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第1章過去と前世と贖罪と
37・誘拐
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薄暗い廊下の中、私は逃げていた。
自分を追いかける何かから、必死で死に物狂いに逃げていた。
「務めを果たせ!!」
後ろから怒鳴り声のようにそんな言葉が響いてくる。
響いてくるが後ろを振り返る気にはなれない。
「どうして…!」
どうしてこんな重苦しいドレスを着ているのだろう。
履いている靴もハイヒールで動きにくい…。
即刻脱ぎ捨ててしまいたかったが、
まるで足に縫いつけられているように外せない。
「お前は逃げることも出来ない!!
この広大な世界でたった1人なのだ!!」
「嫌だ……!」
嫌だ、許して、ごめんなさい、私は―――。
そんな言葉が止めども無く現れては消える。
やがて行き止まりにたどり着いた。
私は半泣きになりながら後ろを振り返った。
そこには黒いモヤが積み重なった怪物が居た。
「あ、あぁ…」
私は絶望で胸が押しつぶされそうになった。
その時だった――。
「ぐぁぁぁ!!」
突如現れた光の矢がモヤに刺さると、
モヤはたちまち霧散してしまった。
突然のことに言葉が出ないでいると、
背後から1人の青年が現れた。
腰まである白髪、その長い髪を後ろで結んでおり、
毛皮のような服を身にまとっていた。
「あなたは…」
確か前にも夢の中で見た気がする…。
「取り戻せ」
「え?」
その時、青年がそう言った。
「取り戻せ、失ってしまう前に」
青年は強い意志を持った瞳でそう言った。
「それってどういう…」
その時、突然現れた猛吹雪が私の視界を遮る。
そして最後にこんな言葉が耳もとに届いた。
「これ以上続くと――手遅れになる」
◆
「ふぁぁ…おはよう」
いつも通り朝目覚めると、桶に入っている水で顔を洗う。
「なんか変な夢を見た気がします」
「変な夢?」
私は先に起きていたらしいガイにそう言う。
「なんか追いかけられて~、
で…あれ最後どうなるんでしたっけ?」
そう言うとガイが呆れた顔をした。
「お前の夢のことなんて俺が分かるはずないだろう」
「まぁそうですね」
「そんなことより、あいつ結局、帰ってこなかったな」
その時、私よりすでに起きていたらしいガイがそう言う。
「エドナさんですか?」
「だって帰ってきたら隣の部屋の様子で俺がわかるからさ。
あいつどこかで1泊でもしたんじゃないのか」
あの後、ギルドで別れてからエドナは夜になっても帰ってこなかった。
どうしたのかと思ったけど、まだ帰ってきていなかったなんて…。
「どうしたんでしょうか」
「ま、気にすんなよ。子供じゃないんだしさ。
案外良い男でもいて、そいつと寝てただけかもしれないぞ」
「エドナさんがですか?
それはないですよ。男性のことが苦手だって言ってましたし」
「まぁでも、何かあったって、あいつなら平気だろ」
「そうですね」
それから私はすっかりいつもの習慣になっているが、
幻惑魔法で金色の瞳を隠すと、
部屋を出て、朝食を食べに食堂に降りた。
「あ、おはようございます」
そうにこやかに言ってくれたのは、給仕係をしている青年だった。
「あの、エドナさんは帰ってきていますか?」
「いいえ、見かけていませんが」
「そうですか、教えてくれてありがとうございます」
それから1人で朝食を食べた。
朝食は私が調理法を教えたフレンチトーストだ。
この世界のパンは固いので、元の世界程美味しくは無いが、
牛乳に浸せば柔らかくなっておいしい。
ちなみに他の宿泊客には評判が良いらしく、
宿の人にお礼を言われた。
それを食べている間も私はどこか落ち着かなかった。
そういえばアアルに来てからというもの、
エドナと一緒に居なかった事は無かった気がする。
いつも傍らには彼女が居たし、
何か聞きたいことがあるといつも教えてくれた。
性格だって、外見だって似てないのに、
私とエドナは仲が良かった。
そんな彼女が突然居なくなっただけで、
どうしてこんなに不安に感じてしまうのだろうか。
朝食を食べると、足は自然とギルドの方に向かっていた。
浮かない顔のまま、ギルドの扉を開くと見たくもない顔がそこにあった。
「やぁ、セツナちゃん」
そうにこやかに言った緑髪の褐色肌の男を見た瞬間、
私はUターンしていた。
「ちょっと、どこ行くの?
