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第2章翼蛇の杖と世界の危機
83・思わぬ再会
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その後、お腹が空いたので、
宿屋の隣のレストランで夕食を食べることにした。
本当は刺身を食べたかったんだけど、
私が釣った魚は刺身に出来そうな大物は居なかったので、
また今度にすることにした。
ちなみに魚は全部アイテムボックスに入れておいた。
空間の中にしまって置けば腐ることも無いし、
全部個別でしまってくれるから、魚の匂いも移ることも無い。
本当に便利な能力だと思う。
私達は適当な椅子に腰掛け、料理を注文した。
さすが港町だけあってメニューは魚料理中心だった。
「さすがに刺身は無いですね」
「そんなのあったら閉店の危機よ」
そこまで…? と思ったけど、
そういや外国人も生魚は抵抗があるって聞いたような…。
「あれ…エドナ?」
「え?」
その時、突然後ろの席に座っていた男性に話しかけられた。
その男性は短い黒髪をしていて、筋肉隆々だった。
服は上は黒のシャツで、同じく黒のズボンを着ていて、
腰にエドナが付けている物と同じベルトポーチがついていた。
そして傍らにでっかい剣が置いてあったから、多分冒険者で戦士なのだろう。
「久しぶり。エドナ」
男性はエドナの方を知っているみたいなので、
説明を求めるためにエドナを見ると逆に困惑したような顔をされた。
「えっと誰…?」
エドナがそう言うと彼はため息を吐いた。
「はぁ…キースと同じチームに居ただろ…」
「そう言われても…彼のチームは10人以上居たし…」
「…まぁいいよ。
あんたが他人に興味が無いのは知ってるし、ところでその子は…?」
彼の視線が私に向き、私は慌てて自己紹介する。
「私の名前はセツナです。エドナさんとチームを組んでます」
そう言うと男性は仰天したようだった。
「俺はバジルだけど…。どういう経緯でエドナとチームを組んだの?」
「そうですね。色々あったことは確かですけど、
エドナさんからチームを組まないかって頼まれたからです」
「エドナが…?」
そう言うとバジルは目を丸くした。
「何かの間違いじゃないの“あの”エドナが自分から誘うなんて…」
「セツナの言うことは確かよ。私から頼んだの」
「信じられない…。
寡黙で他人に絶対に気を許さないあんたがそんなこと言うなんて…」
バジルは本気で驚いているようだった。
寡黙で他人に気を許さないか…確かに出会ったばかりのエドナはそうだった。
常に人と距離感を取っているような感じだった。
「そこまで酷かったの?」
確認するようにそう聞いたエドナにバジルはため息を付いた。
「そうだよ。無口で無表情で、
今まで色んな奴と出会ってきたけど、
あんた程付き合いにくい人間は居なかったよ。
それがこんな小さな子と組むなんて…人って変わるもんだね…」
バジルは一人感動した様子だった。
「私…そんなに付き合いにくかったの?」
「話しかけても答えがろくに返ってこなかったし…。
表情もほとんど変わらないから、
生きてるのか死んでるのかもわからなかったし、
それを考えると今のあんたはずいぶんと変わったよ」
剣士全盛期のエドナは他人に心を許さない人だったのは聞いていたけど、
ここまで言う程酷かったんかーい。
私も驚きだけどエドナが一番驚きだろう。
だってバジルが言うことが正しければ、
エドナは短期間にずいぶんと成長したことになる。
「私ってそこまで酷い人間だったのね…」
「成長したってことですよ。落ち込む必要なんて無いですよ」
ショックを受けている様子のエドナに私はそうフォローする。
「それより右手どうしたの?」
「諸事情で動くようになったのよ」
「そっか。まぁいきなり失踪して、
何かあったのか心配したけど、元気そうで良かったよ」
そう言ったバジルにエドナはえっ、と驚愕したような表情を浮かべた。
「心配してたの?」
「はぁ…そういう所変わって無いね。
あんたが居なくなった後、大変だったんだよ。
キースは喚いて仕事そっちのけであんたを探そうとするし、
ギルドは上から下まで大騒ぎだし、
貴族の何人かはあんたを探すのに懸賞金をかける奴までいたぐらいだし」
「え…そこまで騒ぎになったんですか?」
私が驚いてそう聞くとバジルは頷いた。
「そりゃ時期が時期だったし…。
自殺したと思われても仕方が無いじゃん」
エドナは魔物討伐の際に大怪我を負って、右手が使えなくなった。
確かにそんなタイミングで失踪したら、自殺したと思われてもおかしくない。
「ギルドマスターは随分と後悔していたよ。
期待をかけるあまりに、あんたに無理をさせすぎたって、
結果的にあんたの才能を潰してしまって申し訳なかったって言ってたよ」
ここで言うギルドマスターというのは、
王都のギルドのギルドマスターのことだろう。
王都と言えば地方都市であるアアルとは比較にならない程大きな都である。
そんな所のギルドマスターに期待されていたなんて、エドナってすごいな…。
「え……あのギルドマスターがそんなことを?
