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暗闇を進め3
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「がーーーーー!!!!」
ズドン!
雄たけびを挙げながら、ビッグベアーの胴体が地面に投げ出される。もう何体の魔物を倒したかわからない。
「おかしい。」
「確かにおかしいわね。」
ここに来るまでに何十分立ったかわからない。モグラたちはひたすら走り、現在の場所にいるわけだが、行けども行けどもギルティアの元に辿り着かない。これはどうしたことだろうか。
「いくら妖精の森が広いと言っても、ここまで広いわけじゃないわ。」
「うーむ。」
モグラは腕組みをして考える。ファルシオンは後ろを見て、モグラに告げる。
「実はここに来るまでに一応目印をおいてきてるんだけど・・・ほら見て、あそこに見える光。」
「何だ?あれは・・・棒?」
見ると後ろに光り輝くものがある。
「そう・・・あれはただの枝なんだけど、光源を付与して一定間隔で落としてきたのよ。」
「ほう・・・なるほど。」
確かに走ってきた道を光の光源が照らしている。しかも、まっすぐに置かれている為、目がいいものであれば誰が森に迷い込んでも妖精の村に辿り着くようになっている。そして、今いるところから計算するとギルティアの気配があるところまで丁度半分だ。
「半分?」
そう半分なのだ。これが違和感の正体であることに気が付いた。妖精の村からギルティアの気配を感じたところまでとっくの昔に辿り着いているはずだ。
「ファルシオン殿?」
「何?」
「幻術と言った類のものではないか?」
「いえ、それはおかしいわ。私、実はあなたと走り始めてからここに来るまでにアンチカースをずっとかけているのよ。それで、得意げに私は言うの『あなたの幻術は見切った。』てね。」
「そ、それで?」
「私の読みは外れたわ。残念よ。」
ファルシオンは宙に浮きながら落ち込んでいる。だが、幻術でないなら何なのだ?自分たちの動きに合わせてギルティアも動いている。いや、それはあり得ない。それならば差が詰められていないことに自分たちが気付いているはずだ。それにもう一つおかしいのは幻術や空間魔法であれば、光の点があんなにまっすぐに見えることは無い。気配の位置も少しずつ変わるはずだ。
「見落としているのか?」
「?」
モグラはもう一つだけ違和感があった。
「この光景、既視感が・・・。」
「いや、既視感って。確かにモグラは奴と戦ったことがあるけど、その時はちゃんと戦ったんでしょう。それにあいつは〈魔物使い〉よ。そんな芸当出来るわけがない。」
「どういうことだ?」
「モグラは魔術書や魔道具がどういったものか知っているでしょ。」
「そうだが・・・。」
考えろ。何かあるはずだ。そうモグラは呟いて、腕組みをしながら考える。この世界にはギフトによるものと経験を高めることによって得られるスキルや魔術が存在する。ギフト、これはその人物に対して与えられる神が与えるいわゆるジョブから得られるスキルのことを指す。これはその職業に依存する。例えば聖女であれば魔力は高いが攻撃系の魔術は殆ど覚えることができない。結界術、身体強化術、回復術などのサポート系の術を覚える。対して経験から得られるスキルはそこから派生するものが主だ。セレンは死霊術、モンスターテイマーを覚えているが、実はサポート系からは外れない。相手に対して幻術を掛けたり、毒、麻痺を与えるなどのデバフ系の魔術は覚えることも使用することもできない。聖女や勇者は特殊ジョブなのでさらに縛りがあったりする。これはこの世界で生きる全ての生物に当てはまり魔族も例外ではない。他の職種でもこういった縛りはあるが、例えば剣士は魔力が制限されているなどのこともあり、一般的に魔法を覚えるなどはしないのだ。