用があって来たんじゃないの?」
「…エドナさんを見かけませんでしたか?」
「エドナさん? 彼女なら今日は見かけてないけど」
「そうですか…どこに行ってしまったんでしょうか」
「…何かあったの?」
「いえ、何かあったってわけではありませんけど、ただ昨日から姿が見えなくて、
だから少し心配になっているだけです」
そう言うと、ジャンは口元から笑みを消し、
真面目な顔をして言った。
「セツナちゃんは、エドナさんのことって好き?」
「友人としての意味でなら好きですよ。
それがどうしたんですか?」
「僕もセツナちゃんのことは好きだよ。
小さくて、可愛くて、守ってあげたくなるし、
でも彼女は違うと思うんだけどな」
「違うとは?」
「上手く言葉には出来ないけど、
エドナさんがセツナちゃんを助ける理由は、
そんな単純なものじゃない気がする。
彼女はさ。王都では知らぬ者は居ないぐらい有名な冒険者だけど、
同時にこうも呼ばれていたんだよ。イージスの魔女」
ん? それって前にエドナのステータスを見た時にあったような
そう思っていると次にジャンが言ったのは驚きの言葉だった。
「彼女は美しい人だったけど、同時にものすごく冷酷な人でさ」
「え?」
その言葉に私は耳を疑った。
「特に男性にはものすごく冷たいことで有名だった。
彼女は美しい人だったから、
言い寄ってくる男性はいっぱい居たみたいだけど、
みんなこっぴどく振られていったよ。
それはもう心を折られるぐらいに。
彼女に振られたせいで立ち直れなくなった男性は大勢居たみたいだよ」
「確かに今でも男性には冷たいですけど、私には優しいですよ」
「そこなんだよ。普通男性には冷たくても、
同じ女性や子供には優しかったりするものじゃない?
でも誰が話し掛けてきても同じだったって、
知り合いの冒険者が言ってたよ。
ずっと無表情で、無口で、感情を表に出すこともそんなに無かったって、
まるで無感情に魔物を倒す戦闘人形みたいだった言ってた」
「誰のことです。それ?」
感情の無い人形? エドナが?
でも彼女は普通に表情はコロコロ変わるし、笑うこともある。
とても人形なんかには思えない。
「いや、これは本当のことだよ。
それぐらいに冷たくて冷酷な人だったって言われてたんだよ。
なんせ。イージスの魔女と呼ばれるぐらいだからね」
「そのイージスってなんなんですか?」
「持つと最強になれると呼ばれる伝説の剣だよ。
その代わり代償として、感情を失うと言われているんだ。
愛することも憎むこともなく、
人間として重要な大切なものが失ってしまうんだよ。
彼女はそれに喩えられてイージスの魔女って呼ばれたんだよ。
実力は高いのに、人として大事なものが欠けている、
そういう意味で呼ばれていたよ」
つまり強い割には、冷た過ぎて、
感情を無くしてしまったと多くの人に誤解されてしまったということか?
でもそんな剣らしきものはエドナは持っていなかったから、
そういうのに喩えられたということだろうか。
「…でもエドナさんにはエドナさんの理由があるんです。
エドナさんは男性に嫌な思いをたくさんさせられたと言っていました。
だから男の人がどうしても信用出来ないんです」
「随分と彼女に肩を持つんだね」
少し不愉快そうにジャンは私を見た。
「少し嫉妬しちゃうな。彼女のことが本当に大好きなんだね」
なんで私がエドナと一緒にいて、こいつが嫉妬するんだろうか…。
あ、ひょっとしてジャンはエドナのこと好きなのかな。
だから、私に嫉妬しているとそういうことだろうか。
「まぁ、エドナさんがどこに行ったのか知らないのなら、
私はもう行きます」
「うん、気をつけてね。それと彼女はあまり信用しない方がいい。
ただでさえ、セツナちゃんは見ていて心配になるんだから」
それ…エドナにもガイにも同じこと言われたな…。
私ってそんなに見ていて不安にさせるんだろうか。
そう思いながら、私はギルドを出て歩き出した。
「ここにも居ないなら、どこに居るんでしょうか?」
「さぁ? 俺もあいつのことはよく知らないから、
どこに行きそうかは見当もつかないな」
ガイの言葉はその通りだった。
そういえば私はエドナのことを何も知らない。
エドナの過去を何も知らないし、どういう人なのかも知らない。
私はエドナとは仲が良いと思っていたけど、
彼女の場合はどうなんだろうか。
ひょっとしたら私のことが嫌になって離れたのかもしれない。
そういうことをさせるだけの心当たりはいくらでもある。
「私って、一緒にいて楽しいですか?」
「楽しいって…まぁ見ていてハラハラさせられることが多いけど、
楽しいと思うぜ」
