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悪夢と流れ星①
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「やめてっ!!!!!」
ベッドの上、つんざくような悲鳴で礼人は目を覚ました。
身震いするほどの寒さなのに、全身がびっしょりと汗をかいている。
「ぅ…。」
思わず呻き声が漏れた。ひどい動悸のせいで吐き気が止まらない。
口を押さえながらなんとか身体を起こし、ヘッドボードに置いた魔法瓶の中の冷水を一気に飲み干せば、吐き気や動悸は少しましになり、ひとまず息を吐いた。
「…またかあ…。」
やれやれと呟いた声がひどく掠れているのは、先ほどの悲鳴をあげたのが自分だったからだろう。
最近ずっとこうだ。
自分の悲鳴で飛び起きては、ひどく体調が悪い。そのくせ寝ている間にどんな夢を見ていたのかは全く思い出せない。
昔から寝付きは悪いが、それでも自分の悲鳴で起きるほどではなかったし、それに最近はだいたい眠りについてから2時間とたたずにこうして起きてしまう。
さらに慢性的な寝不足のせいで北瀬とのデート中に寝落ちしてしまうのだから、どうしようもなくタチが悪い。
「今何時だろ……あれ…?」
ひどい憂鬱を抱えながら時間を確認しようとスマホの電源を入れた礼人は、午前1時という表示の下にLINEの通知が表示されていることに気がつき声を上げた。
送り主は北瀬で、しかも送られてきた時間は今から3分前。こんな時間になんの用だろうかと首をかしげる。
“しぶんぎ座流星群、今年は例年より少し遅く、今日ピークを迎えるそうです。もしよろしければ一緒に観に行きませんか?折角晴れていますし、◯◯山からだととても綺麗に見えるんです。”
__流星群…一緒に…。
内容を見た礼人は目を輝かせ、即座に行きますと返事をした。星は好きだが、暗いところに1人でいることができないから、当然今まで流星群を見に行ったことなどない。
それに、思いがけず今から北瀬とデートができるのだ。なんという幸運だろうか。
“着替えて玄関で待っていてください。玄関まで迎えに行きます。”
北瀬からの返信を受け、寒いだろうからと暖かい服に着替える。
__…外に長くいるなら、あったかい飲み物とかあった方がいいかな…?
咄嗟の思いつきで夕食の残りのミネストローネを温めてスープポットに入れていると、ちょうど入れ終わったタイミングでチャイムが鳴った。
ドアを開けたその先に、厚着をした北瀬が微笑みを浮かべて立っている。
相変わらず言葉はないが、彼の瞳は優しく、差し出された手は温かで、礼人はこの静かな時間への愛しさを心の中でぎゅっと抱きしめた。
ベッドの上、つんざくような悲鳴で礼人は目を覚ました。
身震いするほどの寒さなのに、全身がびっしょりと汗をかいている。
「ぅ…。」
思わず呻き声が漏れた。ひどい動悸のせいで吐き気が止まらない。
口を押さえながらなんとか身体を起こし、ヘッドボードに置いた魔法瓶の中の冷水を一気に飲み干せば、吐き気や動悸は少しましになり、ひとまず息を吐いた。
「…またかあ…。」
やれやれと呟いた声がひどく掠れているのは、先ほどの悲鳴をあげたのが自分だったからだろう。
最近ずっとこうだ。
自分の悲鳴で飛び起きては、ひどく体調が悪い。そのくせ寝ている間にどんな夢を見ていたのかは全く思い出せない。
昔から寝付きは悪いが、それでも自分の悲鳴で起きるほどではなかったし、それに最近はだいたい眠りについてから2時間とたたずにこうして起きてしまう。
さらに慢性的な寝不足のせいで北瀬とのデート中に寝落ちしてしまうのだから、どうしようもなくタチが悪い。
「今何時だろ……あれ…?」
ひどい憂鬱を抱えながら時間を確認しようとスマホの電源を入れた礼人は、午前1時という表示の下にLINEの通知が表示されていることに気がつき声を上げた。
送り主は北瀬で、しかも送られてきた時間は今から3分前。こんな時間になんの用だろうかと首をかしげる。
“しぶんぎ座流星群、今年は例年より少し遅く、今日ピークを迎えるそうです。もしよろしければ一緒に観に行きませんか?折角晴れていますし、◯◯山からだととても綺麗に見えるんです。”
__流星群…一緒に…。
内容を見た礼人は目を輝かせ、即座に行きますと返事をした。星は好きだが、暗いところに1人でいることができないから、当然今まで流星群を見に行ったことなどない。
それに、思いがけず今から北瀬とデートができるのだ。なんという幸運だろうか。
“着替えて玄関で待っていてください。玄関まで迎えに行きます。”
北瀬からの返信を受け、寒いだろうからと暖かい服に着替える。
__…外に長くいるなら、あったかい飲み物とかあった方がいいかな…?
咄嗟の思いつきで夕食の残りのミネストローネを温めてスープポットに入れていると、ちょうど入れ終わったタイミングでチャイムが鳴った。
ドアを開けたその先に、厚着をした北瀬が微笑みを浮かべて立っている。
相変わらず言葉はないが、彼の瞳は優しく、差し出された手は温かで、礼人はこの静かな時間への愛しさを心の中でぎゅっと抱きしめた。
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