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第4章起業しましょう。そうしましょう
236・開店
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それからは忙しい日々がスタートした。
まずお店に行って、色々と開店準備をした。
店の厨房は少し狭かったので空間を少し広げた。
そして大型冷蔵庫や大型のオーブンや、大型の炊飯器や、
電子レンジや揚げ物を揚げる機械なども作った。
あと空調も整え、エアコンも設置した。
それからコンビニっぽい棚や、
商品を冷蔵する冷凍庫の棚を作ったりもした。
ちなみにどれも電気は不要で、
魔力だけで半永久的に動く仕組みだ。
そして私達、『金色の黎明』のメンバーと、
私がクロノ聖王国で助けたノーマ達4人は厨房で集まっていた。
「まずコンビニといったら唐揚げとおにぎりです。
皆さんにはこれから大量の唐揚げとおにぎりを作ってもらいます」
そう私は説明する。
「ノーマ達は料理出来ますか?」
「作れますよ。でも唐揚げっていうのは作ったことはないです」
「じゃあこれから唐揚げを作りますので、見ていてください」
そう言うと私は鶏肉を切り、衣をつけてあげていく。
「はい、これが唐揚げです。
食べてみてください」
「おいしい…!
こんなにおいしいのは初めて食べました!」
「じゃあ今度は揚げた唐揚げをこの容器に入れていきます」
そう言うと私はこのために作った紙の容器を取り出す。
ニワトリが描かれた可愛いデザインの容器だ。
「5つ程入れたら箱を閉じて、
私が空間術でしまうので、とにかく大量に作りましょう」
それから大量の唐揚げを作った。
そうしていると炊飯器が鳴ったので、
今度はおにぎりを作ることにした。
材料はヤトノカミで買ったお米と海苔を使った。
「ところで複製が出来るようになったみたいですが、
いちいちこうして作らなくても、
複製で作ればいいんじゃないですか?」
「フォルトゥーナ、
それだと私が居ないとこの店が成り立たなくなります。
私が居なくても店が出来るようにしたいんです」
「そうですか。それと本の複製が出来るようになったみたいですが、
具体的にどんな本を扱いますか?」
「そうだなぁ。ダンジョンが近くにあるし、
ダンジョンの情報を扱った本とかどうですか?」
「ダンジョンに人が通れるようになったのは最近ですし、
今はダンジョンに関する本は全くありません。
やるとしたら自分達で作るしかないですね」
「ラプラスに頼んで作ってもらえばいいかもしれませんね」
「それはそうとセツナはお店の名前は決めましたか?」
「え、まだ決めてないけど、
カイドウ商会っていうのはどうでしょうか」
「何ていうかそのままね」
「それとセツナ。唐揚げとおにぎりもそうですが、
何か冷たい食べ物ってありませんか?」
「それならアイスがいいかな」
「アイス?」
「氷のお菓子です。
そうですね。コンビニと来たらおいしいアイスですね。
よし決めた。たくさんコンビニアイスを作りましょう!」
それからの1週間は忙しかった。
ひたすらお弁当やアイスやお菓子や飲み物を作り、
作った物を全部アイテムボックスにしまった。
そして私も店で売る雑貨を作った。
雑貨は私の世界では当たり前にある物を作った。
例えば野菜の皮むき器など、
この世界ではなじみのない物を作った。
正直売れるかどうかは賭けだったが、
何も作らないよりましだろう。
そしてお弁当などの作った料理は、
アイテムボックスにしまうことにした。
そして全ての商品が作られ、開店準備は整ったのだった。
◆
「よしじゃあみんなこれから、
ビラ作りをしようと思います」
「ビラね。確かに効果的だけど、
私達でビラを作るの?」
「はい、一緒に作りましょう」
それからビラを作ったのだったが、
これが予想以上に難しかった。
「フォルトゥーナ、出来たわよ」
「ダメです。肝心の場所が書いてないじゃないですか」
「ええ、また書き直すの?」
「出来たのだ」
「うーんこれだとメッセージ性に欠けます。