「エドナさんは私のことが嫌いになったんでしょうか…」
「はぁ? どうしてだよ?」
「私って、気をつけていても本当にうっかりしているんです。
そういうところが嫌になったのかなって…」
そう考えるだけで、胸の奥が不安で締め付けられそうになった。
どうしてこんなに不安なんだろうか。
焦燥感が胸を支配してたまらなくなる。
「アホか、エドナがお前を見捨ててどっかに行くわけがないだろ」
「でも私は…」
「お前どうしてそんなに自分に自信が無いんだよ」
「――え?」
「お前は自分が思っている以上に、
エドナに良い影響を与えていると思うぞ。
だってギルドであいつが言ってたじゃないか。
エドナはとても冷たい人間だったって。
でもお前の前だとエドナは違うじゃないか。
これどうしてだか分かるか?」
「えっと、…わかりません」
「エドナはな。お前と出会って変わったんだよ。
それまで冷たい人間だったのに、
お前という存在に出会えて変われたんだ。
そうじゃなかったら、イージスの魔女とまで言われた人間が、
お前のためにあそこまで尽くしてくれる事はないだろ」
「でも私はエドナさんにお世話になってばかりで…」
「誰かを助けることで、
自分が逆に癒されていることはたくさんあるんだ。
お前を助けることによって、
エドナは自分が救われていった部分があると思うんだ。
それなのにお前がそんなんで、どうするんだよ」
「…そうですね」
他でもないエドナが私のために頑張っていてくれているのに、
私がエドナを信じないでどうするんだ。
そうだ。彼女が私を見捨てるはずは無い。もっと信じなきゃだめだ。
「もっとエドナさんのことを信じなきゃだめですよね…」
「それよりも、お前はもうちょっと自分を信じろよ。
なんでそんなに自分を軽んじるんだよ」
「軽んじるって、軽んじてますか?」
「軽んじてると思うぞ。たまに謙遜を通り越して自虐に見えることがある。
だから不安定に見えるんだよ」
「そんな事はないと思いますけど…」
「自分のことは意外にわからないものなんだ。
他人のことはよくわかっていてもな」
「…まさか、ガイにそんなことを言われるとは思ってもいませんでした」
「あのなぁ、俺はお前よりもずっと長く生きてるんだぞ。
外に出た事は少ないけど、人生経験は豊富なんだよ」
…そういえばガイって、70才ぐらいだった気がする。
見かけが少年だし、手のひらサイズだから子供だと思いがちだけど、
私よりずっと年上だったんだ。そのことをすっかり忘れていた。
「ま、そんなことよりも、気になるならエドナを探してみようぜ。
案外道に迷っていて困っているかもよ」
「そうですね。そうしてみましょう。
でもエドナさんの行きそうな場所ってどこでしょうか?」
「そういえばあいつ調べ物がしたいって言ってなかったか?」
「調べ物…ひょっとして図書館ですかね」
そういえば前に読書が好きだと言っていた気がする。
もしかしたら、図書館に居るかもしれない。
そう思って私は図書館に向かった。
◆
この町の図書館は少し入り組んだ場所にある。
と言うのも、昔は領主が住んでいた別館を改築して図書館にしたので、
道がそれを想定して作られていないのだ。
多分エリアマップが無いと道に迷っていただろう。
細い路地を通り、階段を上り、ようやく図書館が見えてきた。
その図書館は元々は別館だったということもあって、
図書館と言うよりは屋敷みたいな建物だ。
私はその扉を開けると、受付に座っている人に尋ねた。
「すいません。腰まである赤い髪の女性を見ませんでしたか」
「その人なら昨日来てましたけど、今日は来てませんよ」
「実は昨日から帰ってきていないんです。
どこに行ったのか、知っていますか?」
「さぁそれは知りませんけど」
「そうですか…」
「でも閉館時間になるまで、ずっと居ましたよ。
魔道具関連の本を読み漁ってましたね」
「魔道具?」
調べたいことって魔道具のことだったのか?
でも閉館時間って、確か夜中の7時ぐらいだったような気がする。
という事は7時まではこの図書館で本を読んでいたということか。
「そうですか…わかりました」
という事は夜まで調べものしていて、
宿に帰る途中の道で何かあったんだろうか?
そう思っていると、ふと肩を叩かれた。
「こんにちわ。セツナさん」
その男は初めて見る顔の男だった。
歳は多分、30代ぐらい。
長い髪と、ローブを着ていることから、
魔法使いであることが推測された。
魔法使いは普通は髪は切らないものだと、
エドナに以前教わったから、多分そうだ。
男の背後には、屈強そうな男が2人控えていた。
「あの、誰ですか?」
「私達と共に来てくれませんか?
