異世界!? 神!? なんで!?

藤谷葵

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第1章

第55話:動物たちとの別れ

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 リオルタス様と別れた後、私は丘へと帰る。きっと私の表情は険しいだろう。
 絶対記憶をもってしても、帰り道は分からない。なぜなら、黒雲に覆われているからだ。黒雲はいつも同じ形で空に浮かんでいるわけではない。形が変わるので、目印にはならない。
 私は千里眼で下界を見つつ、リンドン村の北側にある丘に戻った。そして、着陸して人間の姿に戻る。

「……」

 今後のことを考えると、言葉にならない。
 村に歩いて戻りつつ、そのことについて考える。
 村に向かう途中、足を止める。このまま帰る気がしない。いや、正確に言うと、今の自分が帰るべきところであり、帰りたい。それゆえに、今回の決断はつらいものがあった。村人と顔を合わせるのがとても息苦しい。特にミシアさんや教会の孤児たちであれば、尚更である。
 私は村から少し離れたところを歩いて距離を取り、南東にある洞窟の森へと向かった。

 森に辿り着くと、私は辺りに人がいないことを確認して、メルちゃんに声をかけた。

「メルちゃん、いる?」

 メルちゃんがポンと姿を現した。

「どうしました? 女神様」

 私は落ち込んだ表情をしているだろう。気合を入れるために、両頬を手のひらでぺちぺちと叩く。真剣な表情でメルちゃんを見つめると、私は力強く言葉を発した。

「メルちゃん! 大事な話があるから、動物たちをみんな呼んで!」
「わかりました」

 メルちゃんは目を伏せて、集中している。心の中で動物と対話をしているのだろうか? 超能力で言うテレパシーみたいな?
 しばらくすると、動物たちがぞろぞろと集まってきた。
 動物たちは何事かとがやがやと騒いでいる。
 私は校長先生になった気分で、話始める。

「みんな! 大事な話があるから、静かにして聞いて」

 すぐに聞く姿勢を見せる子と、なかなかおしゃべりが止まらない子がいる。その辺が人間と同じような感じがして、胸がチクンと痛む。
 しばらくするとみんなが静まり、私に視線を集中させている。

「……えっと……もうすぐ私は、この近くの村からいなくなるかもしれません。みんなを守れなくなると思います」

 その言葉に、再び動物たちはざわめいた。私は静かにするようにと、パンパンと手を叩く。
 そして、更に言葉を紡ぐ。

「みんなに会えなくなるのは寂しいけど、みんなで力を合わせて平和に暮らしてね」

 私は自分の言葉に、涙が出てきた。
 動物は涙を流さないのかもしれないけれども、目は潤んでいて、輝いている。

『女神様、いなくなっちゃうの?』

 私は泣き出したいのを我慢して、その言葉にほほ笑み、答える。

「女神としての仕事が色々あるから、ここに留まれないというだけで、この世界からいなくなるわけじゃないよ。今後もみんなが幸せに暮らせるように、遠くから祈っているよ」
『『『……女神様。僕たちを助けてくれてありがとう』』』

 その言葉にとうとう私の涙腺は崩壊した。頬に冷たいものが流れる。
 メルちゃんと向き合い、メルちゃんに託す。

「メルちゃん、この森のことと、動物たちをよろしくね」
「……わかりました、女神様」

 精霊に心があるのかどうかは分からないが、メルちゃんも悲しそうな表情をしていた。
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