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第三話 ルカ・ミラノリアの野望
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「ちょっと、何なのよ、あいつらは !」
王女様は涙目で叫びながら、ヴィトに襲ってきた連中の正体を問いただそうとするが、当のヴィトはそれどころではない。
(さっきの騒ぎで、ミラノリアの連中がこちらが襲撃して来たのだと誤解したらしい、それで反撃に転じた……というわけか)
ヴィトは王女様を咄嗟に背中に乗せながらも、襲撃事件の真相を導き出していた。
「ひっいい~あたしのドレスに穴が~」
「辛抱しろ !行きて帰りたければな……」
ヴィトは背中で暴れる王女を宥めつつ、自身の愛銃であるオート拳銃を後ろの連中に発砲する。
銃弾がレンガの道路に当たる。肝心の弾は当たらなかったようだが、充分抑止力にはなったようで、追っ手がそれ以上追いかけてくることはなかった。
「着いたよ、ここがオレの隠れているアパートだ、中は狭いがな、明日までの辛抱ですぜ、お姫様」
ヴィトはその端正な顔立ちでニンマリと微笑んでみせる。
「わっ、分かったわよ」
王女様はヴィトに引かれた椅子にドシっと腰掛けた。
(うわ、安っぽい椅子ね。どうしてあたしがこんな椅子に座らなくちゃあいけないのよ !でも、あの平民少し美男子だな……)
王女様いや、マリア・ド・フランソワは生まれて初めて見る世にも奇妙な服に身を包んだ青年に少しだけ赤く頰を染めていたのは、気づかなかったようだ。
ミラノリア・ファミリーの相談役からの報告書はルカ・ミラノリアの習慣となっている寝る前の飲酒をより一層美味くさせた。
また、あのカヴァリエーレの小娘に勝ったのだと。
「ふははは、愉快愉快 !後はヴィトの小僧を始末すれば、全ては冗長よ !そして俺がこの街を乗っ取った後には、アメリカを支配するッ!アメリカの兵力を奪った暁には世界もオレの手中に収める……これ程までに順調に進むのも、コイツのお陰よ !」
ミラノリアは部屋の壁に掛けてある、一つの形の良いだが、どこか禍々しい一本の剣を手に取る。
「そう、この悪魔の剣の力でな……」
ミラノリアがそう喋っていると、不意に背後に一人の男が立っているのに気がつく。
「お主の野望とやらは結構だが、わたしの存在も忘れてもらっては困るぞ、地方長官……」
「へっ、陛下 !いつの間に !」
街の最大のマフィア組織のボスであるミラノリアはその肩書きに似合わないくらい狼狽する様子を中世のヨーロッパ時代の皇帝或いは王様の格好をした男に見せていた。
「今、二つの世界の移動魔法で、今君の部屋に着いたばかりさ……」
「そっ、そうですか !直ぐにでもお茶を用意させますので……」
呼び鈴を鳴らそうとするドン・ミラノリアを異世界から来たと言う男は手で静止させる。
「無用、重要なのは、この世界を私の管理下に置かせること、そしてそのために異能種やら、剣やらを送ってやっているのだ、それを忘れてもらっては困るな」
「わっ、分かっております !」
ミラノリアは手元のスイス製の高級腕時計をガチャガチャと鳴らしながら答えた。
「ふふ、いい時計だな、私にくれんか?私の世界には無い品なのでな」
ミラノリアはそれを聞くなり、腕時計を外し、自身の上司へと献上する。
「うむ、それよりも今日はお主に命令があってここに来たのだ」
「命令でございますか!?」
男は首を縦に振る。
「左様。実は今日な私の隣国にして、仇国である、フランソワ王国に攻め込んだのだが、その国を治めているはずのマリア王女がいつの間にか消えていたのだ、念にも念を込めた計画だ。奴の従兄弟をそそのかし、戦力を分解させ、奴の最大の戦力であり、これまで私が侵略を躊躇していた原因であるニ騎士を捕え、倍の戦力で城を包囲した。だが、マリアは逃げた……」
それを語るご主人様は体をも震わせており、ミラノリアとしてはとばっちりがこちらに来ないかを祈るしかなかったが、次の瞬間にご主人様が、ミラノリアの自慢の黒色の長机をバンと勢いよく叩く。
「よいか !マリアを見つけられんというのは、我々の敗北を意味するのだ !占領したフランソワの国民どもは、そのせいか、私の支援するエリザベスを支持しておらん !そのせいか、税が一向に取れんのだ !」
男は苛立ちが止まらないのか、部屋の中を行ったり来たりしている。
「陛下、大丈夫でございますよ、あなた様はギシュタルリア帝国の神聖にして、不可侵なるエドワード・テューダレーア三世……それに仮にマリアとやらが、こちらの世界に来たとしても、我々が必ず全力で見つけ出します !心配には及びませんよ !」
「そうか、なら頼むぞ、それと今月中にはこの街くらい支配しろ……分かったな」
