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5.十円くらい
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担任から住所を聞いて訪れた一之宮の自宅は、驚くことに俺が住むアパートの近所だった。古い住宅やアパートが密集している地域で、駅からも遠く街並みも古いかわりに家賃が安い。
その中でもひときわ古ぼけたアパートが一之宮の自宅だった。
築四十年は軽く過ぎているだろう。クリーム色の壁の塗装はところどころ剥げ、雨樋が微妙な角度で傾いている。あまり入居者はいないのか、ガラス越しに室内が丸見えな部屋が半分以上ある。もう半分はベランダがゴミ袋が溢れていたり、よくわからない段ボールやスチールラックが置かれていたり、夕方なのにベージュ色の股引がいくつも風に靡いていたり……とにかく明るい生活感は皆無だった。
建物の北側に回り、ところどころ錆の浮いた金属の階段の下で腕時計を見る。午後六時前。勢いに任せてきてしまったが、どう切り出したらいいのだろう。いきなり訪ねて行っても保護者と会える保証はない。一之宮自身だって、自宅にいるかどうかわからないのだ。
しかも担任ならまだしも、養護教諭が家庭訪問なんて聞いたことがない。やはり無理を言ってでも担任も連れてくるべきだったか。
そんなことを悶々と考えているとき、二階の一番奥の部屋のドアが開いた。中から白いTシャツ姿の青年が出てくる。一之宮だった。
彼はすぐに俺に気が付いた。一瞬顔を顰めたが、すぐに真顔に戻って階段を降りてくる。
「どうして先生がこんなとこにいるんですか」
「あの、一之宮に話があって」
「それは学校じゃだめなんですか? 担任でもないのに、わざわざ家まで来るなんて」
「……ごめん」
その通りだ。がっくりと視線を下げた俺を見て、一之宮は大きなため息をついた。
「明日は学校に行きますから、だから今日のところは」
そう一之宮が言いかけたとき、アパートの二階の部屋のドアがバン、と大きな音を立てて開いた。はっとして見上げると、さっき一之宮が出てきた部屋から、今度は中年の男が出てきたところだった。
中年男は階段に下で向かい合う俺と一之宮を目に止めると、にやりと笑いながら階段を降りてくる。
「なんだこの女? 颯真、お前の女か?」
――お、おんなぁ⁉
と憤慨しかけた俺だったが、男の様子を見て口を噤んだ。
階段を降りてくる中年の男は、夕方も早いこんな時間から酒を呑んでいるのか赤ら顔で、身体もふらふら揺れている。まともな人間には見えない。
しかもこの男は一之宮と同じ部屋から出てきた。ということは身内か。ちらりと一之宮の顔を伺っても、彼は苦虫をつぶしたような顔で黙り込んでいる。
中年男は俺たちの前まで来ると、顔を近づけてきた。
「ん? なんだ男かよ。ふーん。まあでもキレイなツラしてんな」
薄笑いをしながらじろじろと凝視してくる。一体なんなんだ。
あまりの居心地の悪さに半歩後ろに下がったとき、一之宮が俺の腕をぐっと掴んだ。
「え、一之宮?」
俺の腕を引っ張ったまま、一之宮は無言で階段を上り始める。
背後から中年男の声がかかった。
「おい颯真! 生活費入れとけよ? バイト代出たんだろ!」
聞こえているはずなのに、一之宮は足を止めることも返事することもない。
「おい、聞いてんのか! てめえふざけんなよ!」
階段の下から中年男が怒鳴る。一之宮は男の言葉を無視して部屋の前まで来ると、ポケットから鍵を取り出し玄関のドアを開けた。
「入ってください」
彼は狭い玄関の中に俺を押し込んで、玄関のカギとキーチェーンをかける。
