壊れた空に白鳥は哭く

沈丁花

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決断と番うとき

初めて①

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番う前の運命の相手を前にした時、突発的にヒートに陥ることは珍しくない。アルの場合、先程安心した瞬間にプツリと糸が切れたのだろう。

…むしろよくここまで陥らなかったと、驚くべきことでさえある。

アランは一気に強くなったアルの香にあてられて、消えゆく理性の中なんとか彼を部屋まで運んだ。

真っ赤になって震えているアルの身体をベッドに横たえると、ぼすっと大きな音がした。

優しく優しくと思うのに、どうにもうまくコントロールが効かない。

運命の番のヒート相手に普段服用している量の抑制剤など、全く意味をなさないのだと理解する。

「…お願いっ…、今日はっ…!これっ…、ほしいっ!!」

アルの手がアランの昂りに触れる。すでにそこは痛いほどに隆起しており、α特有の凶暴なまでの雄棒はスーツ越しにくっきりと形を表していて。

息絶え絶えに、潤んだ瞳で要求されればもう、アランの理性も限界だった。

「…あんまり煽らないで欲しい。」

耐えきれず、艶っぽい唇を貪るように吸っていく。火照って真っ赤になった唇は、ぷちゅ、と音を立てアランの唇に吸い付いた。

「ふぅっ…、ぁっ… 」

くちゅくちゅと淫らな音を立てながら、互いの口内を貪るように侵していく。

アランは憔悴しながらもなんとかボタンを全て外し、アルの身体からシャツを剥がした。

アルの口からひどく色っぽい吐息が漏れた。妖艶に晒された彼の上半身は、手で触るとひどく滑らかで。

こんなに華奢で滑らかな腕が、あの鍛え上げられたユリアンの動きを止めたことが信じられない。

ヨルやヴィクターには顕著でないが、一般にΩの男性の身体はαの男性より一回り小さい。それでも誰かを守るほど、彼は強くなるために努力したのだろう。

その身体がどうしようもなく愛おしくて、口付けながら、首、肩、鎖骨…と全ての部位を優しくなぞった。

「やっ…ぁっ…

もっ…、挿れるっ…!!」

閉じていた瞳を開き、アルが切なげに声を漏らした。猫のように大きなオッドアイは、涙に濡れ、アランを上目遣いにのぞいている。

「だからっ…、煽らないっ!」

仕草の一つ一つに煽られる。アルの下半身をあらわにすると、中からは溢れんばかりの蜜がどろりと下着を濡らしていた。

「こんなに、出るのか。」

「見な、…で…。恥ずかし… っ」

早く欲しいと言いながら、隠そうとする姿も愛おしい。この蜜が自分を受け入れるために溢れたものだと思うと、情欲はより一層そそられて。

力なく自分の孔を覆った手のひらをそっとどかし、ふわりと雲のようなキスをした。

くちゅ、と音を立て、洪水の原泉へとアランの指が飲み込まれていく。存外大量の蜜に絡められ、ずぶずぶとなんの抵抗もなく3本の指が受け入れられた。

「いやっ…ぁんっ…、はぁっ…ぅっ… 」

痛くないようにと解すのに、アルは早く早くと雄をねだってくる。

ある程度広がったところでやっと彼を四つん這いにさせ、自らの性器を取り出した。

「やだっ、顔見たいっ…!」

熱っぽい声で言われ、流石に我慢の限界を迎える。自分と比べると華奢な体躯に腕を回し、前を向けた。

両手で足を割り開けば、開いた反動でとぷんと蜜が溢れる。

胸部についたピンク色の突起もまた、ひどく妖艶に映って。

不意に、アルの唇が何か言いたげに動いた。

何かと思って観察すると、彼は各々の手をアランの手のひらに近づけて、閉じたり開いたりを繰り返している。

「握っていて欲しいのか…?」

こくり、とわずかに彼の首が上下する。だから入り口に性器を添えた後、望まれるままに両手をつないだ。

「痛かったら、言って欲しい。」

念を押し、滑らかな足の間、蜜の溢れ出す源泉へと自らを埋め込んで行く。
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