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第三部 トゥー・ワールド・ウォーズ
FBI連邦捜査官オスカー・マーロン
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オスカー・マーロンはニューホーランドシティー出身の若き連邦捜査官であった。
彼はケーキ屋を営む父親とその店の店員である母親との間に1932年に産まれた。
幼い少年が物心つくときに見たのは、父親が地元のギャングに金を払う姿であった。
彼はギャングなんかに頭を下げる父親を心の底から侮蔑していたし、同時に恥ずかしい存在であるとも感じていた。無論、そんな事は口に出した事はないが……。
やがて、彼は高校を出席で卒業すると同時にマフィアとギャングへの憎悪を胸に勉強し、マサチューセッツ州のハーバード大学へと進学した。
そこでもトップの成績を残し、FBIに入った。FBIに入ると、彼は真っ先にギャングとマフィアの撲滅を進言した。
だが、それは聞き入られなかった。
FBIの上司たちもマフィアやギャングと結び付いていた人間も多かったし、中にはファミリーから、スパイとして送り込まれた人間すらいた。
オスカーはそんな同僚や上司を嫌い、部署を転々としていた。
そして、つい三日ほど前に彼の生まれ育った街ーー彼曰くギャングどもに敬意を払う街。ニューホーランドにマフィア壊滅のための連邦捜査官として派遣された。
オスカーは街に着くと、まず真っ先に賭博の取り締まりに向かったが、そこで内部告発により、情報が漏れたために恥をかくのは彼になってしまった。
彼の自尊心は大きく傷付けられたが、彼は同時に他の警察官に頼る事なくギャングの撲滅を意識するようになった。
そこで、彼は地元の老警官ーーこの街で唯一マフィアからの裏金を受け取っていないブルーノ・イエローと出会い、カヴァリエーレ・ファミリーの撲滅に力を入れる事にした。
「いいか、オスカー。この街の奴らは誰も信用するなよ、奴らはファミリーこそが、この街を守る警察だと考えているからな、そしてドメニコ・カヴァリエーレこそが、この街の守り神だと考えている」
オスカーはドメニコ・カヴァリエーレという言葉を聞いて、全身が痙攣するのを感じた。彼は自分の父親が不甲斐なかった原因であり、同時にこの街の実質的なボスでもあった。この街のかりそめの市長は、ドメニコにより毎年任命されていた。
一時期ルカ・ミラノリア率いるミラノリア・ファミリーが優勢だったと聞いたが、それもすぐに収まり、今や街の全てのことはカヴァリエーレ・ファミリーが指揮しているらしい。
「警察はあるが、それはかりそめだ。実質的な警察は奴らだ。その証拠に一時期話題になったカルト教団を追い出したのは、あいつらさ」
ブルーノは手前の喫茶店でお茶を飲んで笑っている中折れ帽とスーツの男たちを指差す。男たちは怖がられることなく店の一般人のマスターと談笑していたが、その姿はオスカーにとっては不気味に感じられた。
「全く、この街の奴らは誰も彼もマフィアに依存し過ぎだよ、前の政府のギャング撲滅運動を知らないのかと思うくらいだよ」
オスカーは初めてアンドリュー・F・ペギーマン大統領の演説は素晴らしいものであった。アメリカからマフィアやギャングが無くなるなんてこんな素晴らしいニュースはアメリカに住む人のみならず、別の世界の人にも知ってもらうべきだろう。
「アイツらはどうする?」
オスカーは喫茶店で話している男二人を指差す。
「放っておこう。まだ何か犯罪をやらかしたわけではないからな、証拠もないのに逮捕するのはいかんよ」
ブルーノの言葉にオスカーは引き下がるしかない。
「だが、だが……もし、奴らを逮捕できるとしたら?」
「それは、カヴァリエーレ・ファミリーの奴らが全員お縄につく時だろうな、あの美しい女ボスの手に手錠がかかる日だ……」
美しい女ボスか……。オスカーは未だに見た事がない、カヴァリエーレ・ファミリーの若き女ボスの事を考えた。
FBIで写真を見た時は、何故ハリウッドの女優がマフィアのボスが載っている書類の中にいるのだと勘違いしたくらいの美しさだった。
