元姫だった私、魔法適正値10000オーバーの冒険者〜勘当された姫は、冒険者の夢を叶え旅をする〜

永遠ノ宮

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一章〜ギルド設立を目指して〜

七話 冒険者適正②

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 次の日になり、バーの前で私とネネは約束通り会うことに。
 マスターから内緒で、エナジードリンクとやらを一杯ずつ貰い、疲労と眠気を一日程度なら吹き飛ばせる素晴らしい効果をその身に宿した。

 もっと先の話と思っていたら、まさか参加表明した次の日に試験が開始されるなんてーー運が良いのか悪いのか。
 冒険者成りたての実戦経験が無い私で、ネネを守れるかーーそんな不安が実はある。

 しかし、その時はその時として、実戦経験が一様あるだろう(冒険者ならあってくれないと困る)ネネに指示を仰げば良い。
 不安を払拭するには、とりあえずネネを頼ることを脳の片隅に置いておくのが一番早かった。

「さて、そろそろ始まるから行っておいで」

「マスター、帰ってきたら何か食べさせて!」

「わ、私も……良いですかですよ?」

「もちろんだよ。ちゃんと無事で帰っておいでな」

 マスターに見送られ、ぞろぞろと冒険者達が列を作り始めた出発ゲート前。
 そこに私達も混じって並び、ちびっ子二人の参加を笑う冒険者達に睨みを利かしながら試験へと参加した。





 冒険者適正試験ーー。
 説明された内容を簡潔に纏めると、個人冒険者がギルド設立する際にどれだけのリーダー能力があるか、もしくはメンバーとしてギルドに加入する際、どれだけのサポート能力があるか。それを自分で認知する為の試験らしい。

 私はギルドのリーダーを目指す側だから、知らないといけないのはリーダー能力。
 一方、見た目からリーダーとしての素質は全く無いだろうネネは、サポート能力となる。
 ちなみに、今も私の横で、袖にしがみつきながら臆病猫の如く震えるネネだった。

「では、参加者の皆さんには、今から四人で一つのチームを作っていただきます。ソロ冒険者が出ることはないよう、人数調節はこちらで致しましたので、一分以内にお願いします」

「一分以内って……集まるの?」

「尚、集まらなかった場合は最低人数二人でチームを組むことを許可しますので私の元へ申告に」

 前までマスターが務めていた、試験監視官が笛を吹くと同時に、リーダー希望の数十人が冒険者を呼び始めた。
 私も集まる為に動くべきかもしれない。だけど、この震える子猫をとりあえず落ち着かせるべきと思った。

「ネネ、あの岩場で休みましょう?」

「あ、ありがとうですよ……リリーさん、私人混みが苦手でえ……」

「らしいわね。体の中に振動機があるように震えてるもの」

 ネネを草原の端にある岩場に座らせる。
 私も腰を下ろし、とりあえず最低二人のチームでも良いかーーそう割り切る。
 すると、正面から木の影で寝ていた赤髪ショートカットの、如何にもやる気なさげな大剣を背負った男があくびしながら歩いてくる。凄い猫背で、だらしない。

