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死へと向かい、生へと戻る4
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「ふむ、ではこれを渡しておこう。」
ファイゼンベルグは引き出しの中から金のプレートを取り出すとモグラに渡した。
「あ・・・。」
セレンはそのプレートを見ると驚いた。
「それはレオン君のSランクプレートじゃないですか?なぜそれをギルド長が・・・。」
プレートは金、銀、銅、青など色分けが為されている。戦闘中、満身創痍となったりした場合、他のパーティーが助ける際に、一目でその実力を見極める為にそうした使用になっている。例えば金のプレートを付けている者が戦っている敵の中には、一見弱そうな魔族であったり、初心者が倒すような魔物がいるが、その環境を支配するような強力な魔物や魔族であることが多い。スライムやウルフなどはその代表例で今年も春先だというのにも関わらず、助けに入ったパーティーと共に壊滅すると言った事例が3件も入っている。
だが、なぜそれをギルド長が持っているのか。それがセレンには疑問だった。あの時、モグラは金のプレートを着用している。ギルド長は腕組みをすると、神妙な顔で話した。
「実は君は死んだということになっている。」
「どういうことですか!?だって私やジークはその事を聞かされてないじゃないですか!酷すぎます!」
「落ち着け!セレン!」
興奮してファイゼンベルグに掴みかかりそうになっているセレンをモグラは肩を掴み制止する。何が起こっているのかモグラ自身、わかっていないが、おおよそ予測は着いていた。
「聖樹の木の根元ですか・・・そのプレートが落ちていたのは?」
コクッと何も言わずにファイゼンベルグは頷く。
「戦後、勇者の捜索に駆り出されていた冒険者が聖樹付近を捜索していた際に見つけたらしい。ただ、その事を知っているのは限られた者だ。勇者の死はそれほどに重い!」
勇者の死・・・確かに勇者が死ぬと他の者が聖剣を得て勇者となるが、魔族にとってはこの上ない吉報となる。聖剣を得た新たな勇者をすぐに殺害せよ。魔族は全力で潰しに掛かる。そうして窮地に立たされた国がかつて存在したこともあった。その国は現在、王が死に、その現状を救う為、別の国が管理するという形になっている。
「本当に申し訳ないことをした。」
そう言いながらモグラはそのプレートを受け取った。かつて、セレンやジークと共にギルドの扉を開いたことを思い出していた。Fランクから徐々にあらゆる場所に行き、新たな仲間が加わり、この金のプレートを首に掛けた記憶が甦る。
「セレン・・・あの頃、俺達は孤児院という差別の対象から抜け出していろんなところに行って、色々な人に出会った。でも俺は強くなることに固執して道を踏み外し、挙げ句の果てにジークを汚い言葉で罵った。何も見えていなかった。考えて居ることは、こいつは弱い、魔族は一人残らず殺す。そんなことばかり考えていたんだ。だから・・・。」
二人から距離を取り、プレートを空中に放り投げると、構えた。
「レオン君!」
「何を!」
「やり直す!拙者はここからやり直すのだ!」
そう言いながらプレートを切った。プレートは原形を無くすほどにバラバラになり、地面に落ちた。その欠片を二つ拾うと一つをセレンに渡した。
「っ!!」
セレンは言葉が出なかった。両手でその欠片を大切に包み込み胸元に持っていく。
「すまんセレン。ただこれは過去を忘れるためではない。これからの拙者を見ていて欲しい。その欠片と共に・・・。」
セレンの頬を冷たい涙が伝い、胸元に零れた。
ファイゼンベルグは引き出しの中から金のプレートを取り出すとモグラに渡した。
「あ・・・。」
セレンはそのプレートを見ると驚いた。
「それはレオン君のSランクプレートじゃないですか?なぜそれをギルド長が・・・。」
プレートは金、銀、銅、青など色分けが為されている。戦闘中、満身創痍となったりした場合、他のパーティーが助ける際に、一目でその実力を見極める為にそうした使用になっている。例えば金のプレートを付けている者が戦っている敵の中には、一見弱そうな魔族であったり、初心者が倒すような魔物がいるが、その環境を支配するような強力な魔物や魔族であることが多い。スライムやウルフなどはその代表例で今年も春先だというのにも関わらず、助けに入ったパーティーと共に壊滅すると言った事例が3件も入っている。
だが、なぜそれをギルド長が持っているのか。それがセレンには疑問だった。あの時、モグラは金のプレートを着用している。ギルド長は腕組みをすると、神妙な顔で話した。
「実は君は死んだということになっている。」
「どういうことですか!?だって私やジークはその事を聞かされてないじゃないですか!酷すぎます!」
「落ち着け!セレン!」
興奮してファイゼンベルグに掴みかかりそうになっているセレンをモグラは肩を掴み制止する。何が起こっているのかモグラ自身、わかっていないが、おおよそ予測は着いていた。
「聖樹の木の根元ですか・・・そのプレートが落ちていたのは?」
コクッと何も言わずにファイゼンベルグは頷く。
「戦後、勇者の捜索に駆り出されていた冒険者が聖樹付近を捜索していた際に見つけたらしい。ただ、その事を知っているのは限られた者だ。勇者の死はそれほどに重い!」
勇者の死・・・確かに勇者が死ぬと他の者が聖剣を得て勇者となるが、魔族にとってはこの上ない吉報となる。聖剣を得た新たな勇者をすぐに殺害せよ。魔族は全力で潰しに掛かる。そうして窮地に立たされた国がかつて存在したこともあった。その国は現在、王が死に、その現状を救う為、別の国が管理するという形になっている。
「本当に申し訳ないことをした。」
そう言いながらモグラはそのプレートを受け取った。かつて、セレンやジークと共にギルドの扉を開いたことを思い出していた。Fランクから徐々にあらゆる場所に行き、新たな仲間が加わり、この金のプレートを首に掛けた記憶が甦る。
「セレン・・・あの頃、俺達は孤児院という差別の対象から抜け出していろんなところに行って、色々な人に出会った。でも俺は強くなることに固執して道を踏み外し、挙げ句の果てにジークを汚い言葉で罵った。何も見えていなかった。考えて居ることは、こいつは弱い、魔族は一人残らず殺す。そんなことばかり考えていたんだ。だから・・・。」
二人から距離を取り、プレートを空中に放り投げると、構えた。
「レオン君!」
「何を!」
「やり直す!拙者はここからやり直すのだ!」
そう言いながらプレートを切った。プレートは原形を無くすほどにバラバラになり、地面に落ちた。その欠片を二つ拾うと一つをセレンに渡した。
「っ!!」
セレンは言葉が出なかった。両手でその欠片を大切に包み込み胸元に持っていく。
「すまんセレン。ただこれは過去を忘れるためではない。これからの拙者を見ていて欲しい。その欠片と共に・・・。」
セレンの頬を冷たい涙が伝い、胸元に零れた。
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