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第2章「ほのぼの冒険者ライフ」
14,夢のお告げ
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コリーヌのすすめに応じて、腰を下ろす。
対面に座った彼女の脇を2人の女性が守るように固めた。身辺警護の神官戦士だろう。
コリーヌは深々と頭を下げて、謝罪を繰り返した。
「私はラーサ教団神官のコリーヌと申します。急にお呼び立てして、驚かれたことでしょう。申し訳ございません」
「いえ、お気になさらないで下さい。これでも冒険者の端くれですので、緊急事態には慣れております」
すごい違和感がある。初めて会ったときに戻ったかのようだ。
いや、「この世界のコリーヌ」とは初めてなんだから、当たり前か。
微笑みを浮かべてはいるけれど、丁寧で他人行儀な物言い。
軽い男性恐怖症もあるから顔を伏せがちで、それがまた前世界で出会ったばかりのときを思い出させた。
マーニャはノリがほとんど変わらなかったから、余計によそよそしさが半端ない。
姿も声も、おそらく性格も同じなだけに、どうにもやるせないなぁ。
まぁ、こればっかりはしょうがない。
彼女は俺が知っているコリーヌではないのだから。
俺は気持ちを入れ替えて、丁寧に問いかけた。
「それで、私をお召しになった理由を伺ってもよろしいでしょうか」
「はい。実は、折り入ってお願いしたいことがございます」
「申し訳ございません。それは本当に私にですか?」
「……と申しますと?」
「このように申し上げるのも失礼ですが、私は最近ギルドに登録したばかりで、功績も名声もない、しがない3級冒険者に過ぎません。どなたか別の方とお間違えになっていらっしゃるということはございませんか?」
実際のところ、もう予想はついている。
単に「何も知らない3級冒険者」なら戸惑って当然のシーンだから、装ったに過ぎない。
この方が、コリーヌも話しやすいだろうし。
「お疑いになるのも当然ですが、お聞き下さい」
コリーヌは頷きつつ、事の起こりから語り始めた。
「カズマ様のことは、失礼ですが調べさせていただきました。その結果、神託が示された方に間違いないと、大神官長が決定をくだされたのです」
「神託と申しますと?」
「はい。実は二十日ほど前から、ラーサ教団のなかでも、特にヴァクーナ神に仕える一部の神官が不思議な夢を見るようになりました。不肖の身ではございますが、私も夢見る光栄に預かった1人です」
おーい、女神様! ずいぶん盛大にやらかしたな!
まさかのヴァクーナ夢通信、神官限定インターネット配信だよ!
「……えっと、内容を伺っても?」
「はい。皆が皆、はっきりと神託を受けたわけではございませんが、皆の意見を総合すると、『数日前に、古き廃れたヴァクーナ神殿に降り立った法術を極めし剣士が、汝らの求めていることを果たすだろう』と」
……ヴァクーナ、はっちゃけすぎだろ。
なんだ、その神託っぽいお言葉は!
いや、本当の神託か。女神様だもんな。
というか、俺が召喚転生した場所は、ヴァクーナの神殿だったのか!
まずい。予想以上の神様っぷりに、俺の方がパニクってる。
「この王都にいらっしゃることですとか、先日の魔族討伐にも参加し策を提示したですとか、細かい特徴や近況まで聞いたり、はっきりと貴方の姿を見た者もおります。……その、つまり、私なんですけれど」
「……それで、貴女に検分の命がくだされたということですか」
「はい。ブリュート王に申し上げて事前に調査していただき、その情報から神託の示す方と判断しました。そして神託で貴方の姿を垣間見た私が、最後の決を下すように命じられたのです」
つまり、最近俺を監視していたのは、教団絡みでもあったということか。
なんてことだ。
なるほど、たしかにラーサ教団のヴァクーナ神殿に所属する神官なら、夢通信を受信できる者もいるだろう。
特に、コリーヌは確実に受ける。しかもおそらく他の誰より鮮明に。
前世界でも、ヴァクーナのお告げを受けて俺と合流したんだから。素質があるに違いない。
ヴァクーナの本気のフォローってこういうことか。
確かにすごい。ありがたい。
いろいろと一気に状況が進んだ気がする。
でも、なぁ……。
最近の俺の事情が、ラーサ教団のやんごとなき方々に筒抜けってどういうことだよ!
スパイか、ストーカーかって所業だぞ!
絶対、面白がっているだろう、ヴァクーナ!
なんでこういうとこは無駄に人間っぽいんだ! 変に遊び心を加えるなよ!
ひとしきり心の中で愚痴った後、俺はコリーヌに最後の言葉を促した。
「では、私はどのようにお役に立てばよろしいのでしょうか」
「あ、ありがとうございます。でも、その。よろしいのですか? 内容を聞く前から、そのようにおっしゃって」
コリーヌが、心配そうに俺の顔色を伺う。
こういうところは、前世界のコリーヌと同じだな。
自分の使命より相手の心を気にかける。
「ヴァクーナ神のお告げであるなら、是非もございません。謹んで全力で取り組みます。……というより、私も夢でご尊顔を拝しましたので」
「ッ! そうなのですか?」
驚きとともに、コリーヌの表情から硬さが取れた。
効果てきめん、嘘も方便。
いや、正確には俺は嘘をついていない。
女神様とはイヤと言うほど会っているし、彼女の目的のために108回も召喚転生しているのだから。
目的のためにいろいろと信者をたぶらかしているのは、ヴァクーナの方だと思う。
「ええ。こんなことを人に告げても信じてもらえないと思いましたので、誰にも伝えていませんけれど」
「もしかして、そのお告げのせいですか? ……その、ラドル様やマーニャさんに接触を試みていらっしゃるのは」
うまく都合よく解釈してくれた。
俺は神妙に頷いてみせる。
「では、カズマ様はもうご存知なのですね?」
「貴方がた、ラーサ教団の求めるもの、ですか?」
コリーヌはゆっくり頷き、予想通りの言葉を口にした。
「私たちの前から姿を消してしまった、救国の英雄を探してほしいのです」
やっぱりなぁ。
第2のフラグのキーマンは「名なしの英雄」のようだ。
対面に座った彼女の脇を2人の女性が守るように固めた。身辺警護の神官戦士だろう。
コリーヌは深々と頭を下げて、謝罪を繰り返した。
「私はラーサ教団神官のコリーヌと申します。急にお呼び立てして、驚かれたことでしょう。申し訳ございません」
「いえ、お気になさらないで下さい。これでも冒険者の端くれですので、緊急事態には慣れております」
すごい違和感がある。初めて会ったときに戻ったかのようだ。
いや、「この世界のコリーヌ」とは初めてなんだから、当たり前か。
微笑みを浮かべてはいるけれど、丁寧で他人行儀な物言い。
軽い男性恐怖症もあるから顔を伏せがちで、それがまた前世界で出会ったばかりのときを思い出させた。
マーニャはノリがほとんど変わらなかったから、余計によそよそしさが半端ない。
姿も声も、おそらく性格も同じなだけに、どうにもやるせないなぁ。
まぁ、こればっかりはしょうがない。
彼女は俺が知っているコリーヌではないのだから。
俺は気持ちを入れ替えて、丁寧に問いかけた。
「それで、私をお召しになった理由を伺ってもよろしいでしょうか」
「はい。実は、折り入ってお願いしたいことがございます」
「申し訳ございません。それは本当に私にですか?」
「……と申しますと?」
「このように申し上げるのも失礼ですが、私は最近ギルドに登録したばかりで、功績も名声もない、しがない3級冒険者に過ぎません。どなたか別の方とお間違えになっていらっしゃるということはございませんか?」
実際のところ、もう予想はついている。
単に「何も知らない3級冒険者」なら戸惑って当然のシーンだから、装ったに過ぎない。
この方が、コリーヌも話しやすいだろうし。
「お疑いになるのも当然ですが、お聞き下さい」
コリーヌは頷きつつ、事の起こりから語り始めた。
「カズマ様のことは、失礼ですが調べさせていただきました。その結果、神託が示された方に間違いないと、大神官長が決定をくだされたのです」
「神託と申しますと?」
「はい。実は二十日ほど前から、ラーサ教団のなかでも、特にヴァクーナ神に仕える一部の神官が不思議な夢を見るようになりました。不肖の身ではございますが、私も夢見る光栄に預かった1人です」
おーい、女神様! ずいぶん盛大にやらかしたな!
