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第2章
第14話:熱烈信者
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やがて日も暮れてきて、夕食の時間となった。他のメイドさんが呼びに来てくれた。
まだ仕事は明日からなので、全然労働をしていないのだが、食事は摂らせてもらえるらしい。私とメイはいそいそと使用人用の食堂に向かった。
食堂の中は、私たちの部屋よりも広く、使用人が一度に集まって食べることもできそうだ。
そんな中、二人で横並びにぽつんと座る。侘しい……。
そして、食事が出される。『下賜』というほどだから、食べ散らかされているのを想像して、食欲を失っていたが、不安に反して、料理は綺麗な状態で出てきた。
私はメイちゃんに話しかける。
「ねえ、『下賜』って言う割には綺麗だよね」
「は? スープはそれぞれ食べれる分だけよそえばいいだけだし、パンも必要分だけ切り分ければいいだけじゃない」
「……まあそうだけど……私はてっきり残飯が出てくるのかと思っていたから」
私がそう言うと、メイちゃんが睨みつけてきた。
「は? 残飯でも食べれるだけありがたいんですけど! 何を贅沢なことを言っているの! これだから苦労したことない人間は……」
軽蔑の眼差しで射抜かれた。確かにそうかもしれない。この世界は食料が不足している。スラム街出身のメイちゃんは、食べることもままならなかったであろう。悪気はなかったのだが、なんとなくメイちゃんを見下したような形になってしまった。だから怒ったのかもしれない。いや、私が食事のありがたさを蔑ろにしたせいか? まあ、どちらにしてもメイちゃんが言っていることが正論なので、私はメイちゃんに謝っておく。
「ご……ごめん」
「……」
メイちゃんは私の言葉が聞こえたはずなのに、無言で食べている。今後、生活を共にする相手にやらかしてしまった。この先、どうなってしまうのだろう。
私は溜息をついて、食事を摂る。場の空気が重く感じる。そして、メイちゃんは先に食べ終わった。
「ふぅ~、久しぶりにお腹いっぱいだわ」
独り言だろうか? それとも私に話しかけてくれたのだろうか? これはどうするべきなのだろうか?
「よかったね」だと上から目線になり、更に火に油を注ぎそうである。私が考えつつ食べていると、もうタイミングを逃して、何も言えなくなった。
「あんたはリンドン村の出身だったわよね? リンドン村が復興したって聞いたけど、食料事情はいいの?」
メイちゃんは相変わらずツンツンした態度を取るが、どうやら私に話しかけてくれているらしい。先ほどの無言は、ただ食べたかっただけかもしれない。だが、逆に実は怒っていて、仲直りのチャンスをくれた可能性もある。私は会話に乗る。
「う、うん。私は迷子になってリンドン村に辿り着いたのだけど、最初の頃は硬いパンだけだった。でも、しばらくすると、木の実や焼き魚、それに作物も食べれるようになったの」
「食料が豊富じゃない!」
「そ、そうだね。私も運が良かったのかもしれない。リンドン村じゃなくて、他の街や村だったら、食事が取れなかったかもしれないしね」
メイちゃんは目を輝かせつつ、前のめりになって話しかけてくる。ツンツンしている割に、人と会話をすることが好きなのかもしれない。
「女神エレメリス様のおかげね」
メイちゃんが両掌を合わせて、そう言い放つ。確かにそうなんだけど……。
私がその点については何も言えずにいると、メイちゃんが話を進める。
「この街でも、女神エレメリス様を崇めれば、発展するんじゃないかな?」
「そ……そうかな?」
「そうよ! そうに決まっているじゃない! 女神様を信仰すれば、きっと助けてくれるわ!」
私が女神エレメリスの姿になったのを、二度も目撃しているせいか、女神という存在を信じ切っている。いや、そのうち一度は朦朧とした状態だったのだが。そう思っているとすごいことを言い出した。
「アンガス街に、女神エレメリス様の教会を建てるべきだわ!」
話が大きくなってきた。目立たなく、地味に活動したかったのだが……いや、これは『信仰の神』としての絶好のチャンスか? 信仰する者が増えるほどに、私のあらゆる能力は上がるはず。
