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第1章
第32話:行商出発
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さらに数日後、やっと梅雨明けをした。私はどのくらいで梅雨明けするのか分かっておらず、今から急いで朝ごはんと準備である。
私はミシアさんに食べながら聞く。
「ねえ、ミシアさん、何を持っていけばいいのかな?」
「そうね……ハイトさんから話だと、着替えと二食分くらいでいいんじゃないかしら?」
「それだけ? 野営とかってしたりするの?」
「いいえ、朝早く出れば、夕方くらいには着くわよ」
イメージがわからないので更なる質問をしてみる。
「えっと? 朝早く出て夕方に着くと。それから商品を売る。それで街を夜に出発して寝ないで帰ってくる感じ?」
「いいえ、街を出るのは翌朝よ。宿屋に一泊するの。ただし、以前ハイトさんから聞いた話だと、宿屋に泊まっても食事は出ないらしいから、着いた当日の夕食分と翌朝の朝食分の食料はもっていかないといけないけどね」
私は眉間にしわを寄せる。宿屋のご飯が楽しみだったのに、ご飯が出ないと? 街も食糧事情が苦しいのか? 街を管理している人は何しているの? あ、領主様が高く買い取って、安く領民に還元しているんだっけ。それでもまだ宿屋にご飯はないのか。いや、食糧危機の時からでなくて、最初から宿屋にご飯という概念がない世界なのかも?
そんなことを考えていると、ミシアさんに急かされる。
「ほら、早く着替えを持っていく準備をしないと」
「ああ、そうだ! 急がないと!」
私は考えていたことを放り投げて、着替えを大きめのぼろ布にくるみ、肩から背負う。食事の木の実と硬いパン、それに木のコップは、小さい巾着袋に入れて、手に持った。
教会を慌てて飛び出していくと、馬車には荷物が積まれているところであった。セーフ。
私は馬車に近づいて、ハイトさんに挨拶をする。
「おはよう、ハイトさん。今日はよろしくお願いします」
「おはよう、サオリ。ついてくるからには、手伝いもちゃんとしてくれよ?」
ハイトさんは笑いつつ言った。この言い方的には私に期待はしていなそうだが、私は自信ありげに返事をしておく。
「うん、まかせて!」
そんなところに、男の子の声が響く。
「俺も行く!」
誰かと思い、声の主の方を見ると、リアムであった。
「俺も街に行きたい!」
リアムを宥めるようにハイトさんが言う。
「サオリは前から行くと話を決めていた。そんな急に言われても困るよ。それなら今後はサオリとリアムが順番に交代で行く感じだな」
「……サオリと一緒じゃないと意味がない」
リアムの言葉にドキッとする。なにこれ? 公開告白? 私を辱めているの?
頬を赤らめつつ、思わず周囲の反応を見てしまう。リアムの言葉が聞こえていたと思われる村人が数人にやにやしている。
小さい村なのできっと、私が帰ってくる頃には村中に広がっているだろう。
そんな状況を考えると顔から火が出そうである。
気を取り直して、荷物運びを手伝う。だが、絶対記憶のせいで、忘れられない悶えるような恥ずかしい思い出が残ってしまった。
荷物を積み終えると、私の着替えと食事を馬車の荷物置き場の空いているところに置かせてもらった。
私は御者台へと先に座って、そわそわとハイトさんが来るのを待つ。まだ村長さんや村人と話し込んでいるようだ。品物の売買の話かな?
そしてようやくハイトさんが、私の隣に座った。
「それじゃあ、出発!」
そう言うとハイトさんは、手綱をピシッと叩いた。すると馬車がゆっくりと動き出す。
私は街への期待と不安で、そっと馬車の側面から後ろを振り向く。
視線の先にはミシアさんが笑顔で手を振ってくれている。リアムは自分の思い通りにならなかったことが悔しそうで、歯を食いしばっている。
ミシアさんの笑顔と、リアムの告白めいた言葉に後ろ髪を引かれる。だが、私はここだけに留まっていてはいい存在ではない。いずれこの村を出ていくことになるだろう。その前の練習と思い、胸を張り前を向いた。
私はミシアさんに食べながら聞く。
「ねえ、ミシアさん、何を持っていけばいいのかな?」
「そうね……ハイトさんから話だと、着替えと二食分くらいでいいんじゃないかしら?」
「それだけ? 野営とかってしたりするの?」
「いいえ、朝早く出れば、夕方くらいには着くわよ」
イメージがわからないので更なる質問をしてみる。
「えっと? 朝早く出て夕方に着くと。それから商品を売る。それで街を夜に出発して寝ないで帰ってくる感じ?」
「いいえ、街を出るのは翌朝よ。宿屋に一泊するの。ただし、以前ハイトさんから聞いた話だと、宿屋に泊まっても食事は出ないらしいから、着いた当日の夕食分と翌朝の朝食分の食料はもっていかないといけないけどね」
私は眉間にしわを寄せる。宿屋のご飯が楽しみだったのに、ご飯が出ないと? 街も食糧事情が苦しいのか? 街を管理している人は何しているの? あ、領主様が高く買い取って、安く領民に還元しているんだっけ。それでもまだ宿屋にご飯はないのか。いや、食糧危機の時からでなくて、最初から宿屋にご飯という概念がない世界なのかも?
そんなことを考えていると、ミシアさんに急かされる。
「ほら、早く着替えを持っていく準備をしないと」
「ああ、そうだ! 急がないと!」
私は考えていたことを放り投げて、着替えを大きめのぼろ布にくるみ、肩から背負う。食事の木の実と硬いパン、それに木のコップは、小さい巾着袋に入れて、手に持った。
教会を慌てて飛び出していくと、馬車には荷物が積まれているところであった。セーフ。
私は馬車に近づいて、ハイトさんに挨拶をする。
「おはよう、ハイトさん。今日はよろしくお願いします」
「おはよう、サオリ。ついてくるからには、手伝いもちゃんとしてくれよ?」
ハイトさんは笑いつつ言った。この言い方的には私に期待はしていなそうだが、私は自信ありげに返事をしておく。
「うん、まかせて!」
そんなところに、男の子の声が響く。
「俺も行く!」
誰かと思い、声の主の方を見ると、リアムであった。
「俺も街に行きたい!」
リアムを宥めるようにハイトさんが言う。
「サオリは前から行くと話を決めていた。そんな急に言われても困るよ。それなら今後はサオリとリアムが順番に交代で行く感じだな」
「……サオリと一緒じゃないと意味がない」
リアムの言葉にドキッとする。なにこれ? 公開告白? 私を辱めているの?
頬を赤らめつつ、思わず周囲の反応を見てしまう。リアムの言葉が聞こえていたと思われる村人が数人にやにやしている。
小さい村なのできっと、私が帰ってくる頃には村中に広がっているだろう。
そんな状況を考えると顔から火が出そうである。
気を取り直して、荷物運びを手伝う。だが、絶対記憶のせいで、忘れられない悶えるような恥ずかしい思い出が残ってしまった。
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そしてようやくハイトさんが、私の隣に座った。
「それじゃあ、出発!」
そう言うとハイトさんは、手綱をピシッと叩いた。すると馬車がゆっくりと動き出す。
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視線の先にはミシアさんが笑顔で手を振ってくれている。リアムは自分の思い通りにならなかったことが悔しそうで、歯を食いしばっている。
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