ここに魔法が生まれたら

羽野 奏

文字の大きさ
35 / 71
4.朔夜の出来事

1-2.生繭の憑き物士

しおりを挟む
深い、深い...

水底の景色ってきっとこんな感じ。
白っぽい陽光が、視界のはるか上で、ぼんやり、ゆらゆらと揺れて__

見渡す周囲はぐるりと闇の中。
外の世界の音は、ぼわんぼわんと聞こえにくく響いて
目を閉じれば眠りの世界に、どこまでも落ちて行ける。

「私、何をしていたんだっけ?」

独り言はトンネルの中のように響いて虚ろに抜けて誰に届くこともなく。
それでも、まあいいやなんて思うほどに、意識を保つことが気だるい。

「そういえば、あの、黒い蝶々...どうなったかな」

あの日は、ローカルテレビでインタビューを受けていた神主見習いさんを見に行こうと、友達グループに誘われて、深見神社まで行ったんだ。

普段ならそんな誘いにはついていかないんだけど...
私の一つ下の歳で、お家が神社をやっているんだとしても、もう将来を決めて学業と家業の手伝いを両立させているのって凄いなって、純粋な好奇心でその誘いに乗った。

なかなかお目当ての神主見習いさんに会えなくて、バイトの時間の子がいたから、そのまま現地解散になった。
他の子はそのまま近場のモールで服とかを買いに行くらしかったけど、私は家に帰ることにしたんだ。
バスに揺られて、ちょっとだけ酔ってしまったから、家に入る前にちょっとだけ庭へ行くことにした。

ふと、アネモネの植えてある辺りで、
地べたで羽を休ませている真っ黒な揚羽蝶あげはちょうを見つけた。
可哀想だなって思ったけど、触るのは躊躇われてどうしようか?って思ってから...それから...

「思い出せないなぁー」

――あ、遠くで薫くんの声が聞こえる?

小さいころからの幼馴染で、活発な薫くん。
同い年なのにお兄さんみたいに、グイグイ引っ張ってくれるからいつも後ろをついて歩いてた。
時々、私の部屋に遊びに来てくれて、でも、私の部屋には男の子の好きそうなオモチャはないのに、ドールハウスでのおままごとでも、嫌がらず楽しそうに遊んでくれた。

中学校に上がる前くらいから、友達に「好きなんじゃん?」とか言われたけど、恋愛とかそういう好きと違くて...パパに向ける感情に近いかな、安心感というか...任せておけばOKみたいな信頼感。
それにべったり甘えて、なにかというと頼ってしまう。
このままじゃダメだとは分かってても、その楽さについ流されている日々。

家と、学校、限られた友人、薫くん...私の世界に在るのはたったそれだけだ。

「ねぇ、今日はいつにも増してぼんやりしてるけど、大丈夫なの?」
「あ、えっと、うん、いつも通り」

薫くんの声で、意識が徐々に水面へと引き戻されていく。
そうだ、今、学校に行く途中だった。

そう、あの黒い蝶々を見たという記憶から、徐々に私の記憶は細切れになっていっている。
ぼんやりしてて、気づくと2~3時間立っていたなんてざらにあって、
酷い時なんか、気づいたら一日経っていたなんてこともある。

「だめだなぁ...もうすぐ受験始まるのにね、このままじゃヤバイかも」
「小春だったら入試の最中寝てるとかありえるかもなぁ…気を付けろよ」
「流石にそれはないよー...たぶん、ね」

”それはない”って言ってみて、本当に?私、本当に大丈夫なのかな?って不安になる。
だって、今さっきだって...意識、ほとんどなかった。
(病気、なのかな?テレビでそんなのやってた気がする)
でも、だったらなおさらこの時期に親や薫くんに心配かけたくないなって思う。
受験が終わったら、相談しようって決めて黙っていることにしたんだ。

