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21.番
①
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オースティンの自室を出て、リオンはクレイドと共に自室へと戻ってきた。
部屋の前には護衛の兵の姿もなく、廊下もしんと静まり返っている。部屋の中も真っ暗だった。
「今ランプを付けます」
クレイドが部屋の中央のテーブルへと歩いていく。獣人のクレイドは夜目が効く。手際よくランプに火が灯され、部屋の中がオレンジ色の光で満たされた。
(……なんか変な感じだな)
この部屋を出たのはつい数時間前のことなのに、何か月も時間が経ったかのように思えた。
あれほど悲愴な決意したのに結局オースティンと番の契りを結ぶことはなくて、クレイドと想いが通じ合った。そして自分がノルツブルクの王家の血を引いているという出生の秘密を知った。
予想しなかったことばかりで、今でも感情をどう処理したらよいかわからないことだらけだ。傷つけてしまったオースティンのことや、これから起こると予想されること、選択しなければならない岐路を考えると胸が重くなる。
だけど今だけは……素直に感じたい喜びも、噛み締めたい幸せもある。
「クレイド……」
リオンはクレイドの側に寄って、そっと抱き着いた。クレイドは一瞬驚いたように固まったが、おずおずとリオンの背中に手を回して抱きしめ返してくれる。
途端に言葉に言い表せないような甘さが胸に広がった。触れ合ったところから溶けてしまいそうで、心臓が騒めく。
「なんか……こうしているのが信じらないよ」
「俺もです。あなたが俺の腕の中にいるだなんて……信じられない。あなたを諦めるなんて出来るわけがないのに……」
クレイドが抱きしめる腕から力を抜き、顔を寄せてくる。
「あ……」
瞼を閉じると、優しく優しく、羽が触れるような口づけが落ちた。
大事にされているということが伝わってくるキスに、胸がぎゅっと締め付けられた。
(ああ、クレイドとキス、してる……)
思いが通じると、唇を重ねるだけでこれほど幸せな気持ちになれるのか。クレイドが自分を好いていてくれて、想いが通じるなんて夢のようだ。
クレイドの唇は何度も優しくリオンの唇をついばみ離れていく。閉じていた目を開き陶然と見つめ合っていると、クレイドが小さな声で言った。
「リオン様……契りを結びませんか?」
「契り?」
そういえばさっきオースティンがそんなことを言っていたのを思い出す。
「契りって、オメガと獣人でも結べるものなの?」
「ええ、オメガとアルファのように一生涯続くものではありませんが、短期間であれば可能です。獣人もアルファに似たフェロモンが放出できると言われています。俺は半獣なのでおそらく数日ほどの効果しかありませんが」
「そう、なんだ……」
話を聞きながら、クレイドの胸の中でつい俯いてしまった。恥ずかしくてしょうがないのだ。
契りを結ぶというのは、おそらく『そういうこと』なのだろう。クレイドと性行為をして、うなじを噛んでもらうという――。
「……嫌ですか?」
クレイドのその言葉にリオンははっと顔を上げた。目の前のクレイドは少しだけ不安そうな顔をしている。
「ち……違う!」
慌てて首を振った。
「恥ずかしくなっただけで……。だって、その、僕の身体の中に、クレイドの……その、こ、子種を……貰うんだよね? 全然嫌じゃないし……むしろ嬉しいんだけど……」
「リオン様……」
クレイドがぐうっと奇妙な音を出して喉を鳴らした。
「えっ、どうしたの? クレイド?」
ぎりぎりと奥歯を噛み締めたクレイドは、奇妙な顔をしていた。耳のところがほのかに赤い。
「そんな顔でそんなことを言うなんて……卑怯です」
「えっ」
自分の発言の何がそんなに卑怯なのかはわからないが、どうやらクレイドの気に障ってしまったらしい。
「あの……ごめんね?」
そっと見上げながら言うと、クレイドがまたぐうっと喉を鳴らす。クレイドはリオンから手を離すと、後ろを向き口を手のひらで覆いながら、天を仰いだ。そして大きく深呼吸を繰り返している。
「クレイド……? 大丈夫?」
常にない様子に、心配になってしまったが……。
「すみません……あなたが可愛すぎて乱心してしまいました」
「えっ、可愛い!?」
そんなことを言われたことがなかったので、心底驚いてしまった。目を丸くしているリオンをちらりと見て、クレイドは「無自覚だから始末が悪い……」などと呟いている。