信じられない…」
だがエドナの方はバジルの言葉が信じられないみたいだった。
「いや、ホントだって、
ギルドマスターは冒険者の中でもあんたに一番期待していたんだよ。
だから厳しくしてたんじゃないか」
「私はてっきり嫌われているものかと…。
だって何かある度にこの程度で調子に乗るなとか、
お前はまだまだだとか言われていたんだもの…」
「それはきっと慢心しないように言っていたんだよ。
あんたのことを実の娘のように思っていたから、
父親のように厳しく接していたのさ」
「そんなの言われないと分からないじゃない…。
どおりで私にだけやたら厳しいと思った…」
つまり話を総合すると、
エドナに期待するあまり、
王都のギルドマスターはエドナに厳しく接していたが、
等の本人は言葉の裏にある期待とか愛情だとかを察せずに、
言葉を譜面通りに受け取ってしまい、嫌われていると誤解してしまったと…。
うわぁ…酷いすれ違いだなぁ…。
それから食事が運ばれてそれを食べている間にもバジルと色々聞いてみた。
そしたら色々と面白い話が聞けた。
「ところでバジルさんはどうしてここに?」
「何ってただの里帰りだよ。でっかい依頼が終わったから、
これを機に里帰りしようって話になってさ。
キースも今は田舎でのんびりしてるよ」
「そういえばさっきから言ってるキースって誰のことですか?」
「セツナ…その話は止して頂戴」
「え、どうしたんですか?」
珍しくエドナが不機嫌そうにそう言ったので、私は驚く。
「そりゃ破局した恋人の話なんて誰もしたくないだろう」
「え?」
バジルの言葉に私は驚く。
「それってまさか右手に障害が残って落ち込んでいたエドナさんに、
お前は顔だけで生きていけるとか言った男ですか?」
「ええ!? キースがそんなことを…って言いそうだな、あいつなら」
バジルは驚きつつも納得したようだった。
その様子に私はキースという人のことがとても気になった。
「どういう人なんですかそのキースって人」
「そうね。一言で言うなら人間のクズかしら」
「く…クズ?」
エドナの言葉に私は驚く。
「あいつには何度辛酸を舐めさせられたか分からないわ…。
もう顔も見たくない…」
「そんなに酷い人だったんですか?」
「そうよ。何であいつがチームリーダーなのか未だに疑問だわ…」
エドナ曰く、そのキースという人は優れた冒険者らしく、
10以上メンバーがいるチームのリーダーらしい。
エドナもそこでかつてそのチームに所属していて、
キースの仲間だったらしいけど、
色々あって、止めたらしい。
「そもそも恋人になるなんて一言も言って無いのに…、
恋人にさせられたし…」
「え? それ初耳なんだけど、どういうこと?」
「私も聞きたいです」
バジルと私にそう言われ、エドナはため息をつくとその話をした。
事の始まりはキースがエドナに自分のチームに入らないかと誘ったことだった。
エドナは当時、形式のある武闘会に優勝したばかりで注目を集めていた。
それまで接点も無かった貴族やら、一般人から続々と指名依頼来るようになり、
困り果てていた時だった。
その時キースからエドナに入ってきた指名依頼を何とかすることを条件に、
自分のチームに入って欲しいと頼まれた。
エドナは迷った末にキースのチームに入ることにした。
しかしそれが罠だったのだ。
「そしたらいつの間にか恋人になったことにされていたのよ」
「え、何でです?」
「実はね。その時にあいつから、
俺と恋人になったらどうするって聞かれたのよ。
それで私はどうもしないって答えたの。
そしたら変な風に受け取ったのか、
私があいつのことを好きだと思ったらしいのよ」
「何でそれが好きだってことになるんですか?」
その時、何か気がついたらしいバジルが口を開いた。
「あいつは昔から人の言葉を都合良く歪曲する癖があるから、
たぶんどうしようもないぐらいあなたが好きよって、
意味で受け取ったんじゃないか?」
「言葉が変わってるし、意味も違うじゃないですか」
ようするにキースという人は勘違いしやすい性格なのだろう。
その勘違いのせいで、
キースはそのことを色々な人に相談という名目で自慢しまくったらしい。
そしてエドナが気がついた時は、
ギルドどころか王都中にそのことが広まり、
中にはもう恋人になったと思った人も居たらしい
訂正しようにも、キースが優れた冒険者だったことが災いして、
結婚すれば将来は安泰じゃないとか、
これを機に冒険者を辞めて主婦になれば?
