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限定品を求めて
3日限定イベント
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リンクを完了させ、みんなで一斉にゲーム内へと移行すると、さっそくメールが届いた。
「3日……限定……イベント?」
「3日間限定イベントだったら、☆5素材が大量に手に入るやつ!」
「でも敵のレベルは200オーバーですよー?」
「うわぁ……。行きたくねーわ」
メールに書かれていた内容は、3日間限定で開催される素材イベントの案内だった。
出現モンスターはレベルがオール200、私はレベル1でHP100のまま変動していない。
私が行っても、足手まといになるだけだよね。
だったら私は残って、一人でなんとかお店を回した方が──
「リミアちゃん今、残ろうと思ったよねー?」
「お、思いました……」
「ダメダメ! みんなで行かないと意味ないから! ねぇ、霧ちゃん!」
「はい! みんなで行ったほうが楽しいです! お姉さんがやられないように守るので、後衛で回復ポーション投げてください!」
そうだ……忘れていたけれど、私は人を癒やす力が最強なんだった。
謎の存在しないレベル1固定スキルの代わりに、職業 薬師を選択した際に手にした「回復」と「毒」のステータスのカンスト。
私の一手で、他の冒険者(プレイヤー)を生かすも殺すも決まってしまう。
ゲーム内唯一の薬師は、最強で運命を握っている。
──重すぎだよ……この職業。
「大丈夫大丈夫! 私らもそこまでは弱くない!」
「やる時はやるよー! 毎日やっているけどー!」
「俺とカイトと霧ちゃんもいるから安心しろ」
本当に素敵な仲間に出会えて良かったと、今改めて私は思った。
私もやればできる! 私は多分最強の薬師だから!
「はい! じゃあみんなで行きましょう!」
「それなら……俺達にお店は任せな!」
「「「お父さん! 神!」」」
酒場のマスターさん、通称お父さんが2、3回ほど酒場で見たことのあるバイトさん男女数名を率いてやって来た。
本当なら、マスターさんも行きたいだろう限定イベントを無視して私達の代わりに【ドラッグ 一番屋】の営業を無償でしてくれると言ってくれた。
「本当に助かります! しっかりとお金は払いますので──」
「いいのいいの! お互い協力ってことだ! その代わり、今度酒場でお手伝い願うぜー!」
「「「おとーさーん!」」」
カチーシェさん、ルルさん、可憐さん3人が「おとーさーん!」と飛びついて行くと、マスターさんは高らかに笑った。
お店を任せ、イベントが開催されているコロシアムに向かうこと3時間。
コロシアムについたものの、入り口がどこなのか分からず中に入れずにいた。
「入り口がないねー」
「ルルさんの方も無かったんですね……どこにあるですかね」
「……壊すか」
「アグナさん! 故意の建造物の破壊は、アカウントのBANを受けるのでダメです!」
コロシアムの一部に穴を空けようと言うアグナさんを何とか止め、みんなでもう一周だけ周りを歩いてみることにした。
けれど、入り口は結局見つからず、3時間歩き続けたことの疲労からその場に座り込んでしまった。
「やっぱり……壊すか」
「アグナさんがアカウントBANされたら、私が辛いのでやめてください」
「ちなみに今気づいたんだけど……これでエントリーを押さないと中に入れないとかないよね?」
ゲーム内タブレットをみんな起動して、ゲーム内への移行後に届いたメールを開けた。
すると、メールの最後にとても長いURLが貼られている。
みんなで一斉にURLを押すと、カチーシェさんが見つけたエントリーボタンが画面に出てきた。
「……私達のコロシアム5周は無駄だったんだねー。ふぇー……疲れたよー」
「これを押すだけだったんですね」
青色のエントリーボタンが画面いっぱいに広がるタブレットを起き、私は大の字で地べたに寝転んだ。
私がコロシアムのどこかに入り口があると思う……なんて言わなければ、もっと体力を残したままエントリーできたのかも。
私が独断で勝手を言ったことで、チーム全体の体力が少し落ちてしまっていた。
「ごめんなさい。私が勝手なことを言わなければ……」
「いやー! 誰でも入り口があるって思うってー! 気にしないでいいよリミアちゃん!」
「うんうん! それより早く行こう!」
カチーシェさんが私の顔を覗き込んで慰めてくれた。
「ありがとうございます」とカチーシェさんに感謝しながら私が体を起こすと、ルルさんがタブレットのエントリーボタンを勢い良く押した。
すると、ボタンを押していない私達もコロシアムの中へとワープした。
「Ladies and Gentlemen! とりあえず皆さん初めましてリリーミ・シュテンと言いまーす! 説明は面倒くさいので簡単に言いまーす! 出てくる敵を倒すだけですので頑張ってください!