(……なんか新鮮だな)
クレイドが『可愛い』などという言葉を素直に気持ちを口にする人だとは思っていなかったのだ。どちらかと言えば疎い方だと思っていただけに意外だ。
(きっと知らない部分がたくさんあるんだよね)
それを今から知っていけるというのが、嬉しい。いろんなクレイドの顔が知りたいと、つい欲張りになってしまいそうだ。
「話は戻りますがリオン様」
ようやく落ち着いた様子のクレイドが、仕切り直しのように口を開いた。
「俺はあなたと今すぐにでも契りを結びたいと考えています」
クレイドは真正面からリオンの目を見ながら言う。一瞬声が出なかった。
「え、あ、う、い、い、今?」
「はい、今です」
「えっ、でも、そんなにいきなり……」
動揺してうろうろと視線を彷徨わせていると、クレイドの両手がリオンの頬を包み、じっと覗き込んでくる。
「あなたを他の誰かに奪われはしないかと気が気ではないのです。あなたを俺のものにしたい。番になりたい。お願いです」
「クレイド……」
見つめてくる灰色の瞳は、真摯で切実なまっすぐさがあった。
一心に求められて胸がかき乱される。
リオンはクレイドが初恋だし、そのクレイドと想いが通じ合ったばかりで恋人としての振る舞いも全然わからないけど、番の契りを結ぶのはクレイド以外考えられない。
リオンはこくんと頷いた。
「うん、僕もクレイドと番になりたい……。あなたのものになりたい」
「リオン様……」
クレイドが目を見開き、そして心底嬉しそうに細める。
次の瞬間、ふわりとリオンの身体が浮き上がった。
「あっ、な、何?」
クレイドがいきなりリオンを横抱きにしたのだ。
クレイドはそのまま足早に寝室まで歩いていき、寝台の上にリオンをそっと下した。リオンを寝台に腰かけさせておいて、クレイドはリオンの足音にしゃがみ込む。そして懐から何かを取り出した。
「リオン様、これを飲んでください」
差し出されたのは、小さなガラス瓶だった。さっきドニから渡されたものだ。
「これは何?」
「ブルーメ用の発情促進剤です」
発情促進剤。その言葉に身体がぞわりとした。クレイドに目を向けると、クレイドは真剣な目で見返してくる。
クレイドが真剣なのは理解できたが、発情促進剤には抵抗があるし怖いと思ってしまう。
「これは……飲まなくちゃだめ?」
「あれから時間が経っているので、発情状態が落ちついています。きちんと発情した状態の方が、契りを結べる確率が上がります」
「でも……これを飲んだら……僕きっと、発情期のときみたいにわけがわかなくなっちゃうよ。そんな姿クレイドに見られたくない」
「大丈夫です。あなたのすべてを受け止めます」
力強い声と、ひたむきに見つめてくれるまっすぐな瞳にはっとした。
そうだ。今から契りを結ぶのはクレイドだ。心から愛して信頼する人だ。
(そうだよ……怖いわけないじゃないか)
「……わかった」
リオンは頷き、ガラスの小瓶に口を付けた。とろりと甘い液体が喉を滑り落ち、胃に辿り着いた瞬間、ぽっと身体が熱くなってくる。
自分の身体から、甘いオメガのフェロモンが立ち昇り始めたのを感じた。
「リオン様……ああ……たまらない匂いだ」
目の前の灰色の瞳が収縮し、クレイドがうっとりと囁いた。
「クレイドはアルファじゃないのに匂いがわかるの?」
「ええ、わかりますよ……。獣人にも発情期がありますから、ブルーメの匂いに反応します。以前リオン様が発情期になったときには、俺も発情しそうになって困りました。自分を抑えるのに相当苦労しましたから」
「え? そうだったんだ?」
そう言われて驚いてしまった。あのときクレイドはそんな状態になっていたとは全然わからなかった。
嬉しくてまた体温が一気に上がってしまう。じわりじわりと下腹のあたりが熱くなってきた。
「リオン様……ようやくこの手で触れることが出来る」
クレイドが甘く微笑み、指を伸ばしてくる。彼の指が頬をそっと撫でた瞬間、身体が沸騰するように熱くなった。ぶわりとオメガのフェロモンが放出され、頭の奥から甘く痺れていく。
「……ぁ……っ」
まるでクレイドが触れたところから放射状に快感が走っていくようだった。その強烈な感覚にリオンは身悶えした。はあ、はあと荒い息が唇から漏れてしまう。
「クレイド……」
目の前の男に触って欲しい。
この男のものになりたい。
その衝動のまま、リオンはクレイドに向かって両手を伸ばした。
「クレイド……おねがい……きて……」