あなたの力が必要なのです」
「すみませんが、私は今忙しいんです。
依頼ならギルドを通してからやって下さい」
ギルドを通さずに、他人から依頼を引き受ける事は規則違反だと、
前にイザベラから言われたので、私はそう言った。
「おやおや、そんなことを言っていいんですか?」
男はニヤニヤと嫌な笑みを浮かべ、私に素早く耳打ちする。
「あの赤い髪の冒険者がどうなっても知りませんよ?」
「――え?」
それはまさか――エドナのことか?
どうしてエドナが――まさか人質になっている?
「そ、それはどういうことなんですかッ!?」
「さぁ? でも着いてくればわかるかもしれませんよ?」
そう言われて、拒絶することは私に出来なかった。
言われるままに図書館を出ると、男が用意したらしい馬車がそこにあった。
馬車は座席が2つあり、私と男は前の席に座り、
他の2人の男は後ろの席に座った。
やがて馬車が動き出した。
「エドナさんはどうしたんですか?
どうしてあなたのところに彼女が居るんですか?」
私は馬車に乗ると真っ先に男にそう問いかけたが、
男はニヤニヤと笑うだけで肝心のことを答えてはくれなかった。
「全てはあなたの返答次第ですよ」
「私の返答次第?」
「あなたは特殊な魔道具をお持ちですよね?」
そう言われて、
一瞬何のことかわからなかったが、すぐに思い出した。
私の空間術は地獄神に与えられたスキルによるものだが、
私はそれを特殊な魔道具によるものだと説明しておいた。
男は多分そのことを言っているのだろう。
「それは――空間術の事ですか」
「さぁ? どうでしょうか?」
男がニヤニヤと嫌な意味を浮かべた。
後ろの席で、忍び笑いのようなものが聞こえてきた。
馬鹿にされている――。
そんな屈辱よりも、私は自分自身の軽率な行動が許せなかった。
私は――――正真正銘の大馬鹿者だ。
あれだけエドナが空間術に対して忠告してくれたのに、
…私はそれを破って人前で空間術を使ってしまったッ!
――権力者が欲しがっていると言った。
何人もの冒険者から勧誘された。
だからその能力の特殊性に気が付いていても、
それをどんな手段を使っても、
手に入れたがる人間が居る可能性を想像しなかった…。
こんなこと当たり前じゃないか、
どうしてそれを想像しなかったッ!!
その可能性に気が付いていれば、
エドナに護身用の魔道具でも何でも持たせたのに!
本当にどうして自分の身に降りかかってから、
そのことに気がつくんだッ!
「落ち着け!」
その時、耳元でガイがそう叫んだ。
「今はエドナのことを助ける方が先決だ!
後悔するのはその後でもいいだろう」
「でも私は…」
「俺の声はこいつらに聞こえていない。だから反応するな」
そうだった。ガイの姿は私とエドナ以外には見えなかったんだ。
声も他の人間には聞こえないから、
こいつらは多分ガイの存在には気がついていない。
「お前…魔法でこいつらのこと、調べられないか?」
ステータス魔法のことだろうか…。
確かに調べてみる方が良さそうだった。
私は魔法使いらしき男にステータス魔法を使ってみた。
【マイク】
【年齢】35才 【種族】人間 【属性】闇
【職業】Bランク冒険者。(レッドテイル所属)
【称号】
【レベル】32
【体力】360/360
【魔力】440/440
【筋力】B 【防御力】C 【精神力】D
【判断力】C 【器用さ】C 【知性】E 【魅了】E
【状態】
【カルマ値】1086
【スキル】
このカルマ値は…この男は完全に悪人だ。
それとこのレッドテイルとは何のことだろうか。
【レッドテイル】
アアルに駐留する冒険者のグループ。
魔物討伐などを中心に活動している。
しかしその反面で、金儲けのためなら手段を選ばないところがあり、
また女性の事を完全に見下しており、女性の冒険者を軽視している。
過去に何度も問題行動を起こしており、
それによりギルドから追放処分を検討されている。
それ故、セツナ・カイドウが所有している魔道具に目をつけ、
今回、エドナ・オーウェンを攫ったのは、
脅迫の材料として利用するためであり、
当人らは魔道具を手に入れた後、それを売り払う計画を立てている。
なるほどそういうことか。理由がわかった。
エドナが攫われたのは、やっぱり私のせいだった。
くそっ…私はどうしていつもこうなんだ!!
どうして後になってから、いつもいつも後悔するんだ!!