1日1体、倒せば次の日も出場できます! では!」
「忍者のように、煙になって消えたけど……結構普通に全部話してなかった?」
「話してましたね! あれなんですかねー!」
「とりあえず……前を見たほうがいいぜみんな!」
私が役職……普通でいうところの職業の説明を一番最初に受けたお客様サポートセンターで適当な説明をしてきたリリーなんたらさんがまた現れて消えた。
金髪でガングロ、身長140センチほどしかなかった気がするのだけど……運営の方は大丈夫なのかな。
「グルルルル……」
私は呑気に、リリーなんたらさんが立って説明をしていた場所を見続けていた。
が、すぐに現実(ゲーム内)へと引き戻される。
獣の威嚇する重い声に、素早く横を向くと──
「おいおい! 一番初めからウロボロスボルフかよ!」
「3日……限定……イベント?」
「3日間限定イベントだったら、☆5素材が大量に手に入るやつ!」
「でも敵のレベルは200オーバーですよー?」
「うわぁ……。行きたくねーわ」
メールに書かれていた内容は、3日間限定で開催される素材イベントの案内だった。
出現モンスターはレベルがオール200、私はレベル1でHP100のまま変動していない。
私が行っても、足手まといになるだけだよね。
だったら私は残って、一人でなんとかお店を回した方が──
「リミアちゃん今、残ろうと思ったよねー?」
「お、思いました……」
「ダメダメ! みんなで行かないと意味ないから! ねぇ、霧ちゃん!」
「はい! みんなで行ったほうが楽しいです! お姉さんがやられないように守るので、後衛で回復ポーション投げてください!」
そうだ……忘れていたけれど、私は人を癒やす力が最強なんだった。
謎の存在しないレベル1固定スキルの代わりに、職業 薬師を選択した際に手にした「回復」と「毒」のステータスのカンスト。
私の一手で、他の冒険者(プレイヤー)を生かすも殺すも決まってしまう。
ゲーム内唯一の薬師は、最強で運命を握っている。
──重すぎだよ……この職業。
「大丈夫大丈夫! 私らもそこまでは弱くない!」
「やる時はやるよー! 毎日やっているけどー!」
「俺とカイトと霧ちゃんもいるから安心しろ」
本当に素敵な仲間に出会えて良かったと、今改めて私は思った。
私もやればできる! 私は多分最強の薬師だから!
「はい! じゃあみんなで行きましょう!」
「それなら……俺達にお店は任せな!」
「「「お父さん! 神!」」」
酒場のマスターさん、通称お父さんが2、3回ほど酒場で見たことのあるバイトさん男女数名を率いてやって来た。
本当なら、マスターさんも行きたいだろう限定イベントを無視して私達の代わりに【ドラッグ 一番屋】の営業を無償でしてくれると言ってくれた。
「本当に助かります! しっかりとお金は払いますので──」
「いいのいいの! お互い協力ってことだ! その代わり、今度酒場でお手伝い願うぜー!」
「「「おとーさーん!」」」
カチーシェさん、ルルさん、可憐さん3人が「おとーさーん!」と飛びついて行くと、マスターさんは高らかに笑った。
お店を任せ、イベントが開催されているコロシアムに向かうこと3時間。
コロシアムについたものの、入り口がどこなのか分からず中に入れずにいた。
「入り口がないねー」
「ルルさんの方も無かったんですね……どこにあるですかね」
「……壊すか」
「アグナさん! 故意の建造物の破壊は、アカウントのBANを受けるのでダメです!」
コロシアムの一部に穴を空けようと言うアグナさんを何とか止め、みんなでもう一周だけ周りを歩いてみることにした。
けれど、入り口は結局見つからず、3時間歩き続けたことの疲労からその場に座り込んでしまった。
「やっぱり……壊すか」
「アグナさんがアカウントBANされたら、私が辛いのでやめてください」
「ちなみに今気づいたんだけど……これでエントリーを押さないと中に入れないとかないよね?」
ゲーム内タブレットをみんな起動して、ゲーム内への移行後に届いたメールを開けた。
すると、メールの最後にとても長いURLが貼られている。
みんなで一斉にURLを押すと、カチーシェさんが見つけたエントリーボタンが画面に出てきた。
「……私達のコロシアム5周は無駄だったんだねー。ふぇー……疲れたよー」
「これを押すだけだったんですね」
青色のエントリーボタンが画面いっぱいに広がるタブレットを起き、私は大の字で地べたに寝転んだ。
私がコロシアムのどこかに入り口があると思う……なんて言わなければ、もっと体力を残したままエントリーできたのかも。
私が独断で勝手を言ったことで、チーム全体の体力が少し落ちてしまっていた。
「ごめんなさい。私が勝手なことを言わなければ……」
「いやー! 誰でも入り口があるって思うってー! 気にしないでいいよリミアちゃん!」
「うんうん! それより早く行こう!」
カチーシェさんが私の顔を覗き込んで慰めてくれた。
「ありがとうございます」とカチーシェさんに感謝しながら私が体を起こすと、ルルさんがタブレットのエントリーボタンを勢い良く押した。
すると、ボタンを押していない私達もコロシアムの中へとワープした。
「Ladies and Gentlemen! とりあえず皆さん初めましてリリーミ・シュテンと言いまーす! 説明は面倒くさいので簡単に言いまーす! 出てくる敵を倒すだけですので頑張ってください!
1日1体、倒せば次の日も出場できます! では!」
「忍者のように、煙になって消えたけど……結構普通に全部話してなかった?」
「話してましたね! あれなんですかねー!」
「とりあえず……前を見たほうがいいぜみんな!」
私が役職……普通でいうところの職業の説明を一番最初に受けたお客様サポートセンターで適当な説明をしてきたリリーなんたらさんがまた現れて消えた。
金髪でガングロ、身長140センチほどしかなかった気がするのだけど……運営の方は大丈夫なのかな。
「グルルルル……」
私は呑気に、リリーなんたらさんが立って説明をしていた場所を見続けていた。
が、すぐに現実(ゲーム内)へと引き戻される。
獣の威嚇する重い声に、素早く横を向くと──
「おいおい! 一番初めからウロボロスボルフかよ!」
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