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仇2
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一晩明け、昼食を食べた後、モグラは宿屋の買い出しのついでに教会の様子を見に歩みを進めていた。道中、なにやら兵士やギルドの冒険者たちが忙しく走り回っていた。店に入ったかと思ったら慌ただしく「お願いします!」と言っては次の店に入っていった。なにやら催しがあるらしい。
「ふむ。・・・身を隠したほうがいいか。」
と呟くと人通りの無い道を使い、協会に向かった。本来、ガルナに話しを通して部屋に籠るのがいいのだが、セレンのことが気にかかった。また自分の提案で巻き込んでしまった事の方が彼にとっては重要だった。せめて様子だけでもと足早に協会に向かう。それがまずかったのかも知れない。白銀の鎧を装備した彼女と出くわした。
「モグラ殿か?」
「・・・っ!なぜここに!」
後ろからカーリーンが話しかけてきた。モグラは思わず驚いた。
「私は街の見回りだ。2日後、ギルド長会議が執り行われるのでな。怪しいものがいないか見回りを行っていたんだが・・・モグラ殿は買い物か?」
「う、うむ。買い物は終わったのだが、セレンのことが気に掛ったもので・・・。」
「そうか。だが、なぜこのようなところに。表の道を使えばすぐに協会だが・・・何か後ろめたいことでもあるのか?」
ギクっと体が緊張する。実はと言い、ことの顛末を話すとカーリーンは納得し、そうかと言った。カーリーンは思わず、吹き出し、顔を背けて笑いだした。
「安心されよ。モグラ殿も漢なのだなと思うと、はははは。」
「笑わないで欲しい。拙者、なにぶんセレンには迷惑をかけすぎているのだ。申し訳なく思っているのだ。」
そうかそうか、と言うとカーリーンは深呼吸した。
「すまなかった。あの薬、相当のものであろう。それを私に使ってくれたおかげで命拾いをした。おかげで今朝から普段よりも調子が良い。お嬢様には行くなら私も一緒に行くとせがまれてしまったのだが、やはり急事だ。身体が動くなら守れるものは守るべきだ。怪しいものは表には出ない。裏に出る。ヘンリー様もルドルフ殿も忙しくしている。ならば・・・。」
そう言うとカーリーンは槍をガチンと地につけると険しい表情で、
「潰すべきだ。」
そう言った。彼女のいない間のシャルルの護衛は執事が行っているということで安心してシラミを潰しているとのこだった。重傷を負い、意識を失ったことを後悔している様子で、並々ならぬ気迫を感じる。
ただ、モグラには疑問があった。彼女の気配を見落とすほど抜けてはいない。後ろから声を掛けられる前に反応しているはずだ。気になりそのことを尋ねるとあっさりと教えてくれた。どうやら彼女はアサシンのスキル『気配遮断』を使用することができるらしい。
「シラミに気づかれては逃げられる。もともと奴らはそう言う手合いだ。潰した何人かにアサシンのジョブを持つ者がいた。」
「潰した・・・ということは、居たのか?」
「ああ。全員騎士団本部に内密で運んだ。さすがに驚いていたがしょうがない。今回の会議に延期はないからな。表向きには出来んよ。誰かさんのせいで。」
うう、すまない。と言うとハッとする。
「・・・正体を知ったのか?」
誰かさんのせいで。この言葉がさす意味はスタンピードの一件、ギルド長に話したこと、霊薬の効果・・・おそらくギルド長が王子に対して伝えたのだろう。ギルド長はみだりに秘密を話す人ではない。おそらく国一番の天才が気が付いたのだ。
「ギルド長とヘンリー様が話しているのを聞いてしまってな。さすがに体は動かず、目も開かなかったが、話しだけは聞こえてな。・・・聖剣の勇者殿。」
「・・・俺を殺したいと思うか?」
10年前の襲撃の際、彼女の母親が出陣していたことを知っていた。モグラがジークに怒鳴り散らしていたところを止めた女性の聖騎士が彼女の母親だった。カーリーンと会ったのは初めてではなく、勇者として王に謁見し、そのあとの宴会にて一度顔を合わせている。
「ということは母が死んだことは存じているということか。」
「ああ・・・ギルド長に掛け合って当時の犠牲者名簿を確認した。聖騎士ロンデルアート・・・君の母の名があった。」
「そうか・・・。」
「ならば・・・俺は仇だろう。面目無いが今は死ぬことは出来ないのだ。」
モグラは頭を下げた。深々と。だがカーリーンは「いや。」というとカーリーンは紫色の髪をかき上げ、空を見上げた。
「母が死んだことは部下から聞いた。その時に母の遺言を聞いてな。彼は子供で私は大人。守る義務がある。重い荷物を背負わせてしまった。彼は無事に逃げられただろうか。傲慢なことを言っていたが、あの目に映っていたものは恐怖だ。それも自分が死ぬことじゃない。それが何だったのかわからなかった。でも、きっと彼は優しい男だよ。だから最後に・・・。」
彼を見つけ出して必ず救え。
「それが私の母の最期の言葉だったと言っていた。きっと母は君に対して希望を持って死んだのだと思う。私はそれが間違っていなかったことを身を以て知った。だって私は生きている。君が助けてくれたんだ。この街も君がいなければきっとなかった。だから・・・」
