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一章〜ギルド設立を目指して〜
二十七話 バトルロイヤルの激闘⑪LAST
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私とアルラーネが戦っている中、先に本気を見せたリリーはアルバータとの戦いを既に終えていた。
アルバータはリリーに戦闘不能にまで叩きのめされ、観客席で手を取りあう。
またリリーには、新しい友達ができたように見えた。
それを余所見と言うのなら、今の私はアルラーネと戦いながらも余所を見ることができる程の余裕に満ちている。
「ーー余所見して、死にたいのかっ!」
「そう言ってーー殺そうとしないじゃない!」
アルラーネの放つ弾を、私は踊るように避けていく。
剣術で弾を一刀両断できる人間がいる。だがそれは、本の中だけであり、実際のところ弾を一刀両断できる人間が居るのならーーその者が世界最強になっていないとおかしい。
近距離武器と遠距離武器では断然、後者の方が有利であり勝率は段違いに高い。
そんな後者の攻撃を、前者が余裕で防げるのなら、向かうところ敵なしどころか、向かうところ雑魚のみなのだから。
「避けるばかりでは話にならないぞアリアータ」
「アルラーネ、あんたは知らないでしょうけどーー剣術で弾を切ることは不可能なの。それができたらどんだけ楽かーーそれでも近距離武器には近距離武器の戦い方がある」
「避けてばかりで戦いもくそも無い! 攻撃してきてみろ!」
「じゃあーーお言葉に甘えて!」
「ーーなっ!?」
「隙……あり」
アルラーネが一瞬、発砲をやめた数秒で私は飛び掛かった。
足から電気が走り、周りの景色がぼやけた。
それは電光石火ーー魔力を足に充填させて、一気に放つ魔法。
私はこの時を待っていた。避けて避けてーー機会を伺いながら魔力の充填時間を稼いでいたのだ。
魔法適正値の低い私だが、今はリリーの力もあり、私の魔力は限界突破の域にいる。
だからこそできた奇跡と言える。
私はアルラーネの懐に潜り込むと、結界を剣で横薙ぎ払いでぶつける。
結界にヒビが入り、衝撃でアルラーネは吹き飛ぶ。
「……ううっ! 馬鹿な……」
「意外そうね、まあ、私自身意外だった。半分死んだような境地に居ながらも今こうして立って、あんたを圧倒していることが」
「圧倒などされていない」
「されているわよ? ほら」
「何を言って……これはっ!?」
「ディバインド・クロスーー魔力で生成した小型投剣で十字を結びあんたを封じ込める。動けないでしょ、アルラーネ」
本来の私では使えない魔法が今は使える。
バインド系では有名な技だが、あまり使う者はいないだろう。
そもそも、バインド系で有名な理由は生成術を身に着けていないと使えない珍しい術だからで、一般的ではない。
この生成術ーーリリーのもので間違いない。
シャイニングソードから私に浴びせられた光は、リリーの魔力が流れていたと推測すれば、何でもかんでも魔法をバンバン使う異常な物と合致する。
つまりこれはーー。
「ーー共闘よ! アリアータ!」
「……リリー」
リリーがそう叫ぶ。
自分の魔力が私にいき、そして混ざっていることを知っていた。
リリーは観客席で、それはそれは大人数引き連れて私とアルラーネの最終決戦を見ている。
リリーは本当に、人に好かれる才能を持っている。
仲間ーー友達ーー。
一体、何人作れば気が済むのやらと思える。
「何を笑っている」
「うちのリーダーが、どんどん前に進んでいくなーって」
「背を追えないか」
「いーや? むしろ、追い続けてあわよくば抜くわよ。それでも抜けないのが私達のリーダーよアルラーネ、あんたと正反対の馬鹿よっ!」
「ーー甘いっ! ……なにーーああああ!!」
「甘いのはあんたよーー気づけええええ!!」
アルラーネの攻撃を避け続け、電光石火で懐に潜り込んでからそれを先読みして弾を放ったようだがしかし。
私はそれをも先読みしてまた電光石火で消え、アルラーネの背後を完璧にとって剣を振った。
剣に魔力を流し強化した、その一振りーー。
私のたった一振りで、アルラーネの結界はガラスのように割れ、割れた際に発生した爆風に耐えきれず転がっていく。
「ーー大概にしておけ……と、リリーなら言いそうだけど。私は違うわよーーアルラーネ」
「……何を言って……いるんだお前は」
アルラーネに詰め寄り、フラフラと立ち上がるその最中に、剣と鞘を持ち替えて鞘で腹を一突きする。
アルラーネは吐血する。