「”たぶん”なのかよ、がんばれよー?同じ高校に入るんだろ」
「同じ高校がいいよー、がんばるっ」

そう、薫くんと同じ高校に入れるまでは頑張るんだから。
薫くんは、小さいころから警察官か消防士になりたいって言ってた。
今も、たぶんその夢は変わってない。
だから、高校を卒業しちゃったら、流石に進路は別々だから...
せめて、高校までは一緒に居たいなぁ。

そんなことを考えていられたのも、初めのうちだけだった。
更に意識のない日が続いて、ふと、気づいたら私__

「私、なにしてるの?」

手には、同じクラスの三谷みたにさんの上靴。
向かっている先は、グラウンドの端っこ。
そこにはフェンスが張ってあって、誤って側を流れる用水路に落ちたりする事故を防げるようになっている。
そのフェンスの一部がめくれていて、私...三谷さんの上靴、そこに突っ込もうとしてた。

「ダメ、ダメだよ?どういう事?」

幸い人目がなかったから、慌てて上靴を胸に抱え込んだ。
下駄箱まで走って戻って、人気ひとけがないことを確認してから、そっと彼女の靴箱に上履きを戻した。

心臓がバクバクと音を立てた。
意識が戻らなかったら、私、あのまま上履きを落としてた?
なんで、三谷さん?
その答えはなんとなく分かる気がした。
薫くんの事が好きらしいって噂で聞いたことがある。
卒業までに告白するらしいって事も...
(私、それがイヤだったのかな?無意識であんなコトしちゃうくらいに?)

それからはなるべく意識は保っていようと思った。
好きな事や、集中しているときは意識を持っていられることが多かったから、なるべく楽しいことを考えて過ごすことにした。
そのせいで、会話に薫くんが登場する頻度が増えて、周りにも言われたけど、自分でも自分の世界
の狭さに改めて驚いた。

でも、意識が外れると、私、悪いことをしちゃいそうになって怖かった。
例えば、自分の陰口をうっかり聞いちゃった時なんか、言ってた子たちの鞄の前で、紙パック入りのジュースを握りしめてたりした。
多分、鞄の中に中身をぶちまける気だったんだとおもう。

自分が、自分を信じられなくなっていって、どうしようもなく怖かった。
自分の知らないもう一人の自分が、体を支配していく感覚。

春が来て、無事、高校に合格してからも
結局、私は誰にもその事を言えないままでいる。

いつものように、朝、薫くんは迎えに来てくれて、いつもの調子で片手を軽くあげるんだ。

「おー、おはよ」
「おはよう、薫くん…寝ぐせついたまんまだよ」
「別にいいじゃん、しばらくすれば分かんなくなるんだから」

いつものように、後頭部にハネた寝ぐせ。
その辺りを手櫛で掻いて、「イジるなよ」って苦笑いする。
今日は、なんだか今までの悩みをスルッと言えそうだったから口を開いてみる。

「あのさ…私ね、何があっても味方でいてくれる薫くんの事、本当に大事でさ…だから、これからも、何があっても”私”のこと信じてくれる?」
「はぁ?何の話し?ってか…どういう事?」

唐突に切り出された話だったから、薫くんは訳が分からなかったと思う。
本当は、私の中に別の誰かがいて、その人格?に支配されそうで怖いって言いたかった。
一気に全部、この心の不安ごと、全部吐き出してしまいたい。
でも、たぶん、きっと薫くんでも受け止めきれないんじゃないかなって思ってしまった。
思ってしまうと、言葉にすることができず、喉の辺りで言葉はつっかえた。

「んー、なんでもない。忘れて!変な事言った、ごめんね」
「なんだよー、気になるじゃん」
「いいの、なんか、ふっとね…思っただけだから」

えへへ…って笑ってごまかして、今は真っすぐに薫くんを見ることができない。
涙が薄く滲んできて、このままだとマズい、泣いちゃうって思った。
(えっと、何か…ないかな。別の話題、ええっと)
パッと目に入ったのはリューココリーネって花。

「あ…この花ね、私の好きな花なんだ。花言葉は”信じる心”とか”あたたかい心”なんだけど、ひとつの茎に何個か一緒に花が咲くでしょ?それが家族みたいでほっこりする――って、興味ないな?その顔は」