そこで使われるのが魔術書や魔道具などだが、これには実は制限がある。魔術書や魔道具は人間にしか作れない。正確には、魔導士が魔法や魔術書の本を作成もしくは道具にルーンを刻み付け、それを特殊クラフトのギフトを持つものが製本、もしくは道具を作成することで使用できるものだ。神は邪なるものに力を与えず、しかして邪なるものには邪の神が力を与える。邪神・・・つまり魔王である。オーガは魔王と敵対したことで力を奪われてはいるが、逆に4聖獣から力を与えられ、強大な力を手にしているのである。
では、ギルティアの魔物使いから得られるスキルは何か。間違いなくサポート系であるが、魔物の中には強力な幻術を使える者もいるため、実はその限りではない。無いが、アンチカースを掛けても効力を示さないということは幻術の類ではない。師匠の言っていたことが本当だとしてもこれは論外だ。何か・・・何か無いか。そう思った時である。ギルティアと戦った時の記憶が蘇る。
「ファルシオン殿。実は過去の記憶で気になることが・・・。」
「何かあるのね。」
「実は・・・。」
そう言って話し始める。
それはレオンがギルティアと戦う直前の出来事。何十体もの魔物がレオン達に襲い掛かった。隊列は乱され、後方の兵士はすべて死んだ。その時である。前方にギルティアが出現した。つまり現在の状況とは違うが似ているのだ。
「何ですって!つまり、奴は目の前にいきなり現れたってこと!?」
「ああ、その通りだ。それと師匠や師範は言っていたんだ。奴らは・・・。」
モグラは師匠や師範から聞いたことをファルシオンに教えた。
「・・・モグラ君、あの人がそう言っていたのね。」
「ああ、その通りだ。」
「じゃあ、私たちが戦っているのって。」
「そうだ。奴らは元々・・・」
・・・
「・・・それを他の人に言うのをやめなさい。あなたは人類にとっても魔族にとっても敵になる。」
「ああ・・・あなたやイフェーリカ殿のように何千年と生きているものは別だからな。通常の人間とは経験も考え方も異なる。」
「でも、だとしてもギフトやスキルの制限には逆らえない。・・・もしかしたらの話しで聞いてほしいんだけど・・・。」
「わかったのか?」
「推測よ。あくまでもその域を出ないものとして聞いて。」
モグラは頷くとファルシオンは話し始める。
「最初に言っておくわ。奴と接敵したら確実に殺して。それじゃなきゃ私たちは生きてここを出ることが出来ないわ。」
ズドン!
雄たけびを挙げながら、ビッグベアーの胴体が地面に投げ出される。もう何体の魔物を倒したかわからない。
「おかしい。」
「確かにおかしいわね。」
ここに来るまでに何十分立ったかわからない。モグラたちはひたすら走り、現在の場所にいるわけだが、行けども行けどもギルティアの元に辿り着かない。これはどうしたことだろうか。
「いくら妖精の森が広いと言っても、ここまで広いわけじゃないわ。」
「うーむ。」
モグラは腕組みをして考える。ファルシオンは後ろを見て、モグラに告げる。
「実はここに来るまでに一応目印をおいてきてるんだけど・・・ほら見て、あそこに見える光。」
「何だ?あれは・・・棒?」
見ると後ろに光り輝くものがある。
「そう・・・あれはただの枝なんだけど、光源を付与して一定間隔で落としてきたのよ。」
「ほう・・・なるほど。」
確かに走ってきた道を光の光源が照らしている。しかも、まっすぐに置かれている為、目がいいものであれば誰が森に迷い込んでも妖精の村に辿り着くようになっている。そして、今いるところから計算するとギルティアの気配があるところまで丁度半分だ。
「半分?」
そう半分なのだ。これが違和感の正体であることに気が付いた。妖精の村からギルティアの気配を感じたところまでとっくの昔に辿り着いているはずだ。
「ファルシオン殿?」
「何?」
「幻術と言った類のものではないか?」
「いえ、それはおかしいわ。私、実はあなたと走り始めてからここに来るまでにアンチカースをずっとかけているのよ。それで、得意げに私は言うの『あなたの幻術は見切った。』てね。」
「そ、それで?」
「私の読みは外れたわ。残念よ。」
ファルシオンは宙に浮きながら落ち込んでいる。だが、幻術でないなら何なのだ?自分たちの動きに合わせてギルティアも動いている。いや、それはあり得ない。それならば差が詰められていないことに自分たちが気付いているはずだ。それにもう一つおかしいのは幻術や空間魔法であれば、光の点があんなにまっすぐに見えることは無い。気配の位置も少しずつ変わるはずだ。