その瞬間、クレイドの瞳の中で情欲の燃え上がるのがはっきり見えた。
「リオン様――」
リオンは寝台にゆっくりと押し倒された。
部屋の前には護衛の兵の姿もなく、廊下もしんと静まり返っている。部屋の中も真っ暗だった。
「今ランプを付けます」
クレイドが部屋の中央のテーブルへと歩いていく。獣人のクレイドは夜目が効く。手際よくランプに火が灯され、部屋の中がオレンジ色の光で満たされた。
(……なんか変な感じだな)
この部屋を出たのはつい数時間前のことなのに、何か月も時間が経ったかのように思えた。
あれほど悲愴な決意したのに結局オースティンと番の契りを結ぶことはなくて、クレイドと想いが通じ合った。そして自分がノルツブルクの王家の血を引いているという出生の秘密を知った。
予想しなかったことばかりで、今でも感情をどう処理したらよいかわからないことだらけだ。傷つけてしまったオースティンのことや、これから起こると予想されること、選択しなければならない岐路を考えると胸が重くなる。
だけど今だけは……素直に感じたい喜びも、噛み締めたい幸せもある。
「クレイド……」
リオンはクレイドの側に寄って、そっと抱き着いた。クレイドは一瞬驚いたように固まったが、おずおずとリオンの背中に手を回して抱きしめ返してくれる。
途端に言葉に言い表せないような甘さが胸に広がった。触れ合ったところから溶けてしまいそうで、心臓が騒めく。
「なんか……こうしているのが信じらないよ」
「俺もです。あなたが俺の腕の中にいるだなんて……信じられない。あなたを諦めるなんて出来るわけがないのに……」
クレイドが抱きしめる腕から力を抜き、顔を寄せてくる。
「あ……」
瞼を閉じると、優しく優しく、羽が触れるような口づけが落ちた。
大事にされているということが伝わってくるキスに、胸がぎゅっと締め付けられた。
(ああ、クレイドとキス、してる……)
思いが通じると、唇を重ねるだけでこれほど幸せな気持ちになれるのか。クレイドが自分を好いていてくれて、想いが通じるなんて夢のようだ。
クレイドの唇は何度も優しくリオンの唇をついばみ離れていく。閉じていた目を開き陶然と見つめ合っていると、クレイドが小さな声で言った。
「リオン様……契りを結びませんか?」
「契り?」
そういえばさっきオースティンがそんなことを言っていたのを思い出す。
「契りって、オメガと獣人でも結べるものなの?」
「ええ、オメガとアルファのように一生涯続くものではありませんが、短期間であれば可能です。獣人もアルファに似たフェロモンが放出できると言われています。俺は半獣なのでおそらく数日ほどの効果しかありませんが」
「そう、なんだ……」
話を聞きながら、クレイドの胸の中でつい俯いてしまった。恥ずかしくてしょうがないのだ。
契りを結ぶというのは、おそらく『そういうこと』なのだろう。クレイドと性行為をして、うなじを噛んでもらうという――。
「……嫌ですか?」
クレイドのその言葉にリオンははっと顔を上げた。目の前のクレイドは少しだけ不安そうな顔をしている。
「ち……違う!」
慌てて首を振った。
「恥ずかしくなっただけで……。だって、その、僕の身体の中に、クレイドの……その、こ、子種を……貰うんだよね? 全然嫌じゃないし……むしろ嬉しいんだけど……」
「リオン様……」
クレイドがぐうっと奇妙な音を出して喉を鳴らした。
「えっ、どうしたの? クレイド?」
ぎりぎりと奥歯を噛み締めたクレイドは、奇妙な顔をしていた。耳のところがほのかに赤い。
「そんな顔でそんなことを言うなんて……卑怯です」
「えっ」
自分の発言の何がそんなに卑怯なのかはわからないが、どうやらクレイドの気に障ってしまったらしい。
「あの……ごめんね?」
そっと見上げながら言うと、クレイドがまたぐうっと喉を鳴らす。クレイドはリオンから手を離すと、後ろを向き口を手のひらで覆いながら、天を仰いだ。そして大きく深呼吸を繰り返している。
「クレイド……? 大丈夫?」
常にない様子に、心配になってしまったが……。
「すみません……あなたが可愛すぎて乱心してしまいました」
「えっ、可愛い!?」
そんなことを言われたことがなかったので、心底驚いてしまった。目を丸くしているリオンをちらりと見て、クレイドは「無自覚だから始末が悪い……」などと呟いている。
(……なんか新鮮だな)
クレイドが『可愛い』などという言葉を素直に気持ちを口にする人だとは思っていなかったのだ。どちらかと言えば疎い方だと思っていただけに意外だ。
