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売り上げを伸ばしながらクエスト
功績
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金箔混じりの液体に変化すると、お客様、そして途中から気になったのか見物客の方々から拍手喝采を受けた。
私とアキラさんは、一発成功したことに飛び跳ねて喜んだ。
するとそこに、カチーシェさん、ルルさん、姉、霧ちゃんも入ってきた。
それでは止まらず、常連のお客様や、テリヌさんに酒場のマスターさんも入ってきた。
合計50人ほどで作り上げられた大きな輪が、街の2列目と3列目の間に通る街道でピョンピョン、クルクルと飛び跳ねながら回る。
「リミアちゃんやったやったー!」
「やったな我が妹よ!」
「本当によくやったぞリミアちゃん!」
「おめでとうやでリミアちゃん! うちの雑貨どれでも半額にしてあげるで!」
「おめでとう!」「やっぱり薬師は凄いぞ!」「神様だ!」と、お客様も見物客の方々も褒めてくれる人ばかりだった。
街の3番街道、私達が今飛び跳ねているお店の前の街道はお祭り騒ぎになった。
騒ぎを聞き、マスターさんの酒場からはアルバイトさんがビールタンク運んできて売り出したり、隣街から移動販売車が移動してきたりと、ゲーム内はやりたい放題だ。
たった1つの新薬、ポーションを完成させればここまで盛り上がるなんて……幸せな世界だな。
「祭りの途中失礼。リミア薬師はいますか?」
お祭り騒ぎの中、私を探す鎧を着た騎士が一人現れた。
街の入り口方向から歩いてきた騎士に、私が手を上げながら近づいていくと……
「運営陣の者です」
運営の方だった。
パトロール中か、もしくはまた別の件できているのかは分からないけれど、私に用だなんて不思議でしかなかった。
リリーミさんが私に関わるのとはまた訳が違うからだ。
私が首を傾げると、ゴソゴソとアイテムポーチから何かを取り出す。
それは賞状のようにも見える厚めの紙。
私、何かしたっけ?
「リミア薬師には、他プレイヤーへポーションの販売などをし、大きな評価を受けたこと。そして、新薬開発等の成功をここに讃えるものとする。おめでとう」
「あ、ありがとうございます」
私は現実世界で一度ももらったことのない賞状を、まさかのゲーム内でもらってしまった。
金で作られた賞状は、ずっしりと重く、本当に自分みたいなプレイヤーが受け取っていいものなのか分からなかった。
「リミアちゃんどうしたのー?」
「な! なんでもないです!」
ルルさん声を掛けられた私は思わず賞状を隠してしまった。
みんなに見せてもいいのかもしれないけれど、恥ずかしさに負けてできない。
こっそりと、額に入れて店内に飾っておこう。
控えめな性格を認めたくはなかったが、こういう時に盛り上げる種を一つ消してしまうのはやっぱり控えめだからだよね、
私は少しモヤモヤしながらお祭りの中に戻ると、後ろから誰かに冷たいジョッキにような物で両頬を冷やされた。
「──ひゃっ!」
冷たくてびっくりした……。
私は思わず声を上げてしまった。
すると、後ろから「アッハハハハ!」と、姉と同じように笑われた。
そう──アキラさんに。
「薬師ちゃん! 今の可愛い声はなんだい? ガッハハハハ!」
なんて、常連さんにも笑われた私は、体が一瞬にして火傷しそうなほどに熱くなった。
私はオーバーヒートし、膝からガクッと崩れ落ちた。
すると、アキラさんは酔っているのかとんでもないことを言い出した。
「よっし! 男共聞け! 今日から毎日……薬師を惚れさせに来い! 惚れさせたやつには──ポーションただで10個くれてやる!」
くれてやる……それ以前に私はどうなるの!?
彼女である私を、商売の道具に使うかのように言い出したアキラさん。
そして──なぜか今まで以上に盛り上がるお客様達。
恥ずかしかった心は風に吹かれ、次に怒りが込み上げてきて……アキラさんに言った。
「アキラさん……」
「どうした鼎! 盛り上がって──」
「じ、じ……。自分の彼女を商売道具にするじゃな──い!!」
私は怒りで我を忘れ、お客様もいる前で交際宣言をしてしまった。
私の叫びで三番街道のお祭り騒ぎが嘘のように静まった。
い、い……言ってしまった。
私は一番やらかしてはいけない場面でやらかした。
そう思った時だった。
「それって……。薬師ちゃん彼氏できたか!?」
「おー! これは別の意味でお祭りだな!」
「よっしゃー! 祝福の舞をみんなで踊ろうぞー!」
反対に交際宣言が、お祭りをヒートアップさせる引き金となってしまった。
アキラさんも私が思わず叫んだことに、全く何も思っていないのか祝福の舞に参加している。
カチーシェさんとルルさんと姉と霧ちゃんは……間違いなく私のところに来るよね。
「やったねリミアちゃん!」
「ほんとすごいよ!」
「我が妹が彼氏をゲットか……泣けるぞ姉として!」
「お姉さんは私を捨てないですよね!?」
最後の霧ちゃんの捨てる捨てないは全く理解不能だったけれど、とりあえず祝福してもらえた。
どんちゃん騒ぎのお祭りがしたのがついさっき、21時頃だった。
一時間オーバーで開けていたお店を閉め、お店のメンバーとテリヌさんでマスターさんの酒場で飲み直すことに。
今回は、テリヌさんとマスターさんの奢りと言うことで甘えることにした。
