異世界!? 神!? なんで!?

藤谷葵

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第2章

第44話:とうとう

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 翌日、天界の仕事が解決したので、晴れ晴れしい気持ちで、メイドの仕事に打ち込める……のか? ディルジェアは頼りになるが、ウィルアステアが頼りにならない。解決したのか、不安になってきた。うん、解決したことにしておこう。

 私は『絶対記憶スキル』で覚えているその案件に、無理やり蓋をした。

 今日は庭園の仕事はない。もう庭園は萎れていなくて、花はつぼみをつけ始め、木も緑が茂ってきた。
 昼食になり、メイちゃんと二人で、使用人棟の食堂に向かう。そして、料理を見ると、小ぶりだが、ポークソテーが出てきた。

(……え? 豚……肉……?)

 私のトラウマが目を覚ます。豚さんの死。あの後、動物たちは逃がしたはず。では、この豚肉はどこから? 青ざめつつ、キッチンメイドのジェシーとサリーの二人に問いかける。

「こ……この豚肉……どこから入手されたの?」

 ジェシーとサリーは何の罪悪感もなく答える。

「ん~? リンドン村みたいだよ」
「そうそう、最近になって、お肉や毛皮の流通が始まったみたいだよ。これも女神エレメリス様のおかげかな」

 『女神エレメリス様のおかげ』

 私はそのような行動を取ったつもりはない。私は動物たちを逃がしたはずなのだから。つまりこの状況としては、とうとうリンドン村の南東の森に、村人が入り込んだということだ。今後、動物たちは殺されていくだろう。そう思うと、胸が締め付けられる。

 だが、私は自分が女神であることを悟られるわけにはいかないので、泣きたい気持ちをぐっと堪えた。そして、ミシアさんの言葉を思い出す。

 『食べてあげないと豚さんの死が無駄になる』

 私は、メイちゃんが美味しいと喜びつつ食べている豚肉のソテーを、味気なく感じつつ食べた。

 泣くことなく食べ終えた。メイドの仕事を教え込まれつつ、精神的に成長したのであろう。自分の感覚では、肉体年齢に精神年齢が追い付いたと思っている。あくまでも自分判断だが。

 記憶としては、豚さんの死は心に残っているが、成長していくと、そういう感情を失い、いずれ何も気にせず、食べられるようになってしまうのだろうか……。
 罪悪感から解放されたいという気持ちと、この感情を忘れてはいけないという気持ちが葛藤する。

 私はその夜、リアムに手紙を書くことにした。リンドン村の状況を知りたいからである。部屋に添え付けのメモ帳だが、それを一枚剥がし、鉛筆で書いていく。

 『リアムへ。久しぶり。元気しているかな? 私は……』

 そこまで書いて、後を悩む。『私は元気だよ』と書くべきなのか。豚肉を目の当たりにした私は、元気を失っている。でも、社交辞令として元気であると書くことにした。リアムを心配させたくないし。

 そして、その後を綴る。『リンドン村はどうなったかな? あれから村はさらに発展したのかな?』

 弱気になっている私は、『寂しいからリアムに会いたい』と一度は書いたが、『不老不死の女神』が恋するわけにはいかないので、リアムをその気にさせてしまうようなことだと思い、消した。

 手紙を書き終えると、机の引き出しにしまった。次の休暇の時にでも、スーリさんに会いに行って、ハイトさんに渡してもらおう。ハイトさんからリアムに手渡してもらえるようにお願いしよう。

 リンドン村を恋しく思いつつ眠りについた。
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