(きっと知らない部分がたくさんあるんだよね)
それを今から知っていけるというのが、嬉しい。いろんなクレイドの顔が知りたいと、つい欲張りになってしまいそうだ。
「話は戻りますがリオン様」
ようやく落ち着いた様子のクレイドが、仕切り直しのように口を開いた。
「俺はあなたと今すぐにでも契りを結びたいと考えています」
クレイドは真正面からリオンの目を見ながら言う。一瞬声が出なかった。
「え、あ、う、い、い、今?」
「はい、今です」
「えっ、でも、そんなにいきなり……」
動揺してうろうろと視線を彷徨わせていると、クレイドの両手がリオンの頬を包み、じっと覗き込んでくる。
「あなたを他の誰かに奪われはしないかと気が気ではないのです。あなたを俺のものにしたい。番になりたい。お願いです」
「クレイド……」
見つめてくる灰色の瞳は、真摯で切実なまっすぐさがあった。
一心に求められて胸がかき乱される。
リオンはクレイドが初恋だし、そのクレイドと想いが通じ合ったばかりで恋人としての振る舞いも全然わからないけど、番の契りを結ぶのはクレイド以外考えられない。
リオンはこくんと頷いた。
「うん、僕もクレイドと番になりたい……。あなたのものになりたい」
「リオン様……」
クレイドが目を見開き、そして心底嬉しそうに細める。
次の瞬間、ふわりとリオンの身体が浮き上がった。
「あっ、な、何?」
クレイドがいきなりリオンを横抱きにしたのだ。
クレイドはそのまま足早に寝室まで歩いていき、寝台の上にリオンをそっと下した。リオンを寝台に腰かけさせておいて、クレイドはリオンの足音にしゃがみ込む。そして懐から何かを取り出した。
「リオン様、これを飲んでください」
差し出されたのは、小さなガラス瓶だった。さっきドニから渡されたものだ。
「これは何?」
「ブルーメ用の発情促進剤です」
発情促進剤。その言葉に身体がぞわりとした。クレイドに目を向けると、クレイドは真剣な目で見返してくる。
クレイドが真剣なのは理解できたが、発情促進剤には抵抗があるし怖いと思ってしまう。
「これは……飲まなくちゃだめ?」
「あれから時間が経っているので、発情状態が落ちついています。きちんと発情した状態の方が、契りを結べる確率が上がります」
「でも……これを飲んだら……僕きっと、発情期のときみたいにわけがわかなくなっちゃうよ。そんな姿クレイドに見られたくない」
「大丈夫です。あなたのすべてを受け止めます」
力強い声と、ひたむきに見つめてくれるまっすぐな瞳にはっとした。
そうだ。今から契りを結ぶのはクレイドだ。心から愛して信頼する人だ。
(そうだよ……怖いわけないじゃないか)
「……わかった」
リオンは頷き、ガラスの小瓶に口を付けた。とろりと甘い液体が喉を滑り落ち、胃に辿り着いた瞬間、ぽっと身体が熱くなってくる。
自分の身体から、甘いオメガのフェロモンが立ち昇り始めたのを感じた。
「リオン様……ああ……たまらない匂いだ」
目の前の灰色の瞳が収縮し、クレイドがうっとりと囁いた。
「クレイドはアルファじゃないのに匂いがわかるの?」
「ええ、わかりますよ……。獣人にも発情期がありますから、ブルーメの匂いに反応します。以前リオン様が発情期になったときには、俺も発情しそうになって困りました。自分を抑えるのに相当苦労しましたから」
「え? そうだったんだ?」
そう言われて驚いてしまった。あのときクレイドはそんな状態になっていたとは全然わからなかった。
嬉しくてまた体温が一気に上がってしまう。じわりじわりと下腹のあたりが熱くなってきた。
「リオン様……ようやくこの手で触れることが出来る」
クレイドが甘く微笑み、指を伸ばしてくる。彼の指が頬をそっと撫でた瞬間、身体が沸騰するように熱くなった。ぶわりとオメガのフェロモンが放出され、頭の奥から甘く痺れていく。
「……ぁ……っ」
まるでクレイドが触れたところから放射状に快感が走っていくようだった。その強烈な感覚にリオンは身悶えした。はあ、はあと荒い息が唇から漏れてしまう。
「クレイド……」
目の前の男に触って欲しい。
この男のものになりたい。
その衝動のまま、リオンはクレイドに向かって両手を伸ばした。
「クレイド……おねがい……きて……」
その瞬間、クレイドの瞳の中で情欲の燃え上がるのがはっきり見えた。
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