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仇3
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カーリーンとモグラが裏通りで話しているのと同時刻、ヘンリー、ファイゼンベルグ、ルドルフは書類整理に追われていた。ファイは顔色一つ変えず次々と仕事を片付け、後は露店の出店などSランクパーティーが出来るだけ楽しめる催しを考えていたが、ヘンリーとルドルフはスタンピードの一件をようやく丁寧に読み終え、会議の内容を考えていた。ファイから聖剣の勇者のことは絶対に伏せるように指示があり、いや、辻褄が合わないのだがと弱音を漏らすとファイは笑顔で、「親友の仕事は本当に天才的で、楽です。」と殺気を立ててくる。いっそオーガだから、オーガだから可能なんですと言った方が皆納得するのではないかと思えてくるが、の中にはアーグストと言う名もあった。アーグスト・・・ソードの街の領主にして、生粋の戦士。問題は、何に対しても戦う姿勢があり、会議が開かれるたびに最後まで質問をしまくり、最終的に深夜を回るなどザラだった。
「これまた面倒なやつがいますな。」
「まったくどうしたものか。」
ヘンリーはちらっとファイの顔を見るとニコッと笑うが逆にニコッと笑い返される。どうにかしろと言うことだろう。ヘンリーは背もたれにだらんともたれかかり、天井を見上げる。きっとどうにかする手段は無いのでゴリ押しするか、そうするしかないと言う。窓を見て、きっとその日の朝焼けは綺麗で、会議場で全員寝ている姿が目に浮かぶ。なにせアーグストが出席した会議はどんなに傲慢な人間でも逃げられた試しがない。体力を削りきって納得させるのがいいのだ。
「はは、これなんて無理げー・・・。」
「そうですな。」
そうぼやいていると、ギルド長室に事務局長であるアルカが二人を見て、まあそうなるだろうなと思ってましたと声を掛けてきた。
「アル姉ちゃん・・・助けてください。」
もちろん実の兄弟ではない。昔、ファイとアルカ、そしてエルドラドがSランクパーティーを組んでいた際、子供だったヘンリーを助けたときから彼は彼女をそう呼んでいる。第一王子としては、頼りない発言にアルカはあははは・・・と苦笑いをする。
「そんな頼りない物言いじゃ王様にはなれませんよ。」
とアルカはヘンリーに近寄り頭をなでる。ルドルフはそれを見てはぁと溜息をつきながらも優しい目でそれを見る。無礼なやり取りではある。しかし、彼女がエルフであることもそうであるが、なによりもヘンリーにとっては甘えることが出来る人がいることは悪いことではなかった。心のよりどころがなくなれば人は道を違えてしまう。道は多い方が選択肢が増えるのと同時に前を向き、どの道に行けばいいか自分の意志で選択できる。逆に下を向き暗闇を歩き、気が付いた時には道すらない。轟轟とうなる川の真ん中で面を食らったのがモグラその人だった。それはわかっている。自分たち大人が、少年に生あるものを殺せと命じ、命のやり取りを強要した。この世界では珍しいことではない。だが、それでもルドルフにとっては、友人を見殺しにした仇。煮え切らない感情があるのである。
「・・・どうしたルドルフ。腹具合でも悪いのか?」
「滅相もございません。ただ、やはり・・・。」
「そうだよな。いっそ自分から名乗り出てもらいたいものだな。」
「それはだめですよ。私が許しません。」
ウグッと思わず二人から声が出る。ただ、ヘンリーからすれば自分の部下が難しそうな表情で下を向いている事態を重く見ていた。
「なぜそんなに彼が大切なんだ。冒険者協会からすれば仲間だからか。」
アルカはぎょっとした。少なくとも彼女の目の前で彼がそんな発言や態度をしたしたことはなかった。ヘンリー自身もしないように無自覚に我慢するほどに出さないように気を付けていた。だが出た。ファイは表情を崩さずに話す。
「彼はオーガです。」
「だからなんだと・・・」
「私の友人の周が認めた方です。周は死にました。ならば・・・」
今度は私が護る番ですよ。
それを言った瞬間その場にいたものは息を飲んだ。本気の殺意。その部屋が氷漬けになったのではないかと錯覚するほどに寒いが腕を組むことも許されない。動けば死ぬ。それを現実にしてしまうと感じた時だった。
「えーい!!」
「あいた!アルカ君痛いですよ。」
持っていたお盆がファイの頭に直撃した。
「駄目ですよ。ファイゼンベルグさんの魔術はその気になったら街一つ消し飛んじゃうんですから。だから、この前のスタンピードの時も首を絞めて落としたんですよ。反省してください。」
「いやいや、本気なわけないじゃないですか。」
「っは!私とパーティー組んでた時、エルドラドさんと組んで違法船団を一度に何隻も吹き飛ばしてた人が何言ってるんだか。おかげで宝物はだめになる。押収品はぶつぶつぶつ・・・。」
