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記憶と出会い④
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シャワーを浴びて大学に戻った後、講義室には友人の三澤が座っていた。
「おはよ、礼人。」
「うん、おはよ。」
前から2番目の中央の席。大抵礼人は黒板がよく見えて先生の声もよく聞こえるこの位置に座る。
三澤と仲良くなったのも、この席に座るのが礼人と三澤くらいだからだ。
三澤は少しだるそうに伸びをして、それから礼人の前に課題のプリントを出してみせる。
昨日何時間かけても最後だけ解けずに諦めた課題だ。
「これわかった?なんか、昨日翔が難しいって言っててさ。」
「翔が?」
思わず聞き返す。
一原翔は礼人と三澤の友人で、数学物理に関してはおそらく学科一優秀な学生だ。
「うん。」
「通りで解けなかったわけだ…。昨日レポート用紙がこんなに真っ黒になるまで解けなくて……あれ。」
何時間も粘った功績として消しゴム跡で黒くなったレポートを三澤に見せようと、礼人はリュックのファイルからレポートを取り出す。
しかしレポートをもう一度見た瞬間、礼人は素っ頓狂な声を漏らした。
意味がわからない。
途中まで書いた消しゴム跡だらけの黒い解答に、とても綺麗な誰かの筆跡で続きが書かれている。
それは明らかにその問題の答えで、でも教科書にも授業ノートにも解き方も公式も書いていなかったから、礼人が書けるはずもなかった。
「なになに、どうした?そんなお化けでも見たような顔して。」
驚いて固まる礼人の顔を、三澤が覗き込んでくる。
お化け、という言葉に、礼人は本当にお化けだったらどうしようかと涙目になった。
やっぱり夜中の学校になんて泊まるものじゃない。
「…お化けっているかな?レポートの続きを書いてくれるお化け…。」
「ちょ、泣くなって。いきなり何言ってんだ。いるわけないだろ。そんな都合の良いお化け、もしいたら仲良くなりたいけどな。」
「だよね…。…でもさ、昨日夜中解けなかったはずのレポートに自分以外の筆跡で答えが書かれてることって、あるかな…?」
“うーん”、と三澤が何か考えるように腕を組み、礼人の手元を覗き込む。
「お化けよりはその場にいた誰かが書いたって考える方が自然じゃないか?…それにしてもこの筆跡、見たことある気がするんだよなー…。」
「そっか。親切な人もいるんだね。お化けじゃなくてよかったあ…。」
“誰かは気にならないのかよ!!”、という三澤の言葉に頷き、礼人は黒板に目をやった。
そろそろ授業が始まる。
成績が良い方ではないが、授業や勉強は好きだ。
「おはよ、礼人。」
「うん、おはよ。」
前から2番目の中央の席。大抵礼人は黒板がよく見えて先生の声もよく聞こえるこの位置に座る。
三澤と仲良くなったのも、この席に座るのが礼人と三澤くらいだからだ。
三澤は少しだるそうに伸びをして、それから礼人の前に課題のプリントを出してみせる。
昨日何時間かけても最後だけ解けずに諦めた課題だ。
「これわかった?なんか、昨日翔が難しいって言っててさ。」
「翔が?」
思わず聞き返す。
一原翔は礼人と三澤の友人で、数学物理に関してはおそらく学科一優秀な学生だ。
「うん。」
「通りで解けなかったわけだ…。昨日レポート用紙がこんなに真っ黒になるまで解けなくて……あれ。」
何時間も粘った功績として消しゴム跡で黒くなったレポートを三澤に見せようと、礼人はリュックのファイルからレポートを取り出す。
しかしレポートをもう一度見た瞬間、礼人は素っ頓狂な声を漏らした。
意味がわからない。
途中まで書いた消しゴム跡だらけの黒い解答に、とても綺麗な誰かの筆跡で続きが書かれている。
それは明らかにその問題の答えで、でも教科書にも授業ノートにも解き方も公式も書いていなかったから、礼人が書けるはずもなかった。
「なになに、どうした?そんなお化けでも見たような顔して。」
驚いて固まる礼人の顔を、三澤が覗き込んでくる。
お化け、という言葉に、礼人は本当にお化けだったらどうしようかと涙目になった。
やっぱり夜中の学校になんて泊まるものじゃない。
「…お化けっているかな?レポートの続きを書いてくれるお化け…。」
「ちょ、泣くなって。いきなり何言ってんだ。いるわけないだろ。そんな都合の良いお化け、もしいたら仲良くなりたいけどな。」
「だよね…。…でもさ、昨日夜中解けなかったはずのレポートに自分以外の筆跡で答えが書かれてることって、あるかな…?」
“うーん”、と三澤が何か考えるように腕を組み、礼人の手元を覗き込む。
「お化けよりはその場にいた誰かが書いたって考える方が自然じゃないか?…それにしてもこの筆跡、見たことある気がするんだよなー…。」
「そっか。親切な人もいるんだね。お化けじゃなくてよかったあ…。」
“誰かは気にならないのかよ!!”、という三澤の言葉に頷き、礼人は黒板に目をやった。
そろそろ授業が始まる。
成績が良い方ではないが、授業や勉強は好きだ。
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