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1章 王都ルーデリー 出会い編

1‐42 ルーダ村

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 特に問題も無く、ルーダ村に到着する。
 問題がなさ過ぎて心配になるくらいだ。

「なにも起こらないに越したことは無いですよ。」

 ジーモはそう言ってくれたが、護衛任務とはこういう物なのか。

「ジーモさん、お待ちしてました。」

 村長さんが迎え入れてくれる。

 比較的小さなこの村は、ルーデリーへの経由地として選ばれることも少なく、物資の配達に来てくれるジーモはとても感謝されているようだ。

 ジーモが村の人と、売買や手紙の受け渡しなどを行っている間村を見て回る。

 主な特産品はこの村で作った果実酒だが、木工職人の作る木彫りの置物も人気があるらしい。

ーーーーーーーーー

 村の集会所で、ジーモ一行と村の代表数人と会食だ。

「この村は元々果実を作っていたのですが、ジーモさんの紹介で他の町から酒造りの職人に教えてもらい、ようやく軌道に乗り始めたのです。」

 村の人達はとても感謝しているようだ。
 
「私はカルドラの出身なのですが、私の妻はこの村の出身なのです。
 妻には本当に助けられました、だからその恩の一部を返しただけですよ。」

 照れてるのか、お酒をハイペースで飲みながらジーモは俺たちにそう言う。
 まだ知り合って間もないが、ジーモのそういう所は好きだ。

 ドン!

「グリーグ行きの冒険者が来てるんだって!?」

 勢いよくドアが開き、筋肉質の女性が入ってくる。

「アンナ!
 お客さんの前で失礼だぞ!」

「うっさいおっさん!」

 アンナと呼ばれた女性はたしなめる村長にそう怒鳴ると、俺たちの前へとやってくる。

「なあ、あんた達。
 私も連れて行ってくれないか?」

「ごめん、どういう事?」

ーーーーーーーーー

 ナツキたちを集会所に残し、アンナとふたり外へ出る。

「私はアンナ、今はこの村で大工と木工職人をやってる。」

「俺は…
 カズでいいよ、冒険者やってます。」

 簡単な自己紹介だ。

「私の親父はこの村の大工でさ、私も幼い頃から大工になるのが当たり前だと思ってったんだ。
 でも数年前に冒険者って職業があるって知っちまった…」

 アンナは冒険者に憧れているのか。

「親父には反対されたけど、私の人生さ。
 迷っていた所に未知のグリーグ島へ行く冒険者がやってきた!
 これを運命と言わずに何というのさ!」

 今の職業はともかく、アンナの心は立派な冒険者だった。

「さっきも言ったが、私は木の加工技術があって大工仕事も自信がある。
 絶対に役に立って見せる、一緒に連れて行ってくれないか?」

 彼女の言い分は分かった、きっと俺たちとは関係なくいつかは村を出ていただろう。

「そこまでの決意があるのなら俺個人としては反対はしないけど、仲間へは確認しないといけないし、親父さんともきちんと話したい。」

 熱意は分かるが、一応確認は大事だ。
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