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1章 王都ルーデリー 出会い編
1-35 ダンジョンと魔物
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ウルザたちは先に奥へと行ってしまったが、8層で少し休憩する事にする。
話によると、池の水は魔力濃度が高い為直接は飲めないが、吸魔石(少しずつ周囲の魔力を吸収する魔石)で魔力を吸わせると、飲むことが可能だとか(ただし煮沸したほうが良い)。
「そんな便利な魔石もあるんだ…」
「吸魔石自体は珍しいものではありません。
ただ、吸収できる魔力の量や速度、さらには吸収した魔力の放出効率によってA級からE級まで分類されます。
C級以上は高価な為個人で持っている人は多くありません。」
ランクの高い吸魔石は公共事業等で国や街が保有しているのがほとんどらしい。
使い方としては電池のように魔力を蓄えるイメージだろうか。
もう一つ気になっていた事も尋ねてみる。
「こういうオアシスみたいなフロアでも魔物って湧くの?」
その問いにはリーズが答える。
「湧くよ、湧くっていうか、生まれる?」
なぜか疑問形だ。
「魔物はダンジョンの子供だから。
ダンジョンの壁の中には卵を放出する部分が有って、魔物はそこから生まれる。
だから、ダンジョンによって違うけど、こういうオアシスみたいなフロアでも生まれるところは生まれる。」
ただし、卵を放出する場所は簡単には増えない(変わらない)為、オアシスとか関係なく魔物の生まれないエリアを休息場所にするのだとか。
大きなダンジョンにもなると、中間に小さな休憩用の町もあるのだとか。
いつかそんな場所にも行ってみたい。
ーーーーーーーーー
休息を終えると先へ進む。
10層まで来たが、ここまでただの一匹も魔物を見ていない。
「ウルガが張り切ってるんでしょ、たぶん。」
リーズはため息をつく。
恐らく俺のせいだろう。
そのまま11層まで進むと、大きな衝撃音が聞こえてくる。
誰かが戦っているようだ。
「ウォォォォォォォ~~!!!!」
シカのような角をはやした2足歩行の魔物とウルガが戦闘を行っている。
魔物の大きさはウルガの倍はありそうだ。
ドーン、ガシャーン
ウルザはというと、それを少し離れたところで見守り、俺たちが入ってきたことに気付く余裕すらある。
「早かったね。」
近づくとそう声を掛けられる。
「あんたらのせいで、この子たちのレベル上げが進まないわよ。」
「ごめん、ごめん。
あのバカ張り切っちゃって。」
どう見てもウルガの劣勢だが、見てるだけでいいのだろうか?
「いいんだよ、勝も負けるも自分次第さ。
ただ、死なせない為に私がいるんだ。」
なんてかっこいいセリフだ。
前の上司に聞かせてやりたい。
ーーーーーーーーー
「ウゥゥゥウォォォォォオオォォオオオオ!!」
俺は目を疑った。
さっきまで劣勢だったウルガは、全身を毛でおおわれたかと思うと筋肉が増強して、まるでライオンそのもののような見た目になったのだ。
その状態で反撃に出てシカの魔物にダメージを与える。
「あれは獣人化です。
獣人系の「亜人」が持つ特殊スキルです。」
様々な種族がいることは聞いていたが、今の説明で理解する。
やはりこの世界でも「人間」が一般的で、それ以外を「亜人」と位置付けているのだろう。
この国では差別はなくとも、分け方に名残りはある。
「種族によって違いますが、体力、肉体、魔力、何かしらに犠牲を強いるので、あまり長くはもちません。」
奥義って感じでかっこいいが、浸っている暇もなさそうだ。
「あれ、まずいんじゃないか?」
「そうですね、獣人化しても力の差は歴然です。」
「いい機会さね、あんたたちが行ってきな!」
そういってウルザは俺とミーシャを戦場に放り投げる。
目の前には倒れたウルガと、重い攻撃を加えようとするシカ。
倒れたウルガにシカの一撃が入る前にミーシャが蹴りで進路を逸らす。
「ウルガ!
私の代わりにその子たちを援護に入れるよ!