「落ち着け…」
今ここで自己嫌悪に駆られても、何にもならない。
とりあえずこいつらの目的はわかった。
後は何とかして、エドナを助けるだけだ。
幸いにして、私の最強魔力については向こうは気がついていない。
だったら何とかする。何とかしてみせる――。
そう私は決意した。
自分を追いかける何かから、必死で死に物狂いに逃げていた。
「務めを果たせ!!」
後ろから怒鳴り声のようにそんな言葉が響いてくる。
響いてくるが後ろを振り返る気にはなれない。
「どうして…!」
どうしてこんな重苦しいドレスを着ているのだろう。
履いている靴もハイヒールで動きにくい…。
即刻脱ぎ捨ててしまいたかったが、
まるで足に縫いつけられているように外せない。
「お前は逃げることも出来ない!!
この広大な世界でたった1人なのだ!!」
「嫌だ……!」
嫌だ、許して、ごめんなさい、私は―――。
そんな言葉が止めども無く現れては消える。
やがて行き止まりにたどり着いた。
私は半泣きになりながら後ろを振り返った。
そこには黒いモヤが積み重なった怪物が居た。
「あ、あぁ…」
私は絶望で胸が押しつぶされそうになった。
その時だった――。
「ぐぁぁぁ!!」
突如現れた光の矢がモヤに刺さると、
モヤはたちまち霧散してしまった。
突然のことに言葉が出ないでいると、
背後から1人の青年が現れた。
腰まである白髪、その長い髪を後ろで結んでおり、
毛皮のような服を身にまとっていた。
「あなたは…」
確か前にも夢の中で見た気がする…。
「取り戻せ」
「え?」
その時、青年がそう言った。
「取り戻せ、失ってしまう前に」
青年は強い意志を持った瞳でそう言った。
「それってどういう…」
その時、突然現れた猛吹雪が私の視界を遮る。
そして最後にこんな言葉が耳もとに届いた。
「これ以上続くと――手遅れになる」
◆
「ふぁぁ…おはよう」
いつも通り朝目覚めると、桶に入っている水で顔を洗う。
「なんか変な夢を見た気がします」
「変な夢?」
私は先に起きていたらしいガイにそう言う。
「なんか追いかけられて~、
で…あれ最後どうなるんでしたっけ?」
そう言うとガイが呆れた顔をした。
「お前の夢のことなんて俺が分かるはずないだろう」
「まぁそうですね」
「そんなことより、あいつ結局、帰ってこなかったな」
その時、私よりすでに起きていたらしいガイがそう言う。
「エドナさんですか?」
「だって帰ってきたら隣の部屋の様子で俺がわかるからさ。
あいつどこかで1泊でもしたんじゃないのか」
あの後、ギルドで別れてからエドナは夜になっても帰ってこなかった。
どうしたのかと思ったけど、まだ帰ってきていなかったなんて…。
「どうしたんでしょうか」
「ま、気にすんなよ。子供じゃないんだしさ。
案外良い男でもいて、そいつと寝てただけかもしれないぞ」
「エドナさんがですか?
それはないですよ。男性のことが苦手だって言ってましたし」
「まぁでも、何かあったって、あいつなら平気だろ」
「そうですね」
それから私はすっかりいつもの習慣になっているが、
幻惑魔法で金色の瞳を隠すと、
部屋を出て、朝食を食べに食堂に降りた。
「あ、おはようございます」
そうにこやかに言ってくれたのは、給仕係をしている青年だった。
「あの、エドナさんは帰ってきていますか?」
「いいえ、見かけていませんが」
「そうですか、教えてくれてありがとうございます」
それから1人で朝食を食べた。
朝食は私が調理法を教えたフレンチトーストだ。
この世界のパンは固いので、元の世界程美味しくは無いが、
牛乳に浸せば柔らかくなっておいしい。
ちなみに他の宿泊客には評判が良いらしく、
宿の人にお礼を言われた。
それを食べている間も私はどこか落ち着かなかった。
そういえばアアルに来てからというもの、
エドナと一緒に居なかった事は無かった気がする。
いつも傍らには彼女が居たし、
何か聞きたいことがあるといつも教えてくれた。
性格だって、外見だって似てないのに、
私とエドナは仲が良かった。
そんな彼女が突然居なくなっただけで、
どうしてこんなに不安に感じてしまうのだろうか。
朝食を食べると、足は自然とギルドの方に向かっていた。
浮かない顔のまま、ギルドの扉を開くと見たくもない顔がそこにあった。
「やぁ、セツナちゃん」
そうにこやかに言った緑髪の褐色肌の男を見た瞬間、
私はUターンしていた。
「ちょっと、どこ行くの?