「……ありがとう、アルラーネ……。あなたのおかげで、私……私…………っ!」
「……がはっ! ……な、泣くなアリアータ……。私も……演技が過ぎたようだ。お前に、強制脱退の真意を伝えずに、冷たさを装って……がはっがはっ!」
「でも……私……!」
前に倒れてきたアルラーネを抱える。
アルラーネは顎を私の肩に乗せ、喋りながら何度も吐血する。
「ーーお姉様! もう喋ってはーー」
「ネネ、シュート! 今すぐ何処かへ消えた睡蓮を連れて来なさい! あれならあれくらいの負傷、すぐ治せるからっ!」
「私も探してくる! どんな顔!?」
「美人!」
「分かるかああああ!!」
観客席では、アルバータが姉であるアルラーネを心配し、泣き崩れそうになっているが、それを抱きとめながらネネとシュートを動かすリリーの姿がある。
ガリレオちゃんが、リリーに睡蓮さんの顔を聞いてすぐに突っ込む様子もあった。
「ハハッ……楽しそうだな」
「楽しい……かな。最高に……」
「そうか……。アリアータ……強制脱退させた理由は、お前を『クイーン』に留めておくには惜しい存在だったからだ。剣術のみで、高魔力保有者に同等もしくはそれ以上に戦うお前はどこまでも高く昇れそうで、だが、高く昇っているはずなのに月は輝かなくて……がはっ。だから、その輝きを手にして欲しくて…………追い出した。冷たく、冷酷にするしか私には……無かったあ……すまない、すまない、すまない……すまない……ううっ! うぐぐっ!」
私を強制脱退させた理由が今、やっと分かった。
アルラーネが何故、泣いているのか。それは私には分からない。
ただ分かったことが一つーーアルラーネは、リリーと同じ思考の持ち主であり、性格が正反対であると。
アルラーネは泣きながら、私を強く抱きしめてくる。
私が抱きしめ返すと、とうとう感情爆発と言ったところだろう。アルラーネは声を大にしてしまう。
「馬鹿なのは……本当は私だったあ! アリアータ! 私はどうお前に謝れば良い! どう私は……立ち上がれば良いい!? 分からない……私は馬鹿で不器用だから……何も分からないんだああ!」
「良いじゃないそれで……。別に、謝って欲しくてここに来た訳じゃないし。私はーーやっと輝けたと見せに来ただけだから」
「妹のように可愛いかった。ずって『クイーン』で、私の元でお前の成長を見ていたかった! なのに、どうしてこうなったのか分からない! 私は姉失格だ……!」
「失格じゃない。私があんたを、姉と認め続ける限りね? あんたは私の姉よ……それはどうであれ変わらない。私には親も兄弟もいないーーだから、あんたが一番家族みたいなものよアルラーネ? だから……私も……わた、しも……ごめん……ごめんね……ごめんねーーアルラーネエエ!!」
「私も悪かったああ! アリアーターー強く、なったな……うああああ!!」
私とアルラーネの泣き叫ぶ声が、闘技場に響き渡る。
どれだけ恥ずかしい光景なのかは、想像せずとも分かる。
もう子供でない年頃の女が二人、ズタボロの姿で抱きしめ合いながら大泣きしているなんてーー子供に笑われても文句の言えない光景だ。
それでもーー笑い声は聞こえてこない。
聞こえてきたのはーー大勢の、揃った拍手だった。
落ち着いてきた私達は、鼻を啜り、涙を拭い、顔を上げて一周見渡してみると、そこでは大勢の観客達が立ち上がり拍手している。
「ーーあんた達! 最高だったわよーーまあ、そんなところだろうと思ってたけどアルラーネ? あんた、大切にしなさいよ妹二号を。じゃないと、私が今度は吐血できないほどに殺してあげるんだからっ!」
大勢の観客の中で、金髪の強い女の子が、ジャンプして降りてきた。
リリー……私達のリーダー。カルシャーナ・リリー。
リリーは私とアルラーネの元へ来ると、私達の手を取って握らせる。
「はい、勝負は終わり。どっちが勝ちかくらいーー分かってるわよね、アルラーネ?」
「……アッハハハハッ! ああ、分かっているさ」
「アルラーネ……」
「ーーこれにて、バトルロイヤルは終了とする! 私率いる『クイーン』は、このバトルロイヤル、敗北したとして去るとしよう!! そしてここにーー」
私達の勝利が確定した。
アルラーネが敗北を認めたからだ。
これで万事解決ーー私の強制脱退の真意もしれ、ギルド設立前の初陣も良い成績を残して終わり、壊れた集会場の床の修理費用も手にできる。
だがーーだがしかし。
私達は何かまだ、忘れている気がする。
ーーと、その時。
私とリリーが咄嗟に反応して、アルラーネを守り結界で何者かの攻撃を跳ね返した。
二人して、結界にヒビを入れられてしまった。強い、強いどころかーー化物!
