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盾といふもの2
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「身体強化、俊足!」
開始と同時にルドルフが仕掛ける。ギフト俊足。いかなる巨体であっても高速で相手の近くまで飛び込むスキル。身体強化。その身体は鋼鉄の如く硬化するスキル。この二つは戦場に置いてルドルフが使用する最も単純にして剣士として基礎のスキルではあるが、熟練ともなると100の敵を薙ぎ払う、最強無比のスキルとなる。それを見て、ガルナとファイは、
(速い!さすが王国最強の聖騎士!)
と思った。実際、彼とまともにやりあえる者は、ガルナかファイゼンベルグ、そしてヘンリーくらいのものだろう。だが、モグラは、
「奥義、玄武の章、不動明王の心。」
とボソッと呟く。すると、
パアーン!という独特の音が闘技場に響き渡った。
「ぐぅ!」
ルドルフはモグラの横を通り過ぎ、あろうことか大剣を手放し、腕を抑えている。それを見た者達は言葉を失った。口を開けて、目を見開き、動きが止まっている。闘技場に静寂が訪れる。こんなことがあるのか。強いとは聞いていた。だが、相手はルドルフと言うこの国随一の聖騎士だ。
ガルナは震えた。いったい何が起きたのか。
「・・・これは凄い。いや、凄まじい。」
ファイはそう呟く。槍神と言われた彼の眼にはそれが捉えられていた。
「何が起こった・・・何をやったんだ?」
ヘンリーは動かぬ口を無理やりに動かしそう言った。
モグラは動かない。独特の構え方。下段というオーガの型を取る。刀身は袴に隠れ見えなくなっている。
「・・・まだだ。」
傍らに投げ出された大きな剣を左手に持ち、肩に担ぐ。そして、再度、
「身体強化!俊足!うおおおおおーーーーー!!」
大声を挙げてモグラにそのまま飛び込むと、
「俊撃剣連剣技法連続けーん!!」
と連続に打ち出される剣技を繰り出す。俊撃剣。刀身が見えなくなるほどの速さで繰り出すスキル。連剣技法連続剣。連続に放たれる剣技の中でも絶技とされる奥義。それを繰り出した。
だが、パアーン!と言った独特の音色が会場に響き渡る。何度も、何回も、50を超える快音が会場中に響き渡った。それを聞いたものが崩れ落ちるものを見たときファイは反応した。
「いけません!セレン君!セレン君!闘技場に遮音結界を張ってください!」
「わ、わかりました。」
ヘンリーはすでに耳をふさぎ、ガルナは口を押えていた。
「女神よ、我らを不快なる音から守り給え!遮音結界!」
闘技場の観客席に結界が張られ、皆何が起きたのかと口々に言い始めた。中には耐えきれず吐き出すものもいる。
「ファイ・・・見える?」
「お嬢様、来ていたんですか?」
後方から青色の髪をツインテールに巻き、ドリルを思わせるような独特の髪型の少女が声を掛けて来た。
「エ!エルドラドーーー!!」
「ヘンリー・・・私は怪物じゃあないわ。それに銃声よりも小さな音よ。情けない。」
船長が着るような白い衣服を纏い、着流した彼女はエルドラド。それを見たヘンリーは目が飛び出そうなほど驚いた。エルドラドはアルカの膝に座るとファイに目をやる。
「そうですな。ええ、見えてますとも。」
「あれが噂のオーガ君・・・でも、いなしているだけのようにも見えるけど・・・。」
ガルナは頭を押さえながら同意した。
「ああ、私にもそう見える。」
「いえ、あれは・・・。」
目の前に広がる光景にファイはどう言えばいいのかわからなかった。
(なぜだ?なぜ当たらない!)
連撃を浴びせるルドルフは痛みに耐えながら激しくそう思った。何分が過ぎたのだろうか。永遠ともいえるその空間は外から見れば異常な光景だった。何度も意識を失いそうになる。籠手の間、体幹を覆っている鎧の隙間、膝の関節部分、側頭部・・・的確に、正確に鎧の露出部分を当ててくる。鉄の音が一度も鳴らず、鈍い音と竹刀特有の音だけがその場に響いた。
(こんな!こんなことがあってたまるか!)
細い糸のように塗ってくる竹刀に対して避けようとするが必ず当たる。何度、態勢を変えたかわからない。そして気づいた。
奴は自分の眉間をずっと見ている。
だが、当たる。つまり、身体の動きを見ていないのに動きを予測して当てているということに気が付く。
(は、はははっはははっははっははっは)
「はーははっはっははっはは!!!」
大声を出して笑い、そして、
ズダン!ガランガランガラン!
大剣を投げ出し、背中から倒れる。ルドルフは笑いながら白目を剝き大の字になった。
闘技場に再び静寂が訪れた。盾の勇者は思った。あれだけの連撃をいなし、攻撃を当てる。間違いない。あれが化け物と言う奴だ。きっと僕でさえ、ルドルフの連撃剣をくらったら削りきられる。師匠が言っていた。本当の盾と言うのは守りながら攻撃してこそ成り立つのだと。
目を見開きながら、大きな口を開け、声が漏れる。
「あはははは!」
ファイゼンベルグはそれを見るとグッと力強く立ち上がり勝者を告げる。
「勝者!獅子神モグラ!」
歓声は上がらない。皆俯き、頭を押さえていた。
開始と同時にルドルフが仕掛ける。ギフト俊足。いかなる巨体であっても高速で相手の近くまで飛び込むスキル。身体強化。その身体は鋼鉄の如く硬化するスキル。この二つは戦場に置いてルドルフが使用する最も単純にして剣士として基礎のスキルではあるが、熟練ともなると100の敵を薙ぎ払う、最強無比のスキルとなる。それを見て、ガルナとファイは、
(速い!さすが王国最強の聖騎士!)
