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白楼の主2
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「ニャハ!みんなどうしたの?まさか、私の美貌にうっとりしちゃったわけ?しょうがないな~。」
皆一同呆然としているが、なぜこのタイミングでオーガの女性が現れるのだろうか。そう聞こうとした時だ。馬車からモグラが顔を覗かせる。
「神楽様、お久しぶりでございます。」
「お、土竜くん起きた。おひさー!元気してたかな?かな?」
「神楽様は変わりませんね。相変わらずお元気ですね。」
「そうだよ!」
頭を掻きながら、立ち上がり前方に飛んで皆の前に出る。
「モグラ・・・いったい誰なんだ?彼女は・・・。」
「ええ、ご紹介しますね。神楽様、こちらは私の友人達でセレン、フェルト、ガルナ殿、ファルシオン殿、そして御者のアーヴァイン殿です。皆私の恩人です。」
「ああ、この人たちが・・・なるほどね。女の人ばっかりだけどあなたの妻は誰なのよ?」
「いえ、私は独り身ですので。全員友人ですよ。」
セレンは一瞬顔を赤らめ、テレテレするが、友人と言われ落ち込んでいる。が、今は無視することにした。なんせ相手が相手だ。
「それではご紹介をば!私の名前は白虎様の配下、里長の式神神楽と申します。以後お見知りおきを・・・。」
神楽はそう言いながら頭を下げた。正直意外だとモグラ以外は思っていた。登場の仕方が仕方だっただけにさすがにそれを飲み込めずにいたという方が正しい。
「それで、それで、土竜君。どうしてここに来たのかな?」
「あ、ええ実は・・・。」
「ちょっと待って・・・。」
ファルシオンが口をはさんだ。流されそうになっていたが、さすがに聞かなければいけないだろう。式神神楽・・・聞いたことがある。
「魔法や魔術に精通している者ならばその名前を聞いたことが無いものはいない。あなたは元大賢者、神楽姫では?」
「ああ、そう呼ばれてるんだ、私。姫って少しいい気分になっちゃうじゃない。でへへへ。」
「ファルさんはご存じなのですか?大賢者って・・・元?」
「ええ、そっかセレンちゃんは知らないのよね。魔法や魔術を使っていても、書物に依存しているだけだものね。この人はね・・・。」
そうしてファルシオンは説明し始めた。500年以上前、帝国が勇者召喚と呼ばれる技術を使い異世界から呼んだとされる元大賢者。だが、彼女はいつのころからか姿を消した。見つかったのは意外なことに70年前白虎の里の長として、王国、帝国に顔を見せた時だった。もう死んでいる者として捉えられていた為、当時はエルフの里でも大騒ぎだったのだが、その頃には性格自体が崩壊しており、皆受け入れたのではなく、飲み込んだ。そう、飲み込んだのだ。その時の書物に『やべー奴が来た。ついてけねー。』という一言が添えられていることから当時の大臣たちや王や皇帝が今の一同と同じ反応をしていたのは想像に難くない。だが、実力は本物で聖騎士などが模擬戦をしているのだが、当時最強と言われた者達は弄ばれた挙句ボコボコにされたらしい。
「因みに言うと、彼女が提起した魔法理論は現代の技術をもってしても超えられていないわ。なんせ『科学的な見地』を確立したんだからね。」
「『科学的な見地』って何ですか?」
「物事の事象には理由が存在する。つまり、魔法や魔術、魔導というものが研究されている理由は理論が正しいかを確かめる術があるからなのよ。前までは私を含め魔術を研究する者は才能に依存していたし、理論があればそれでいいものされてきた。でも、それは単なる自己満足で終わっていたし、なにより才能がなければ魔法は使えないものとれてきたのよ。」
「そこで私が考えたのが、根拠、証拠、他の魔法と魔術、魔導の威力、範囲、効果などのグラフ化なのだ。」
「セレンちゃんは今、魔術書を持っているのはなぜ?」
「えと、魔力があれば使えるからと言うのもありますが、今回の依頼にはこれがいいかなと思ったからです。」
「でも一昔前はそうじゃなくて、とにかく威力が高ければそれでいいという安直な考え方だったの。大は小を兼ねるともいうけど、いくら威力が高くても適材適所の使い道という、当たり前の考え方が浸透してなかったのね。」
「だって、意味ないじゃん。スライムに対して全体魔法って、魔力がからっけつになっちゃうでしょ。だーかーら理論は正しくても、それを考える術がなければ結局、剣で倒したほうがよっぽど良いもの。当時のギルドの酷さと言ったら・・・回復と言えばハイヒール、一気に回復した方がいいからと言って小さい部屋に詰め込んで全体魔法。考えただけでも悍ましかったわ。」
へーと思う。だが少し気に掛った。
「でも、オーガの里って魔法とか使わないんですよね。身体技能が主だとか。」
「あるよ。魔法。」
「え?」
皆、驚いた。オーガの里の主は身体技能のはずだ。仁や周、モグラを見ているとそれに捕らわれる理由もわかった。そもそも魔法や魔術と言った類は、足りないものを補う為に主に使用する。結局、人は人だ。だからこそオーガには必要がないものと皆認識していた。
「まあ、私たちが使うのはさ・・・。」
そう言いながら神楽は夜闇に大きく輝く月を見た。漆黒の髪が月の光で銀に輝く。
「忍術、陰陽術なんだけどね。」
にやりと笑いながらそう言った。