とか言われる始末、
結局流される形でキースの恋人になるしかなかったのだという。
「今思えばちゃんと断っておけばよかったと思うけど、
当時の私はそれを否定する勇気が持てなかった…。
今考えると愚かだったと思うわ」
「まさかそんな事情があったなんて…、
どおりでおかしいと思ったんだよ。
キースはエドナの方から告白してきたって言ってたけど、
どう考えてもそれはおかしいし…」
「あいつのそういう見栄っ張りなところは大嫌いよ」
そう言うとエドナは当時言えなかった愚痴を語り出した。
「そもそもあいつのなにが嫌ってデリカシーが無いのよ」
「そんなにデリカシーの無い人なんですか」
そう言うとエドナはチラリとバジルを見たが、
ため息を吐くと話し出した。
「…私が体調を悪くしていたら、
人前なのに平然と生理か?とか聞いてきて、
さらにそれを笑い話にするぐらいデリカシーが無いわ」
「うわぁ…それはダメですね」
それはデリカシーの無い男性が女性から嫌われる典型的なパターンだ。
生理って女性にしかないから、なかなか理解されないけど、
そういうことってあんまり人前で言って欲しくないものなんだよ。
だいたい生理中って、女性は気持ちが不安定になるんだよ。
不安定になっている時に、
そんなデリカシーの無いことをされたら腹が立つよ。
「あと自分の過去の武勇伝について長々と語ったり、
下のランクにいる冒険者を見下したような発言をしたり…」
うわぁ…そりゃあかん。
武勇伝はともかく、見下した発言はあかん。
どんなに高収入でも、そんな態度見たら好感度ダウンだよ。
「あと最悪だったのが、私のことを好きだとか何だとか言っていたのに、
平然と女の子と浮気できるところよ」
「え? マジですか?」
「しかも、私がやらせてくれないから他の子とするしか無いとか、
心がこもって無いなら浮気じゃないとか、そういう理由でよ」
うわ、まじか、最低だな。女の敵じゃん。
ちなみにエドナがそれだけは止めてくれって言ったのに、
キースは浮気を止めなかったらしい。
しまいには何故か浮気相手の女性からも恨みを買ったらしく、
嫌がらせを受けたこともあったらしい
恨むならキースを恨めばいいのに、何でエドナに行くんだよ…。
「本当にいくら注意しても直らなくて…。
私がもう別れたいとか言うと、駄々をこねるわ、
別れるならギルドに訴えかけてお前のギルドカードを剥奪するとか言うわ。
それで結局、こいつと別れるには何も言わずに失踪するしか無いと思ったのよ」
もうこの人とは一緒になれない。
そう思ったエドナは住んでいた場所を退去して、
僅かな荷物だけを持って、明け方に王都を出たのだ。
俗に言う夜逃げである。
この場合逃げるのは借金取りではなく、
元カレだが、どっちも厄介な存在には変わりない。
「ああ、そういう理由で…」
バジルは納得したように言った。
「まぁあの時は本当にそれで精一杯だったけど、
でも結果的にそれで正解だったのかもね。
ギルドにはあいつの息のかかった冒険者が多いし、
別れても何か言われることは確かだしね」
「別れて正解ですよ。そんな男」
「うーん、でも多分キースはあんたと別れたって思ってなさそうだけど…」
「え?」
そう言うとバジルは語り出した。
「というかあんたが失踪した原因が自分にあるなんて、
そんな素振り、あんたが失踪した時、見せなかったよ。
だから自分が振られたこと自体気がついて無いんじゃないかな」
バジルがそうそう言うとエドナはガクっと肩を落とした。
「まぁいきなり失踪したから、仕方が無いかもしれないけどさ」
「いや、違うんだけど…」
バジルの言葉にエドナは力なく否定する。
「私、失踪する時、手紙を残していたの」
「え、そう何ですか?」
「そこに自分が感じた嫌なことや、
こういう理由であなたと別れるって書いておいたんだけど…」
「ああ、そういえばキースが、
エドナが意味不明な手紙を残していたって言っていたような…」
バジルがそう言うとエドナは頭を抱えた。
「意味不明って…常識的なことしか書いてないのに……」
「あいつ何事も自分に都合良くしか捉えないから、
伝わって無かったんじゃないのか?
