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お昼のデートと急な告白②
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__グラスを出したのに飲み物を出していないなんて…。
「飲み物、持ってきます。」
そう言って立ち上がり、緑茶にコーラ、ファンタ、レモネード、炭酸水、烏龍茶など到底消費しきれない量の1Lボトルを胸に抱える。
何が正解かわからず昨日大量に購入した末路だ。
「…わっ!!」
なぜ一度に持ってこようとしたのか、というツッコミはしたところでもう遅い。
一歩踏み出した途端に重みのせいで盛大に足を滑らせてしまった。
そのままペットボトルがばらばらと床に散らばる。
「びっくりした…わっ!!。」
散らばったペットボトルの上に仰向けに寝転がる、というなんとも間抜けな格好から立ち上がろうとした礼人は、さらに足を滑らせもう一度転んでしまった。
「大丈夫ですか?」
「えっ?…あっ…。」
低い声が鼓膜を震わせ、顔を上げると北瀬がこちらを心配そうにのぞいていた。
“立てますか?”という声とともにすっと彼の手が差し出され、その手に自らの手を重ねれば、彼が立ち上がるのを助けてくれる。
立ち上がった時、驚くほど彼の顔が近くて礼人は顔を上げた状態のまま固まった。
あのような醜態を晒したことが本当に恥ずかしいし、それに北瀬が格好良すぎてどうにかなりそうで。
ばくばくと心臓がありえないくらいうるさく鳴りだす。
北瀬のことを好きだと自覚してから、礼人の心臓は時々おかしい。
「怪我はありませんか?」
「あの、…はい…。」
「よかったです。」
励ますようにぽんと礼人の頭に手のひらを置いてから、北瀬は全てのペットボトルをテーブルまで運んでくれた。
まだ心臓が落ち着かないまま、再び北瀬と向かい合わせに座る。
「食べてもいいですか?」
尋ねられ、ハッとした。頭が真っ白になっていつの間にかフリーズしてしまっていたらしい。
「はいっ!のみものもご自由に…。」
「ありがとうございます。いただきます。」
「いただきます。」
北瀬が器用にフォークにパスタを絡ませ、長い髪を耳にかけながら口に含む、その様子がとても綺麗で礼人はつい見惚れてしまった。
「…もしかして、こっちの方が好きでしたか?」
北瀬が食べていた手を止め不思議そうに問いかける。
「えっ、あっ…、違います!むしろこっちの方が好きです。」
__…いけない、また固まっちゃってた…。
慌ててフォークを手に取って、礼人は目の前のカルボナーラを口に含んだ。
滑らかで舌触りが良く、とても美味しい。
「飲み物、持ってきます。」
そう言って立ち上がり、緑茶にコーラ、ファンタ、レモネード、炭酸水、烏龍茶など到底消費しきれない量の1Lボトルを胸に抱える。
何が正解かわからず昨日大量に購入した末路だ。
「…わっ!!」
なぜ一度に持ってこようとしたのか、というツッコミはしたところでもう遅い。
一歩踏み出した途端に重みのせいで盛大に足を滑らせてしまった。
そのままペットボトルがばらばらと床に散らばる。
「びっくりした…わっ!!。」
散らばったペットボトルの上に仰向けに寝転がる、というなんとも間抜けな格好から立ち上がろうとした礼人は、さらに足を滑らせもう一度転んでしまった。
「大丈夫ですか?」
「えっ?…あっ…。」
低い声が鼓膜を震わせ、顔を上げると北瀬がこちらを心配そうにのぞいていた。
“立てますか?”という声とともにすっと彼の手が差し出され、その手に自らの手を重ねれば、彼が立ち上がるのを助けてくれる。
立ち上がった時、驚くほど彼の顔が近くて礼人は顔を上げた状態のまま固まった。
あのような醜態を晒したことが本当に恥ずかしいし、それに北瀬が格好良すぎてどうにかなりそうで。
ばくばくと心臓がありえないくらいうるさく鳴りだす。
北瀬のことを好きだと自覚してから、礼人の心臓は時々おかしい。
「怪我はありませんか?」
「あの、…はい…。」
「よかったです。」
励ますようにぽんと礼人の頭に手のひらを置いてから、北瀬は全てのペットボトルをテーブルまで運んでくれた。
まだ心臓が落ち着かないまま、再び北瀬と向かい合わせに座る。
「食べてもいいですか?」
尋ねられ、ハッとした。頭が真っ白になっていつの間にかフリーズしてしまっていたらしい。
「はいっ!のみものもご自由に…。」
「ありがとうございます。いただきます。」
「いただきます。」
北瀬が器用にフォークにパスタを絡ませ、長い髪を耳にかけながら口に含む、その様子がとても綺麗で礼人はつい見惚れてしまった。
「…もしかして、こっちの方が好きでしたか?」
北瀬が食べていた手を止め不思議そうに問いかける。
「えっ、あっ…、違います!むしろこっちの方が好きです。」
__…いけない、また固まっちゃってた…。
慌ててフォークを手に取って、礼人は目の前のカルボナーラを口に含んだ。
滑らかで舌触りが良く、とても美味しい。
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