「見落としているのか?」
「?」
モグラはもう一つだけ違和感があった。
「この光景、既視感が・・・。」
「いや、既視感って。確かにモグラは奴と戦ったことがあるけど、その時はちゃんと戦ったんでしょう。それにあいつは〈魔物使い〉よ。そんな芸当出来るわけがない。」
「どういうことだ?」
「モグラは魔術書や魔道具がどういったものか知っているでしょ。」
「そうだが・・・。」
考えろ。何かあるはずだ。そうモグラは呟いて、腕組みをしながら考える。この世界にはギフトによるものと経験を高めることによって得られるスキルや魔術が存在する。ギフト、これはその人物に対して与えられる神が与えるいわゆるジョブから得られるスキルのことを指す。これはその職業に依存する。例えば聖女であれば魔力は高いが攻撃系の魔術は殆ど覚えることができない。結界術、身体強化術、回復術などのサポート系の術を覚える。対して経験から得られるスキルはそこから派生するものが主だ。セレンは死霊術、モンスターテイマーを覚えているが、実はサポート系からは外れない。相手に対して幻術を掛けたり、毒、麻痺を与えるなどのデバフ系の魔術は覚えることも使用することもできない。聖女や勇者は特殊ジョブなのでさらに縛りがあったりする。これはこの世界で生きる全ての生物に当てはまり魔族も例外ではない。他の職種でもこういった縛りはあるが、例えば剣士は魔力が制限されているなどのこともあり、一般的に魔法を覚えるなどはしないのだ。
そこで使われるのが魔術書や魔道具などだが、これには実は制限がある。魔術書や魔道具は人間にしか作れない。正確には、魔導士が魔法や魔術書の本を作成もしくは道具にルーンを刻み付け、それを特殊クラフトのギフトを持つものが製本、もしくは道具を作成することで使用できるものだ。神は邪なるものに力を与えず、しかして邪なるものには邪の神が力を与える。邪神・・・つまり魔王である。オーガは魔王と敵対したことで力を奪われてはいるが、逆に4聖獣から力を与えられ、強大な力を手にしているのである。
では、ギルティアの魔物使いから得られるスキルは何か。間違いなくサポート系であるが、魔物の中には強力な幻術を使える者もいるため、実はその限りではない。無いが、アンチカースを掛けても効力を示さないということは幻術の類ではない。師匠の言っていたことが本当だとしてもこれは論外だ。何か・・・何か無いか。そう思った時である。ギルティアと戦った時の記憶が蘇る。
「ファルシオン殿。実は過去の記憶で気になることが・・・。」
「何かあるのね。」
「実は・・・。」
そう言って話し始める。
それはレオンがギルティアと戦う直前の出来事。何十体もの魔物がレオン達に襲い掛かった。隊列は乱され、後方の兵士はすべて死んだ。その時である。前方にギルティアが出現した。つまり現在の状況とは違うが似ているのだ。
「何ですって!つまり、奴は目の前にいきなり現れたってこと!?」
「ああ、その通りだ。それと師匠や師範は言っていたんだ。奴らは・・・。」
モグラは師匠や師範から聞いたことをファルシオンに教えた。
「・・・モグラ君、あの人がそう言っていたのね。」
「ああ、その通りだ。」
「じゃあ、私たちが戦っているのって。」
「そうだ。奴らは元々・・・」
・・・
「・・・それを他の人に言うのをやめなさい。あなたは人類にとっても魔族にとっても敵になる。」
「ああ・・・あなたやイフェーリカ殿のように何千年と生きているものは別だからな。通常の人間とは経験も考え方も異なる。」
「でも、だとしてもギフトやスキルの制限には逆らえない。・・・もしかしたらの話しで聞いてほしいんだけど・・・。」
「わかったのか?」
「推測よ。あくまでもその域を出ないものとして聞いて。」
モグラは頷くとファルシオンは話し始める。
「最初に言っておくわ。奴と接敵したら確実に殺して。それじゃなきゃ私たちは生きてここを出ることが出来ないわ。」
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