それにこういうこと言うのも何だけど、
キースはあんたの居場所が分かったら、
すぐにでも行くような気がするよ」
バジルの言葉がとどめとなったのか、
エドナはしばらく両手で顔を覆ったまま黙り込んだ。
相当なショックを受けているようだった。
そりゃそうだろう。厄介な元カレと別れられたと思ったら、
ストーカーと化しそうだと言われたのだから。
「もちろん俺の方で手配して、
あんたの居場所は伝えないようにするけど、
あんた、アアルで魔族を倒したんだろう?
その話があいつに伝わっていたら、もう手遅れになるけど…」
「ふ、ふふふふ…」
バジルの話を聞いてエドナは乾いた笑い声を出す。
「セツナ…もしもこの先、好きな人が出来たり、告白された場合、
この言葉を思い出して欲しいの…」
そう言うエドナの声は涙声である。
「付き合うのは簡単でも、別れるのはその数十倍大変なのよ…」
「うん…」
それ結婚した時もよく言われる言葉だよなと思いながら私は頷いた。
◆
その後バジルと別れて私達は宿屋に帰った。
エドナは相当なショックを受けたみたいで、
部屋に帰るなり、ベッドに入った。
まだ寝る時間じゃないけど、
ふて寝でもしないと収まりがつかないのだろう。
「なぁエドナどうしたんだ?」
「ちょっとショックなことがあったんですよ」
ガイはずっと部屋で待っていたので、
レストランであったことは知らないので、
私はエドナの元カレのことを説明した。
「面倒くさい奴だな…」
「そうですね」
どうもエドナは例の副団長と言い、変な男に好かれやすいようだ。
まぁ美人だからというのもあるが、
しっかりした性格のわりには少し抜けてる所もあるから、
それもまた魅力なんだろう。
「ん?」
その時窓の方から音がしたので見ると、伝書鳥が来ていた。
私が窓を開けると伝書鳥が中に入れた。
伝書鳥というのは町や町に手紙を届ける特殊な鳥のことだ。
何でも人の魔力の匂いを覚え、どんなに離れていても、
ちゃんと手紙を届けてくれる。
ちなみに伯爵夫人の伝書鳥は私が軽量化と速度上昇の魔法をかけているので、
どれだけ距離があっても一日で届けてくれる。
私は伝書鳥の足に括り付けられている手紙を取るとそれを読み出した。
そこには伯爵夫人の字で、視察団の進路状況が書かれていた。
何でも視察団はあと3週間ぐらいでアアルに着くらしい。
そういえば王都からアアルまでは一ヶ月ぐらいかかるんだった。
ちょっと早くに出すぎたかもしれないな。
「よく届けてくれましたね。ありがとう」
私は伝書鳥に餌をやると、手紙を書き始めた。
書くのは無事港町オデットに着いたことだが、
それだけだとつまらないので、
初めて釣りをしたことと、エドナの元彼の話などを書いた。
書いてみて、報告書というよりはただの日記みたくなってしまったが、
貴族の書く手紙の作法など分からないので、仕方が無い。
私は手紙を書き終えると伝書鳥の足にそれを括り付けて外に離した。
「あれ…?」
その時、建物の外に一人の人間が立っていた。
上から下まで大きなマントを羽織っており、
フードを深く被っていて顔は見えない
だが何となくその人と目が合った気がした。
「変なの…」
そう呟くと私は窓を閉め、エドナのように早めに眠りに着くことにした。
宿屋の隣のレストランで夕食を食べることにした。
本当は刺身を食べたかったんだけど、
私が釣った魚は刺身に出来そうな大物は居なかったので、
また今度にすることにした。
ちなみに魚は全部アイテムボックスに入れておいた。
空間の中にしまって置けば腐ることも無いし、
全部個別でしまってくれるから、魚の匂いも移ることも無い。
本当に便利な能力だと思う。
私達は適当な椅子に腰掛け、料理を注文した。
さすが港町だけあってメニューは魚料理中心だった。
「さすがに刺身は無いですね」
「そんなのあったら閉店の危機よ」
そこまで…? と思ったけど、
そういや外国人も生魚は抵抗があるって聞いたような…。
「あれ…エドナ?」
「え?」
その時、突然後ろの席に座っていた男性に話しかけられた。