男はしばらくのあいだ叫んでいたが、やがて諦めて去って行ったのか表は静かになった。ほっと息をついたとき、一之宮がやっと口を開いた。
「あの人、父親なんです。すみませんでした」
「え」
あれが父親。なんと言ったらいいかわからなかった。どんな言葉をかけても彼を傷つけてしまいそうで、俺は「そうか」と頷くことしか出来なかった。
「ちょっとここで待っててもらえますか。中、片してくるんで」
「ああ、うん、それはもちろん」
一之宮は静かに部屋に上がると、正面のすりガラスの引き戸の向こうへと消えていった。カランカランと缶がぶつかる音がする。何かを片付けているのだろう。
寂しい部屋だった。玄関のすぐ左脇に小さなステンレスのキッチンが付いていたが、あまり使われた様子もなく物置になっていた。部屋の中は酒とたばこの臭いがこもり、古い冷蔵庫が唸りを上げる音だけが響く。
しばらく待っていると、一之宮が戻ってきた。
「どうぞ」
案内されたのはすりガラスの引き戸の向こうの六畳ほどの和室だった。部屋の真ん中にちゃぶ台のような古い木のテーブルが置いてある。
勧められた座布団の上に座ると、一之宮が疲れたように話し始めた。
「なんで金が必要か、よくわかったでしょう。親父はあんなんなので、うちは生活保護受けてます。他に親戚も頼れる人もいないし、俺が稼がなかったらどうにもならないんですよ。それが例え親父の酒代で消えても、俺たち家族はそうやってしか生きていけない」
一之宮の言葉に納得しかけたが、ふと頭の中に疑問がわいてきた。
生活保護を受けている場合、例え高校生だとしても所得に制限があるはずだ。制限を超えた分は生活保護費から減額される。稼いだ金をそのまま懐に入れることは出来ない。
だから一之宮が、学校生活を疎かにするほどにバイトをしているということ自体おかしなことなのだ。
「なあ一之宮、バイト代の申請ってちゃんとケースワーカーさんにしてる?」
俺の言葉に、一之宮の肩が強張ったのが見えた。おそらく質問の答えは『否』ということなのだろう。思わずはあとため息が出た。
「わかっていると思うけど、バイト代はきちんと申請しないと駄目で……」
「もうそんなことはいいんです。俺、高校辞めて働こうと思ってるので」
「辞める?」
驚いて問うと、一之宮は頷いた。
「他人に施しを貰って肩身の狭い思いはしたくないんです。自分で稼いだ金で生きたい。それに俺が働けばもっと金が手に入る。今バイトしてるところで、そのまま雇ってくれるって言われたんです」
「今バイトしてるところって……。夜の仕事だろ? お前、本当にそこで働きたいのか?」
「それは」
一之宮はぐっと唇を噛んで黙り込む。
「そうじゃないんだろう? だったらどうして今学校を辞めてまで働く必要があるんだ?」
「先生の言いたいことはわかりますよ。だけど俺が自分で決めたことなんで」
その言い方にカチンときた。
「自分で決めたことって、お前はまだ子供なんだよ。きちんとした判断が出来るとは思えない。今学校を辞めたら後戻りはできないんだぞ。それにお前がもっと金を稼いだって、父親は崩れてくだけだ。そうやってお前が必死に尽くしても、お前の父親は変わらないし行動を改めないよ」
「そんなこと……」
一之宮はしばらく虚をつかれたような顔をしていたが、突然激昂したように顔を歪めませた。
「なんでそんなことが言えるんだ! 他人に何がわかる!」
だんっと拳をテーブルに叩きつけると、一之宮は立ち上がった。顔が怒りで歪んでいる。
「帰ってください」
一之宮が俺の腕を掴み、無理やり立たせると玄関まで引っ張っていく。俺はなすすべもないまま、玄関扉の外へと押し出された。
バタンと音を立てて扉が閉まる。
――ああ、やってしまった。