悔しかったら獣人化が解けるまでに倒して見せな!」
その言葉を聞き満身創痍のウルガは立ち上がった。
話によると、池の水は魔力濃度が高い為直接は飲めないが、吸魔石(少しずつ周囲の魔力を吸収する魔石)で魔力を吸わせると、飲むことが可能だとか(ただし煮沸したほうが良い)。
「そんな便利な魔石もあるんだ…」
「吸魔石自体は珍しいものではありません。
ただ、吸収できる魔力の量や速度、さらには吸収した魔力の放出効率によってA級からE級まで分類されます。
C級以上は高価な為個人で持っている人は多くありません。」
ランクの高い吸魔石は公共事業等で国や街が保有しているのがほとんどらしい。
使い方としては電池のように魔力を蓄えるイメージだろうか。
もう一つ気になっていた事も尋ねてみる。
「こういうオアシスみたいなフロアでも魔物って湧くの?」
その問いにはリーズが答える。
「湧くよ、湧くっていうか、生まれる?」
なぜか疑問形だ。
「魔物はダンジョンの子供だから。
ダンジョンの壁の中には卵を放出する部分が有って、魔物はそこから生まれる。
だから、ダンジョンによって違うけど、こういうオアシスみたいなフロアでも生まれるところは生まれる。」
ただし、卵を放出する場所は簡単には増えない(変わらない)為、オアシスとか関係なく魔物の生まれないエリアを休息場所にするのだとか。
大きなダンジョンにもなると、中間に小さな休憩用の町もあるのだとか。
いつかそんな場所にも行ってみたい。
ーーーーーーーーー
休息を終えると先へ進む。
10層まで来たが、ここまでただの一匹も魔物を見ていない。
「ウルガが張り切ってるんでしょ、たぶん。」
リーズはため息をつく。
恐らく俺のせいだろう。
そのまま11層まで進むと、大きな衝撃音が聞こえてくる。
誰かが戦っているようだ。
「ウォォォォォォォ~~!!!!」
シカのような角をはやした2足歩行の魔物とウルガが戦闘を行っている。
魔物の大きさはウルガの倍はありそうだ。
ドーン、ガシャーン
ウルザはというと、それを少し離れたところで見守り、俺たちが入ってきたことに気付く余裕すらある。
「早かったね。」
近づくとそう声を掛けられる。
「あんたらのせいで、この子たちのレベル上げが進まないわよ。」
「ごめん、ごめん。
あのバカ張り切っちゃって。」
どう見てもウルガの劣勢だが、見てるだけでいいのだろうか?
「いいんだよ、勝も負けるも自分次第さ。
ただ、死なせない為に私がいるんだ。」
なんてかっこいいセリフだ。
前の上司に聞かせてやりたい。
ーーーーーーーーー
「ウゥゥゥウォォォォォオオォォオオオオ!!」
俺は目を疑った。
さっきまで劣勢だったウルガは、全身を毛でおおわれたかと思うと筋肉が増強して、まるでライオンそのもののような見た目になったのだ。
その状態で反撃に出てシカの魔物にダメージを与える。
「あれは獣人化です。
獣人系の「亜人」が持つ特殊スキルです。」
様々な種族がいることは聞いていたが、今の説明で理解する。
やはりこの世界でも「人間」が一般的で、それ以外を「亜人」と位置付けているのだろう。
この国では差別はなくとも、分け方に名残りはある。
「種族によって違いますが、体力、肉体、魔力、何かしらに犠牲を強いるので、あまり長くはもちません。」
奥義って感じでかっこいいが、浸っている暇もなさそうだ。
「あれ、まずいんじゃないか?」
「そうですね、獣人化しても力の差は歴然です。」
「いい機会さね、あんたたちが行ってきな!」
そういってウルザは俺とミーシャを戦場に放り投げる。
目の前には倒れたウルガと、重い攻撃を加えようとするシカ。
倒れたウルガにシカの一撃が入る前にミーシャが蹴りで進路を逸らす。
「ウルガ!
私の代わりにその子たちを援護に入れるよ!
悔しかったら獣人化が解けるまでに倒して見せな!」
その言葉を聞き満身創痍のウルガは立ち上がった。
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