その男性は短い黒髪をしていて、筋肉隆々だった。
服は上は黒のシャツで、同じく黒のズボンを着ていて、
腰にエドナが付けている物と同じベルトポーチがついていた。
そして傍らにでっかい剣が置いてあったから、多分冒険者で戦士なのだろう。
「久しぶり。エドナ」
男性はエドナの方を知っているみたいなので、
説明を求めるためにエドナを見ると逆に困惑したような顔をされた。
「えっと誰…?」
エドナがそう言うと彼はため息を吐いた。
「はぁ…キースと同じチームに居ただろ…」
「そう言われても…彼のチームは10人以上居たし…」
「…まぁいいよ。
あんたが他人に興味が無いのは知ってるし、ところでその子は…?」
彼の視線が私に向き、私は慌てて自己紹介する。
「私の名前はセツナです。エドナさんとチームを組んでます」
そう言うと男性は仰天したようだった。
「俺はバジルだけど…。どういう経緯でエドナとチームを組んだの?」
「そうですね。色々あったことは確かですけど、
エドナさんからチームを組まないかって頼まれたからです」
「エドナが…?」
そう言うとバジルは目を丸くした。
「何かの間違いじゃないの“あの”エドナが自分から誘うなんて…」
「セツナの言うことは確かよ。私から頼んだの」
「信じられない…。
寡黙で他人に絶対に気を許さないあんたがそんなこと言うなんて…」
バジルは本気で驚いているようだった。
寡黙で他人に気を許さないか…確かに出会ったばかりのエドナはそうだった。
常に人と距離感を取っているような感じだった。
「そこまで酷かったの?」
確認するようにそう聞いたエドナにバジルはため息を付いた。
「そうだよ。無口で無表情で、
今まで色んな奴と出会ってきたけど、
あんた程付き合いにくい人間は居なかったよ。
それがこんな小さな子と組むなんて…人って変わるもんだね…」
バジルは一人感動した様子だった。
「私…そんなに付き合いにくかったの?」
「話しかけても答えがろくに返ってこなかったし…。
表情もほとんど変わらないから、
生きてるのか死んでるのかもわからなかったし、
それを考えると今のあんたはずいぶんと変わったよ」
剣士全盛期のエドナは他人に心を許さない人だったのは聞いていたけど、
ここまで言う程酷かったんかーい。
私も驚きだけどエドナが一番驚きだろう。
だってバジルが言うことが正しければ、
エドナは短期間にずいぶんと成長したことになる。
「私ってそこまで酷い人間だったのね…」
「成長したってことですよ。落ち込む必要なんて無いですよ」
ショックを受けている様子のエドナに私はそうフォローする。
「それより右手どうしたの?」
「諸事情で動くようになったのよ」
「そっか。まぁいきなり失踪して、
何かあったのか心配したけど、元気そうで良かったよ」
そう言ったバジルにエドナはえっ、と驚愕したような表情を浮かべた。
「心配してたの?」
「はぁ…そういう所変わって無いね。
あんたが居なくなった後、大変だったんだよ。
キースは喚いて仕事そっちのけであんたを探そうとするし、
ギルドは上から下まで大騒ぎだし、
貴族の何人かはあんたを探すのに懸賞金をかける奴までいたぐらいだし」
「え…そこまで騒ぎになったんですか?」
私が驚いてそう聞くとバジルは頷いた。
「そりゃ時期が時期だったし…。
自殺したと思われても仕方が無いじゃん」
エドナは魔物討伐の際に大怪我を負って、右手が使えなくなった。
確かにそんなタイミングで失踪したら、自殺したと思われてもおかしくない。
「ギルドマスターは随分と後悔していたよ。
期待をかけるあまりに、あんたに無理をさせすぎたって、
結果的にあんたの才能を潰してしまって申し訳なかったって言ってたよ」
ここで言うギルドマスターというのは、
王都のギルドのギルドマスターのことだろう。
王都と言えば地方都市であるアアルとは比較にならない程大きな都である。
そんな所のギルドマスターに期待されていたなんて、エドナってすごいな…。
「え……あのギルドマスターがそんなことを?
