幸介による短編集

幸介~アルファポリス版~

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お先真っ暗


何処を見渡しても


深い闇



あなたは宛もなく


彷徨い続けています。



示される道なんて


ありませんでした。



道標ももちろん


ありませんでした。




苦しい、寂しい


悲しい、辛い




誰かに助けを求めても


誰も見えないし


あなたは完全に


独りぼっちです。



もう、彷徨う事にも疲れました。


何かを探し続けることにも


疲れてしまいました。



あなたは


闇の中でゆっくりと寝転ぶと


全てをあきらめるように


目を…閉じたのです。




しかしその時



あなたは感じました。




確かに感じました。




誰かが自分を呼ぶ声を感じました。




「___!」


だれ?


「___!!」



だれなの?




あなたは息を吹き返すように



懸命に辺りを探り始めました。




すると、どうでしょう。



あ…



今度は香りを感じます。



きれいな花、


雨上がりの土


どこかのお家


美味しそうな珈琲


あまぁい卵焼き



あなたはとても懐かしくなって


滔々と涙すら溢れ出しました。




そして、その時は



やってきました。




手当り次第に



探り続けた手が





コツン




何かにぶつかったのです。



手でした。



誰かの手でした。



はっと、気付いたように


 
互いを探し合い



あなたは確かに



その手を探り当て



やっとのことで



固く、握り合えたのです。




その瞬間


あなたを苦しめ続けた闇は



光に溶け始めます。



まるでこぼした絵の具を


乾いた布で拭うように


吸い取られていきました。




闇が完全に取り払われると



ああ、どうでしょうか。



あんなに見えなくて怖かった道は


四方八方に広がっていて



その先にはうっすらと


桃色や橙、暖色に


染まった未来すら見えました。




その道すがらに



道標のように



懐かしい顔ぶれが



笑っています。



あなたを呼んでいます。



手招きして


「こっちだよ」と


「迷うなよ」と


「焦るなよ」と


「転ぶなよ」と



みんな口々に


あなたに向かって


伝え続けていました。




闇に覆われ



見えなかっただけ。



本当はずっと



そこにあるもの。



闇にとらわれ



見えていなかったのは



そう、あなた自身でした。







なんだ…



みんないるじゃん



道…あるじゃん




あなたは涙を拭い



深い闇の中で



手を握ってくれた誰かと笑い合うと、



一歩を、確かに、



踏み出したのでした。




もう、あなたは


独りぼっちではありません。




もう、どんな闇に覆われても



その瞳の奥から



光が消えることは、ないでしょう
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