「ーーローズ!!」
リリーが叫ぶ。
闘技場にある時計塔。その針に一人座るローズ。
紅薔薇を片手に持ち、どう攻撃を仕掛けてきたのか、全く理解できないそんな状態のローズは、距離はあるが笑ったのを私は目にできた。
「『クイーン』を倒す……中々面白い試合ありがとう。さて、では私がここに居る理由は? 想像ついているみたいですねえ、リリー?」
「ローズ! 何を宣言するつもりよっ!」
「ーーバトルロイヤルは今年を持って終了。これはまあ、前置きーー本命は……『聖杯戦争の開戦と戦争参加者の冒険者指名』です」
「……!」
「え……」
「まじかよ……」
「来るのか……っ!」
「お姉様……」
バトルロイヤルが今年で終了するだけでもかなり衝撃を受けた私達だった。
だが、それだけでは済まなかった。
ローズは、はっきりと宣言したのだ。
ーー伝説の三大秘宝『聖杯』を掛けた世界大戦。
ーー『聖杯戦争』の開戦を宣言したのだった。
「ちなみに、国から選ばれるのは数名。そして、選ばれたメンバーは既にここに揃っています。まず、リリー率いる一行ーーリリー、ネネ、シュート、アリアータ。そして『クイーン』からアルラーネ、アルバータ。そして最後にガリレオーーああ、失礼。一人忘れていましたあ……最後にーー私、ローズが参加の九人。そして『聖杯戦争』では、死ぬ可能性が十分にあり、また、開戦までは少し時が空く。ため、この期間に強くなってくださいーー失礼承知で申し上げますが…………あなた達では、良く言えば、まだまだ世界に通用しません。悪く言えば犬の糞以下」
アルバータはリリーに戦闘不能にまで叩きのめされ、観客席で手を取りあう。
またリリーには、新しい友達ができたように見えた。
それを余所見と言うのなら、今の私はアルラーネと戦いながらも余所を見ることができる程の余裕に満ちている。
「ーー余所見して、死にたいのかっ!」
「そう言ってーー殺そうとしないじゃない!」
アルラーネの放つ弾を、私は踊るように避けていく。
剣術で弾を一刀両断できる人間がいる。だがそれは、本の中だけであり、実際のところ弾を一刀両断できる人間が居るのならーーその者が世界最強になっていないとおかしい。
近距離武器と遠距離武器では断然、後者の方が有利であり勝率は段違いに高い。
そんな後者の攻撃を、前者が余裕で防げるのなら、向かうところ敵なしどころか、向かうところ雑魚のみなのだから。
「避けるばかりでは話にならないぞアリアータ」
「アルラーネ、あんたは知らないでしょうけどーー剣術で弾を切ることは不可能なの。それができたらどんだけ楽かーーそれでも近距離武器には近距離武器の戦い方がある」
「避けてばかりで戦いもくそも無い! 攻撃してきてみろ!」
「じゃあーーお言葉に甘えて!」
「ーーなっ!?」
「隙……あり」
アルラーネが一瞬、発砲をやめた数秒で私は飛び掛かった。
足から電気が走り、周りの景色がぼやけた。
それは電光石火ーー魔力を足に充填させて、一気に放つ魔法。
私はこの時を待っていた。避けて避けてーー機会を伺いながら魔力の充填時間を稼いでいたのだ。
魔法適正値の低い私だが、今はリリーの力もあり、私の魔力は限界突破の域にいる。
だからこそできた奇跡と言える。
私はアルラーネの懐に潜り込むと、結界を剣で横薙ぎ払いでぶつける。
結界にヒビが入り、衝撃でアルラーネは吹き飛ぶ。
「……ううっ! 馬鹿な……」
「意外そうね、まあ、私自身意外だった。半分死んだような境地に居ながらも今こうして立って、あんたを圧倒していることが」
「圧倒などされていない」
「されているわよ? ほら」
「何を言って……これはっ!?」
「ディバインド・クロスーー魔力で生成した小型投剣で十字を結びあんたを封じ込める。動けないでしょ、アルラーネ」
本来の私では使えない魔法が今は使える。
バインド系では有名な技だが、あまり使う者はいないだろう。
そもそも、バインド系で有名な理由は生成術を身に着けていないと使えない珍しい術だからで、一般的ではない。
