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Karte10:ただいまです 後編
第41話 ただいまです!
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「……あっという間だった」
薬師協会の建物を出た私は更新手続きが終わり、新たに交付された薬師免状を手に呆然としました。だって免状の更新手続きが予想以上に簡単だったんだから。
「てっきり、講習とか試験があると思ってたよ……」
免状の更新手続きはいたってシンプルでした。申請書に署名をして現免状と一緒に窓口に提出するだけ。10分も待てば新しい免状が交付されました。
新しく交付された免状には更新前のやつとは違い、私の名前の横に勤務する薬局名が記載されていました。薬局名は「ガーバット薬局」。もちろん師匠のお店のことです。今更だけど、書類上は師匠があの店の主で私はあくまで師匠の店に雇われた薬師なんです。まぁそれは表向きの話であって、本当は私が早く独り立ちできるように師匠が考えた“抜け道”なんだけどね。
「それにしても、この為だけに王都に来たなんて……」
商売道具の為とはいえ、片道10日も掛けて来るほどのことなのかと疑問を呈したくなります。私は片道10日で済んだけど、ここに来るだけで1カ月以上掛かる人だっているはず。そう考えると毎年の更新は廃止にするべきと思うのは私だけかな。
「とりあえず、やることはやったから後は――」
「……ソフィー?」
「え?」
「やっぱりソフィーじゃないか!」
「師匠⁉」
背後からする声に振り返るとそこにいたのは師匠でした。手に大きな紙袋を持っているところを見るとどうやら市場に行った帰りみたい。
「師匠どうしてここに?」
「それは僕のセリフだよ。なんでキミが王都に?」
「免状の更新です。ほら、ちゃんと更新できましたよ」
「それは良かった……え、更新のために王都まで来たのかい?」
「は、はい。え?」
「更新だけなら協会支部でも出来るよ。たしかセント・ジョーズ・ワートにも支部はあったはずだけど――」
「えぇ⁉」
「その様子だと知らなかったみたいだね」
「知りませんよ! そもそもそんなこと誰も――」
「免状の裏、見てごらん」
「え?」
師匠に促され、免状の裏面に目を通してみると注意書きの一番下。それも他の文字より一回り小さい字で“免状の更新のみは各支部で出来ます”と書いてありました。え、こんな但し書き初めて見たんですけど……
「交付されたときにちゃんと裏まで見ないからだよ」
「うぅ~なんも言えない」
「でもまぁ、おかげで帰って来れたんじゃないかい?」
「はいっ。ほんとはすぐに村へ戻るつもりだったんですけど、エドたちがせっかくだから顔くらい見せて来いって」
「そうかい。ならエド君たちに感謝しないとね」
「はい。師匠、もしかして寝不足なんじゃないですか。顔色悪いですよ」
「え? あ、ああ。ちょっと忙しくてね」
「もう。ちゃんと寝なきゃダメですよ」
「善処するよ。それより、おかえり。ソフィー」
「はいっ。ただいまです!」
「さ、帰ろう。久しぶりにキミの大好きなアレ、作ってあげるよ」
「やった!」
「こ、こら。急に抱き着かない」
「エヘヘ。師匠大好きですっ」
人目をはばからず師匠の腕に抱きつく私。そんな私を呆れながらも受け止めてくれる師匠。やっぱり大好きな師匠に会えるのは嬉しくて里帰りの時間をくれたエドたちに感謝する私でした。
薬師協会の建物を出た私は更新手続きが終わり、新たに交付された薬師免状を手に呆然としました。だって免状の更新手続きが予想以上に簡単だったんだから。
「てっきり、講習とか試験があると思ってたよ……」
免状の更新手続きはいたってシンプルでした。申請書に署名をして現免状と一緒に窓口に提出するだけ。10分も待てば新しい免状が交付されました。
新しく交付された免状には更新前のやつとは違い、私の名前の横に勤務する薬局名が記載されていました。薬局名は「ガーバット薬局」。もちろん師匠のお店のことです。今更だけど、書類上は師匠があの店の主で私はあくまで師匠の店に雇われた薬師なんです。まぁそれは表向きの話であって、本当は私が早く独り立ちできるように師匠が考えた“抜け道”なんだけどね。
「それにしても、この為だけに王都に来たなんて……」
商売道具の為とはいえ、片道10日も掛けて来るほどのことなのかと疑問を呈したくなります。私は片道10日で済んだけど、ここに来るだけで1カ月以上掛かる人だっているはず。そう考えると毎年の更新は廃止にするべきと思うのは私だけかな。
「とりあえず、やることはやったから後は――」
「……ソフィー?」
「え?」
「やっぱりソフィーじゃないか!」
「師匠⁉」
背後からする声に振り返るとそこにいたのは師匠でした。手に大きな紙袋を持っているところを見るとどうやら市場に行った帰りみたい。
「師匠どうしてここに?」
「それは僕のセリフだよ。なんでキミが王都に?」
「免状の更新です。ほら、ちゃんと更新できましたよ」
「それは良かった……え、更新のために王都まで来たのかい?」
「は、はい。え?」
「更新だけなら協会支部でも出来るよ。たしかセント・ジョーズ・ワートにも支部はあったはずだけど――」
「えぇ⁉」
「その様子だと知らなかったみたいだね」
「知りませんよ! そもそもそんなこと誰も――」
「免状の裏、見てごらん」
「え?」
師匠に促され、免状の裏面に目を通してみると注意書きの一番下。それも他の文字より一回り小さい字で“免状の更新のみは各支部で出来ます”と書いてありました。え、こんな但し書き初めて見たんですけど……
「交付されたときにちゃんと裏まで見ないからだよ」
「うぅ~なんも言えない」
「でもまぁ、おかげで帰って来れたんじゃないかい?」
「はいっ。ほんとはすぐに村へ戻るつもりだったんですけど、エドたちがせっかくだから顔くらい見せて来いって」
「そうかい。ならエド君たちに感謝しないとね」
「はい。師匠、もしかして寝不足なんじゃないですか。顔色悪いですよ」
「え? あ、ああ。ちょっと忙しくてね」
「もう。ちゃんと寝なきゃダメですよ」
「善処するよ。それより、おかえり。ソフィー」
「はいっ。ただいまです!」
「さ、帰ろう。久しぶりにキミの大好きなアレ、作ってあげるよ」
「やった!」
「こ、こら。急に抱き着かない」
「エヘヘ。師匠大好きですっ」
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