何を伝えたいのかこれでは分かりません」
「うー、また書き直しなのだ。
これで5回目なのだ」
何回も書き直しているがなかなかフォルトゥーナから許可が出なかった。
そうして書き直していると、
ようやく完成した。
「うん、これなら良いでしょう。
じゃあセツナ複製をお願いします」
「はい、500枚複製」
すると本当に500枚複製出来た。
「じゃあこれをみんなで手分けして配りましょう」
「「「「「…」」」」」
「どうしました」
何故がリンとノーマ達4人が、唖然とした顔で私達を見てきた。
「もうなんていうか…」
「まぁそんなことより、早く配りに行きましょう」
「そ、そんなことって…。
アンタさ。気がついてないようだから言うけど、
アンタの力って聖眼持ちにしては、
異質過ぎない?」
ああ、そうだった。
リンにはヒョウム国のことは話したけど、
神様に力を貰ったことは話していなかった。
「実はですね…」
私は一度死んで神様に生き返らせてもらったことを話した。
「え、それならセツナ様は神様ですか?」
メグがそう驚いた顔でそう言った。
「いや、神様に力を貰ったけど神様ではないです」
「でもすごいことですよ。
普通の聖眼持ちよりすごいです!」
そうメグは興奮して言った。
「前のアタシだったら信じてなかっただろうけど、
こんな非常識な力を見せられたら信じるしかないね…」
リンが悟ったように言った。
「まぁそんなことより、ビラ配りに行きましょう」
「…いや、そんなことって言うほど、
スルーしていいことじゃない気がするけど、分かったよ」
それから私達はアアルの至る所でビラを配った。
その次の日、私達はコンビニを開店した。
「すごい人…」
ビラ配りの効果か開店前にはたくさんの人が並んでした。
「では開店します~」
そう言うと私は店を開店した。
すると続々とお客さんが入ってきた。
「うわぁ、すごい人」
それから私達は三台のレジをフル稼働させながら、接客をする。
ちなみにレジは商品に書かれた値段を打ち込むので、
計算が出来ないノーマ達にも扱えるようになっている。
「ああ、忙しい」
それから交代で、休憩を取ったりしながら、
地獄のような忙しさに耐えた。
「忙しそうだな」
「あれアレックさん。ネルも来たんですね」
そこに立っていたのは元ギルドマスターのアレックさんとネルだった。
「嬢ちゃんが店をやるって聞いて、
気になって来たんだ」
「そうですか」
「ネル、何か欲しい物はあるか?」
「あ、このぬいぐるみが欲しい」
そうネルは棚に置いてあるぬいぐるみを見て言った。
「そうか、じゃあ嬢ちゃんこれを頼む」
「はい、銅貨50枚になります」
しかしネルはこうしてアレックさんに甘えられるようになったんだな。
本当の親子になれて良かった。
「しかしあの天使の女の子は何者なんだ?」
ヒナタを指さしてアレックさんはそう言う。
「あー、ただの仮装です。
この方がお客さんにウケると思って付けているんですよ」
後で聞いて知ったことだがヒナタの背中の翼は偽物ではなく、
本当に背中から生えている。
ヒナタ本人も何故自分に翼が生えているのか分からないらしい。
翼が本当に生えていると知られたら貴族に目を付けられそうなので、
ただのコスプレということにしている。
「その翼。綺麗ね」
ネルがそう言った。
「そう…?」
「うん、すごく綺麗、良かったら私と友達になってくれる?」
「え、うん、いいけど」
「今日は忙しいみたいだから、
落ち着いたら、また話を聞かせてね」
そしてお金を払うとアレックさんとネルは帰っていた。
ネル…自分から友達になってくれるように誘うなんて、
最初は内気だったのにずいぶんと活発になってきたようで良かった。
それからも噂を聞きつけた私の知人などがやってくることが度々あった。
売れる度に商品を補充しを繰り返すと、
ようやく閉店の6時になった。
「はぁ疲れた~」
「お疲れ様です」
「そうだ売り上げどれぐらいになったかな」
私はレジを操作に売上金を確認する。
「え…、銀貨30枚と銅貨8…?」
おいおい1日で家賃と同じ金額を稼いだよ。
「そうだ。皆さん。
お腹減ったでしょう?
