27 / 30
可愛いふたり
アルコール
しおりを挟む「ねー、ちゅーは?」
「…やだよ」
「えー、おやすみのちゅー!」
「やだって」
彼は近づいたあなたの顔を
手で押しのけキスを拒みます。
あなたは頬を
風船のように膨らめました。
「むぅ、なんでー?」
「なんでって…考えてもみろよ」
「ん?」
「新年会で俺、しこたま酒浴びてきたんだぞ」
「…だから?」
あなたは頭上にはてなマークを
沢山浮かべて彼の言葉を待ちました。
彼はオーギュスト・ロダンの
「考える人」のようなポーズで
恥ずかしさを逃しながら言います。
「さ、酒臭い口で…お前とキス、出来ねえよ」
「え、超可愛い。なにその理由。ますますしたい。しよー??」
「ちょっ、なんでそうなる!」
ますます顔が紅潮していく彼に
あなたは詰め寄ります。
「だってえ、呑んだのは私も一緒だよ」
「それは、そうだけどっ、お前は別に臭くねえし」
「えー?お酒臭いの一緒だよ」
「じゃあお前は餃子食べてニンニク臭くても、ニンニク臭いの同じだからってキス出来んの!?」
「んーーー…それは嫌かも」
「ほら見ろ!それといっ……」
あなたはどや顔で
声を張り上げる彼の口を
「すきあり♪」唇で塞ぎました。
漏れる吐息
別々のからだな事が
もどかしいくらい
その触れ合いが愛しい。
愛しすぎてお酒の臭いなんて
感じませんよね。
「……やだって言ったのに」
「臭くないよ?」
「絶っっ対、嘘だっ」
あなたに不快な思いを
させたくなかったのでしょう。
彼はすっかり意気消沈。
「ねえ」
あなたは
彼の足の間に上手く滑り込んで
彼の顔を覗き込みます。
熱っぽく潤んだ彼の目。
「あー…超かわいいね」
「あのなあ…何度もかわいいって言うなよ」
「ねえ」
「今度は何?」
「もっかいしてもいい!?」
「鼻息荒い!だめ。なんかお前中年オヤジみたいだぞ」
「この際オヤジでもなんでもいい…ね、もぅー1回だけ!」
「女がオヤジでいいなんて言うな!だめ!」
新年早々
こんなやりとり。
戯れるように何度も言葉を交わしながら
二人は陶酔していくのです。
明日はきっとお互い二日酔いでしょう。
だけど辛いも苦しいも、二日酔いだって
この二人なら笑って吹き飛ばせるはず。
「ねー、ちゅー」
「しつこいっオヤジ女子!」
「なによー、ナヨ系男子ー」
言い合いにも幸せを感じる二人の夜は
まだまだ終わりそうにありませんね。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる