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第一章 白道
旅は道連れ、世は情け……なし? その1
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「やっぱり。絶対黄塚くんも気に入ると思ってたんだ。これって……」
「運命的?」
「うん! 運命だよね!」
「本当に運命って言葉が好きなんだね」
「……うん。だって『運命』なんだもの」
筋金入りの運命大好きっ子みたいだ。
最後のつぶやきは、少しばかり元気がなくて気になったけれども。
僕は運命って言葉はあまり好きではないので、彼女から聞く度にちょっとだけ苦笑いしてしまいたくなる。
もちろんそれはあくまでも僕個人の好みの問題だから、彼女を否定するつもりはない。
白道さんはそんな僕の微妙な態度を見て、ほんの少しだけ瞳を揺らした後、何事もなかったかのように前を向いた。
緩やかな風の彩りに背中を押されながら、一歩一歩花崗岩の敷石を踏みしめていく。
特に会話はないけれど、少なくとも僕には不満はなかった。
辺りの石垣や並木を眺めながら歩く登校時間が好きだったし、同じ道を同じ理由で選ぶ白道さんなら、この感覚も分かってくれそうだったから。
僕一人の思い込みではない証拠に、彼女はふと僕を見て、桜の花びらよりもなお柔らかに微笑んだ。
「運命的?」
「うん! 運命だよね!」
「本当に運命って言葉が好きなんだね」
「……うん。だって『運命』なんだもの」
筋金入りの運命大好きっ子みたいだ。
最後のつぶやきは、少しばかり元気がなくて気になったけれども。
僕は運命って言葉はあまり好きではないので、彼女から聞く度にちょっとだけ苦笑いしてしまいたくなる。
もちろんそれはあくまでも僕個人の好みの問題だから、彼女を否定するつもりはない。
白道さんはそんな僕の微妙な態度を見て、ほんの少しだけ瞳を揺らした後、何事もなかったかのように前を向いた。
緩やかな風の彩りに背中を押されながら、一歩一歩花崗岩の敷石を踏みしめていく。
特に会話はないけれど、少なくとも僕には不満はなかった。
辺りの石垣や並木を眺めながら歩く登校時間が好きだったし、同じ道を同じ理由で選ぶ白道さんなら、この感覚も分かってくれそうだったから。
僕一人の思い込みではない証拠に、彼女はふと僕を見て、桜の花びらよりもなお柔らかに微笑んだ。
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