この生成術ーーリリーのもので間違いない。
シャイニングソードから私に浴びせられた光は、リリーの魔力が流れていたと推測すれば、何でもかんでも魔法をバンバン使う異常な物と合致する。
つまりこれはーー。
「ーー共闘よ! アリアータ!」
「……リリー」
リリーがそう叫ぶ。
自分の魔力が私にいき、そして混ざっていることを知っていた。
リリーは観客席で、それはそれは大人数引き連れて私とアルラーネの最終決戦を見ている。
リリーは本当に、人に好かれる才能を持っている。
仲間ーー友達ーー。
一体、何人作れば気が済むのやらと思える。
「何を笑っている」
「うちのリーダーが、どんどん前に進んでいくなーって」
「背を追えないか」
「いーや? むしろ、追い続けてあわよくば抜くわよ。それでも抜けないのが私達のリーダーよアルラーネ、あんたと正反対の馬鹿よっ!」
「ーー甘いっ! ……なにーーああああ!!」
「甘いのはあんたよーー気づけええええ!!」
アルラーネの攻撃を避け続け、電光石火で懐に潜り込んでからそれを先読みして弾を放ったようだがしかし。
私はそれをも先読みしてまた電光石火で消え、アルラーネの背後を完璧にとって剣を振った。
剣に魔力を流し強化した、その一振りーー。
私のたった一振りで、アルラーネの結界はガラスのように割れ、割れた際に発生した爆風に耐えきれず転がっていく。
「ーー大概にしておけ……と、リリーなら言いそうだけど。私は違うわよーーアルラーネ」
「……何を言って……いるんだお前は」
アルラーネに詰め寄り、フラフラと立ち上がるその最中に、剣と鞘を持ち替えて鞘で腹を一突きする。
アルラーネは吐血する。
「……ありがとう、アルラーネ……。あなたのおかげで、私……私…………っ!」
「……がはっ! ……な、泣くなアリアータ……。私も……演技が過ぎたようだ。お前に、強制脱退の真意を伝えずに、冷たさを装って……がはっがはっ!」
「でも……私……!」
前に倒れてきたアルラーネを抱える。
アルラーネは顎を私の肩に乗せ、喋りながら何度も吐血する。
「ーーお姉様! もう喋ってはーー」
「ネネ、シュート! 今すぐ何処かへ消えた睡蓮を連れて来なさい! あれならあれくらいの負傷、すぐ治せるからっ!」
「私も探してくる! どんな顔!?」
「美人!」
「分かるかああああ!!」
観客席では、アルバータが姉であるアルラーネを心配し、泣き崩れそうになっているが、それを抱きとめながらネネとシュートを動かすリリーの姿がある。
ガリレオちゃんが、リリーに睡蓮さんの顔を聞いてすぐに突っ込む様子もあった。
「ハハッ……楽しそうだな」
「楽しい……かな。最高に……」
「そうか……。アリアータ……強制脱退させた理由は、お前を『クイーン』に留めておくには惜しい存在だったからだ。剣術のみで、高魔力保有者に同等もしくはそれ以上に戦うお前はどこまでも高く昇れそうで、だが、高く昇っているはずなのに月は輝かなくて……がはっ。だから、その輝きを手にして欲しくて…………追い出した。冷たく、冷酷にするしか私には……無かったあ……すまない、すまない、すまない……すまない……ううっ! うぐぐっ!」
私を強制脱退させた理由が今、やっと分かった。
アルラーネが何故、泣いているのか。それは私には分からない。
ただ分かったことが一つーーアルラーネは、リリーと同じ思考の持ち主であり、性格が正反対であると。
アルラーネは泣きながら、私を強く抱きしめてくる。
私が抱きしめ返すと、とうとう感情爆発と言ったところだろう。アルラーネは声を大にしてしまう。
「馬鹿なのは……本当は私だったあ! アリアータ! 私はどうお前に謝れば良い! どう私は……立ち上がれば良いい!? 分からない……私は馬鹿で不器用だから……何も分からないんだああ!」
「良いじゃないそれで……。別に、謝って欲しくてここに来た訳じゃないし。私はーーやっと輝けたと見せに来ただけだから」