「私はね。至ったんだよ。事象の改変に・・・。面白いよね。陰陽術って。」
モグラ以外の皆は思った。そして、感じた。
最強とは何を指すのかと。
皆一同呆然としているが、なぜこのタイミングでオーガの女性が現れるのだろうか。そう聞こうとした時だ。馬車からモグラが顔を覗かせる。
「神楽様、お久しぶりでございます。」
「お、土竜くん起きた。おひさー!元気してたかな?かな?」
「神楽様は変わりませんね。相変わらずお元気ですね。」
「そうだよ!」
頭を掻きながら、立ち上がり前方に飛んで皆の前に出る。
「モグラ・・・いったい誰なんだ?彼女は・・・。」
「ええ、ご紹介しますね。神楽様、こちらは私の友人達でセレン、フェルト、ガルナ殿、ファルシオン殿、そして御者のアーヴァイン殿です。皆私の恩人です。」
「ああ、この人たちが・・・なるほどね。女の人ばっかりだけどあなたの妻は誰なのよ?」
「いえ、私は独り身ですので。全員友人ですよ。」
セレンは一瞬顔を赤らめ、テレテレするが、友人と言われ落ち込んでいる。が、今は無視することにした。なんせ相手が相手だ。
「それではご紹介をば!私の名前は白虎様の配下、里長の式神神楽と申します。以後お見知りおきを・・・。」
神楽はそう言いながら頭を下げた。正直意外だとモグラ以外は思っていた。登場の仕方が仕方だっただけにさすがにそれを飲み込めずにいたという方が正しい。
「それで、それで、土竜君。どうしてここに来たのかな?」
「あ、ええ実は・・・。」
「ちょっと待って・・・。」
ファルシオンが口をはさんだ。流されそうになっていたが、さすがに聞かなければいけないだろう。式神神楽・・・聞いたことがある。
「魔法や魔術に精通している者ならばその名前を聞いたことが無いものはいない。あなたは元大賢者、神楽姫では?」
「ああ、そう呼ばれてるんだ、私。姫って少しいい気分になっちゃうじゃない。でへへへ。」
「ファルさんはご存じなのですか?大賢者って・・・元?」
「ええ、そっかセレンちゃんは知らないのよね。魔法や魔術を使っていても、書物に依存しているだけだものね。この人はね・・・。」
そうしてファルシオンは説明し始めた。500年以上前、帝国が勇者召喚と呼ばれる技術を使い異世界から呼んだとされる元大賢者。だが、彼女はいつのころからか姿を消した。見つかったのは意外なことに70年前白虎の里の長として、王国、帝国に顔を見せた時だった。もう死んでいる者として捉えられていた為、当時はエルフの里でも大騒ぎだったのだが、その頃には性格自体が崩壊しており、皆受け入れたのではなく、飲み込んだ。そう、飲み込んだのだ。その時の書物に『やべー奴が来た。ついてけねー。』という一言が添えられていることから当時の大臣たちや王や皇帝が今の一同と同じ反応をしていたのは想像に難くない。だが、実力は本物で聖騎士などが模擬戦をしているのだが、当時最強と言われた者達は弄ばれた挙句ボコボコにされたらしい。
「因みに言うと、彼女が提起した魔法理論は現代の技術をもってしても超えられていないわ。なんせ『科学的な見地』を確立したんだからね。」
「『科学的な見地』って何ですか?」
「物事の事象には理由が存在する。つまり、魔法や魔術、魔導というものが研究されている理由は理論が正しいかを確かめる術があるからなのよ。前までは私を含め魔術を研究する者は才能に依存していたし、理論があればそれでいいものされてきた。でも、それは単なる自己満足で終わっていたし、なにより才能がなければ魔法は使えないものとれてきたのよ。」
「そこで私が考えたのが、根拠、証拠、他の魔法と魔術、魔導の威力、範囲、効果などのグラフ化なのだ。」
「セレンちゃんは今、魔術書を持っているのはなぜ?」
「えと、魔力があれば使えるからと言うのもありますが、今回の依頼にはこれがいいかなと思ったからです。」
「でも一昔前はそうじゃなくて、とにかく威力が高ければそれでいいという安直な考え方だったの。大は小を兼ねるともいうけど、いくら威力が高くても適材適所の使い道という、当たり前の考え方が浸透してなかったのね。」
「だって、意味ないじゃん。スライムに対して全体魔法って、魔力がからっけつになっちゃうでしょ。だーかーら理論は正しくても、それを考える術がなければ結局、剣で倒したほうがよっぽど良いもの。当時のギルドの酷さと言ったら・・・回復と言えばハイヒール、一気に回復した方がいいからと言って小さい部屋に詰め込んで全体魔法。考えただけでも悍ましかったわ。」
へーと思う。だが少し気に掛った。
「でも、オーガの里って魔法とか使わないんですよね。身体技能が主だとか。」
「あるよ。魔法。」
「え?」
皆、驚いた。オーガの里の主は身体技能のはずだ。仁や周、モグラを見ているとそれに捕らわれる理由もわかった。そもそも魔法や魔術と言った類は、足りないものを補う為に主に使用する。結局、人は人だ。だからこそオーガには必要がないものと皆認識していた。
「まあ、私たちが使うのはさ・・・。」
そう言いながら神楽は夜闇に大きく輝く月を見た。漆黒の髪が月の光で銀に輝く。
「忍術、陰陽術なんだけどね。」
にやりと笑いながらそう言った。
「私はね。至ったんだよ。事象の改変に・・・。面白いよね。陰陽術って。」
モグラ以外の皆は思った。そして、感じた。
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