おにぎりたくさん作ったので食べましょう」
私はそう言うとアイテムボックスからおにぎりを取り出す。
「うう、本当に地獄のような忙しさだったのだ…。
これを毎日は疲れるのだ…」
「まぁ今日は開店初日だったので、
物珍しさから来た人が大半だったでしょうし、
しばらくすれば落ち着くと思います」
フォルトゥーナが冷静にそう分析する。
「あ、そうだ。用意する物があった」
そう言うと私はアイテムボックスから封筒を取り出した。
それを全員に渡した。
「これは何ですか?」
「お給料です」
「「「「給料!?」」」」
ノーマ、マロリー、メグ、ヒナタの4人は驚愕した顔で私を見る。
「あ、毎日手渡すんじゃなくて、
月の初めにまとめて渡す方が良かったですか?」
「いやそうじゃなくて、
私達はあなたの奴隷だったんじゃないのですか!?」
「奴隷? いやそれは酷い勘違いですよ。
私はあなた達を奴隷として扱う気はありません。
対等な人間だと思っています」
「奴隷にしないなら、
どうして私達を助けたりしたのですか!?」
「それはそうですね…。
苦労した分幸せになってほしかったからです」
「幸せ…?」
「そうだから、私には敬語もいらないです。
あなた達のことは対等な仲間だと思っています」
そう言うとノーマ達がわっと泣き出した。
「どうしたんですか!?
何か傷つけるようなこと言いましたか?」
「幸せになってほしいなんて親にも言われたことも無いわ…」
ノーマが泣きながらそう言った。
「そうです。私もいつもお前はゴミだって言われて育ちました…」
「うちの親はいつも私に暴力を振るって、
しまいには私を奴隷として売り払いました…」
語られたのは明らかな迫害の記憶。
彼女達が受けた苦しみを思うと胸が痛んだ。
「そうですか、
それほどまでにクロノ聖王国はすさんでいるんですね。
我が子を奴隷として売り飛ばすぐらいに…」
「そうです、あまりに貧しくて貧しくて、
それなのにお役人は贅沢な服を着ていて、何度恨んだことか」
「そうですか」
「うん、決めた。
私達はあなたについて行きます。
裏切ったりなんてしない。
この恩は忘れないです」
「うん、ありがとうございます」
そうして何とか開店したコンビニは大成功に終わったのだった。
まずお店に行って、色々と開店準備をした。
店の厨房は少し狭かったので空間を少し広げた。
そして大型冷蔵庫や大型のオーブンや、大型の炊飯器や、
電子レンジや揚げ物を揚げる機械なども作った。
あと空調も整え、エアコンも設置した。
それからコンビニっぽい棚や、
商品を冷蔵する冷凍庫の棚を作ったりもした。
ちなみにどれも電気は不要で、
魔力だけで半永久的に動く仕組みだ。
そして私達、『金色の黎明』のメンバーと、
私がクロノ聖王国で助けたノーマ達4人は厨房で集まっていた。
「まずコンビニといったら唐揚げとおにぎりです。
皆さんにはこれから大量の唐揚げとおにぎりを作ってもらいます」
そう私は説明する。
「ノーマ達は料理出来ますか?」
「作れますよ。でも唐揚げっていうのは作ったことはないです」
「じゃあこれから唐揚げを作りますので、見ていてください」
そう言うと私は鶏肉を切り、衣をつけてあげていく。
「はい、これが唐揚げです。
食べてみてください」
「おいしい…!
