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第5章 展開する物語の章
第61話 ロングウッドの森でサーリールに出会った
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「少しここで落ち着こうか」
俺たちは前に俺が居た場所辺りに馬車を停めて腰を据えることにした。俺一人やジョシュアと二人なら何日でもなんとかなるのだが今回はセリスとキサラがいる。
ここでルナにでも見つけて貰えると助かるのだが、師匠なら早めに見つけてくれないかな。
「ここで待つんですか?」
「ここをベースにして俺とジョシュアが色々と回ってみるよ。君とセリスは待っていてくれるか」
二組に分けるのなら魔法使いを一人づつ、ということも考えられたがセリスの元に魔法使いを置いて行きたい、という考えもある。俺は後者を選んだ。
「もし誰かが接触してきたら、俺の名前を出してみてくれ。俺のマナを感じてルナか師匠かクマさんが来てくれると退化るんだが」
「それ以外の人が来たらどうすればいいですか?」
ロングウッドの森に居るのはほぼ全員魔法使いだ。俺が知らない魔法使いは対処方法が判らない。
「それ以外の人が来たら、直ぐに俺を呼んでくれ。瞬足で戻るから」
「判りました、私はコータロー様が戻られるまでセリスさんをお守りすればいいんですね」
キサラも話が早くていいな。
「助かるよ。ジョシュア、手分けして行くよ」
「おい、俺はそのルナとかクマさんとかは知らないぞ」
そうか、顔も知らないのに探せないか。そう言えば師匠も若返ったりしていたら俺にも判らない可能性もあるな。ダンテみたいにマナで相手を見分けることはできないしな。
「そうか。では俺だけで行ってくるから、三人で待っていてくれ」
俺は三人を残して前にたどった道を進んでみた。全員で行っても良かったのだが目印とかが変わってしまっていて全員で迷うのは避けたかったのだ。
「おーい、ルナか師匠はいませんかぁ」
叫んでみたが反応は無い。クマさんでもまた出て来てくれないもんか。もしかしたら師匠の若返り魔法の準備で忙しいのかも知れない。
「何をそんなに叫んでいるんだ?」
突然声を掛けられた。姿はみえない。
「誰だ?」
「ルナを呼んでいたのなら、ルナの知り合いか?」
俺の問いには答えずに自分の話を進めるタイプのようだ。
「そうだ、ルナジェール・ミスティアの知り合いにも違いない。ついでに言うならヴァルドア・サンザールやナーザレス・ロングウッドとも知り合いだ」
「ほほう、それはそれは、有名人と知り合いなのだな。それでそんな奴がここで何故ルナを探して叫んでいのだ」
「色々と事情があってね。それであんたはルナの居場所を知っているのか?」
「私の名前はサーリール・ランド、ここロングウッドの魔法使いだ」
なんでこのタイミングで自己紹介なんだ、こいつは。
「サーリール、それでルナの居場所は?」
「勿論知っているさ」
やっと会話がかみ合った。
「案内してくれるか?」
「どうしてだ?」
「いや、俺はルナを探しているんだ、居場所を知っているなら案内してくれないのか?」
「居場所を知っていることと、そこに案内できることは同意じゃない」
「どういう意味だ?」
ルナの棲家は知っているが、そこに辿り着けるのかどうかはルナ次第、ということらしい。
互いに結界を張っているからそうなるのだ。いくつもの結界が重なり合っている場所もあるらしい。
「じゃあア・レウラ・ムーロは知っているか?」
「この森の中心なら知っている」
「案内は?」
「う~ん。行ったことは無いな」
「ナーザレス・ロングウッドは?」
「クマの魔法使いなら知っている」
やっぱり誰が見てもクマなんだ。
「役に立たない奴だな」
「おい」
「なんだ」
「失礼な奴だな」
確かに失礼なのは間違いない。自覚しているが相手が悪い。悪いか?
