生と死の狭間で

福原賢二

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生と死の狭間で

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山口市の長沢の池のほとりにある市立長澤病院に、賢治は母を
両手に抱えて、娘のさくらと共に向かっていた。母佳子の具合は著しく悪かった。佳子は、子供の頃そう10歳の時に肺結核に罹り右肺にコロニーを作っていた。その為喀血を度々繰り返していた。そうして今72歳になった時免疫が著しく下がり、再び再発していた。
車の後部座席に横たわらせて、助手席にさくらを乗せて山口市内から郊外にあるこの鋳銭司の長澤病院ににやってきたのだ。母は朱色の花柄のついた着物を着て長襦袢に半襟に金の腰紐といった姿で賢治の腕の中で眠っていた。さくらはぴょんぴょんと笑いながら跳ねていた。母の身体は痩せ細っていて裾から出る手は蒼白かった。母は軽かった。母の身体は骨と皮だった。静かに賢治は母を黄土色の砂利で出来ていた地面を歩いて行った。そうして前を見ると看板に「結核指定病院、長澤病院」と書いてあった。お母さんきたよ。
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