こんなにおいしいのは初めて食べました!」
「じゃあ今度は揚げた唐揚げをこの容器に入れていきます」
そう言うと私はこのために作った紙の容器を取り出す。
ニワトリが描かれた可愛いデザインの容器だ。
「5つ程入れたら箱を閉じて、
私が空間術でしまうので、とにかく大量に作りましょう」
それから大量の唐揚げを作った。
そうしていると炊飯器が鳴ったので、
今度はおにぎりを作ることにした。
材料はヤトノカミで買ったお米と海苔を使った。
「ところで複製が出来るようになったみたいですが、
いちいちこうして作らなくても、
複製で作ればいいんじゃないですか?」
「フォルトゥーナ、
それだと私が居ないとこの店が成り立たなくなります。
私が居なくても店が出来るようにしたいんです」
「そうですか。それと本の複製が出来るようになったみたいですが、
具体的にどんな本を扱いますか?」
「そうだなぁ。ダンジョンが近くにあるし、
ダンジョンの情報を扱った本とかどうですか?」
「ダンジョンに人が通れるようになったのは最近ですし、
今はダンジョンに関する本は全くありません。
やるとしたら自分達で作るしかないですね」
「ラプラスに頼んで作ってもらえばいいかもしれませんね」
「それはそうとセツナはお店の名前は決めましたか?」
「え、まだ決めてないけど、
カイドウ商会っていうのはどうでしょうか」
「何ていうかそのままね」
「それとセツナ。唐揚げとおにぎりもそうですが、
何か冷たい食べ物ってありませんか?」
「それならアイスがいいかな」
「アイス?」
「氷のお菓子です。
そうですね。コンビニと来たらおいしいアイスですね。
よし決めた。たくさんコンビニアイスを作りましょう!」
それからの1週間は忙しかった。
ひたすらお弁当やアイスやお菓子や飲み物を作り、
作った物を全部アイテムボックスにしまった。
そして私も店で売る雑貨を作った。
雑貨は私の世界では当たり前にある物を作った。
例えば野菜の皮むき器など、
この世界ではなじみのない物を作った。
正直売れるかどうかは賭けだったが、
何も作らないよりましだろう。
そしてお弁当などの作った料理は、
アイテムボックスにしまうことにした。
そして全ての商品が作られ、開店準備は整ったのだった。
◆
「よしじゃあみんなこれから、
ビラ作りをしようと思います」
「ビラね。確かに効果的だけど、
私達でビラを作るの?」
「はい、一緒に作りましょう」
それからビラを作ったのだったが、
これが予想以上に難しかった。
「フォルトゥーナ、出来たわよ」
「ダメです。肝心の場所が書いてないじゃないですか」
「ええ、また書き直すの?」
「出来たのだ」
「うーんこれだとメッセージ性に欠けます。
何を伝えたいのかこれでは分かりません」
「うー、また書き直しなのだ。
これで5回目なのだ」
何回も書き直しているがなかなかフォルトゥーナから許可が出なかった。
そうして書き直していると、
ようやく完成した。
「うん、これなら良いでしょう。
じゃあセツナ複製をお願いします」
「はい、500枚複製」
すると本当に500枚複製出来た。
「じゃあこれをみんなで手分けして配りましょう」
「「「「「…」」」」」
「どうしました」
何故がリンとノーマ達4人が、唖然とした顔で私達を見てきた。
「もうなんていうか…」
「まぁそんなことより、早く配りに行きましょう」
「そ、そんなことって…。
アンタさ。気がついてないようだから言うけど、
アンタの力って聖眼持ちにしては、
異質過ぎない?」
ああ、そうだった。
リンにはヒョウム国のことは話したけど、
神様に力を貰ったことは話していなかった。
「実はですね…」
私は一度死んで神様に生き返らせてもらったことを話した。
「え、それならセツナ様は神様ですか?」
メグがそう驚いた顔でそう言った。
「いや、神様に力を貰ったけど神様ではないです」
「でもすごいことですよ。
普通の聖眼持ちよりすごいです!」
そうメグは興奮して言った。
「前のアタシだったら信じてなかっただろうけど、
こんな非常識な力を見せられたら信じるしかないね…」
リンが悟ったように言った。
「まぁそんなことより、ビラ配りに行きましょう」
「…いや、そんなことって言うほど、
スルーしていいことじゃない気がするけど、分かったよ」
それから私達はアアルの至る所でビラを配った。
その次の日、私達はコンビニを開店した。
「すごい人…」
ビラ配りの効果か開店前にはたくさんの人が並んでした。
「では開店します~」
そう言うと私は店を開店した。
すると続々とお客さんが入ってきた。
「うわぁ、すごい人」