だが、それはそれ。これはこれだ。いかにカヴァリエーレ・ファミリーの女ボスが美しかろうとも、オスカーの敵はカヴァリエーレ・ファミリーなのだ。彼女が、そのファミリーのボスならば、オスカーが見逃す義理はない。
「ですね、それよりも奴らをどうやって逮捕するべきでしょうか?」
オスカーの問いにブルーノは人差し指を上に立てた。
「簡単だ。アル・カポネと同様に脱税容疑で捕まえればいい、最も奴らがキチリと税金を払っていた場合は別だがね」
「その場合は別の手段を考えればいいだけです。それより他に情報は?」
ブルーノは歩道の端にあるレストランへとオスカーを誘う。
「いいや、今は勤務中ですから、ダメですよ」
「大丈夫さ、それにこれはこの人の多い道の真ん中では話せない話なんだよ」
オスカーは逆らっても無駄だと判断したのか、大人しくレストランに入り、ウェイトレスにコーヒーを二人分注文した。
「それで、話というのは?」
「まぁ、メニューを見て見な」
ブルーノはレストラン内にあるメニューを指差す。
「ふむふむ、サウス・スターアイランド製の魚だと!?何故こんなところに!?」
「奴らは、ほんの少し前からサウス・スターアイランドシティーまでものにしておる。そのためか、時々ミス・カヴァリエーレは何人かの護衛と相談役を連れて、姿を消しているな」
「つまりだな、そのサウス・スターアイランドシティーで税をちょろまかしている可能性があるのか?」
その問いにブルーノは同意する素振りを見せた。
「サウス・スターアイランドシティーはアメリカの南部。フロリダに近いところにあるからな、そこでキューバなり、ハバナなりから、金を違法に得ている可能性もある」
「つまり、脱税で捕まえられるという話か……」
「その通りじゃよ、お前さんも随分分かってきたな、それよりもコーヒーは飲んだのか?」
オスカーは話に夢中になり、いつの間にかコーヒーが目の前にある事に気がついた。余程、熱心に喋っていたらしい。
「おっと、忘れてたな、飲み終わったらここを出発しようか」
オスカーはブラックコーヒーを一口口に付けた。苦い。
だが、これはカヴァリエーレ・ファミリーに煮え湯を飲まされてきた自分の苦しみだと感じた。
彼はケーキ屋を営む父親とその店の店員である母親との間に1932年に産まれた。
幼い少年が物心つくときに見たのは、父親が地元のギャングに金を払う姿であった。
彼はギャングなんかに頭を下げる父親を心の底から侮蔑していたし、同時に恥ずかしい存在であるとも感じていた。無論、そんな事は口に出した事はないが……。
やがて、彼は高校を出席で卒業すると同時にマフィアとギャングへの憎悪を胸に勉強し、マサチューセッツ州のハーバード大学へと進学した。
そこでもトップの成績を残し、FBIに入った。FBIに入ると、彼は真っ先にギャングとマフィアの撲滅を進言した。
だが、それは聞き入られなかった。
FBIの上司たちもマフィアやギャングと結び付いていた人間も多かったし、中にはファミリーから、スパイとして送り込まれた人間すらいた。
オスカーはそんな同僚や上司を嫌い、部署を転々としていた。
そして、つい三日ほど前に彼の生まれ育った街ーー彼曰くギャングどもに敬意を払う街。ニューホーランドにマフィア壊滅のための連邦捜査官として派遣された。
オスカーは街に着くと、まず真っ先に賭博の取り締まりに向かったが、そこで内部告発により、情報が漏れたために恥をかくのは彼になってしまった。
彼の自尊心は大きく傷付けられたが、彼は同時に他の警察官に頼る事なくギャングの撲滅を意識するようになった。
そこで、彼は地元の老警官ーーこの街で唯一マフィアからの裏金を受け取っていないブルーノ・イエローと出会い、カヴァリエーレ・ファミリーの撲滅に力を入れる事にした。
「いいか、オスカー。この街の奴らは誰も信用するなよ、奴らはファミリーこそが、この街を守る警察だと考えているからな、そしてドメニコ・カヴァリエーレこそが、この街の守り神だと考えている」