「記憶にございません!」
ヘンリーはホッとするとわかったよと言ったが、ルドルフはやはり少し難しい顔をしている。
「会議前に何とかしてみますかね。では、そろそろ一つ休憩入れましょうか。ヘンリー、ルドルフ殿ここはひとつ、神殿に行きましょう。提案ではなく、強制です。」
ヘンリーとルドルフは互いに顔を見合わせ、わかりましたと言った。
「して、何が?」
「試食会ですよ。」
ファイは何か企んでいる顔をして笑った。
「これまた面倒なやつがいますな。」
「まったくどうしたものか。」
ヘンリーはちらっとファイの顔を見るとニコッと笑うが逆にニコッと笑い返される。どうにかしろと言うことだろう。ヘンリーは背もたれにだらんともたれかかり、天井を見上げる。きっとどうにかする手段は無いのでゴリ押しするか、そうするしかないと言う。窓を見て、きっとその日の朝焼けは綺麗で、会議場で全員寝ている姿が目に浮かぶ。なにせアーグストが出席した会議はどんなに傲慢な人間でも逃げられた試しがない。体力を削りきって納得させるのがいいのだ。
「はは、これなんて無理げー・・・。」
「そうですな。」
そうぼやいていると、ギルド長室に事務局長であるアルカが二人を見て、まあそうなるだろうなと思ってましたと声を掛けてきた。
「アル姉ちゃん・・・助けてください。」
もちろん実の兄弟ではない。昔、ファイとアルカ、そしてエルドラドがSランクパーティーを組んでいた際、子供だったヘンリーを助けたときから彼は彼女をそう呼んでいる。第一王子としては、頼りない発言にアルカはあははは・・・と苦笑いをする。
「そんな頼りない物言いじゃ王様にはなれませんよ。」
とアルカはヘンリーに近寄り頭をなでる。ルドルフはそれを見てはぁと溜息をつきながらも優しい目でそれを見る。無礼なやり取りではある。しかし、彼女がエルフであることもそうであるが、なによりもヘンリーにとっては甘えることが出来る人がいることは悪いことではなかった。心のよりどころがなくなれば人は道を違えてしまう。道は多い方が選択肢が増えるのと同時に前を向き、どの道に行けばいいか自分の意志で選択できる。逆に下を向き暗闇を歩き、気が付いた時には道すらない。轟轟とうなる川の真ん中で面を食らったのがモグラその人だった。それはわかっている。自分たち大人が、少年に生あるものを殺せと命じ、命のやり取りを強要した。この世界では珍しいことではない。だが、それでもルドルフにとっては、友人を見殺しにした仇。煮え切らない感情があるのである。
「・・・どうしたルドルフ。腹具合でも悪いのか?」
「滅相もございません。ただ、やはり・・・。」
「そうだよな。いっそ自分から名乗り出てもらいたいものだな。」
「それはだめですよ。私が許しません。」
ウグッと思わず二人から声が出る。ただ、ヘンリーからすれば自分の部下が難しそうな表情で下を向いている事態を重く見ていた。
「なぜそんなに彼が大切なんだ。冒険者協会からすれば仲間だからか。」
アルカはぎょっとした。少なくとも彼女の目の前で彼がそんな発言や態度をしたしたことはなかった。ヘンリー自身もしないように無自覚に我慢するほどに出さないように気を付けていた。だが出た。ファイは表情を崩さずに話す。
「彼はオーガです。」
「だからなんだと・・・」
「私の友人の周が認めた方です。周は死にました。ならば・・・」
今度は私が護る番ですよ。
それを言った瞬間その場にいたものは息を飲んだ。本気の殺意。その部屋が氷漬けになったのではないかと錯覚するほどに寒いが腕を組むことも許されない。動けば死ぬ。それを現実にしてしまうと感じた時だった。
「えーい!!」
「あいた!アルカ君痛いですよ。」
持っていたお盆がファイの頭に直撃した。
「駄目ですよ。ファイゼンベルグさんの魔術はその気になったら街一つ消し飛んじゃうんですから。だから、この前のスタンピードの時も首を絞めて落としたんですよ。反省してください。」
「いやいや、本気なわけないじゃないですか。」
「っは!私とパーティー組んでた時、エルドラドさんと組んで違法船団を一度に何隻も吹き飛ばしてた人が何言ってるんだか。おかげで宝物はだめになる。押収品はぶつぶつぶつ・・・。」
「記憶にございません!」
ヘンリーはホッとするとわかったよと言ったが、ルドルフはやはり少し難しい顔をしている。
「会議前に何とかしてみますかね。では、そろそろ一つ休憩入れましょうか。ヘンリー、ルドルフ殿ここはひとつ、神殿に行きましょう。提案ではなく、強制です。」
ヘンリーとルドルフは互いに顔を見合わせ、わかりましたと言った。
「して、何が?」
「試食会ですよ。」
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