信じられない…」
だがエドナの方はバジルの言葉が信じられないみたいだった。
「いや、ホントだって、
ギルドマスターは冒険者の中でもあんたに一番期待していたんだよ。
だから厳しくしてたんじゃないか」
「私はてっきり嫌われているものかと…。
だって何かある度にこの程度で調子に乗るなとか、
お前はまだまだだとか言われていたんだもの…」
「それはきっと慢心しないように言っていたんだよ。
あんたのことを実の娘のように思っていたから、
父親のように厳しく接していたのさ」
「そんなの言われないと分からないじゃない…。
どおりで私にだけやたら厳しいと思った…」
つまり話を総合すると、
エドナに期待するあまり、
王都のギルドマスターはエドナに厳しく接していたが、
等の本人は言葉の裏にある期待とか愛情だとかを察せずに、
言葉を譜面通りに受け取ってしまい、嫌われていると誤解してしまったと…。
うわぁ…酷いすれ違いだなぁ…。
それから食事が運ばれてそれを食べている間にもバジルと色々聞いてみた。
そしたら色々と面白い話が聞けた。
「ところでバジルさんはどうしてここに?」
「何ってただの里帰りだよ。でっかい依頼が終わったから、
これを機に里帰りしようって話になってさ。
キースも今は田舎でのんびりしてるよ」
「そういえばさっきから言ってるキースって誰のことですか?」
「セツナ…その話は止して頂戴」
「え、どうしたんですか?」
珍しくエドナが不機嫌そうにそう言ったので、私は驚く。
「そりゃ破局した恋人の話なんて誰もしたくないだろう」
「え?」
バジルの言葉に私は驚く。
「それってまさか右手に障害が残って落ち込んでいたエドナさんに、
お前は顔だけで生きていけるとか言った男ですか?」
「ええ!? キースがそんなことを…って言いそうだな、あいつなら」
バジルは驚きつつも納得したようだった。
その様子に私はキースという人のことがとても気になった。
「どういう人なんですかそのキースって人」
「そうね。一言で言うなら人間のクズかしら」
「く…クズ?」
エドナの言葉に私は驚く。
「あいつには何度辛酸を舐めさせられたか分からないわ…。
もう顔も見たくない…」
「そんなに酷い人だったんですか?」
「そうよ。何であいつがチームリーダーなのか未だに疑問だわ…」
エドナ曰く、そのキースという人は優れた冒険者らしく、
10以上メンバーがいるチームのリーダーらしい。
エドナもそこでかつてそのチームに所属していて、
キースの仲間だったらしいけど、
色々あって、止めたらしい。
「そもそも恋人になるなんて一言も言って無いのに…、
恋人にさせられたし…」
「え? それ初耳なんだけど、どういうこと?」
「私も聞きたいです」
バジルと私にそう言われ、エドナはため息をつくとその話をした。
事の始まりはキースがエドナに自分のチームに入らないかと誘ったことだった。
エドナは当時、形式のある武闘会に優勝したばかりで注目を集めていた。
それまで接点も無かった貴族やら、一般人から続々と指名依頼来るようになり、
困り果てていた時だった。
その時キースからエドナに入ってきた指名依頼を何とかすることを条件に、
自分のチームに入って欲しいと頼まれた。
エドナは迷った末にキースのチームに入ることにした。
しかしそれが罠だったのだ。
「そしたらいつの間にか恋人になったことにされていたのよ」
「え、何でです?」
「実はね。その時にあいつから、
俺と恋人になったらどうするって聞かれたのよ。
それで私はどうもしないって答えたの。
そしたら変な風に受け取ったのか、
私があいつのことを好きだと思ったらしいのよ」
「何でそれが好きだってことになるんですか?」
その時、何か気がついたらしいバジルが口を開いた。
「あいつは昔から人の言葉を都合良く歪曲する癖があるから、
たぶんどうしようもないぐらいあなたが好きよって、
意味で受け取ったんじゃないか?」
「言葉が変わってるし、意味も違うじゃないですか」
ようするにキースという人は勘違いしやすい性格なのだろう。
その勘違いのせいで、
キースはそのことを色々な人に相談という名目で自慢しまくったらしい。
そしてエドナが気がついた時は、
ギルドどころか王都中にそのことが広まり、
中にはもう恋人になったと思った人も居たらしい
訂正しようにも、キースが優れた冒険者だったことが災いして、
結婚すれば将来は安泰じゃないとか、
これを機に冒険者を辞めて主婦になれば?