ふーん、と言いながらも目線は別の何かを探して、こちらを向いてない。

「もう、いいよ、学校行こう」
「なんだよ、ちゃんと聞いてたって、リュー…」
「リューココリーネだって、ほら、聞いてないでしょ?もういいよ。えーっと、なんだっけ?昨日話してた、薫くんの新しい友達の話、聞きたいなぁ」

他愛のない毎日が、ぜんぜん他愛なくなくて、一日一日がこんなに大事なんだって思う。
私が、私のままで居られるのはあとどのくらいなんだろう?

その予想は当たって、気づけば私、凄く嫌な子になってる。
薫くんの話題を誰かが出すだけでイラついて、”私のモノに触るな”なんて気分になってしまう。
それが私自身の感情なのか、私を支配する誰かの気持ちなのかは分からないけど。

「ねえ、偉そうにマウントとってくるヤツってアンタ?」

久しぶりに意識の水面へと浮上したと思ったら、いきなりそんな言葉が降ってきた。
何のことかわからず、「え?」って聞き返すと、肩を押されてバランスを崩す。

「いきなり何するの…?」
「はぁ?アンタこそ、いきなり他人の会話に割って入って、他人のメンタル傷つけていいと思ってるわけ?!」
「__ごめん、意味が分からない」
「うっわ、サイテー。自分のやったことが、どんだけ人を傷つけたかもわからないんだ?アンタみたいなのが、幼馴染って岩城も苦労してんだろうね」

なんで薫くんの名前が出てくるんだろう?
この子はなにに怒ってて、私は何をしたんだろう?
こちらの様子に、ますますヒートアップした様子で彼女はまくし立てる。

「綾子の事、傷つけたでしょって言ってるの!」
「アヤコ…?」

誰だっけ?そんな子とかかわった事あった?むしろ、目の前で怒っている子の名前だって知らない。

「え?マジで言ってんの?やめてって言ってんのに、『岩城に本気になっちゃったって言っちゃおうかな~』とかってイジリ倒しといて、泣かせた相手だよ?」

そんな事、私がする訳ない…”私”ならそんなひどい事しない。
だけれど、私の中の”もう一人”は、どうだろう?
何も答えない私の様子に更に語調が強くなる。

「マジ、イカレてるねアンタ。もういいわ!これから、ワタシらの前に現れないでくれる?つーか、この学校から失せろよ、キモイんだわ。――あー、ホント、同じ空気吸いたくない」

なんで、そんな事を言われなくちゃならないんだろう…
私がやったわけじゃないのに、なんで私がこんな目に合うんだろう…

――消えたい

ほんの僅かばかり思った瞬間だった。
『見てらんない、に任せなよ』
その時、初めて自分の中の”もう一人”の声が聞こえた。

『”火焔”の力はアタシのモノなんだから!誰にも近寄らせないし、渡さない』
肩を掴まれて、後ろに庇われるような感覚。
そのまま私は自分の”内側”へと引き戻されて、きっとあの子が私の”表”に登場するのだろう。
(今までのことは、あの子がやってきた事なんだ…)

”火焔”の力とか言ってた。
それって何のことだろう?まあいいや…すべてあの子に任せてしまおう。
そうして、私は私の内側でぼんやりと外の世界の出来事を、まるでドラマでも見ている気分で眺めた。

「アタシに失せろって?なんでアンタにそんなこと言われないといけないワケ?」
「本性出してきたじゃん。さっきまで、何のこと?みたいなフリしてたくせに」
「アヤコかなんだか知らないんだけどさ、まず、お前誰だよ?なんだけど」
「は?」
「アンタ無関係じゃん、そのアヤコってのが言ってくるんなら分かるけど、なんでアンタに失せろとまで言われなきゃいけないワケ?」