用があって来たんじゃないの?」
「…エドナさんを見かけませんでしたか?」
「エドナさん? 彼女なら今日は見かけてないけど」
「そうですか…どこに行ってしまったんでしょうか」
「…何かあったの?」
「いえ、何かあったってわけではありませんけど、ただ昨日から姿が見えなくて、
だから少し心配になっているだけです」
そう言うと、ジャンは口元から笑みを消し、
真面目な顔をして言った。
「セツナちゃんは、エドナさんのことって好き?」
「友人としての意味でなら好きですよ。
それがどうしたんですか?」
「僕もセツナちゃんのことは好きだよ。
小さくて、可愛くて、守ってあげたくなるし、
でも彼女は違うと思うんだけどな」
「違うとは?」
「上手く言葉には出来ないけど、
エドナさんがセツナちゃんを助ける理由は、
そんな単純なものじゃない気がする。
彼女はさ。王都では知らぬ者は居ないぐらい有名な冒険者だけど、
同時にこうも呼ばれていたんだよ。イージスの魔女」
ん? それって前にエドナのステータスを見た時にあったような
そう思っていると次にジャンが言ったのは驚きの言葉だった。
「彼女は美しい人だったけど、同時にものすごく冷酷な人でさ」
「え?」
その言葉に私は耳を疑った。
「特に男性にはものすごく冷たいことで有名だった。
彼女は美しい人だったから、
言い寄ってくる男性はいっぱい居たみたいだけど、
みんなこっぴどく振られていったよ。
それはもう心を折られるぐらいに。
彼女に振られたせいで立ち直れなくなった男性は大勢居たみたいだよ」
「確かに今でも男性には冷たいですけど、私には優しいですよ」
「そこなんだよ。普通男性には冷たくても、
同じ女性や子供には優しかったりするものじゃない?
でも誰が話し掛けてきても同じだったって、
知り合いの冒険者が言ってたよ。
ずっと無表情で、無口で、感情を表に出すこともそんなに無かったって、
まるで無感情に魔物を倒す戦闘人形みたいだった言ってた」
「誰のことです。それ?」
感情の無い人形? エドナが?
でも彼女は普通に表情はコロコロ変わるし、笑うこともある。
とても人形なんかには思えない。
「いや、これは本当のことだよ。
それぐらいに冷たくて冷酷な人だったって言われてたんだよ。
なんせ。イージスの魔女と呼ばれるぐらいだからね」
「そのイージスってなんなんですか?」
「持つと最強になれると呼ばれる伝説の剣だよ。
その代わり代償として、感情を失うと言われているんだ。
愛することも憎むこともなく、
人間として重要な大切なものが失ってしまうんだよ。
彼女はそれに喩えられてイージスの魔女って呼ばれたんだよ。
実力は高いのに、人として大事なものが欠けている、
そういう意味で呼ばれていたよ」
つまり強い割には、冷た過ぎて、
感情を無くしてしまったと多くの人に誤解されてしまったということか?
でもそんな剣らしきものはエドナは持っていなかったから、
そういうのに喩えられたということだろうか。
「…でもエドナさんにはエドナさんの理由があるんです。
エドナさんは男性に嫌な思いをたくさんさせられたと言っていました。
だから男の人がどうしても信用出来ないんです」
「随分と彼女に肩を持つんだね」
少し不愉快そうにジャンは私を見た。
「少し嫉妬しちゃうな。彼女のことが本当に大好きなんだね」
なんで私がエドナと一緒にいて、こいつが嫉妬するんだろうか…。
あ、ひょっとしてジャンはエドナのこと好きなのかな。
だから、私に嫉妬しているとそういうことだろうか。
「まぁ、エドナさんがどこに行ったのか知らないのなら、
私はもう行きます」
「うん、気をつけてね。それと彼女はあまり信用しない方がいい。
ただでさえ、セツナちゃんは見ていて心配になるんだから」
それ…エドナにもガイにも同じこと言われたな…。
私ってそんなに見ていて不安にさせるんだろうか。
そう思いながら、私はギルドを出て歩き出した。
「ここにも居ないなら、どこに居るんでしょうか?」
「さぁ? 俺もあいつのことはよく知らないから、
どこに行きそうかは見当もつかないな」
ガイの言葉はその通りだった。
そういえば私はエドナのことを何も知らない。
エドナの過去を何も知らないし、どういう人なのかも知らない。
私はエドナとは仲が良いと思っていたけど、
彼女の場合はどうなんだろうか。
ひょっとしたら私のことが嫌になって離れたのかもしれない。
そういうことをさせるだけの心当たりはいくらでもある。
「私って、一緒にいて楽しいですか?」
「楽しいって…まぁ見ていてハラハラさせられることが多いけど、
楽しいと思うぜ」
