ、今の国王の死後か、もしくはその国王もどうにかして廃して、自分がその椅子に座るというのがこいつの狙いだろう。
俺は不相応な野望を抱いた馬鹿な男を侮蔑の目で見つめていた。
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