「ああ? もう始まってんの?」

「そうみたいよ? 寝てたの?」

「眠たくてなあ……。先に入場したものの、始まるまでに二時間あるって、暇すぎてさあ」

 男は普通に若い。私より二つか三つ歳上程度しか年齢差が見受けられない。

「チーム二人なん? ああ、ソロは無しとか誰かから聞いたしな……どうすっか。とりあえず入れてくれる?」

「それは良いけど……」

「私も、大丈夫ですよ……?」

 ネネの震えが止まると同時に、この男がチームに入ることを了承した。
 
「そりゃ助かる」

「で、やれるの?」

「そこそこじゃね? あんまり実戦経験ねーんだよな、俺前は盗賊で生計立ててたしーーよっこらしょい。とりあえず、よろしく! 俺はシュートだ」

「よろしくシュート。私はリリーよ」

「私はネネです」

「……生意気チビと臆病猫!」

「「ーー死ねっ!」」

 シュートにあだ名を付けられ、私とネネのストレートパンチが頬を直撃した。

「もう、こんな時に喧嘩とか呑気ねほんま。シュート、探したのよ?」

「いってて……おお、マルゲリータ!」

「アリアータよっ!! 名前覚えろチャラ男!!」

 突然現れた、白髪の女がシュートの鳩尾に踵蹴りを一発御見舞する。
 
「ごめんね、コイツ馬鹿だから。そうだ、コイツの監視役はするから私もメンバーに入れてくれないかな?」

「構わないわよ、マルゲリータ」

「だからアリアータよっ!」

 フザケたら怒られた。当然の結果だけど、案外これがハマりそうで、味をしめた気分だ。

「ーー私はアリアータ。アリアータ・ネロ・カルバーシュ」

「私はリリーよ。この子はネネ」

「可愛いわね二人共。強いかは別として」

「私を舐めないことよ? アリアータ魔法適正は?」

「え? 私? 私は剣一本で魔法適正高い奴も斬るから最近測ってないけど前は5000かしら」 

 でも! ーーそう言って、アリアータは剣を抜く。

「私は剣だけあれば良いの! これだけで!」

「立派ね。で、出来損ないは幾つ?」

「俺か? 俺はなーー」

 自覚ありで悲しく思えたが、しかしシュートは真剣に思い出そうと目を閉じながら、「うーん」と声を漏らす。

「わっすれた! アッハハハッ! まあ、並大抵の冒険者よりはつえーって、それは胸張れるなっ! だってよ、騎士団十人を一人タコ殴りにしたからよっ!」

 盗賊時代の武勇伝を語りだしたので、聞くのが面倒になりシュートの口にとりあえず、落ちていた石ころを投げて静かにさせる。

「それでリリーは?」

「私? 私は10000オーバーだけど」

「……ウッ。ウッハハハハッ! アーハハハハッ! 嘘つかないでよお、冗談にも限度があるわよ! あー! 傑作よ、あんたも馬鹿なのねっ!」

 本当のことを話して、大笑いされた。精神的にくるものがある。
 アリアータはある程度笑うと、ゆっくりと呼吸を戻した。

 口から石ころを取り出したシュートは、「まあ、なんだーー」と切り出し、アリアータの肩に手を掛ける。

「とりまよろ!」

「そうね、よろしく」

「馬鹿にされたままなのが、釈然としないわね。でもまあ、よろしくね」

「よ、よろしくですよ~?」

 とりあえず、四人一つのチームがここに完成した。
 剣バカ、元盗賊、元姫、猫族の末裔ーーもしくは生き残り。
 内容の濃い面子が揃った私達のチームだけ、異様なオーラが放たれているのは確認するまでもなく分かった。

 他のチームが、私達四人から距離をわざと置いている。
 シュートは絶景と言い、ネネは安堵し、アリアータは剣を地面に突き刺して警告的な何か周りにしている。
 ちなみに私はーー監視官の目下で腰に手を当てているだけ。

「……君達……」

「気にしないで続けて?」

「いや……周りが」

「大丈夫だって監視官! 周りは俺達を警戒し過ぎなだけだってーー仲良くなったら普通だって分かるってえ!」

 シュートは笑顔だが、右手が大剣の柄を掴んでいる。
 
「そ、そうは思わないんだけど……まあ、良いか。では始まる前に今回、十五チームが出来上がりましたので数字の書かれたネックレスをリーダーに渡します。それを首に掛けてください」

「リリーね」

「まあ、リリーだな。俺達を集めたのはリリーだし」

「良いの? リーダー希望はいないの?」

「あんたが一番リーダー願望強いし……今更でしょ」

 シュートとアリアータに言われ、とりあえず配られたネックレスを首に掛ける。
 私達は十五番。後ろからネックレスが配られてきたから当たり前だ。
 
「では、リーダーの皆さんは首にネックレスを掛けたとして内容を話します。まず皆さんには、チームとして活動できるかーーチーム力を確かめるべく一日キャンプしてもらいます。食料はここ一体に居るモンスターと、何処にあるか分からない泉などで対応してもらいます。寝床は、あちこちにテントを設けていますので自分達のナンバーが書かれたテントをご利用ください。ちなみに、敵チームの食料を奪うことは許可ーーつまり、チームでの争いを認めるものとしますので頑張ってください。注意事項は殺さない死なないですーー二日目には別のことをしてもらいますので明日の日暮れ前にここに集合してください。以上です、では始めます」

 監視官の笛がまた吹かれる。
 各チーム、まずはチームのナンバーと同じ数字の書かれたテント目掛けて四方八方に散らばっていく。
 しかし、私達はその場に座り込んでいた。

「さて、テント目指すか?」

「テントは取られないんだからとりあえず、昼間の間に食料と水じゃない?」

「まあ、そうよね。じゃあ、食料調達班は私とシュートがして泉捜索班はアリアータとネネでいきましょう? 集合は日暮れ前にここで。お腹を満たしてから、水を持ってテントに向かうでどう?」

「うん、良いと思うですよ」

「それでやりましょうか」

「だな」

 じゃあーーと、監視官とその他騎士の前で私達はあれやこれやと座り込みながら会議を続ける。
 流石に長居し過ぎたかして、監視官にとうとう足が痺れだした頃に声を掛けられた。

「ここにまた来る気か?」

「別に良いでしょ? だってどうせ皆さんは今から集会場に戻るんでしょ? ならここをどう使うかは私達参加者の自由よ」

「いや、良いには良いんだが……キャンプファイヤーしてゴミをそのまま残していくのはやめてくれ?」

「大丈夫なのですよ。私達、そこまでマナー知らずの集団ではないのですよ」

 ネネがフードを外し、精一杯の作り笑みを浮かべて監視官に許可を貰ってくれた。
 そのおかげで、いや、もう初めから勝手に。ここが集合場所となった。

 私達は二手に別れ、食料調達と泉捜索を開始する。
 三人共、理解力もあれば行動力もあるーー。良い面子が揃ったと思う反面、少し出来過ぎたチームであることに不思議を抱かなくもなかった。




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