「エドナさんは私のことが嫌いになったんでしょうか…」
「はぁ? どうしてだよ?」
「私って、気をつけていても本当にうっかりしているんです。
そういうところが嫌になったのかなって…」
そう考えるだけで、胸の奥が不安で締め付けられそうになった。
どうしてこんなに不安なんだろうか。
焦燥感が胸を支配してたまらなくなる。
「アホか、エドナがお前を見捨ててどっかに行くわけがないだろ」
「でも私は…」
「お前どうしてそんなに自分に自信が無いんだよ」
「――え?」
「お前は自分が思っている以上に、
エドナに良い影響を与えていると思うぞ。
だってギルドであいつが言ってたじゃないか。
エドナはとても冷たい人間だったって。
でもお前の前だとエドナは違うじゃないか。
これどうしてだか分かるか?」
「えっと、…わかりません」
「エドナはな。お前と出会って変わったんだよ。
それまで冷たい人間だったのに、
お前という存在に出会えて変われたんだ。
そうじゃなかったら、イージスの魔女とまで言われた人間が、
お前のためにあそこまで尽くしてくれる事はないだろ」
「でも私はエドナさんにお世話になってばかりで…」
「誰かを助けることで、
自分が逆に癒されていることはたくさんあるんだ。
お前を助けることによって、
エドナは自分が救われていった部分があると思うんだ。
それなのにお前がそんなんで、どうするんだよ」
「…そうですね」
他でもないエドナが私のために頑張っていてくれているのに、
私がエドナを信じないでどうするんだ。
そうだ。彼女が私を見捨てるはずは無い。もっと信じなきゃだめだ。
「もっとエドナさんのことを信じなきゃだめですよね…」
「それよりも、お前はもうちょっと自分を信じろよ。
なんでそんなに自分を軽んじるんだよ」
「軽んじるって、軽んじてますか?」
「軽んじてると思うぞ。たまに謙遜を通り越して自虐に見えることがある。
だから不安定に見えるんだよ」
「そんな事はないと思いますけど…」
「自分のことは意外にわからないものなんだ。
他人のことはよくわかっていてもな」
「…まさか、ガイにそんなことを言われるとは思ってもいませんでした」
「あのなぁ、俺はお前よりもずっと長く生きてるんだぞ。
外に出た事は少ないけど、人生経験は豊富なんだよ」
…そういえばガイって、70才ぐらいだった気がする。
見かけが少年だし、手のひらサイズだから子供だと思いがちだけど、
私よりずっと年上だったんだ。そのことをすっかり忘れていた。
「ま、そんなことよりも、気になるならエドナを探してみようぜ。
案外道に迷っていて困っているかもよ」
「そうですね。そうしてみましょう。
でもエドナさんの行きそうな場所ってどこでしょうか?」
「そういえばあいつ調べ物がしたいって言ってなかったか?」
「調べ物…ひょっとして図書館ですかね」
そういえば前に読書が好きだと言っていた気がする。
もしかしたら、図書館に居るかもしれない。
そう思って私は図書館に向かった。
◆
この町の図書館は少し入り組んだ場所にある。
と言うのも、昔は領主が住んでいた別館を改築して図書館にしたので、
道がそれを想定して作られていないのだ。
多分エリアマップが無いと道に迷っていただろう。
細い路地を通り、階段を上り、ようやく図書館が見えてきた。
その図書館は元々は別館だったということもあって、
図書館と言うよりは屋敷みたいな建物だ。
私はその扉を開けると、受付に座っている人に尋ねた。
「すいません。腰まである赤い髪の女性を見ませんでしたか」
「その人なら昨日来てましたけど、今日は来てませんよ」
「実は昨日から帰ってきていないんです。
どこに行ったのか、知っていますか?」
「さぁそれは知りませんけど」
「そうですか…」
「でも閉館時間になるまで、ずっと居ましたよ。
魔道具関連の本を読み漁ってましたね」
「魔道具?」
調べたいことって魔道具のことだったのか?
でも閉館時間って、確か夜中の7時ぐらいだったような気がする。
という事は7時まではこの図書館で本を読んでいたということか。
「そうですか…わかりました」
という事は夜まで調べものしていて、
宿に帰る途中の道で何かあったんだろうか?
そう思っていると、ふと肩を叩かれた。
「こんにちわ。セツナさん」
その男は初めて見る顔の男だった。
歳は多分、30代ぐらい。
長い髪と、ローブを着ていることから、
魔法使いであることが推測された。
魔法使いは普通は髪は切らないものだと、
エドナに以前教わったから、多分そうだ。
男の背後には、屈強そうな男が2人控えていた。
「あの、誰ですか?」
「私達と共に来てくれませんか?