後悔がみるみるうちに膨らんでいく。つい私情が入った言い過ぎてしまった。でも後悔しても遅い。
しばらく待ってみたが、もう一度ドアが開くことはなかった。仕方なく階段を降り、とぼとぼと住宅街と歩き出す。
夕方の古い町並みに西日が差していた。どこからともなく夕飯の良い匂いが漂ってくる。
俺はこの夕方の匂いが大嫌いだった。望んでも手に入れることが出来なかった温かい家庭というものを目の前に突き付けられるみたいで、こみ上げてくる怒りと寂しさをどこにぶつけたらいいかわからなくなる。俺もまた、一之宮と同じで持たざる側の人間だった。
ふと一之宮に初めて会ったときのことを思い出した。
俺が自販機の前で小銭をばら撒いてしまって、一之宮が拾ってくれた。そして十円足りないと言った俺に、彼はこう返したのだった。
『十円くらいいいじゃないですか』
俺はその言葉に、金を大切にしない奴だと思ってしまった。だがそれは間違っていた。
彼は学生の身でありながら、懸命に働いて父親を支えていたのだ。遊びたい盛りだろうにやりたいことを我慢してバイトし、でもその金も父親の酒代やパチンコ代に消えていく。『十円くらい』たいしたことはないと感覚を麻痺させなければ、彼はやってこれなかったのだろう。
学校を辞めることについても、一之宮は自分の意志で決めたと言っていた。自分の金で生きれるようになりたいとも。でもそれは本当の一ノ宮の意志じゃない。
ああいう家庭で育った子供は、親に対して何かを差し出すことこそが自分の存在意義だと思っているのだ。そうしないと親の関心が自分に向かないことを知っているので、自分の身を削ってでも差し出そうとする。その考えが普通じゃないことに気づかない。そしてすべてを失ってようやく、間違っていたことに気づくのだ。
やりきれなかった。
出来るならあの父親を殴りつけて説教したやりたい。でも一之宮が必死に守ってきた『家族』だ。『家』だ。他人の俺が口を出せることじゃないのもわかっている。
それでも――。
俺はぐっと拳を握り、暮れていく空をいつまでも眺めた。
その中でもひときわ古ぼけたアパートが一之宮の自宅だった。
築四十年は軽く過ぎているだろう。クリーム色の壁の塗装はところどころ剥げ、雨樋が微妙な角度で傾いている。あまり入居者はいないのか、ガラス越しに室内が丸見えな部屋が半分以上ある。もう半分はベランダがゴミ袋が溢れていたり、よくわからない段ボールやスチールラックが置かれていたり、夕方なのにベージュ色の股引がいくつも風に靡いていたり……とにかく明るい生活感は皆無だった。
建物の北側に回り、ところどころ錆の浮いた金属の階段の下で腕時計を見る。午後六時前。勢いに任せてきてしまったが、どう切り出したらいいのだろう。いきなり訪ねて行っても保護者と会える保証はない。一之宮自身だって、自宅にいるかどうかわからないのだ。
しかも担任ならまだしも、養護教諭が家庭訪問なんて聞いたことがない。やはり無理を言ってでも担任も連れてくるべきだったか。
そんなことを悶々と考えているとき、二階の一番奥の部屋のドアが開いた。中から白いTシャツ姿の青年が出てくる。一之宮だった。
彼はすぐに俺に気が付いた。一瞬顔を顰めたが、すぐに真顔に戻って階段を降りてくる。
「どうして先生がこんなとこにいるんですか」
「あの、一之宮に話があって」
「それは学校じゃだめなんですか? 担任でもないのに、わざわざ家まで来るなんて」
「……ごめん」
その通りだ。がっくりと視線を下げた俺を見て、一之宮は大きなため息をついた。
「明日は学校に行きますから、だから今日のところは」
そう一之宮が言いかけたとき、アパートの二階の部屋のドアがバン、と大きな音を立てて開いた。はっとして見上げると、さっき一之宮が出てきた部屋から、今度は中年の男が出てきたところだった。
