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第一話 王女様の脱出劇

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異世界『オリバニア』
フランソワ王国歴 504年11月3日。
一人の少女が燃え盛る巨大な城の中を一つの大きな形よの良い立派な剣を携え、ひたすら走っていた。周りで火がどれほど激しく燃えようとも、少女は意に返さない。
ひたむきに前を向いて走っていた。
(どうしてこんな事になっちゃたんだろう)
少女は数時間前の事を思い返す。
(確か、あいつが従兄弟エリザベスがあたしは女王に相応しくないとかで、攻めてきたんだ !あいつ本当に卑怯だわ、この戦いにあのギシュタルリア帝国のなんて !)
そう心の中で従兄弟を煽っていると、少女は目の前の轟々しい黒のオーラを放つ門の前に立っているに気がつく。
(ここが、……お父様が言っていたわね、「マリア……ここは、悪魔の入り口だから、絶対に入ってはダメだ」と……お父様、ごめんなさい !あたしが生き残るのには、この門を開けるしかないの !)
少女いや、マリアは、意を決してを開く、その途端に純白とも言える綺麗な光に体を覆われてしまう。
(あぁ、あたしは何処に連れて行かれるの……)
マリアは自分の運命を呪いながら、白の光に包まれる事に身を委ねた。

アメリカ合衆国
1955年8月1日
ニューホーランドシティの五代ファミリーの一つカヴァリエーレ・ファミリーの相談役コンシシリーエであるヴィト・プロテッツイオーネは、アパートの窓側から相手側のの動きを観察していた。
「やろう……まだ動かんらしいな」
双眼鏡を片手にヴィトはボソリと呟く。
「コンシリエーリ !ドン・カヴァリエーレから、本日の戦況報告についての電話が鳴っておりますが……」
そう電話を持ってきたのは、深くフランク・シナトラのような帽子を被ったイタリア系の男だった。ヴィトはあぁと呟き、男から渡された受話器を取る。
「戦況はどうなっているの?」
「問題はありません、いつも通りの定着した睨み合いが続いています」
そう電話口から聞こえてきた若い女性の声にヴィトは、丁重に答える。
「そう、ミラノリア・ファミリーの動きには、今日も動きがないのね……しかし、彼らも相談役のあなたが直接出て来たのを知って、震え始めたのかしらね」
ドン・カヴァリエーレは呆れたような、面倒くさがったような声を出し、最後の自分の冗談にクスリと笑うと、何かあればまた電話を掛けるようにヴィトに告げ、ガシャリと受話器を切った。
「さてと……見張り交代の時間だ、オレは向こうの店でキャンディバーでも買ってくるから、お前がコレで見張ってろ」
ヴィトは部下に指示し、持っていた双眼鏡を手渡すと、アパートの向かい側にそびえ立つ菓子店へと向かう。
ヴィトは向こうの店までの短い距離を歩きながら、ホゥとため息を吐く。そして短い距離を歩きながら、自分のこれまでの経歴を振り返る。
ヴィトは1932年生まれの23歳であり、イタリア系の移民であったが、父親を戦争で亡くし、以降は母親と二人で生きてきたが、イタリア系であるのと、大学教育を受けていないのもあり、あまりいい職業には就けなかった。
顔だけは周囲の人間がいいと言っていたが、それだけでは職に就けないとヴィトは諦めていた。だが、実際にヴィトの顔は目鼻がキリッとしており、口元もいい具合に締まっている立派なであった。
まぁ、それはともかくヴィトが造船所でどうすればいいだろうと悩んでいると、造船所のボスが自分をマフィアに紹介してくれると、言ったのだ。ヴィトは二つ返事で了承し、マフィアに入ったのだ。それから、ヴィトは功績を挙げていき、ファミリーの相談役コンシリエーリを任されるまでになったのだった。
そんな事を思い返していると、菓子屋の太った親父が無愛想にお金はと聞く。
ヴィトは無言で親父にお金を渡す。それから、店を出てアパートへ戻ろうとして、ふと上空を見上げると、上から女の子が降ってきた事に気がつき、慌てて受け止める。
「ウォ !!!」
ヴィトは女の子の重さに思わず、悲鳴を上げる。
「何よ !失礼ね !!あたしはそんなに太っていないわよ !平民のくせに無礼よ !!」
女の子が抗議の声を上げる。
「すまない、ところで君は?」
「馴れ馴れしい平民だけど、今は緊急時だから許してあげるわ、あたしの名前はマリア・フランソワ……フランソワ王国の第一王女であり、第25代王国国王よ !まぁ、女王はわたしが初代だけど……」
そう口ごもる少女にヴィトはとにかくアパートへと連れて帰ろうと決めた。
「そんな事はどうでもいいから、わたしと一緒に来てくれんか?変な事はしない、ただ少しサツの元に君を連れて行くと、マズイから……」
「ちょっと、何する気よ、平民 !!」
ヴィトはとんでもないものを抱えてしまったと、頭を抱えた。
「何もしないから、とにかくわたしのアパートに来てくれ、一旦君を保護する」
「わたしを !!あんた一体何様よ !!」
王女を名乗る少女のあまりに失礼な上から目線の言動にヴィトはウンザリするしかなかった。

フォロワーの桃桃🍑@11/25大阪ジョジョ展⭐️参加様から挿絵を頂きました。
本当に感謝しております !
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