96 / 97
2章
2-44 「経験値」
しおりを挟む
「で、どうする?」
拠点に戻った俺たちは作戦会議をしていた。
ダンジョン攻略の為に拡張してくれたアンナには申し訳ないが、この拠点を離れて「グーラ族の里」近くに再度仮拠点を造ろうと思っていた。
「問題ないよ。」
申し訳なさそうに切り出す俺に、アンナは自信満々にそう答えた。
「カズのおかげでスキルも増えたし、この島の木材であれば私のスキルの範囲内で加工が容易だから。」
いつの間にやらレベル30に到達していたアンナは、「身体強化」と「建築」スキルを取得していた。
「もうレベル30?
早くない?」
ミーシャが驚く。
それもそのはず、この島に来た当初のアンナのレベルは25、すでに5も上がっている。
一方ミーシャは23から25と2しか上がっていない。
「聖水(改)」の経験値上昇補正だけが要因でないのは間違いない。
「それは多分、「経験値」の種類が違うからよ。」
「つまり…
どういうこと?」
リーズが疑問に答えてくれる。
「今までアンナは「戦闘」経験はそれほどなく、「加工」や「建築」で稼いだ経験値でレベルアップしていた。
そこに今まで経験の無かった冒険者としての様々な出来事とアンタの「聖水(改)」効果で一気にレベルが上がったのよ。」
なるほど。
「レベル20までは比較的簡単に到達できるのは、「人生経験」である程度レベルが上がるから。
と、今のところは考えられています。」
ナツキが補足してくれる。
つまり、完全には解明されていないという事か…
「経験値はその名の通り「経験」が重要って事?」
「そういう事です。
弱い魔物ばかり倒してもレベルは上がらないし、勉強するだけでレベルが上がるときも有る。
「レベル」の概念自体、昔は無かったのもですからまだまだ分からないことだらけです。」
つまり、俺のレベルが上がらない一番の理由は「そこ」にある気がする。
安全圏での戦闘、自分の常識内での行動。
ナツキとリーズを頼るあまり、自らの鍛錬を怠っていたのは間違いない。
自分が情けなくなってきた。
もっと戦闘で役に立つスキルを取ったほうが良いか…
「大丈夫です。
カズ殿はレベルより大事な事をしてくれてますから。」
ナツキが慰めてくれる。
「言っとくけど、ナツキの言ってることも間違いではないわよ。」
リーズもフォローする。
「レベルは所詮数字でしかないし、レベル差が有っても「強い人」は勝つ。
ゆっくり、でも確実に強くなる人も存在する。
焦って変な事は考えないでよね。
このパーティの「リーダー」はアンタなんだから。」
そうだな、安直に戦闘方面のスキルを取ろうとした自分を戒める。
「ありがとう。
でも、戦闘に関してはもう少し頑張ってみるよ。」
信頼してくれるのはありがたい。
でも、いざというときの為に自分の戦闘訓練を強化しよう。
拠点に戻った俺たちは作戦会議をしていた。
ダンジョン攻略の為に拡張してくれたアンナには申し訳ないが、この拠点を離れて「グーラ族の里」近くに再度仮拠点を造ろうと思っていた。
「問題ないよ。」
申し訳なさそうに切り出す俺に、アンナは自信満々にそう答えた。
「カズのおかげでスキルも増えたし、この島の木材であれば私のスキルの範囲内で加工が容易だから。」
いつの間にやらレベル30に到達していたアンナは、「身体強化」と「建築」スキルを取得していた。
「もうレベル30?
早くない?」
ミーシャが驚く。
それもそのはず、この島に来た当初のアンナのレベルは25、すでに5も上がっている。
一方ミーシャは23から25と2しか上がっていない。
「聖水(改)」の経験値上昇補正だけが要因でないのは間違いない。
「それは多分、「経験値」の種類が違うからよ。」
「つまり…
どういうこと?」
リーズが疑問に答えてくれる。
「今までアンナは「戦闘」経験はそれほどなく、「加工」や「建築」で稼いだ経験値でレベルアップしていた。
そこに今まで経験の無かった冒険者としての様々な出来事とアンタの「聖水(改)」効果で一気にレベルが上がったのよ。」
なるほど。
「レベル20までは比較的簡単に到達できるのは、「人生経験」である程度レベルが上がるから。
と、今のところは考えられています。」
ナツキが補足してくれる。
つまり、完全には解明されていないという事か…
「経験値はその名の通り「経験」が重要って事?」
「そういう事です。
弱い魔物ばかり倒してもレベルは上がらないし、勉強するだけでレベルが上がるときも有る。
「レベル」の概念自体、昔は無かったのもですからまだまだ分からないことだらけです。」
つまり、俺のレベルが上がらない一番の理由は「そこ」にある気がする。
安全圏での戦闘、自分の常識内での行動。
ナツキとリーズを頼るあまり、自らの鍛錬を怠っていたのは間違いない。
自分が情けなくなってきた。
もっと戦闘で役に立つスキルを取ったほうが良いか…
「大丈夫です。
カズ殿はレベルより大事な事をしてくれてますから。」
ナツキが慰めてくれる。
「言っとくけど、ナツキの言ってることも間違いではないわよ。」
リーズもフォローする。
「レベルは所詮数字でしかないし、レベル差が有っても「強い人」は勝つ。
ゆっくり、でも確実に強くなる人も存在する。
焦って変な事は考えないでよね。
このパーティの「リーダー」はアンタなんだから。」
そうだな、安直に戦闘方面のスキルを取ろうとした自分を戒める。
「ありがとう。
でも、戦闘に関してはもう少し頑張ってみるよ。」
信頼してくれるのはありがたい。
でも、いざというときの為に自分の戦闘訓練を強化しよう。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる