異世界!? 神!? なんで!?

藤谷葵

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第1章

第45話:岩塩

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 村に帰る最中、馬車の中がおじさんたちの賑やかな声でうるさい。私は思わず耳を塞いでしまう。岩塩が採掘できたことが嬉しいのであろう。村の名産品が増えたことだしね。
 私としては、焼き魚から塩焼にグレードアップするのが楽しみで堪らない。想像するだけで、今にもお腹がぐぅ~っと鳴りそうだ。
 私は塞いでいた耳から手を放し、聞いてみる。

「ねえ、小さい岩塩は教会で使う分として貰っていいかな?」
「ああ、もちろん構わないよ。大きいやつも砕いて、質の良さそうなところは村のみんなで分けて使い、質の悪いところは街に売るってことで話し合ってあるからな」

 私は耳を疑った。聞き間違えたか? 質の悪いのを売る? 普通は質の良いところを売るんじゃないのか?
 聞き間違えかもしれないものを、絶対記憶でそのままにしておくのは気持ち悪い。私は念のため、確認をする。

「え~っと、今、質の悪いのを売るって言った?」
「そうだが?」
「なんで質の悪いのを売るの? 質のいいところを売るのが普通じゃないの?」
「サオリは色々なものを見つけてくる割に、何も知らないんだな」

 ギクッ! 何か怪しまれることをやらかした?
 だが、追及されることなく、ワイズさんが説明を続けてくれる。
 
「質のいいところを食べるっているのは、生産者ならではの特権だよ。街では塩を欲しがっているんだろ? 多少、質が悪くても買ってくれるさ」

 なるほど……特権か。それらの採れた上質のもの。『美味しい食べ物を食べたければ村においで。そしてお金を落としていってくれ』と……。
 そういえば、元の世界でもそんなような話を、聞いたことがあるような気がする。元の世界の時は、絶対記憶がなかったので、記憶はあやふやだが……。
 だが、今後のことを考えると、どうなるんだろう?
 私があちこちの村や街を発展させる。すると、この村の価値は下がるんじゃないのかな? それだと今のうちに高値で売っておくべきなのか。
 私が神として、この村を豊かにしたいと思っているが、他の村や街も発展させると、この村は普通の村か、廃れた村になってしまうのかもしれない。
 ここでも『みんなを幸せにすること』の難しさが露呈された。
 元の世界でも、お店による価格競争とかが起きて、小さなところは負けて閉店に追い込まれていたりする話も聞いたことがある。

「ねえ……もしも……もしもの話だけど、他の村や街でうちの村と同じものが採れたら、うちの村はどうなっちゃうの?」

 デリーさんが、悩まし気な表情をしつつ答える。

「ん~、その時は金策に困るかな。食べ物には困らないけど、品物の価格は安くなってしまう。まあ村で食べる分に関しては、問題ないと思うがな」

 それを聞いて、私は頭を悩ます。『金策には困る』と。お金がないと、買いたいものが買えない状況になる。それはリンドン村にとって痛手である。かと言って、神である私がえこひいきをすべきではない。当然他の人々も救うべきである。
 私の中で『みんなが幸せになる世界』の答えが出ないまま、夜中にはリンドン村に帰り着いた。
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