19 / 125
二人の間にある距離
14
車を走らせながら。
「…知哉さんの車って想像通りですね。」
何がだ。
こんな車どこでも走ってるし、売ってるし、CMだってたくさん流れてる。
俺じゃなくても、その辺の人だっていっぱい乗ってる。
「…」
俺が黙っていると。
「…っあ、そこの角右です!」
瑞紀の声に従って車のウインカーを出して曲がる。
「もうここからまっすぐ行けば着きますから。」
「…へぇ。以外と近いんだね。」
「はい。たまたまですけど。」
それから少し車を走らせて、数人の先生が立っている正門らしき門が見えて来た時。
「どこに止めれば良いの、車。」
「え、あ、どこでしょう…。私、車で来た事無いので…。」
お前も分からないのか。
自分でその位確認しとけ。
お前は車で登校した事がなくても、他の生徒は車で登校してるのを見た事もあるだろう。
…しょうがない。
仕方なく、他の生徒の登校を邪魔しない様に先生の横に車を止めて、運転席の窓を開ける。
先生はこちらに顔を向けながら、
「おはようございますー。」
その大きな挨拶に少し顔をしかめながら。
「…おはようございます。車、「あれ、桜井。」
俺の言葉は先生の大きな声によって遮られて。
イライラしながらも先生に瑞紀の姿を確認出来る様に、体を傾けると。
「お前、またこんなイケメンの彼氏連れて…」
は?
彼氏?
しかも、“また”?
何なんだ、この女。
瑞紀は顔を真っ赤にしながら俯いて、
「…そんな事、無い、です…」
…
「いやい「そんな事どうでも良いんで。早く車止める場所、教えてもらえます?」
俺の強い言い方に、先生は少し目を見開きながら、
「すみません、あちらです…」
と言った。
その言葉を聞くと、直ぐに窓を閉めて車を発進させた。
「あの、ありがとうございました…」
瑞紀は助手席のドアノブに手をかけながら、外に出ようと体勢を整えてる。
そんな瑞紀を横目で見ながら。
「早くして。仕事に遅れる。」
「は、はい…っ」
瑞紀が外に出たのを確認すると。
切なそうな顔でこちらを見てる瑞紀を振り払うようにアクセルを踏んだ。
始業時間十分前に、会社の自分の席に着くと、隣の席の瀬川がこちらに身を乗り出しながら、
「今日は遅かったんだな。」
…
別に隠す必要もないだろう。
コートを背もたれにかけて、パソコンを立ち上げながら。
「…瑞紀を学校まで車で送って行ってたから。」
そう言うと瀬川は感心したように。
「へぇ。まじで高校生なんだ。瑞紀ちゃん、ねぇ…」
…
「何で送ってったんだよ。お前、理由もなきゃそんな事しねぇだろ。」
苦々しく眉を寄せながら。
「瑞紀の三者面談、行くから学校の場所を知っておこうと思ってね。」
俺がそう言うと瀬川は、ぶはっ、と笑って。
「あははっ!まじかよ!?お前がさんしゃめ「黙って。」
予想外に大きい瀬川の頬を右手で押さえて。
「ひょ、ひゅうひゃ「声、大きすぎ。」
俺の睨みが効いたのだろう、瀬川は恐怖が滲んだ顔でコクコクと頷いた。
俺はそれを確認してから、手を離して。
その手をパンパンと払う。
「払うならやるなよ…」
頬を両手でさする瀬川が小さくそう呟いた。
「…知哉さんの車って想像通りですね。」
何がだ。
こんな車どこでも走ってるし、売ってるし、CMだってたくさん流れてる。
俺じゃなくても、その辺の人だっていっぱい乗ってる。
「…」
俺が黙っていると。
「…っあ、そこの角右です!」
瑞紀の声に従って車のウインカーを出して曲がる。
「もうここからまっすぐ行けば着きますから。」
「…へぇ。以外と近いんだね。」
「はい。たまたまですけど。」
それから少し車を走らせて、数人の先生が立っている正門らしき門が見えて来た時。
「どこに止めれば良いの、車。」
「え、あ、どこでしょう…。私、車で来た事無いので…。」
お前も分からないのか。
自分でその位確認しとけ。
お前は車で登校した事がなくても、他の生徒は車で登校してるのを見た事もあるだろう。
…しょうがない。
仕方なく、他の生徒の登校を邪魔しない様に先生の横に車を止めて、運転席の窓を開ける。
先生はこちらに顔を向けながら、
「おはようございますー。」
その大きな挨拶に少し顔をしかめながら。
「…おはようございます。車、「あれ、桜井。」
俺の言葉は先生の大きな声によって遮られて。
イライラしながらも先生に瑞紀の姿を確認出来る様に、体を傾けると。
「お前、またこんなイケメンの彼氏連れて…」
は?
彼氏?
しかも、“また”?
何なんだ、この女。
瑞紀は顔を真っ赤にしながら俯いて、
「…そんな事、無い、です…」
…
「いやい「そんな事どうでも良いんで。早く車止める場所、教えてもらえます?」
俺の強い言い方に、先生は少し目を見開きながら、
「すみません、あちらです…」
と言った。
その言葉を聞くと、直ぐに窓を閉めて車を発進させた。
「あの、ありがとうございました…」
瑞紀は助手席のドアノブに手をかけながら、外に出ようと体勢を整えてる。
そんな瑞紀を横目で見ながら。
「早くして。仕事に遅れる。」
「は、はい…っ」
瑞紀が外に出たのを確認すると。
切なそうな顔でこちらを見てる瑞紀を振り払うようにアクセルを踏んだ。
始業時間十分前に、会社の自分の席に着くと、隣の席の瀬川がこちらに身を乗り出しながら、
「今日は遅かったんだな。」
…
別に隠す必要もないだろう。
コートを背もたれにかけて、パソコンを立ち上げながら。
「…瑞紀を学校まで車で送って行ってたから。」
そう言うと瀬川は感心したように。
「へぇ。まじで高校生なんだ。瑞紀ちゃん、ねぇ…」
…
「何で送ってったんだよ。お前、理由もなきゃそんな事しねぇだろ。」
苦々しく眉を寄せながら。
「瑞紀の三者面談、行くから学校の場所を知っておこうと思ってね。」
俺がそう言うと瀬川は、ぶはっ、と笑って。
「あははっ!まじかよ!?お前がさんしゃめ「黙って。」
予想外に大きい瀬川の頬を右手で押さえて。
「ひょ、ひゅうひゃ「声、大きすぎ。」
俺の睨みが効いたのだろう、瀬川は恐怖が滲んだ顔でコクコクと頷いた。
俺はそれを確認してから、手を離して。
その手をパンパンと払う。
「払うならやるなよ…」
頬を両手でさする瀬川が小さくそう呟いた。
あなたにおすすめの小説
【完結】王子妃候補をクビになった公爵令嬢は、拗らせた初恋の思い出だけで生きていく
たまこ
恋愛
10年の間、王子妃教育を受けてきた公爵令嬢シャーロットは、政治的な背景から王子妃候補をクビになってしまう。
多額の慰謝料を貰ったものの、婚約者を見つけることは絶望的な状況であり、シャーロットは結婚は諦めて公爵家の仕事に打ち込む。
もう会えないであろう初恋の相手のことだけを想って、生涯を終えるのだと覚悟していたのだが…。
氷の宰相補佐と押しつけられた厄災の花嫁
瑞原唯子
恋愛
王命により、アイザックはまだ十歳の少女を妻として娶ることになった。
彼女は生後まもなく始末されたはずの『厄災の姫』である。最近になって生存が判明したが、いまさら王家に迎え入れることも始末することもできない——悩んだ末、国王は序列一位のシェフィールド公爵家に押しつけたのだ。
愛せないはずの結婚でした
小鳥遊 れいら
恋愛
結婚30年目を迎えたと秀一と陽葵。決して順風満帆の夫婦とは言えないものであった。お互いに忘れられない人がいた中で政略結婚により結ばれた2人は少しずつお互いを知り、深めていった。様々な困難、壁にぶつかりながらもだがいに支え合っていった秀一と陽葵。秀一の元恋人が現れたり、陽葵の亡き恋人のお兄さんが現れたりして試される夫婦の絆。
20年前の私たちには想像もできなかった30年間の夫婦生活と数え切れないほどの思い出を作ることができた。
20年前のわたしへ、私は今とても幸せです。
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
【完結】彼を幸せにする十の方法
玉響なつめ
恋愛
貴族令嬢のフィリアには婚約者がいる。
フィリアが望んで結ばれた婚約、その相手であるキリアンはいつだって冷静だ。
婚約者としての義務は果たしてくれるし常に彼女を尊重してくれる。
しかし、フィリアが望まなければキリアンは動かない。
婚約したのだからいつかは心を開いてくれて、距離も縮まる――そう信じていたフィリアの心は、とある夜会での事件でぽっきり折れてしまった。
婚約を解消することは難しいが、少なくともこれ以上迷惑をかけずに夫婦としてどうあるべきか……フィリアは悩みながらも、キリアンが一番幸せになれる方法を探すために行動を起こすのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも掲載しています。
【完結】あなたに抱きしめられたくてー。
彩華(あやはな)
恋愛
細い指が私の首を絞めた。泣く母の顔に、私は自分が生まれてきたことを後悔したー。
そして、母の言われるままに言われ孤児院にお世話になることになる。
やがて学園にいくことになるが、王子殿下にからまれるようになり・・・。
大きな秘密を抱えた私は、彼から逃げるのだった。
同時に母の事実も知ることになってゆく・・・。
*ヤバめの男あり。ヒーローの出現は遅め。
もやもや(いつもながら・・・)、ポロポロありになると思います。初めから重めです。