とか言われる始末、
結局流される形でキースの恋人になるしかなかったのだという。
「今思えばちゃんと断っておけばよかったと思うけど、
当時の私はそれを否定する勇気が持てなかった…。
今考えると愚かだったと思うわ」
「まさかそんな事情があったなんて…、
どおりでおかしいと思ったんだよ。
キースはエドナの方から告白してきたって言ってたけど、
どう考えてもそれはおかしいし…」
「あいつのそういう見栄っ張りなところは大嫌いよ」
そう言うとエドナは当時言えなかった愚痴を語り出した。
「そもそもあいつのなにが嫌ってデリカシーが無いのよ」
「そんなにデリカシーの無い人なんですか」
そう言うとエドナはチラリとバジルを見たが、
ため息を吐くと話し出した。
「…私が体調を悪くしていたら、
人前なのに平然と生理か?とか聞いてきて、
さらにそれを笑い話にするぐらいデリカシーが無いわ」
「うわぁ…それはダメですね」
それはデリカシーの無い男性が女性から嫌われる典型的なパターンだ。
生理って女性にしかないから、なかなか理解されないけど、
そういうことってあんまり人前で言って欲しくないものなんだよ。
だいたい生理中って、女性は気持ちが不安定になるんだよ。
不安定になっている時に、
そんなデリカシーの無いことをされたら腹が立つよ。
「あと自分の過去の武勇伝について長々と語ったり、
下のランクにいる冒険者を見下したような発言をしたり…」
うわぁ…そりゃあかん。
武勇伝はともかく、見下した発言はあかん。
どんなに高収入でも、そんな態度見たら好感度ダウンだよ。
「あと最悪だったのが、私のことを好きだとか何だとか言っていたのに、
平然と女の子と浮気できるところよ」
「え? マジですか?」
「しかも、私がやらせてくれないから他の子とするしか無いとか、
心がこもって無いなら浮気じゃないとか、そういう理由でよ」
うわ、まじか、最低だな。女の敵じゃん。
ちなみにエドナがそれだけは止めてくれって言ったのに、
キースは浮気を止めなかったらしい。
しまいには何故か浮気相手の女性からも恨みを買ったらしく、
嫌がらせを受けたこともあったらしい
恨むならキースを恨めばいいのに、何でエドナに行くんだよ…。
「本当にいくら注意しても直らなくて…。
私がもう別れたいとか言うと、駄々をこねるわ、
別れるならギルドに訴えかけてお前のギルドカードを剥奪するとか言うわ。
それで結局、こいつと別れるには何も言わずに失踪するしか無いと思ったのよ」
もうこの人とは一緒になれない。
そう思ったエドナは住んでいた場所を退去して、
僅かな荷物だけを持って、明け方に王都を出たのだ。
俗に言う夜逃げである。
この場合逃げるのは借金取りではなく、
元カレだが、どっちも厄介な存在には変わりない。
「ああ、そういう理由で…」
バジルは納得したように言った。
「まぁあの時は本当にそれで精一杯だったけど、
でも結果的にそれで正解だったのかもね。
ギルドにはあいつの息のかかった冒険者が多いし、
別れても何か言われることは確かだしね」
「別れて正解ですよ。そんな男」
「うーん、でも多分キースはあんたと別れたって思ってなさそうだけど…」
「え?」
そう言うとバジルは語り出した。
「というかあんたが失踪した原因が自分にあるなんて、
そんな素振り、あんたが失踪した時、見せなかったよ。
だから自分が振られたこと自体気がついて無いんじゃないかな」
バジルがそうそう言うとエドナはガクっと肩を落とした。
「まぁいきなり失踪したから、仕方が無いかもしれないけどさ」
「いや、違うんだけど…」
バジルの言葉にエドナは力なく否定する。
「私、失踪する時、手紙を残していたの」
「え、そう何ですか?」
「そこに自分が感じた嫌なことや、
こういう理由であなたと別れるって書いておいたんだけど…」
「ああ、そういえばキースが、
エドナが意味不明な手紙を残していたって言っていたような…」
バジルがそう言うとエドナは頭を抱えた。
「意味不明って…常識的なことしか書いてないのに……」
「あいつ何事も自分に都合良くしか捉えないから、
伝わって無かったんじゃないのか?