まさかのヴァクーナ夢通信、神官限定インターネット配信だよ!
「……えっと、内容を伺っても?」
「はい。皆が皆、はっきりと神託を受けたわけではございませんが、皆の意見を総合すると、『数日前に、古き廃れたヴァクーナ神殿に降り立った法術を極めし剣士が、汝らの求めていることを果たすだろう』と」
……ヴァクーナ、はっちゃけすぎだろ。
なんだ、その神託っぽいお言葉は!
いや、本当の神託か。女神様だもんな。
というか、俺が召喚転生した場所は、ヴァクーナの神殿だったのか!
まずい。予想以上の神様っぷりに、俺の方がパニクってる。
「この王都にいらっしゃることですとか、先日の魔族討伐にも参加し策を提示したですとか、細かい特徴や近況まで聞いたり、はっきりと貴方の姿を見た者もおります。……その、つまり、私なんですけれど」
「……それで、貴女に検分の命がくだされたということですか」
「はい。ブリュート王に申し上げて事前に調査していただき、その情報から神託の示す方と判断しました。そして神託で貴方の姿を垣間見た私が、最後の決を下すように命じられたのです」
つまり、最近俺を監視していたのは、教団絡みでもあったということか。
なんてことだ。
なるほど、たしかにラーサ教団のヴァクーナ神殿に所属する神官なら、夢通信を受信できる者もいるだろう。
特に、コリーヌは確実に受ける。しかもおそらく他の誰より鮮明に。
前世界でも、ヴァクーナのお告げを受けて俺と合流したんだから。素質があるに違いない。
ヴァクーナの本気のフォローってこういうことか。
確かにすごい。ありがたい。
いろいろと一気に状況が進んだ気がする。
でも、なぁ……。
最近の俺の事情が、ラーサ教団のやんごとなき方々に筒抜けってどういうことだよ!
スパイか、ストーカーかって所業だぞ!
絶対、面白がっているだろう、ヴァクーナ!
なんでこういうとこは無駄に人間っぽいんだ! 変に遊び心を加えるなよ!
ひとしきり心の中で愚痴った後、俺はコリーヌに最後の言葉を促した。
「では、私はどのようにお役に立てばよろしいのでしょうか」
「あ、ありがとうございます。でも、その。よろしいのですか? 内容を聞く前から、そのようにおっしゃって」
コリーヌが、心配そうに俺の顔色を伺う。
こういうところは、前世界のコリーヌと同じだな。
自分の使命より相手の心を気にかける。
「ヴァクーナ神のお告げであるなら、是非もございません。謹んで全力で取り組みます。……というより、私も夢でご尊顔を拝しましたので」
「ッ! そうなのですか?」
驚きとともに、コリーヌの表情から硬さが取れた。
効果てきめん、嘘も方便。
いや、正確には俺は嘘をついていない。
女神様とはイヤと言うほど会っているし、彼女の目的のために108回も召喚転生しているのだから。
目的のためにいろいろと信者をたぶらかしているのは、ヴァクーナの方だと思う。
「ええ。こんなことを人に告げても信じてもらえないと思いましたので、誰にも伝えていませんけれど」
「もしかして、そのお告げのせいですか? ……その、ラドル様やマーニャさんに接触を試みていらっしゃるのは」
うまく都合よく解釈してくれた。
俺は神妙に頷いてみせる。
「では、カズマ様はもうご存知なのですね?」
「貴方がた、ラーサ教団の求めるもの、ですか?」
コリーヌはゆっくり頷き、予想通りの言葉を口にした。
「私たちの前から姿を消してしまった、救国の英雄を探してほしいのです」
やっぱりなぁ。
第2のフラグのキーマンは「名なしの英雄」のようだ。
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