それから私達は三台のレジをフル稼働させながら、接客をする。
ちなみにレジは商品に書かれた値段を打ち込むので、
計算が出来ないノーマ達にも扱えるようになっている。
「ああ、忙しい」
それから交代で、休憩を取ったりしながら、
地獄のような忙しさに耐えた。
「忙しそうだな」
「あれアレックさん。ネルも来たんですね」
そこに立っていたのは元ギルドマスターのアレックさんとネルだった。
「嬢ちゃんが店をやるって聞いて、
気になって来たんだ」
「そうですか」
「ネル、何か欲しい物はあるか?」
「あ、このぬいぐるみが欲しい」
そうネルは棚に置いてあるぬいぐるみを見て言った。
「そうか、じゃあ嬢ちゃんこれを頼む」
「はい、銅貨50枚になります」
しかしネルはこうしてアレックさんに甘えられるようになったんだな。
本当の親子になれて良かった。
「しかしあの天使の女の子は何者なんだ?」
ヒナタを指さしてアレックさんはそう言う。
「あー、ただの仮装です。
この方がお客さんにウケると思って付けているんですよ」
後で聞いて知ったことだがヒナタの背中の翼は偽物ではなく、
本当に背中から生えている。
ヒナタ本人も何故自分に翼が生えているのか分からないらしい。
翼が本当に生えていると知られたら貴族に目を付けられそうなので、
ただのコスプレということにしている。
「その翼。綺麗ね」
ネルがそう言った。
「そう…?」
「うん、すごく綺麗、良かったら私と友達になってくれる?」
「え、うん、いいけど」
「今日は忙しいみたいだから、
落ち着いたら、また話を聞かせてね」
そしてお金を払うとアレックさんとネルは帰っていた。
ネル…自分から友達になってくれるように誘うなんて、
最初は内気だったのにずいぶんと活発になってきたようで良かった。
それからも噂を聞きつけた私の知人などがやってくることが度々あった。
売れる度に商品を補充しを繰り返すと、
ようやく閉店の6時になった。
「はぁ疲れた~」
「お疲れ様です」
「そうだ売り上げどれぐらいになったかな」
私はレジを操作に売上金を確認する。
「え…、銀貨30枚と銅貨8…?」
おいおい1日で家賃と同じ金額を稼いだよ。
「そうだ。皆さん。
お腹減ったでしょう?
おにぎりたくさん作ったので食べましょう」
私はそう言うとアイテムボックスからおにぎりを取り出す。
「うう、本当に地獄のような忙しさだったのだ…。
これを毎日は疲れるのだ…」
「まぁ今日は開店初日だったので、
物珍しさから来た人が大半だったでしょうし、
しばらくすれば落ち着くと思います」
フォルトゥーナが冷静にそう分析する。
「あ、そうだ。用意する物があった」
そう言うと私はアイテムボックスから封筒を取り出した。
それを全員に渡した。
「これは何ですか?」
「お給料です」
「「「「給料!?」」」」
ノーマ、マロリー、メグ、ヒナタの4人は驚愕した顔で私を見る。
「あ、毎日手渡すんじゃなくて、
月の初めにまとめて渡す方が良かったですか?」
「いやそうじゃなくて、
私達はあなたの奴隷だったんじゃないのですか!?」
「奴隷? いやそれは酷い勘違いですよ。
私はあなた達を奴隷として扱う気はありません。
対等な人間だと思っています」
「奴隷にしないなら、
どうして私達を助けたりしたのですか!?」
「それはそうですね…。
苦労した分幸せになってほしかったからです」
「幸せ…?」
「そうだから、私には敬語もいらないです。
あなた達のことは対等な仲間だと思っています」
そう言うとノーマ達がわっと泣き出した。
「どうしたんですか!?
何か傷つけるようなこと言いましたか?」
「幸せになってほしいなんて親にも言われたことも無いわ…」
ノーマが泣きながらそう言った。
「そうです。私もいつもお前はゴミだって言われて育ちました…」
「うちの親はいつも私に暴力を振るって、
しまいには私を奴隷として売り払いました…」
語られたのは明らかな迫害の記憶。
彼女達が受けた苦しみを思うと胸が痛んだ。
「そうですか、
それほどまでにクロノ聖王国はすさんでいるんですね。
我が子を奴隷として売り飛ばすぐらいに…」
「そうです、あまりに貧しくて貧しくて、
それなのにお役人は贅沢な服を着ていて、何度恨んだことか」
「そうですか」
「うん、決めた。
私達はあなたについて行きます。
裏切ったりなんてしない。
この恩は忘れないです」
「うん、ありがとうございます」
そうして何とか開店したコンビニは大成功に終わったのだった。
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