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第1章
第1話:女神降臨
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私、有森沙織は、十二歳の頃に交通事故に遭った。
その頃から私は植物人間となり、外部との繋がりはなくなった。恐らく病院のベッドに横たわっているのであろう。
視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の五感全てを失い、頭の中の脳で考えるだけの生活がずっと続いた。
もう何年経つのだろうか? 回復傾向もみられず、ただ自分の思考のみが存在している。
分からないほどの孤独が続き、そしてこの後もその孤独が続くのだろうかと思い、出来ることなら安楽死させて欲しいと、何度願ったことだろう。だが、他の人間にそれを伝えるすべもなく、ただ毎日を嘆きつつ過ごしていた。
(いっそうのこと死んでしまって、人生をやり直したい……)
孤独の辛さのあまり、度々そんなことを考える。
どのくらい経ったか分からないほど考えていたある日、暗闇の中にいる私に光が差し込む。
すると辺り一面が、彩とりどりの花が咲いている光景になった。
花を見るのは何年ぶりだろう。綺麗だな……。
辺りには色々な花が咲いていて、花の香りがふわりと漂う。
そして、ふと身体の状態に気づく。景色が見える。風の音が聞こえる。身体が動く。
私は自分の手のひらを、握ったり開いたりしてまじまじと見る。身体のあちこちを見ると、なんか十二歳とは思えない成長ぶり。高校生くらいだろうか?
それだけ長い間寝たきりになっていたのかと、悲しくなる半面、やっとその苦痛から解放されて、この天国と思われる場所で辛かった人生が終わるという喜び。
この世に未練はなく、最後に綺麗な花畑で人生を終えるのだろう。そう思いつつ、来世こそは幸せになると想いを馳せ、そっと目を伏せる。
すると突然、声が聞こえてきた。
「今までの五年間、辛かったでしょうね。次は幸せな人生を送らせてあげたいのですが、実は困ったことがありまして……」
そこまで聞いたところで、驚いて目を開いた。辺りを見渡すが視界に入るのは、花畑のみ。誰もいない。
「誰かいますかー?」
久しぶりの人との接触。ここがどこなのか、そして話しかけてきた人が誰なのかは分からないけれど、久しぶりに誰かと話せることを嬉しく思う。
「私は神です。あらゆる世界の人々の人生を管理しています。有森沙織さんもその中の一人です」
男性と思われる美声だけが聞こえる。
『人生を管理』、それを聞いて悲しくなった。私の人生の辛さと短さに……。
神様は話を続けた。
「有森沙織さんにとって、辛い人生になってしまって申し訳ない。でも、どんな優れた神が管理しても、誰かが幸せになり、誰かが不幸になってしまうのです。そうですね……恋愛の『三角関係』とでも例にあげれば、わかりやすいでしょうか?」
確かにわかりやすい。三角関係だと、必ず誰かが不幸になる。だが私が不幸になるという人生は納得いかない。顔をしかめていると、神様がそれを見透かしてきたように問いかけてきた。
「有森沙織さんとしては、納得いかないでしょう」
「そりゃあそうですよ。私だって幸せになりたかったです!」
眉間にシワを寄せつつ、自分の心情を吐露した。
「では有森沙織さん、どれだけ『みんなが幸せになる世界』が難しいか体験してみませんか?」
「え?」
神様の言いたいことが分からない。私がポカンとしていると、それを楽しむかのように説明をしてきた。
「実は私は異世界も管理しているのですが、手が足らなくて管理しきれないんですよ。それで有森沙織さんに神となって頂いて、異世界を管理して貰いたいんですがいかがですか?」
「異世界を管理? 神になる? えっと……よく分からないんですけど」