そう睨みつけてくるエドワードの目にミラノリアはただ怯えるしかなかった。
王女様は涙目で叫びながら、ヴィトに襲ってきた連中の正体を問いただそうとするが、当のヴィトはそれどころではない。
(さっきの騒ぎで、ミラノリアの連中がこちらが襲撃して来たのだと誤解したらしい、それで反撃に転じた……というわけか)
ヴィトは王女様を咄嗟に背中に乗せながらも、襲撃事件の真相を導き出していた。
「ひっいい~あたしのドレスに穴が~」
「辛抱しろ !行きて帰りたければな……」
ヴィトは背中で暴れる王女を宥めつつ、自身の愛銃であるオート拳銃を後ろの連中に発砲する。
銃弾がレンガの道路に当たる。肝心の弾は当たらなかったようだが、充分抑止力にはなったようで、追っ手がそれ以上追いかけてくることはなかった。
「着いたよ、ここがオレの隠れているアパートだ、中は狭いがな、明日までの辛抱ですぜ、お姫様」
ヴィトはその端正な顔立ちでニンマリと微笑んでみせる。
「わっ、分かったわよ」
王女様はヴィトに引かれた椅子にドシっと腰掛けた。
(うわ、安っぽい椅子ね。どうしてあたしがこんな椅子に座らなくちゃあいけないのよ !でも、あの平民少し美男子だな……)
王女様いや、マリア・ド・フランソワは生まれて初めて見る世にも奇妙な服に身を包んだ青年に少しだけ赤く頰を染めていたのは、気づかなかったようだ。
ミラノリア・ファミリーの相談役からの報告書はルカ・ミラノリアの習慣となっている寝る前の飲酒をより一層美味くさせた。
また、あのカヴァリエーレの小娘に勝ったのだと。
「ふははは、愉快愉快 !後はヴィトの小僧を始末すれば、全ては冗長よ !そして俺がこの街を乗っ取った後には、アメリカを支配するッ!アメリカの兵力を奪った暁には世界もオレの手中に収める……これ程までに順調に進むのも、コイツのお陰よ !」
ミラノリアは部屋の壁に掛けてある、一つの形の良いだが、どこか禍々しい一本の剣を手に取る。
「そう、この悪魔の剣の力でな……」
ミラノリアがそう喋っていると、不意に背後に一人の男が立っているのに気がつく。
「お主の野望とやらは結構だが、わたしの存在も忘れてもらっては困るぞ、地方長官……」
「へっ、陛下 !いつの間に !」
街の最大のマフィア組織のボスであるミラノリアはその肩書きに似合わないくらい狼狽する様子を中世のヨーロッパ時代の皇帝或いは王様の格好をした男に見せていた。
「今、二つの世界の移動魔法で、今君の部屋に着いたばかりさ……」
「そっ、そうですか !直ぐにでもお茶を用意させますので……」
呼び鈴を鳴らそうとするドン・ミラノリアを異世界から来たと言う男は手で静止させる。
「無用、重要なのは、この世界を私の管理下に置かせること、そしてそのために異能種やら、剣やらを送ってやっているのだ、それを忘れてもらっては困るな」
「わっ、分かっております !」
ミラノリアは手元のスイス製の高級腕時計をガチャガチャと鳴らしながら答えた。
「ふふ、いい時計だな、私にくれんか?私の世界には無い品なのでな」
ミラノリアはそれを聞くなり、腕時計を外し、自身の上司へと献上する。
「うむ、それよりも今日はお主に命令があってここに来たのだ」
「命令でございますか!?」
男は首を縦に振る。
「左様。実は今日な私の隣国にして、仇国である、フランソワ王国に攻め込んだのだが、その国を治めているはずのマリア王女がいつの間にか消えていたのだ、念にも念を込めた計画だ。奴の従兄弟をそそのかし、戦力を分解させ、奴の最大の戦力であり、これまで私が侵略を躊躇していた原因であるニ騎士を捕え、倍の戦力で城を包囲した。だが、マリアは逃げた……」
それを語るご主人様は体をも震わせており、ミラノリアとしてはとばっちりがこちらに来ないかを祈るしかなかったが、次の瞬間にご主人様が、ミラノリアの自慢の黒色の長机をバンと勢いよく叩く。
「よいか !マリアを見つけられんというのは、我々の敗北を意味するのだ !占領したフランソワの国民どもは、そのせいか、私の支援するエリザベスを支持しておらん !そのせいか、税が一向に取れんのだ !」
男は苛立ちが止まらないのか、部屋の中を行ったり来たりしている。
「陛下、大丈夫でございますよ、あなた様はギシュタルリア帝国の神聖にして、不可侵なるエドワード・テューダレーア三世……それに仮にマリアとやらが、こちらの世界に来たとしても、我々が必ず全力で見つけ出します !心配には及びませんよ !」
「そうか、なら頼むぞ、それと今月中にはこの街くらい支配しろ……分かったな」
そう睨みつけてくるエドワードの目にミラノリアはただ怯えるしかなかった。
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