その後のメイちゃんはというと、女神エレメリスの話ばかりである。
熱烈な信者の誕生であった。
まだ仕事は明日からなので、全然労働をしていないのだが、食事は摂らせてもらえるらしい。私とメイはいそいそと使用人用の食堂に向かった。
食堂の中は、私たちの部屋よりも広く、使用人が一度に集まって食べることもできそうだ。
そんな中、二人で横並びにぽつんと座る。侘しい……。
そして、食事が出される。『下賜』というほどだから、食べ散らかされているのを想像して、食欲を失っていたが、不安に反して、料理は綺麗な状態で出てきた。
私はメイちゃんに話しかける。
「ねえ、『下賜』って言う割には綺麗だよね」
「は? スープはそれぞれ食べれる分だけよそえばいいだけだし、パンも必要分だけ切り分ければいいだけじゃない」
「……まあそうだけど……私はてっきり残飯が出てくるのかと思っていたから」
私がそう言うと、メイちゃんが睨みつけてきた。
「は? 残飯でも食べれるだけありがたいんですけど! 何を贅沢なことを言っているの! これだから苦労したことない人間は……」
軽蔑の眼差しで射抜かれた。確かにそうかもしれない。この世界は食料が不足している。スラム街出身のメイちゃんは、食べることもままならなかったであろう。悪気はなかったのだが、なんとなくメイちゃんを見下したような形になってしまった。だから怒ったのかもしれない。いや、私が食事のありがたさを蔑ろにしたせいか? まあ、どちらにしてもメイちゃんが言っていることが正論なので、私はメイちゃんに謝っておく。
「ご……ごめん」
「……」
メイちゃんは私の言葉が聞こえたはずなのに、無言で食べている。今後、生活を共にする相手にやらかしてしまった。この先、どうなってしまうのだろう。
私は溜息をついて、食事を摂る。場の空気が重く感じる。そして、メイちゃんは先に食べ終わった。
「ふぅ~、久しぶりにお腹いっぱいだわ」
独り言だろうか? それとも私に話しかけてくれたのだろうか? これはどうするべきなのだろうか?
「よかったね」だと上から目線になり、更に火に油を注ぎそうである。私が考えつつ食べていると、もうタイミングを逃して、何も言えなくなった。
「あんたはリンドン村の出身だったわよね? リンドン村が復興したって聞いたけど、食料事情はいいの?」
メイちゃんは相変わらずツンツンした態度を取るが、どうやら私に話しかけてくれているらしい。先ほどの無言は、ただ食べたかっただけかもしれない。だが、逆に実は怒っていて、仲直りのチャンスをくれた可能性もある。私は会話に乗る。
「う、うん。私は迷子になってリンドン村に辿り着いたのだけど、最初の頃は硬いパンだけだった。でも、しばらくすると、木の実や焼き魚、それに作物も食べれるようになったの」
「食料が豊富じゃない!」
「そ、そうだね。私も運が良かったのかもしれない。リンドン村じゃなくて、他の街や村だったら、食事が取れなかったかもしれないしね」
メイちゃんは目を輝かせつつ、前のめりになって話しかけてくる。ツンツンしている割に、人と会話をすることが好きなのかもしれない。
「女神エレメリス様のおかげね」
メイちゃんが両掌を合わせて、そう言い放つ。確かにそうなんだけど……。
私がその点については何も言えずにいると、メイちゃんが話を進める。
「この街でも、女神エレメリス様を崇めれば、発展するんじゃないかな?」
「そ……そうかな?」
「そうよ! そうに決まっているじゃない! 女神様を信仰すれば、きっと助けてくれるわ!」
私が女神エレメリスの姿になったのを、二度も目撃しているせいか、女神という存在を信じ切っている。いや、そのうち一度は朦朧とした状態だったのだが。そう思っているとすごいことを言い出した。
「アンガス街に、女神エレメリス様の教会を建てるべきだわ!」
話が大きくなってきた。目立たなく、地味に活動したかったのだが……いや、これは『信仰の神』としての絶好のチャンスか? 信仰する者が増えるほどに、私のあらゆる能力は上がるはず。
その後のメイちゃんはというと、女神エレメリスの話ばかりである。
熱烈な信者の誕生であった。
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