あなたの力が必要なのです」
「すみませんが、私は今忙しいんです。
依頼ならギルドを通してからやって下さい」
ギルドを通さずに、他人から依頼を引き受ける事は規則違反だと、
前にイザベラから言われたので、私はそう言った。
「おやおや、そんなことを言っていいんですか?」
男はニヤニヤと嫌な笑みを浮かべ、私に素早く耳打ちする。
「あの赤い髪の冒険者がどうなっても知りませんよ?」
「――え?」
それはまさか――エドナのことか?
どうしてエドナが――まさか人質になっている?
「そ、それはどういうことなんですかッ!?」
「さぁ? でも着いてくればわかるかもしれませんよ?」
そう言われて、拒絶することは私に出来なかった。
言われるままに図書館を出ると、男が用意したらしい馬車がそこにあった。
馬車は座席が2つあり、私と男は前の席に座り、
他の2人の男は後ろの席に座った。
やがて馬車が動き出した。
「エドナさんはどうしたんですか?
どうしてあなたのところに彼女が居るんですか?」
私は馬車に乗ると真っ先に男にそう問いかけたが、
男はニヤニヤと笑うだけで肝心のことを答えてはくれなかった。
「全てはあなたの返答次第ですよ」
「私の返答次第?」
「あなたは特殊な魔道具をお持ちですよね?」
そう言われて、
一瞬何のことかわからなかったが、すぐに思い出した。
私の空間術は地獄神に与えられたスキルによるものだが、
私はそれを特殊な魔道具によるものだと説明しておいた。
男は多分そのことを言っているのだろう。
「それは――空間術の事ですか」
「さぁ? どうでしょうか?」
男がニヤニヤと嫌な意味を浮かべた。
後ろの席で、忍び笑いのようなものが聞こえてきた。
馬鹿にされている――。
そんな屈辱よりも、私は自分自身の軽率な行動が許せなかった。
私は――――正真正銘の大馬鹿者だ。
あれだけエドナが空間術に対して忠告してくれたのに、
…私はそれを破って人前で空間術を使ってしまったッ!
――権力者が欲しがっていると言った。
何人もの冒険者から勧誘された。
だからその能力の特殊性に気が付いていても、
それをどんな手段を使っても、
手に入れたがる人間が居る可能性を想像しなかった…。
こんなこと当たり前じゃないか、
どうしてそれを想像しなかったッ!!
その可能性に気が付いていれば、
エドナに護身用の魔道具でも何でも持たせたのに!
本当にどうして自分の身に降りかかってから、
そのことに気がつくんだッ!
「落ち着け!」
その時、耳元でガイがそう叫んだ。
「今はエドナのことを助ける方が先決だ!
後悔するのはその後でもいいだろう」
「でも私は…」
「俺の声はこいつらに聞こえていない。だから反応するな」
そうだった。ガイの姿は私とエドナ以外には見えなかったんだ。
声も他の人間には聞こえないから、
こいつらは多分ガイの存在には気がついていない。
「お前…魔法でこいつらのこと、調べられないか?」
ステータス魔法のことだろうか…。
確かに調べてみる方が良さそうだった。
私は魔法使いらしき男にステータス魔法を使ってみた。
【マイク】
【年齢】35才 【種族】人間 【属性】闇
【職業】Bランク冒険者。(レッドテイル所属)
【称号】
【レベル】32
【体力】360/360
【魔力】440/440
【筋力】B 【防御力】C 【精神力】D
【判断力】C 【器用さ】C 【知性】E 【魅了】E
【状態】
【カルマ値】1086
【スキル】
このカルマ値は…この男は完全に悪人だ。
それとこのレッドテイルとは何のことだろうか。
【レッドテイル】
アアルに駐留する冒険者のグループ。
魔物討伐などを中心に活動している。
しかしその反面で、金儲けのためなら手段を選ばないところがあり、
また女性の事を完全に見下しており、女性の冒険者を軽視している。
過去に何度も問題行動を起こしており、
それによりギルドから追放処分を検討されている。
それ故、セツナ・カイドウが所有している魔道具に目をつけ、
今回、エドナ・オーウェンを攫ったのは、
脅迫の材料として利用するためであり、
当人らは魔道具を手に入れた後、それを売り払う計画を立てている。
なるほどそういうことか。理由がわかった。
エドナが攫われたのは、やっぱり私のせいだった。
くそっ…私はどうしていつもこうなんだ!!
どうして後になってから、いつもいつも後悔するんだ!!
「落ち着け…」
今ここで自己嫌悪に駆られても、何にもならない。
とりあえずこいつらの目的はわかった。
後は何とかして、エドナを助けるだけだ。
幸いにして、私の最強魔力については向こうは気がついていない。
だったら何とかする。何とかしてみせる――。
そう私は決意した。
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