中年男は階段に下で向かい合う俺と一之宮を目に止めると、にやりと笑いながら階段を降りてくる。
「なんだこの女? 颯真、お前の女か?」
――お、おんなぁ⁉
と憤慨しかけた俺だったが、男の様子を見て口を噤んだ。
階段を降りてくる中年の男は、夕方も早いこんな時間から酒を呑んでいるのか赤ら顔で、身体もふらふら揺れている。まともな人間には見えない。
しかもこの男は一之宮と同じ部屋から出てきた。ということは身内か。ちらりと一之宮の顔を伺っても、彼は苦虫をつぶしたような顔で黙り込んでいる。
中年男は俺たちの前まで来ると、顔を近づけてきた。
「ん? なんだ男かよ。ふーん。まあでもキレイなツラしてんな」
薄笑いをしながらじろじろと凝視してくる。一体なんなんだ。
あまりの居心地の悪さに半歩後ろに下がったとき、一之宮が俺の腕をぐっと掴んだ。
「え、一之宮?」
俺の腕を引っ張ったまま、一之宮は無言で階段を上り始める。
背後から中年男の声がかかった。
「おい颯真! 生活費入れとけよ? バイト代出たんだろ!」
聞こえているはずなのに、一之宮は足を止めることも返事することもない。
「おい、聞いてんのか! てめえふざけんなよ!」
階段の下から中年男が怒鳴る。一之宮は男の言葉を無視して部屋の前まで来ると、ポケットから鍵を取り出し玄関のドアを開けた。
「入ってください」
彼は狭い玄関の中に俺を押し込んで、玄関のカギとキーチェーンをかける。
男はしばらくのあいだ叫んでいたが、やがて諦めて去って行ったのか表は静かになった。ほっと息をついたとき、一之宮がやっと口を開いた。
「あの人、父親なんです。すみませんでした」
「え」
あれが父親。なんと言ったらいいかわからなかった。どんな言葉をかけても彼を傷つけてしまいそうで、俺は「そうか」と頷くことしか出来なかった。
「ちょっとここで待っててもらえますか。中、片してくるんで」
「ああ、うん、それはもちろん」
一之宮は静かに部屋に上がると、正面のすりガラスの引き戸の向こうへと消えていった。カランカランと缶がぶつかる音がする。何かを片付けているのだろう。
寂しい部屋だった。玄関のすぐ左脇に小さなステンレスのキッチンが付いていたが、あまり使われた様子もなく物置になっていた。部屋の中は酒とたばこの臭いがこもり、古い冷蔵庫が唸りを上げる音だけが響く。
しばらく待っていると、一之宮が戻ってきた。
「どうぞ」
案内されたのはすりガラスの引き戸の向こうの六畳ほどの和室だった。部屋の真ん中にちゃぶ台のような古い木のテーブルが置いてある。
勧められた座布団の上に座ると、一之宮が疲れたように話し始めた。
「なんで金が必要か、よくわかったでしょう。親父はあんなんなので、うちは生活保護受けてます。他に親戚も頼れる人もいないし、俺が稼がなかったらどうにもならないんですよ。それが例え親父の酒代で消えても、俺たち家族はそうやってしか生きていけない」
一之宮の言葉に納得しかけたが、ふと頭の中に疑問がわいてきた。
生活保護を受けている場合、例え高校生だとしても所得に制限があるはずだ。制限を超えた分は生活保護費から減額される。稼いだ金をそのまま懐に入れることは出来ない。
だから一之宮が、学校生活を疎かにするほどにバイトをしているということ自体おかしなことなのだ。
「なあ一之宮、バイト代の申請ってちゃんとケースワーカーさんにしてる?」
俺の言葉に、一之宮の肩が強張ったのが見えた。おそらく質問の答えは『否』ということなのだろう。思わずはあとため息が出た。
「わかっていると思うけど、バイト代はきちんと申請しないと駄目で……」
「もうそんなことはいいんです。俺、高校辞めて働こうと思ってるので」
