97 / 97
2章
2-45 教官「ミゲール」
しおりを挟む
それから数日、「グーラ族の里」の近くを入念に調査し、海辺のダンジョンが攻めてこない位置に仮拠点を構えることになった。
アンナを中心に皆で拠点を整備しつつ、ミーシャ・シルフィは周辺の魔物退治を行う。
リーズとナツキに頼らない為に完全に独立して探索を行い、戦闘も行う。
俺は魔物退治とは別に戦闘訓練も始めた。
スキル任せの物では無く、騎士団が行っている新人用のカリキュラムだ。
俺たちが仮拠点を整備している近くに騎士団も野営を始めたため、カリーナに頼み教官をつけてもらった。
「今のはいい反応でした。
しかし剣先に毒が塗ってあるとその一撃で死ぬことも有ります。」
俺の教官に名乗り出てくれたのは「ミゲール」という50半ばの男性。
彼の訓練はまさに「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。」といったところ。
実際に足の運び方、周囲の警戒の仕方、他にもひとつづつ目の前で行いながら丁寧に説明し、その後森に放り出される。
実践の後はよかったところとダメなところを説明され、合格ラインにのるまで次には進めない。
彼は、元はカリーナの教官でもあり、彼女が部隊を編成するにあたりお願いして同行してもらったそうだ。
彼の指導を受けて実感したのは、いかに「自分が甘やかされていたのか」。
リーズでさえ俺を気遣って優し目に指導してくれていたのが分かる。
騎士団は多くの冒険者より危険な任務にあたることも有る為、少しでも生存率を上げるための訓練を行う。
「自由」である冒険者と違い騎士団には「責任」が伴う、好きな事だけすればいいわけではない。
冒険者は「長所を伸ばし、パーティを組み短所を補う。」
騎士団は「短所を克服し、任務に応じて長所を生かす。」
典型的な日本人である俺は、いやな事からは逃げたいけど、当事者になってしまうと逃げられない自分の性格をよく理解していた。
ミゲールは物腰こそ穏やかだが、逃げやごまかしを許さない。
それはきっと、今まで多くの仲間を戦場で失ったからだと思う。
彼の厳しさが、今の俺には心地よかった。
ーーーーーーーーー
ミゲールの指導を受けて数日、俺のレベルは驚くことに25に上がっていた。
たった数日で3も上がっている。
ここに来るまで少しも上がらなかったのに…
でもはっきりと分かった。
俺に足りないのは戦闘経験ではなく、「基礎知識」と「基礎訓練」だ。
数日でこれだけの成果が表れると、やる気が出るのが人間で、ミゲールに頼んで訓練の強度を上げてもらう事にした。
騎士団の新人が到着するまであと10日弱程だろうか、それまでに彼らのレベルには追い付いておきたい。
アンナを中心に皆で拠点を整備しつつ、ミーシャ・シルフィは周辺の魔物退治を行う。
リーズとナツキに頼らない為に完全に独立して探索を行い、戦闘も行う。
俺は魔物退治とは別に戦闘訓練も始めた。
スキル任せの物では無く、騎士団が行っている新人用のカリキュラムだ。
俺たちが仮拠点を整備している近くに騎士団も野営を始めたため、カリーナに頼み教官をつけてもらった。
「今のはいい反応でした。
しかし剣先に毒が塗ってあるとその一撃で死ぬことも有ります。」
俺の教官に名乗り出てくれたのは「ミゲール」という50半ばの男性。
彼の訓練はまさに「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。」といったところ。
実際に足の運び方、周囲の警戒の仕方、他にもひとつづつ目の前で行いながら丁寧に説明し、その後森に放り出される。
実践の後はよかったところとダメなところを説明され、合格ラインにのるまで次には進めない。
彼は、元はカリーナの教官でもあり、彼女が部隊を編成するにあたりお願いして同行してもらったそうだ。
彼の指導を受けて実感したのは、いかに「自分が甘やかされていたのか」。
リーズでさえ俺を気遣って優し目に指導してくれていたのが分かる。
騎士団は多くの冒険者より危険な任務にあたることも有る為、少しでも生存率を上げるための訓練を行う。
「自由」である冒険者と違い騎士団には「責任」が伴う、好きな事だけすればいいわけではない。
冒険者は「長所を伸ばし、パーティを組み短所を補う。」
騎士団は「短所を克服し、任務に応じて長所を生かす。」
典型的な日本人である俺は、いやな事からは逃げたいけど、当事者になってしまうと逃げられない自分の性格をよく理解していた。
ミゲールは物腰こそ穏やかだが、逃げやごまかしを許さない。
それはきっと、今まで多くの仲間を戦場で失ったからだと思う。
彼の厳しさが、今の俺には心地よかった。
ーーーーーーーーー
ミゲールの指導を受けて数日、俺のレベルは驚くことに25に上がっていた。
たった数日で3も上がっている。
ここに来るまで少しも上がらなかったのに…
でもはっきりと分かった。
俺に足りないのは戦闘経験ではなく、「基礎知識」と「基礎訓練」だ。
数日でこれだけの成果が表れると、やる気が出るのが人間で、ミゲールに頼んで訓練の強度を上げてもらう事にした。
騎士団の新人が到着するまであと10日弱程だろうか、それまでに彼らのレベルには追い付いておきたい。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
231
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
楽しんで読ませていただいています。ナツキが可愛いくて何度か読み返してしまいました。
ありがとうございます!
楽しんでもらえてるなら嬉しいです!!