「以前、あなたの世界や他の世界の神達と悪魔達の全面戦争が起こり、神の人数が減ってしまったのです。もちろん、悪魔も多く倒しましたが、多数の世界を管理する神が足らない状況なのです。滅びつつある異世界がありまして、その世界を救って頂きたいのです」
「異世界って言うと剣と魔法のファンタジーとかの?」
私は目を輝かせて、ちょっと期待しつつ聞いてみる。寝たきりになる前に、テレビや本で見たファンタジー。自分もそんな世界に行けたらなぁ~と何度夢見たことか。
「剣と魔法のファンタジーの世界ですか? そうですね……。いくつか手が足りていない世界があるのですが、その中に沙織さんの希望する、剣と魔法のファンタジーがありますね。貴女の世界で言うと、中世くらいの文明です。では、そこでいかがですか?」
私は考える。このまま生きていても治る見込みはないであろう。生まれ変わり、来世で幸せになるという選択肢もあるだろうが、幸せになるとは限らない。また同じようなことが起きる可能性もある。それに、この機を逃すと、こんな物珍しい話は二度とないだろう。私は決意して自分の想いを口にする。
「私、神様になります!」
「引き受けて下さって、ありがとうございます」
安堵したような声で神様は、話を続ける。
「では、どんな力が欲しいですか? 教えて頂ければ、可能な限り善処させて頂きます」
「えっと……どんな特別な力とかでも、貰えたりするんですかね?」
「はい、私の権限では、あまり多くを授けることはできませんが」
「え~? それじゃあ、能力不足で困ったときに、どうしたらいいんですか?」
「う~ん、そうですね。何が必要になるのか分からないので、スキルでどうでしょうか? 『スキル創造』のスキルです。自分の必要とするスキルを作れます」
私はそれを聞いて、更に目を輝かせる。
(それってチート能力ってやつじゃない?)
神様の気が変わって、低い能力にされたら困るので、慌てて即答する。
「それがいいです!」
「じゃあ、それにしましょうか。あなたが行く異世界は悪魔も居ます。直接戦うことは避けて、人類に悪魔を倒させるようにして下さい。神が直接悪魔と戦うと、また全面戦争が起こる可能性があります。直接悪魔と戦わないとならない時は、最終手段と考えて下さい」
「わかりました」
要するに人間が魔王退治をする感覚かな? そんなことを考えていると、神様が焦って声をかけてきた。
「では私も忙しいので、そろそろ管理して頂く異世界に送ってもよろしいですか? 現在の身体はもう亡くなりますが、よろしいですね?」
私は「はい!」と力強く答えた。
すると、私の身体はまばゆい光に包まれ始める。
光に包まれつつ、次の人生、いや神生に期待で胸を膨らませる。
その頃から私は植物人間となり、外部との繋がりはなくなった。恐らく病院のベッドに横たわっているのであろう。
視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の五感全てを失い、頭の中の脳で考えるだけの生活がずっと続いた。
もう何年経つのだろうか? 回復傾向もみられず、ただ自分の思考のみが存在している。
分からないほどの孤独が続き、そしてこの後もその孤独が続くのだろうかと思い、出来ることなら安楽死させて欲しいと、何度願ったことだろう。だが、他の人間にそれを伝えるすべもなく、ただ毎日を嘆きつつ過ごしていた。
(いっそうのこと死んでしまって、人生をやり直したい……)
孤独の辛さのあまり、度々そんなことを考える。
どのくらい経ったか分からないほど考えていたある日、暗闇の中にいる私に光が差し込む。
すると辺り一面が、彩とりどりの花が咲いている光景になった。
花を見るのは何年ぶりだろう。綺麗だな……。
辺りには色々な花が咲いていて、花の香りがふわりと漂う。
そして、ふと身体の状態に気づく。景色が見える。風の音が聞こえる。身体が動く。
私は自分の手のひらを、握ったり開いたりしてまじまじと見る。身体のあちこちを見ると、なんか十二歳とは思えない成長ぶり。高校生くらいだろうか?