(この子、凄い…私だったら絶対そんな事言えないのに)
私の中のもう一人のズバッと言う性格を羨ましいと思った。

正しいとは思わない、ムカつく相手の上靴を隠したり、ジュースをぶちまけようとしたり…
でも、自分の気持ちに正直に行動を起こせるのは、凄く羨ましい。
私も、そうだったら、今の狭い世界なんか飛び出して、将来の夢もあって、交友関係も広がっていただろうか。

「綾子は優しい子だから言い返せないでいるの、だから、代わりに私が言ってるんじゃん?」
「本当にそう思ってる?アヤコの代弁者みたいな顔して、自分の正義を振り回したいだけなんじゃない?」
「アタシがなんだろうと、アンタが綾子を泣かせた事実は変わんないじゃんっ!」

(凄い、押してる…)
相手が顔を赤くして、感情のままに机をバンッと叩いた。
クラス中の目線が、こちらの口論に集まっているのが分かる。

「だからって、アンタに言われる筋合いないよね?人に命令できるほどアンタ偉いわけ?」
「どの口がっ!」
「え?言えるよね、だって今回の件に無関係なヤツに偉そうに口挟まれて、黙ってる方がバカじゃない?お前こそ失せろよって感じ…って言うか――」

私の中のもう一人が、クスッと笑って最後の一言を放つ。
それが私の心を震わせた。
まるで、マンガに出てくる悪役令嬢。
悪びれもしない孤高の女王のようで、なんだか心が昂った。

「アンタなんか生きてる価値すらないんじゃない?」

ムカつく相手は、その存在すら許さない…
私だったら、その先なんて反撃されるかって不安で絶対言うことのないセリフ。

相手はなんて返してくるだろう?
そう思って相手を見る。

――え?

その子は、そのまま目を皿のように見開いたまま、ゆっくりと崩れ落ちていったんだ。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

婚約破棄したら食べられました(物理)

かぜかおる
恋愛
人族のリサは竜種のアレンに出会った時からいい匂いがするから食べたいと言われ続けている。 婚約者もいるから無理と言い続けるも、アレンもしつこく食べたいと言ってくる。 そんな日々が日常と化していたある日 リサは婚約者から婚約破棄を突きつけられる グロは無し

拾われ子のスイ

蒼居 夜燈
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞】 記憶にあるのは、自分を見下ろす紅い眼の男と、母親の「出ていきなさい」という怒声。 幼いスイは故郷から遠く離れた西大陸の果てに、ドラゴンと共に墜落した。 老夫婦に拾われたスイは墜落から七年後、二人の逝去をきっかけに養祖父と同じハンターとして生きていく為に旅に出る。 ――紅い眼の男は誰なのか、母は自分を本当に捨てたのか。 スイは、故郷を探す事を決める。真実を知る為に。 出会いと別れを繰り返し、命懸けの戦いを繰り返し、喜びと悲しみを繰り返す。 清濁が混在する世界に、スイは何を見て何を思い、何を選ぶのか。 これは、ひとりの少女が世界と己を知りながら成長していく物語。 ※週2回(木・日)更新。 ※誤字脱字報告に関しては感想とは異なる為、修正が済み次第削除致します。ご容赦ください。 ※カクヨム様にて先行公開(登場人物紹介はアルファポリス様でのみ掲載) ※表紙画像、その他キャラクターのイメージ画像はAIイラストアプリで作成したものです。再現不足で色彩の一部が作中描写とは異なります。 ※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

侯爵夫人のハズですが、完全に無視されています

猫枕
恋愛
伯爵令嬢のシンディーは学園を卒業と同時にキャッシュ侯爵家に嫁がされた。 しかし婚姻から4年、旦那様に会ったのは一度きり、大きなお屋敷の端っこにある離れに住むように言われ、勝手な外出も禁じられている。 本宅にはシンディーの偽物が奥様と呼ばれて暮らしているらしい。 盛大な結婚式が行われたというがシンディーは出席していないし、今年3才になる息子がいるというが、もちろん産んだ覚えもない。

【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております

紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。 二年後にはリリスと交代しなければならない。 そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。 普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…

処理中です...