「妹のように可愛いかった。ずって『クイーン』で、私の元でお前の成長を見ていたかった! なのに、どうしてこうなったのか分からない! 私は姉失格だ……!」
「失格じゃない。私があんたを、姉と認め続ける限りね? あんたは私の姉よ……それはどうであれ変わらない。私には親も兄弟もいないーーだから、あんたが一番家族みたいなものよアルラーネ? だから……私も……わた、しも……ごめん……ごめんね……ごめんねーーアルラーネエエ!!」
「私も悪かったああ! アリアーターー強く、なったな……うああああ!!」
私とアルラーネの泣き叫ぶ声が、闘技場に響き渡る。
どれだけ恥ずかしい光景なのかは、想像せずとも分かる。
もう子供でない年頃の女が二人、ズタボロの姿で抱きしめ合いながら大泣きしているなんてーー子供に笑われても文句の言えない光景だ。
それでもーー笑い声は聞こえてこない。
聞こえてきたのはーー大勢の、揃った拍手だった。
落ち着いてきた私達は、鼻を啜り、涙を拭い、顔を上げて一周見渡してみると、そこでは大勢の観客達が立ち上がり拍手している。
「ーーあんた達! 最高だったわよーーまあ、そんなところだろうと思ってたけどアルラーネ? あんた、大切にしなさいよ妹二号を。じゃないと、私が今度は吐血できないほどに殺してあげるんだからっ!」
大勢の観客の中で、金髪の強い女の子が、ジャンプして降りてきた。
リリー……私達のリーダー。カルシャーナ・リリー。
リリーは私とアルラーネの元へ来ると、私達の手を取って握らせる。
「はい、勝負は終わり。どっちが勝ちかくらいーー分かってるわよね、アルラーネ?」
「……アッハハハハッ! ああ、分かっているさ」
「アルラーネ……」
「ーーこれにて、バトルロイヤルは終了とする! 私率いる『クイーン』は、このバトルロイヤル、敗北したとして去るとしよう!! そしてここにーー」
私達の勝利が確定した。
アルラーネが敗北を認めたからだ。
これで万事解決ーー私の強制脱退の真意もしれ、ギルド設立前の初陣も良い成績を残して終わり、壊れた集会場の床の修理費用も手にできる。
だがーーだがしかし。
私達は何かまだ、忘れている気がする。
ーーと、その時。
私とリリーが咄嗟に反応して、アルラーネを守り結界で何者かの攻撃を跳ね返した。
二人して、結界にヒビを入れられてしまった。強い、強いどころかーー化物!
「ーーローズ!!」
リリーが叫ぶ。
闘技場にある時計塔。その針に一人座るローズ。
紅薔薇を片手に持ち、どう攻撃を仕掛けてきたのか、全く理解できないそんな状態のローズは、距離はあるが笑ったのを私は目にできた。
「『クイーン』を倒す……中々面白い試合ありがとう。さて、では私がここに居る理由は? 想像ついているみたいですねえ、リリー?」
「ローズ! 何を宣言するつもりよっ!」
「ーーバトルロイヤルは今年を持って終了。これはまあ、前置きーー本命は……『聖杯戦争の開戦と戦争参加者の冒険者指名』です」
「……!」
「え……」
「まじかよ……」
「来るのか……っ!」
「お姉様……」
バトルロイヤルが今年で終了するだけでもかなり衝撃を受けた私達だった。
だが、それだけでは済まなかった。
ローズは、はっきりと宣言したのだ。
ーー伝説の三大秘宝『聖杯』を掛けた世界大戦。
ーー『聖杯戦争』の開戦を宣言したのだった。
「ちなみに、国から選ばれるのは数名。そして、選ばれたメンバーは既にここに揃っています。まず、リリー率いる一行ーーリリー、ネネ、シュート、アリアータ。そして『クイーン』からアルラーネ、アルバータ。そして最後にガリレオーーああ、失礼。一人忘れていましたあ……最後にーー私、ローズが参加の九人。そして『聖杯戦争』では、死ぬ可能性が十分にあり、また、開戦までは少し時が空く。ため、この期間に強くなってくださいーー失礼承知で申し上げますが…………あなた達では、良く言えば、まだまだ世界に通用しません。悪く言えば犬の糞以下」
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