オスカーはドメニコ・カヴァリエーレという言葉を聞いて、全身が痙攣するのを感じた。彼は自分の父親が不甲斐なかった原因であり、同時にこの街の実質的なボスでもあった。この街のかりそめの市長は、ドメニコにより毎年任命されていた。
一時期ルカ・ミラノリア率いるミラノリア・ファミリーが優勢だったと聞いたが、それもすぐに収まり、今や街の全てのことはカヴァリエーレ・ファミリーが指揮しているらしい。
「警察はあるが、それはかりそめだ。実質的な警察は奴らだ。その証拠に一時期話題になったカルト教団を追い出したのは、あいつらさ」
ブルーノは手前の喫茶店でお茶を飲んで笑っている中折れ帽とスーツの男たちを指差す。男たちは怖がられることなく店の一般人のマスターと談笑していたが、その姿はオスカーにとっては不気味に感じられた。
「全く、この街の奴らは誰も彼もマフィアに依存し過ぎだよ、前の政府のギャング撲滅運動を知らないのかと思うくらいだよ」
オスカーは初めてアンドリュー・F・ペギーマン大統領の演説は素晴らしいものであった。アメリカからマフィアやギャングが無くなるなんてこんな素晴らしいニュースはアメリカに住む人のみならず、別の世界の人にも知ってもらうべきだろう。
「アイツらはどうする?」
オスカーは喫茶店で話している男二人を指差す。
「放っておこう。まだ何か犯罪をやらかしたわけではないからな、証拠もないのに逮捕するのはいかんよ」
ブルーノの言葉にオスカーは引き下がるしかない。
「だが、だが……もし、奴らを逮捕できるとしたら?」
「それは、カヴァリエーレ・ファミリーの奴らが全員お縄につく時だろうな、あの美しい女ボスの手に手錠がかかる日だ……」
美しい女ボスか……。オスカーは未だに見た事がない、カヴァリエーレ・ファミリーの若き女ボスの事を考えた。
FBIで写真を見た時は、何故ハリウッドの女優がマフィアのボスが載っている書類の中にいるのだと勘違いしたくらいの美しさだった。
だが、それはそれ。これはこれだ。いかにカヴァリエーレ・ファミリーの女ボスが美しかろうとも、オスカーの敵はカヴァリエーレ・ファミリーなのだ。彼女が、そのファミリーのボスならば、オスカーが見逃す義理はない。
「ですね、それよりも奴らをどうやって逮捕するべきでしょうか?」
オスカーの問いにブルーノは人差し指を上に立てた。
「簡単だ。アル・カポネと同様に脱税容疑で捕まえればいい、最も奴らがキチリと税金を払っていた場合は別だがね」
「その場合は別の手段を考えればいいだけです。それより他に情報は?」
ブルーノは歩道の端にあるレストランへとオスカーを誘う。
「いいや、今は勤務中ですから、ダメですよ」
「大丈夫さ、それにこれはこの人の多い道の真ん中では話せない話なんだよ」
オスカーは逆らっても無駄だと判断したのか、大人しくレストランに入り、ウェイトレスにコーヒーを二人分注文した。
「それで、話というのは?」
「まぁ、メニューを見て見な」
ブルーノはレストラン内にあるメニューを指差す。
「ふむふむ、サウス・スターアイランド製の魚だと!?何故こんなところに!?」
「奴らは、ほんの少し前からサウス・スターアイランドシティーまでものにしておる。そのためか、時々ミス・カヴァリエーレは何人かの護衛と相談役を連れて、姿を消しているな」
「つまりだな、そのサウス・スターアイランドシティーで税をちょろまかしている可能性があるのか?」
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「サウス・スターアイランドシティーはアメリカの南部。フロリダに近いところにあるからな、そこでキューバなり、ハバナなりから、金を違法に得ている可能性もある」
「つまり、脱税で捕まえられるという話か……」
「その通りじゃよ、お前さんも随分分かってきたな、それよりもコーヒーは飲んだのか?」
オスカーは話に夢中になり、いつの間にかコーヒーが目の前にある事に気がついた。余程、熱心に喋っていたらしい。
「おっと、忘れてたな、飲み終わったらここを出発しようか」
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