それにこういうこと言うのも何だけど、
キースはあんたの居場所が分かったら、
すぐにでも行くような気がするよ」
バジルの言葉がとどめとなったのか、
エドナはしばらく両手で顔を覆ったまま黙り込んだ。
相当なショックを受けているようだった。
そりゃそうだろう。厄介な元カレと別れられたと思ったら、
ストーカーと化しそうだと言われたのだから。
「もちろん俺の方で手配して、
あんたの居場所は伝えないようにするけど、
あんた、アアルで魔族を倒したんだろう?
その話があいつに伝わっていたら、もう手遅れになるけど…」
「ふ、ふふふふ…」
バジルの話を聞いてエドナは乾いた笑い声を出す。
「セツナ…もしもこの先、好きな人が出来たり、告白された場合、
この言葉を思い出して欲しいの…」
そう言うエドナの声は涙声である。
「付き合うのは簡単でも、別れるのはその数十倍大変なのよ…」
「うん…」
それ結婚した時もよく言われる言葉だよなと思いながら私は頷いた。
◆
その後バジルと別れて私達は宿屋に帰った。
エドナは相当なショックを受けたみたいで、
部屋に帰るなり、ベッドに入った。
まだ寝る時間じゃないけど、
ふて寝でもしないと収まりがつかないのだろう。
「なぁエドナどうしたんだ?」
「ちょっとショックなことがあったんですよ」
ガイはずっと部屋で待っていたので、
レストランであったことは知らないので、
私はエドナの元カレのことを説明した。
「面倒くさい奴だな…」
「そうですね」
どうもエドナは例の副団長と言い、変な男に好かれやすいようだ。
まぁ美人だからというのもあるが、
しっかりした性格のわりには少し抜けてる所もあるから、
それもまた魅力なんだろう。
「ん?」
その時窓の方から音がしたので見ると、伝書鳥が来ていた。
私が窓を開けると伝書鳥が中に入れた。
伝書鳥というのは町や町に手紙を届ける特殊な鳥のことだ。
何でも人の魔力の匂いを覚え、どんなに離れていても、
ちゃんと手紙を届けてくれる。
ちなみに伯爵夫人の伝書鳥は私が軽量化と速度上昇の魔法をかけているので、
どれだけ距離があっても一日で届けてくれる。
私は伝書鳥の足に括り付けられている手紙を取るとそれを読み出した。
そこには伯爵夫人の字で、視察団の進路状況が書かれていた。
何でも視察団はあと3週間ぐらいでアアルに着くらしい。
そういえば王都からアアルまでは一ヶ月ぐらいかかるんだった。
ちょっと早くに出すぎたかもしれないな。
「よく届けてくれましたね。ありがとう」
私は伝書鳥に餌をやると、手紙を書き始めた。
書くのは無事港町オデットに着いたことだが、
それだけだとつまらないので、
初めて釣りをしたことと、エドナの元彼の話などを書いた。
書いてみて、報告書というよりはただの日記みたくなってしまったが、
貴族の書く手紙の作法など分からないので、仕方が無い。
私は手紙を書き終えると伝書鳥の足にそれを括り付けて外に離した。
「あれ…?」
その時、建物の外に一人の人間が立っていた。
上から下まで大きなマントを羽織っており、
フードを深く被っていて顔は見えない
だが何となくその人と目が合った気がした。
「変なの…」
そう呟くと私は窓を閉め、エドナのように早めに眠りに着くことにした。
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