けれど、私達は忘れていた。
ゲーム世界には無いあるものが、明日の早朝から夕方まで潜んでいることを。
それは……テストだった。
私とアキラさんは、一発成功したことに飛び跳ねて喜んだ。
するとそこに、カチーシェさん、ルルさん、姉、霧ちゃんも入ってきた。
それでは止まらず、常連のお客様や、テリヌさんに酒場のマスターさんも入ってきた。
合計50人ほどで作り上げられた大きな輪が、街の2列目と3列目の間に通る街道でピョンピョン、クルクルと飛び跳ねながら回る。
「リミアちゃんやったやったー!」
「やったな我が妹よ!」
「本当によくやったぞリミアちゃん!」
「おめでとうやでリミアちゃん! うちの雑貨どれでも半額にしてあげるで!」
「おめでとう!」「やっぱり薬師は凄いぞ!」「神様だ!」と、お客様も見物客の方々も褒めてくれる人ばかりだった。
街の3番街道、私達が今飛び跳ねているお店の前の街道はお祭り騒ぎになった。
騒ぎを聞き、マスターさんの酒場からはアルバイトさんがビールタンク運んできて売り出したり、隣街から移動販売車が移動してきたりと、ゲーム内はやりたい放題だ。
たった1つの新薬、ポーションを完成させればここまで盛り上がるなんて……幸せな世界だな。
「祭りの途中失礼。リミア薬師はいますか?」
お祭り騒ぎの中、私を探す鎧を着た騎士が一人現れた。
街の入り口方向から歩いてきた騎士に、私が手を上げながら近づいていくと……
「運営陣の者です」
運営の方だった。
パトロール中か、もしくはまた別の件できているのかは分からないけれど、私に用だなんて不思議でしかなかった。
リリーミさんが私に関わるのとはまた訳が違うからだ。
私が首を傾げると、ゴソゴソとアイテムポーチから何かを取り出す。
それは賞状のようにも見える厚めの紙。
私、何かしたっけ?
「リミア薬師には、他プレイヤーへポーションの販売などをし、大きな評価を受けたこと。そして、新薬開発等の成功をここに讃えるものとする。おめでとう」
「あ、ありがとうございます」
私は現実世界で一度ももらったことのない賞状を、まさかのゲーム内でもらってしまった。
金で作られた賞状は、ずっしりと重く、本当に自分みたいなプレイヤーが受け取っていいものなのか分からなかった。
「リミアちゃんどうしたのー?」
「な! なんでもないです!」
ルルさん声を掛けられた私は思わず賞状を隠してしまった。
みんなに見せてもいいのかもしれないけれど、恥ずかしさに負けてできない。
こっそりと、額に入れて店内に飾っておこう。
控えめな性格を認めたくはなかったが、こういう時に盛り上げる種を一つ消してしまうのはやっぱり控えめだからだよね、
私は少しモヤモヤしながらお祭りの中に戻ると、後ろから誰かに冷たいジョッキにような物で両頬を冷やされた。
「──ひゃっ!」
冷たくてびっくりした……。
私は思わず声を上げてしまった。
すると、後ろから「アッハハハハ!」と、姉と同じように笑われた。
そう──アキラさんに。
「薬師ちゃん! 今の可愛い声はなんだい? ガッハハハハ!」
なんて、常連さんにも笑われた私は、体が一瞬にして火傷しそうなほどに熱くなった。
私はオーバーヒートし、膝からガクッと崩れ落ちた。
すると、アキラさんは酔っているのかとんでもないことを言い出した。
「よっし! 男共聞け! 今日から毎日……薬師を惚れさせに来い! 惚れさせたやつには──ポーションただで10個くれてやる!」
くれてやる……それ以前に私はどうなるの!?
彼女である私を、商売の道具に使うかのように言い出したアキラさん。
そして──なぜか今まで以上に盛り上がるお客様達。
恥ずかしかった心は風に吹かれ、次に怒りが込み上げてきて……アキラさんに言った。
「アキラさん……」
「どうした鼎! 盛り上がって──」
「じ、じ……。自分の彼女を商売道具にするじゃな──い!!」
私は怒りで我を忘れ、お客様もいる前で交際宣言をしてしまった。
私の叫びで三番街道のお祭り騒ぎが嘘のように静まった。
い、い……言ってしまった。
私は一番やらかしてはいけない場面でやらかした。
そう思った時だった。
「それって……。薬師ちゃん彼氏できたか!?」
「おー! これは別の意味でお祭りだな!」
「よっしゃー! 祝福の舞をみんなで踊ろうぞー!」
反対に交際宣言が、お祭りをヒートアップさせる引き金となってしまった。
アキラさんも私が思わず叫んだことに、全く何も思っていないのか祝福の舞に参加している。
カチーシェさんとルルさんと姉と霧ちゃんは……間違いなく私のところに来るよね。
「やったねリミアちゃん!」
「ほんとすごいよ!」
「我が妹が彼氏をゲットか……泣けるぞ姉として!」
「お姉さんは私を捨てないですよね!?」
最後の霧ちゃんの捨てる捨てないは全く理解不能だったけれど、とりあえず祝福してもらえた。
どんちゃん騒ぎのお祭りがしたのがついさっき、21時頃だった。
一時間オーバーで開けていたお店を閉め、お店のメンバーとテリヌさんでマスターさんの酒場で飲み直すことに。
今回は、テリヌさんとマスターさんの奢りと言うことで甘えることにした。
けれど、私達は忘れていた。
ゲーム世界には無いあるものが、明日の早朝から夕方まで潜んでいることを。
それは……テストだった。
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