「辞める?」
驚いて問うと、一之宮は頷いた。
「他人に施しを貰って肩身の狭い思いはしたくないんです。自分で稼いだ金で生きたい。それに俺が働けばもっと金が手に入る。今バイトしてるところで、そのまま雇ってくれるって言われたんです」
「今バイトしてるところって……。夜の仕事だろ? お前、本当にそこで働きたいのか?」
「それは」
一之宮はぐっと唇を噛んで黙り込む。
「そうじゃないんだろう? だったらどうして今学校を辞めてまで働く必要があるんだ?」
「先生の言いたいことはわかりますよ。だけど俺が自分で決めたことなんで」
その言い方にカチンときた。
「自分で決めたことって、お前はまだ子供なんだよ。きちんとした判断が出来るとは思えない。今学校を辞めたら後戻りはできないんだぞ。それにお前がもっと金を稼いだって、父親は崩れてくだけだ。そうやってお前が必死に尽くしても、お前の父親は変わらないし行動を改めないよ」
「そんなこと……」
一之宮はしばらく虚をつかれたような顔をしていたが、突然激昂したように顔を歪めませた。
「なんでそんなことが言えるんだ! 他人に何がわかる!」
だんっと拳をテーブルに叩きつけると、一之宮は立ち上がった。顔が怒りで歪んでいる。
「帰ってください」
一之宮が俺の腕を掴み、無理やり立たせると玄関まで引っ張っていく。俺はなすすべもないまま、玄関扉の外へと押し出された。
バタンと音を立てて扉が閉まる。
――ああ、やってしまった。
後悔がみるみるうちに膨らんでいく。つい私情が入った言い過ぎてしまった。でも後悔しても遅い。
しばらく待ってみたが、もう一度ドアが開くことはなかった。仕方なく階段を降り、とぼとぼと住宅街と歩き出す。
夕方の古い町並みに西日が差していた。どこからともなく夕飯の良い匂いが漂ってくる。
俺はこの夕方の匂いが大嫌いだった。望んでも手に入れることが出来なかった温かい家庭というものを目の前に突き付けられるみたいで、こみ上げてくる怒りと寂しさをどこにぶつけたらいいかわからなくなる。俺もまた、一之宮と同じで持たざる側の人間だった。
ふと一之宮に初めて会ったときのことを思い出した。
俺が自販機の前で小銭をばら撒いてしまって、一之宮が拾ってくれた。そして十円足りないと言った俺に、彼はこう返したのだった。
『十円くらいいいじゃないですか』
俺はその言葉に、金を大切にしない奴だと思ってしまった。だがそれは間違っていた。
彼は学生の身でありながら、懸命に働いて父親を支えていたのだ。遊びたい盛りだろうにやりたいことを我慢してバイトし、でもその金も父親の酒代やパチンコ代に消えていく。『十円くらい』たいしたことはないと感覚を麻痺させなければ、彼はやってこれなかったのだろう。
学校を辞めることについても、一之宮は自分の意志で決めたと言っていた。自分の金で生きれるようになりたいとも。でもそれは本当の一ノ宮の意志じゃない。
ああいう家庭で育った子供は、親に対して何かを差し出すことこそが自分の存在意義だと思っているのだ。そうしないと親の関心が自分に向かないことを知っているので、自分の身を削ってでも差し出そうとする。その考えが普通じゃないことに気づかない。そしてすべてを失ってようやく、間違っていたことに気づくのだ。
やりきれなかった。
出来るならあの父親を殴りつけて説教したやりたい。でも一之宮が必死に守ってきた『家族』だ。『家』だ。他人の俺が口を出せることじゃないのもわかっている。
それでも――。
俺はぐっと拳を握り、暮れていく空をいつまでも眺めた。
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