それだけ長い間寝たきりになっていたのかと、悲しくなる半面、やっとその苦痛から解放されて、この天国と思われる場所で辛かった人生が終わるという喜び。
この世に未練はなく、最後に綺麗な花畑で人生を終えるのだろう。そう思いつつ、来世こそは幸せになると想いを馳せ、そっと目を伏せる。
すると突然、声が聞こえてきた。
「今までの五年間、辛かったでしょうね。次は幸せな人生を送らせてあげたいのですが、実は困ったことがありまして……」
そこまで聞いたところで、驚いて目を開いた。辺りを見渡すが視界に入るのは、花畑のみ。誰もいない。
「誰かいますかー?」
久しぶりの人との接触。ここがどこなのか、そして話しかけてきた人が誰なのかは分からないけれど、久しぶりに誰かと話せることを嬉しく思う。
「私は神です。あらゆる世界の人々の人生を管理しています。有森沙織さんもその中の一人です」
男性と思われる美声だけが聞こえる。
『人生を管理』、それを聞いて悲しくなった。私の人生の辛さと短さに……。
神様は話を続けた。
「有森沙織さんにとって、辛い人生になってしまって申し訳ない。でも、どんな優れた神が管理しても、誰かが幸せになり、誰かが不幸になってしまうのです。そうですね……恋愛の『三角関係』とでも例にあげれば、わかりやすいでしょうか?」
確かにわかりやすい。三角関係だと、必ず誰かが不幸になる。だが私が不幸になるという人生は納得いかない。顔をしかめていると、神様がそれを見透かしてきたように問いかけてきた。
「有森沙織さんとしては、納得いかないでしょう」
「そりゃあそうですよ。私だって幸せになりたかったです!」
眉間にシワを寄せつつ、自分の心情を吐露した。
「では有森沙織さん、どれだけ『みんなが幸せになる世界』が難しいか体験してみませんか?」
「え?」
神様の言いたいことが分からない。私がポカンとしていると、それを楽しむかのように説明をしてきた。
「実は私は異世界も管理しているのですが、手が足らなくて管理しきれないんですよ。それで有森沙織さんに神となって頂いて、異世界を管理して貰いたいんですがいかがですか?」
「異世界を管理? 神になる? えっと……よく分からないんですけど」
「以前、あなたの世界や他の世界の神達と悪魔達の全面戦争が起こり、神の人数が減ってしまったのです。もちろん、悪魔も多く倒しましたが、多数の世界を管理する神が足らない状況なのです。滅びつつある異世界がありまして、その世界を救って頂きたいのです」
「異世界って言うと剣と魔法のファンタジーとかの?」
私は目を輝かせて、ちょっと期待しつつ聞いてみる。寝たきりになる前に、テレビや本で見たファンタジー。自分もそんな世界に行けたらなぁ~と何度夢見たことか。
「剣と魔法のファンタジーの世界ですか? そうですね……。いくつか手が足りていない世界があるのですが、その中に沙織さんの希望する、剣と魔法のファンタジーがありますね。貴女の世界で言うと、中世くらいの文明です。では、そこでいかがですか?」
私は考える。このまま生きていても治る見込みはないであろう。生まれ変わり、来世で幸せになるという選択肢もあるだろうが、幸せになるとは限らない。また同じようなことが起きる可能性もある。それに、この機を逃すと、こんな物珍しい話は二度とないだろう。私は決意して自分の想いを口にする。
「私、神様になります!」
「引き受けて下さって、ありがとうございます」
安堵したような声で神様は、話を続ける。
「では、どんな力が欲しいですか? 教えて頂ければ、可能な限り善処させて頂きます」
「えっと……どんな特別な力とかでも、貰えたりするんですかね?」
「はい、私の権限では、あまり多くを授けることはできませんが」
「え~? それじゃあ、能力不足で困ったときに、どうしたらいいんですか?」
「う~ん、そうですね。何が必要になるのか分からないので、スキルでどうでしょうか? 『スキル創造』のスキルです。自分の必要とするスキルを作れます」
私はそれを聞いて、更に目を輝かせる。
(それってチート能力ってやつじゃない?)
神様の気が変わって、低い能力にされたら困るので、慌てて即答する。
「それがいいです!」
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「わかりました」
要するに人間が魔王退治をする感覚かな? そんなことを考えていると、神様が焦って声をかけてきた。
「では私も忙しいので、そろそろ管理して頂く異世界に送ってもよろしいですか? 現在の身体はもう亡くなりますが、よろしいですね?」
私は「はい!」と力強く答えた。
すると、私の身体はまばゆい光に包まれ始める。
光に包まれつつ、次の人生、いや神生に期待で胸を膨らませる。
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