「俺が役立たずだというのか?」
「だってどこにも案内出来ないじゃないか」
「案内は出来ないが探すことは出来るぞ」
「えっ」
「だからア・レウラ・ムーロを探すことは出来ると言っているのだ」
どうもア・レウラ・ムーロは特殊な霊木で探索に長けた魔法使いなら探せるらしい。
「飛翔魔法とかで上空から見つけたりはしないのか?」
「それは無理だ。上から見てもア・レウラ・ムーロを見付けることはできないだろう」
「そうなのか。判った、頼むからア・レウラ・ムーロを探してくれないか。役立たずだ呼ばわりしたことは謝る。
「頭を下げて頼まれれば探さないことはない」
サーリールは本質的には人のいい魔法使いのようだ。
俺たちは前に俺が居た場所辺りに馬車を停めて腰を据えることにした。俺一人やジョシュアと二人なら何日でもなんとかなるのだが今回はセリスとキサラがいる。
ここでルナにでも見つけて貰えると助かるのだが、師匠なら早めに見つけてくれないかな。
「ここで待つんですか?」
「ここをベースにして俺とジョシュアが色々と回ってみるよ。君とセリスは待っていてくれるか」
二組に分けるのなら魔法使いを一人づつ、ということも考えられたがセリスの元に魔法使いを置いて行きたい、という考えもある。俺は後者を選んだ。
「もし誰かが接触してきたら、俺の名前を出してみてくれ。俺のマナを感じてルナか師匠かクマさんが来てくれると退化るんだが」
「それ以外の人が来たらどうすればいいですか?」
ロングウッドの森に居るのはほぼ全員魔法使いだ。俺が知らない魔法使いは対処方法が判らない。
「それ以外の人が来たら、直ぐに俺を呼んでくれ。瞬足で戻るから」
「判りました、私はコータロー様が戻られるまでセリスさんをお守りすればいいんですね」
キサラも話が早くていいな。
「助かるよ。ジョシュア、手分けして行くよ」
「おい、俺はそのルナとかクマさんとかは知らないぞ」
そうか、顔も知らないのに探せないか。そう言えば師匠も若返ったりしていたら俺にも判らない可能性もあるな。ダンテみたいにマナで相手を見分けることはできないしな。
「そうか。では俺だけで行ってくるから、三人で待っていてくれ」
俺は三人を残して前にたどった道を進んでみた。全員で行っても良かったのだが目印とかが変わってしまっていて全員で迷うのは避けたかったのだ。
「おーい、ルナか師匠はいませんかぁ」
叫んでみたが反応は無い。クマさんでもまた出て来てくれないもんか。もしかしたら師匠の若返り魔法の準備で忙しいのかも知れない。
「何をそんなに叫んでいるんだ?」
突然声を掛けられた。姿はみえない。
「誰だ?」
「ルナを呼んでいたのなら、ルナの知り合いか?」
俺の問いには答えずに自分の話を進めるタイプのようだ。
「そうだ、ルナジェール・ミスティアの知り合いにも違いない。ついでに言うならヴァルドア・サンザールやナーザレス・ロングウッドとも知り合いだ」
「ほほう、それはそれは、有名人と知り合いなのだな。それでそんな奴がここで何故ルナを探して叫んでいのだ」
「色々と事情があってね。それであんたはルナの居場所を知っているのか?」
「私の名前はサーリール・ランド、ここロングウッドの魔法使いだ」
なんでこのタイミングで自己紹介なんだ、こいつは。
「サーリール、それでルナの居場所は?」
「勿論知っているさ」
やっと会話がかみ合った。
「案内してくれるか?」
「どうしてだ?」
「いや、俺はルナを探しているんだ、居場所を知っているなら案内してくれないのか?」
「居場所を知っていることと、そこに案内できることは同意じゃない」
「どういう意味だ?」
ルナの棲家は知っているが、そこに辿り着けるのかどうかはルナ次第、ということらしい。
互いに結界を張っているからそうなるのだ。いくつもの結界が重なり合っている場所もあるらしい。
「じゃあア・レウラ・ムーロは知っているか?」
「この森の中心なら知っている」
「案内は?」
「う~ん。行ったことは無いな」
「ナーザレス・ロングウッドは?」
「クマの魔法使いなら知っている」
やっぱり誰が見てもクマなんだ。
「役に立たない奴だな」
「おい」
「なんだ」
「失礼な奴だな」
確かに失礼なのは間違いない。自覚しているが相手が悪い。悪いか?
「俺が役立たずだというのか?」
「だってどこにも案内出来ないじゃないか」
「案内は出来ないが探すことは出来るぞ」
「えっ」
「だからア・レウラ・ムーロを探すことは出来ると言っているのだ」
どうもア・レウラ・ムーロは特殊な霊木で探索に長けた魔法使いなら探せるらしい。
「飛翔魔法とかで上空から見つけたりはしないのか?」
「それは無理だ。上から見てもア・レウラ・ムーロを見付けることはできないだろう」
「そうなのか。判った、頼むからア・レウラ・ムーロを探してくれないか。役立たずだ呼ばわりしたことは謝る。
「頭を下げて頼まれれば探さないことはない」
サーリールは本質的には人のいい魔法使いのようだ。
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