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無様な男
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三章
さて、どんな顔して学校へ行こうか。そんなことを考えたのは今日が最初で最後だ。色々と悩んだがこれといった策は思いつかなかったため休もうかと思ったがそれだと昨日したことが無駄になってしまうので学校へ行くことにした。だけどそれが間違いだった。後悔した。とてもとても後悔した。なんなら絶望した。理由は簡単だ。あいつが僕の目の前に現れたからだ。
「まあそう言うな。いや思うな。なーに。学生時代の恥ずかしい思い出の一つや二つ誰にでもあるもんぜ」
そうそう。誰にでもあるよな。そういう思い出。人間はそうやって大人になっていくんだよな。
「普段は関係ないとかどうでもいいとか言っておいて結局は佳華真音のことが好きだったんだな。お前さてはツンデレか」
そうそう。僕はシャイなんだ。好きだけどなかなかストレートにそれを伝えられないんだ。流石、神様よく分かっているな。
「お前はその性格治そうと思わないのか?」
「思わないな。治す気はないし治らないだろう。で、大の神様が青春真っ只中の純粋な男子高校生に何の用だ?」
「今日デートに行くのだろう。その道中で組織の人間がお前らを狙ってくるかもしれない。だからいざとなったらここに来い」
と神ノ原が言うと頭の中に古い工場みたいな建物が映し出された。
「今お前に見せているのは俺の本体がいる場所だ。そこに行けば俺の本体に会える。何かあったら彼女を連れてここに逃げろ。ここまで来ればなんとかしてやる」
と言われたがあいにくデートプランを知っているのは佳華だけだ。この建物の近くに行くとは限らない。
「馬鹿か。俺を誰だと思っている。全知全能の神だぞ。佳華真音が立てたデートプランぐらい把握している。だから断言しよう。お前らは今日この場所の近くに行く」
ほう。全部知っているのか。
「神ノ原。お前に嘘は通じないだから率直に言うぞ。僕はお前が嫌いだ。だから礼は言わないぜ」
「勝手に嫌え。俺もお前らの行く末になんて興味はない。バットエンドになろうがアンハッピーエンドになろうが興味はない」
どう転んでもハッピーエンドにならないじゃないか。
「だが惚れた女に話しかけられないような。無様な男にはなるなよ」
そう言って神ノ原はその場から消えた。去ったのではなく目の前から消えた。そんなことお前に言われるまでもない。いや待て。何を感情的になっているんだ。あいつの言うことなんて気にするに値しないことだろう……、まあ、でも今回は、今回だけは、特別に乗せられてやるか。
僕は教室に入り
「よう。佳華」
堂々と挨拶をした。当然だ。無様な男ではないからな。
さて、どんな顔して学校へ行こうか。そんなことを考えたのは今日が最初で最後だ。色々と悩んだがこれといった策は思いつかなかったため休もうかと思ったがそれだと昨日したことが無駄になってしまうので学校へ行くことにした。だけどそれが間違いだった。後悔した。とてもとても後悔した。なんなら絶望した。理由は簡単だ。あいつが僕の目の前に現れたからだ。
「まあそう言うな。いや思うな。なーに。学生時代の恥ずかしい思い出の一つや二つ誰にでもあるもんぜ」
そうそう。誰にでもあるよな。そういう思い出。人間はそうやって大人になっていくんだよな。
「普段は関係ないとかどうでもいいとか言っておいて結局は佳華真音のことが好きだったんだな。お前さてはツンデレか」
そうそう。僕はシャイなんだ。好きだけどなかなかストレートにそれを伝えられないんだ。流石、神様よく分かっているな。
「お前はその性格治そうと思わないのか?」
「思わないな。治す気はないし治らないだろう。で、大の神様が青春真っ只中の純粋な男子高校生に何の用だ?」
「今日デートに行くのだろう。その道中で組織の人間がお前らを狙ってくるかもしれない。だからいざとなったらここに来い」
と神ノ原が言うと頭の中に古い工場みたいな建物が映し出された。
「今お前に見せているのは俺の本体がいる場所だ。そこに行けば俺の本体に会える。何かあったら彼女を連れてここに逃げろ。ここまで来ればなんとかしてやる」
と言われたがあいにくデートプランを知っているのは佳華だけだ。この建物の近くに行くとは限らない。
「馬鹿か。俺を誰だと思っている。全知全能の神だぞ。佳華真音が立てたデートプランぐらい把握している。だから断言しよう。お前らは今日この場所の近くに行く」
ほう。全部知っているのか。
「神ノ原。お前に嘘は通じないだから率直に言うぞ。僕はお前が嫌いだ。だから礼は言わないぜ」
「勝手に嫌え。俺もお前らの行く末になんて興味はない。バットエンドになろうがアンハッピーエンドになろうが興味はない」
どう転んでもハッピーエンドにならないじゃないか。
「だが惚れた女に話しかけられないような。無様な男にはなるなよ」
そう言って神ノ原はその場から消えた。去ったのではなく目の前から消えた。そんなことお前に言われるまでもない。いや待て。何を感情的になっているんだ。あいつの言うことなんて気にするに値しないことだろう……、まあ、でも今回は、今回だけは、特別に乗せられてやるか。
僕は教室に入り
「よう。佳華」
堂々と挨拶をした。当然だ。無様な男ではないからな。
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