そんな顔をするな。
そういってカーリーンは強く右肩を叩く。一体どんな顔をしていたのだろう。モグラは自分の顔を触った。
「ふむ。・・・身を隠したほうがいいか。」
と呟くと人通りの無い道を使い、協会に向かった。本来、ガルナに話しを通して部屋に籠るのがいいのだが、セレンのことが気にかかった。また自分の提案で巻き込んでしまった事の方が彼にとっては重要だった。せめて様子だけでもと足早に協会に向かう。それがまずかったのかも知れない。白銀の鎧を装備した彼女と出くわした。
「モグラ殿か?」
「・・・っ!なぜここに!」
後ろからカーリーンが話しかけてきた。モグラは思わず驚いた。
「私は街の見回りだ。2日後、ギルド長会議が執り行われるのでな。怪しいものがいないか見回りを行っていたんだが・・・モグラ殿は買い物か?」
「う、うむ。買い物は終わったのだが、セレンのことが気に掛ったもので・・・。」
「そうか。だが、なぜこのようなところに。表の道を使えばすぐに協会だが・・・何か後ろめたいことでもあるのか?」
ギクっと体が緊張する。実はと言い、ことの顛末を話すとカーリーンは納得し、そうかと言った。カーリーンは思わず、吹き出し、顔を背けて笑いだした。
「安心されよ。モグラ殿も漢なのだなと思うと、はははは。」
「笑わないで欲しい。拙者、なにぶんセレンには迷惑をかけすぎているのだ。申し訳なく思っているのだ。」
そうかそうか、と言うとカーリーンは深呼吸した。
「すまなかった。あの薬、相当のものであろう。それを私に使ってくれたおかげで命拾いをした。おかげで今朝から普段よりも調子が良い。お嬢様には行くなら私も一緒に行くとせがまれてしまったのだが、やはり急事だ。身体が動くなら守れるものは守るべきだ。怪しいものは表には出ない。裏に出る。ヘンリー様もルドルフ殿も忙しくしている。ならば・・・。」
そう言うとカーリーンは槍をガチンと地につけると険しい表情で、
「潰すべきだ。」
そう言った。彼女のいない間のシャルルの護衛は執事が行っているということで安心してシラミを潰しているとのこだった。重傷を負い、意識を失ったことを後悔している様子で、並々ならぬ気迫を感じる。
ただ、モグラには疑問があった。彼女の気配を見落とすほど抜けてはいない。後ろから声を掛けられる前に反応しているはずだ。気になりそのことを尋ねるとあっさりと教えてくれた。どうやら彼女はアサシンのスキル『気配遮断』を使用することができるらしい。
「シラミに気づかれては逃げられる。もともと奴らはそう言う手合いだ。潰した何人かにアサシンのジョブを持つ者がいた。」
「潰した・・・ということは、居たのか?」
「ああ。全員騎士団本部に内密で運んだ。さすがに驚いていたがしょうがない。今回の会議に延期はないからな。表向きには出来んよ。誰かさんのせいで。」
うう、すまない。と言うとハッとする。
「・・・正体を知ったのか?」
誰かさんのせいで。この言葉がさす意味はスタンピードの一件、ギルド長に話したこと、霊薬の効果・・・おそらくギルド長が王子に対して伝えたのだろう。ギルド長はみだりに秘密を話す人ではない。おそらく国一番の天才が気が付いたのだ。
「ギルド長とヘンリー様が話しているのを聞いてしまってな。さすがに体は動かず、目も開かなかったが、話しだけは聞こえてな。・・・聖剣の勇者殿。」
「・・・俺を殺したいと思うか?」
10年前の襲撃の際、彼女の母親が出陣していたことを知っていた。モグラがジークに怒鳴り散らしていたところを止めた女性の聖騎士が彼女の母親だった。カーリーンと会ったのは初めてではなく、勇者として王に謁見し、そのあとの宴会にて一度顔を合わせている。
「ということは母が死んだことは存じているということか。」
「ああ・・・ギルド長に掛け合って当時の犠牲者名簿を確認した。聖騎士ロンデルアート・・・君の母の名があった。」
「そうか・・・。」
「ならば・・・俺は仇だろう。面目無いが今は死ぬことは出来ないのだ。」
モグラは頭を下げた。深々と。だがカーリーンは「いや。」というとカーリーンは紫色の髪をかき上げ、空を見上げた。
「母が死んだことは部下から聞いた。その時に母の遺言を聞いてな。彼は子供で私は大人。守る義務がある。重い荷物を背負わせてしまった。彼は無事に逃げられただろうか。傲慢なことを言っていたが、あの目に映っていたものは恐怖だ。それも自分が死ぬことじゃない。それが何だったのかわからなかった。でも、きっと彼は優しい男だよ。だから最後に・・・。」
彼を見つけ出して必ず救え。
「それが私の母の最期の言葉だったと言っていた。きっと母は君に対して希望を持って死んだのだと思う。私はそれが間違っていなかったことを身を以て知った。だって私は生きている。君が助けてくれたんだ。この街も君がいなければきっとなかった。だから・・・」
そんな顔をするな。
そういってカーリーンは強く右肩を叩く。一体どんな顔をしていたのだろう。モグラは自分の顔を触った。
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