女王陛下と護衛兵たちの日々〜ワガママ女王陛下の騎士たちは王国の独立を夢見る

アンジェロ岩井

文字の大きさ
127 / 133
第三部 トゥー・ワールド・ウォーズ

二大国大戦ーその13

しおりを挟む
エドワードは自分の狼の姿を見て絶望の表情を浮かべているヴィトを見て余裕の表情を浮かべていたが、次にこのままでは面白くないという感情に辿り着く。
(このまま、あの男の息の根を止めてやってもいいのだが、余からすれば、それは面白くないのだ。奴には痛い思いをしてもらわねば、余がこの姿になった甲斐がないわッ!)
エドワードは地面なら、存分に力を振るえるなと考え、船室で船を操縦している操舵手に大声で指示を出す。
「おい、これから余は地面に落ちるから、お前たちは船を上空に待機させておけッ!余とヴィトとは決着をつける必要があるのだッ!」
エドワードの言葉に了承する言葉が船室から飛んでくる。
「だ、そうだ……ここで賭けといかんか?」
ヴィトはエドワードの「賭け」という言葉に目を細める。
「何を言いたいんだ?」
「ふふふ、簡単な賭けの事だよ、これから先余とお前は地上に降り、戦うのだ。無論、余の姿はこのまま、貴様はハンデとして拳銃を使う事を許してやろう」
エドワードの視線をヴィトが拳銃を潜ませている懐に向ける。
「これはお前らの兵士が使う拳銃とは違うんだぜ」
ヴィトは苛立ちを抑えながら、エドワードに説明してやる。
「ふふふだからだよ、お前の拳銃は余の兵士たちが使う拳銃とは違い、何発も撃てるのだろ?だから、ハンデなのだ……」
「このまま、テメェの心臓を撃ち抜いてやってもいいんだぜ」
ヴィトは狼と化したエドワード急所とも思える額に拳銃を向ける。
「それで撃ち抜く気なのか?弾は大事に使った方がいいと思うのだがな」
「オレが使いたいと思うから、使うんだぜッ!」
ヴィトはそう言うと、拳銃を発砲した。エドワードはその弾を喰らい倒れた。
と、思われたのだが、彼の額は鉄板以上の硬さを誇っており、彼の額は銃弾を簡単に弾いたのだった。
「ふん、だから言っただろ?使とな……」
エドワードの言葉にヴィトは今更ながらに言葉の意味を理解した自分を呪いたくなる。
「いいだろう……やってやるさッ!」
ヴィトはエドワードに向かって叫ぶ。
「よし、来たなッ!その言葉を待っていたのだよッ!」
エドワードはそう叫ぶとともに、船の柵を壊し、船から飛び降りる。
最初、ヴィトはエドワードが転落死するのかと考えたが、エドワードは難なく地面に着地した。
「やれやれ、オレはとんでもない奴を相手にしちまったようだ」
ヴィトは覚悟を決めて、浮遊魔法スカイアップ・マジックを唱えた後に、飛行艇から飛び降りる。

ヴィトはエドワードが飛び降りた森の中で、エドワードの変身する巨大狼と対峙する。
「ここなら、誰にも邪魔されんな、お前とオレで本当に最後の決戦を着けられる……」
ヴィトの言葉にエドワードは答えるように、足に付いている長いサーベルのような爪でヴィトに襲い掛かる。
「くっ……」
ヴィトはエドワードの爪を剣で防ぎ、次に軽くジャンプした後に、エドワードの爪の付いた手を弾き飛ばし、次にエドワードの額に斬りかかろうとする。
「だから、お前は甘いのだッ!」
エドワードはそう叫んだ後に、口を閉じ、全身の牙で、ヴィトの剣を防ぐ。
「硬い歯だな、お前のサーベルのようだ」
「かもしれんな、この牙には余サーベルが使われているかもしれんなッ!」
エドワードは冗談を叫ぶのと同時に、口を開けヴィトを飲み込もうとする。
ヴィトは咄嗟に足を空中に蹴り、勢いをつけた事により最悪の事態を逃れたが、それでも、エドワードは諦めきれないとばかりに、再度噛み付こうとする。
ヴィトはとにかく後ろに下がった。そうする事で、エドワードの噛みつきから逃れようと試みたのだ。
案の定、ヴィトの作戦は功を奏した。エドワードが自分に噛み付こうとする度に、ヴィトが後ろに下がり、食べられずに或いは噛み砕かれずに済んだのだ。
「ふふふふ、中々やるじゃあないか、王国最強の名はお前に相応しいな……だがッ!」
エドワードは今度は、噛み付く攻撃と同時に左手で引っかこうとする。
「ウォォォォォォ~~!!!」
ヴィトは全てを避けるという決意のもとに、地面の方に降りていったのだが、運の悪い事に引っ掻く攻撃の方が早かった。
ヴィトは剣で爪を弾き、急いで地面に降りる。
「ハァハァ……危なかったよ、あの野郎め……意外と攻撃が素早いじゃあないか、クソッタレめ、オレはどうすればいい」
ヴィトは自らのグーの腕で頬に付いた汚れを取り、エドワードに憎悪の目を向ける。
「お前の攻撃は無駄な事の繰り返しだな、ヴィト……お前もそろそろ降参したらどうだ?」
エドワードの言葉にヴィトは拳を握り締めた手で叫ぶように返す。
「言ったはずだぜッ!オレは降参する事だけは、絶対にしないとなッ!」
ヴィトは剣を握り締め、巨大な狼に立ち向かう。
「ふん、虫けらが無駄な動きを……」
エドワードはまたあの巨大な手で襲い掛かる。
「うりゃあ !」
ヴィトは自らの剣を上空に振り上げ、巨大な手を反対に攻撃する。
(ふっ……やはり重いよ、おれには確かに敵わない相手なのかもしれんな、でも……でも……おれはやってやるさッ!二人の女王陛下を守る騎士としての務めを果たしてやるッ!)
その時だった。ヴィトの周りを眩いばかりの閃光が包んだのだ。黄金色の優しく、それでいて気高い光であった。
(そうか……もしかしたら、おれに今まで付き合ってくれていた光は、もしかしたら、防御に転じていたから、弱いままだったのかもしれない、もし、これを全て外に放出すれば……?)
ヴィトはそう考えた瞬間に行動に移す。
「ウォォォォォォ~~!エドワードめッ!コイツでも喰らいなッ!」
ヴィトの剣から黄金の光がエドワードの手に当たる。
そして次の瞬間には。
「ウグォォォォォォォォォォォォォォォォォォ~~!!!」
エドワードはこれまで聞いたこともない悲鳴を上げていた。
痛みからか、エドワードはヴィトを弾き飛ばした。
「うっ……」
ヴィトは近くに木にあたり、負傷したのだが、それ以上に負傷していたのは、エドワードの方だった。
しおりを挟む
感想 41

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

勇者の血を継ぐ者

エコマスク
ファンタジー
リリア本人曰く 「え? えぇ、確かに私は勇者の血を継ぐ家系よ。だけど、本家でもないし、特別な能力も無いし、あんまり自覚もないし、だいたい勇者って結構子孫を残しているんだから全部が全部能力者なんてありえないでしょ?今では酒場では勇者を名乗る人同士が殴り合いしてるって始末じゃない、私にとっては大した意味の無い事かなぁ」 伝説の勇者が魔王を倒したとされる年から百年経ち、大陸の片隅では 勇者の子孫として生まれただけで勇者らしい能力を全く引き継がなかった娘が、 王国から適当に国認定勇者に指定され、 これから勇者っぽい事を始めようとしていた…

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

戦国鍛冶屋のスローライフ!?

山田村
ファンタジー
延徳元年――織田信長が生まれる45年前。 神様の手違いで、俺は鹿島の佐田村、鍛冶屋の矢五郎の次男として転生した。 生まれた時から、鍛冶の神・天目一箇神の手を授かっていたらしい。 直道、6歳。 近くの道場で、剣友となる朝孝(後の塚原卜伝)と出会う。 その後、小田原へ。 北条家をはじめ、いろんな人と知り合い、 たくさんのものを作った。 仕事? したくない。 でも、趣味と食欲のためなら、 人生、悪くない。

異世界で穴掘ってます!

KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

僕に仕えるメイドは世界最強の英雄です1~またクビになったけど、親代わりのメイドが慰めてくれるので悲しくなんてない!!~

あきくん☆ひろくん
ファンタジー
仕事を失い、居場所をなくした青年。 彼に仕えるのは――世界を救った英雄たちだった。 剣も魔法も得意ではない主人公は、 最強のメイドたちに守られながら生きている。 だが彼自身は、 「守られるだけの存在」でいることを良しとしなかった。 自分にできることは何か。 この世界で、どう生きていくべきか。 最強の力を持つ者たちと、 何者でもない一人の青年。 その主従関係は、やがて世界の歪みと過去へと繋がっていく。 本作は、 圧倒的な安心感のある日常パートと、 必要なときには本格的に描かれる戦い、 そして「守られる側の成長」を軸にした 完結済み長編ファンタジーです。 シリーズ作品の一編ですが、本作単体でもお楽しみいただけます。 最後まで安心して、一気読みしていただければ幸いです。

処理中です...