と思った。実際、彼とまともにやりあえる者は、ガルナかファイゼンベルグ、そしてヘンリーくらいのものだろう。だが、モグラは、
「奥義、玄武の章、不動明王の心。」
とボソッと呟く。すると、
パアーン!という独特の音が闘技場に響き渡った。
「ぐぅ!」
ルドルフはモグラの横を通り過ぎ、あろうことか大剣を手放し、腕を抑えている。それを見た者達は言葉を失った。口を開けて、目を見開き、動きが止まっている。闘技場に静寂が訪れる。こんなことがあるのか。強いとは聞いていた。だが、相手はルドルフと言うこの国随一の聖騎士だ。
ガルナは震えた。いったい何が起きたのか。
「・・・これは凄い。いや、凄まじい。」
ファイはそう呟く。槍神と言われた彼の眼にはそれが捉えられていた。
「何が起こった・・・何をやったんだ?」
ヘンリーは動かぬ口を無理やりに動かしそう言った。
モグラは動かない。独特の構え方。下段というオーガの型を取る。刀身は袴に隠れ見えなくなっている。
「・・・まだだ。」
傍らに投げ出された大きな剣を左手に持ち、肩に担ぐ。そして、再度、
「身体強化!俊足!うおおおおおーーーーー!!」
大声を挙げてモグラにそのまま飛び込むと、
「俊撃剣連剣技法連続けーん!!」
と連続に打ち出される剣技を繰り出す。俊撃剣。刀身が見えなくなるほどの速さで繰り出すスキル。連剣技法連続剣。連続に放たれる剣技の中でも絶技とされる奥義。それを繰り出した。
だが、パアーン!と言った独特の音色が会場に響き渡る。何度も、何回も、50を超える快音が会場中に響き渡った。それを聞いたものが崩れ落ちるものを見たときファイは反応した。
「いけません!セレン君!セレン君!闘技場に遮音結界を張ってください!」
「わ、わかりました。」
ヘンリーはすでに耳をふさぎ、ガルナは口を押えていた。
「女神よ、我らを不快なる音から守り給え!遮音結界!」
闘技場の観客席に結界が張られ、皆何が起きたのかと口々に言い始めた。中には耐えきれず吐き出すものもいる。
「ファイ・・・見える?」
「お嬢様、来ていたんですか?」
後方から青色の髪をツインテールに巻き、ドリルを思わせるような独特の髪型の少女が声を掛けて来た。
「エ!エルドラドーーー!!」
「ヘンリー・・・私は怪物じゃあないわ。それに銃声よりも小さな音よ。情けない。」
船長が着るような白い衣服を纏い、着流した彼女はエルドラド。それを見たヘンリーは目が飛び出そうなほど驚いた。エルドラドはアルカの膝に座るとファイに目をやる。
「そうですな。ええ、見えてますとも。」
「あれが噂のオーガ君・・・でも、いなしているだけのようにも見えるけど・・・。」
ガルナは頭を押さえながら同意した。
「ああ、私にもそう見える。」
「いえ、あれは・・・。」
目の前に広がる光景にファイはどう言えばいいのかわからなかった。
(なぜだ?なぜ当たらない!)
連撃を浴びせるルドルフは痛みに耐えながら激しくそう思った。何分が過ぎたのだろうか。永遠ともいえるその空間は外から見れば異常な光景だった。何度も意識を失いそうになる。籠手の間、体幹を覆っている鎧の隙間、膝の関節部分、側頭部・・・的確に、正確に鎧の露出部分を当ててくる。鉄の音が一度も鳴らず、鈍い音と竹刀特有の音だけがその場に響いた。
(こんな!こんなことがあってたまるか!)
細い糸のように塗ってくる竹刀に対して避けようとするが必ず当たる。何度、態勢を変えたかわからない。そして気づいた。
奴は自分の眉間をずっと見ている。
だが、当たる。つまり、身体の動きを見ていないのに動きを予測して当てているということに気が付く。
(は、はははっはははっははっははっは)
「はーははっはっははっはは!!!」
大声を出して笑い、そして、
ズダン!ガランガランガラン!
大剣を投げ出し、背中から倒れる。ルドルフは笑いながら白目を剝き大の字になった。
闘技場に再び静寂が訪れた。盾の勇者は思った。あれだけの連撃をいなし、攻撃を当てる。間違いない。あれが化け物と言う奴だ。きっと僕でさえ、ルドルフの連撃剣をくらったら削りきられる。師匠が言っていた。本当の盾と言うのは守りながら攻撃してこそ成り立つのだと。
目を見開きながら、大きな口を開け、声が漏れる。
「あはははは!」
ファイゼンベルグはそれを見るとグッと力強く立ち上がり勝者を告げる。
「勝者!獅子神モグラ!」
歓声は上がらない。皆俯き、頭を押さえていた。
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