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第2章 十八歳の軌跡
3.復讐の女神
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聖光学院大学は、日野市、多摩市、八王子市にまたがる広大なキャンパスを持つ総合大学である。JR中央線、京王線、小田急線の他に多摩モノレールにも最寄り駅を持ち、都心からおよそ一時間三十分の距離にあるマンモス大学だ。
だが、咲希の自宅である高島平からだと、片道二時間以上は優にかかった。そのため、咲希は大学進学と同時に、中央線立川駅の近くにアパートを借りて一人暮らしを始めた。ここからならば多摩モノレール一本で乗り換えもなく、三十分もあれば文学部のある三号館まで通学が可能だった。バイクを飛ばせば、二十分くらいで到着することもできた。
立川駅まで徒歩五分の距離にある、七階建てのマンションの最上階を咲希は契約した。新築で駅近物件のため、1DKにも拘わらず家賃は月十二万円と高額だった。
しかし、神社幻影隊の報酬が月額二十万円あるのと、親からの仕送りが月五万円で最低限の生活は何とかなった。万が一足りないときには、契約金としてもらったお金がまだ一千万円以上残っていた。
しかし、その日、目覚めた瞬間に咲希は違和感を感じた。シングルベッドの上に、男が寝ていたのだ。その男は上半身裸だった。咲希は慌てて自分の着衣を確認した。昨日、新歓コンパに出かけたときと同じブラウスとスカートを身につけていた。自分が着替えもせずに寝ていたことに気づいて、咲希は驚いた。それどころか、どうやって帰ってきたのかさえ覚えていなかった。新歓コンパで挨拶をした後、ビールを飲んでからの記憶がなかったのだ。
「将成……! 起きてッ! 将成ッ!」
咲希は隣で寝ている桐生将成の体を何度も揺さぶった。寝ぼけた顔を擦りながら、将成が目を覚ました。
「おはよう、咲希……」
「おはよう……。何で、ここにいるの?」
衣服を身につけていることから、将成に抱かれたとは思えなかった。だが、彼が何故自分の部屋で寝ているのか、咲希はまったく覚えていなかった。
「何でって……。昨日、酔い潰れたお前を送ってきたんだよ。もう帰りの電車がなかったから、悪いけどそのまま泊めてもらったんだ……」
「そうなの……? あたし、酔い潰れたの……?」
「やっぱり……。あの様子じゃ、何も覚えてないと思ったよ。大変だったんだぞ……」
苦笑いを浮かべると、上半身を起こして将成が大きく伸びをした。
「何であんなに無茶な飲み方をしたんだ? 普段からアルコールなんて、ほとんど飲んだことがないだろう?」
将成の言葉に、咲希は昨夜の記憶を振り返った。そして、ビールを一気に飲んだ理由を思い出した。
「だって、ぜんぶ将成が悪いんじゃない!」
「俺が……? 何のことだ……?」
まったく身に覚えがない将成が、キョトンとした表情を浮かべた。
「門倉先輩や長谷川先輩をホテルに誘ったり、小鳥遊さんをナンパしたり……。他にも取っ替え引っ替え女を口説いてるんでしょッ!」
昨夜聞いた話を思い出しているうちに、咲希はどんどんとエスカレートしていった。
「ちょっと、待て……! 俺がいつ、門倉さんや長谷川さんをホテルに誘ったんだ?」
「昨日、本人から聞いたんだからね! 二人とも将成に誘われたって言ってたわ!」
咲希の言葉に、将成が何かを思い出しながら訊ねた。
「正確に思い出してみろ……。まず、門倉さんは何て言っていた?」
「確か……『あたしも桐生に誘われたわ。突然、やりたいなんて、ストレートすぎよね?』って……」
麗佳の言葉を思い出しながら、咲希が告げた。
「たぶん、それって学食に誘っただけだぞ。ノートを写させてもらったお礼に、ラーメンを奢ってやりたいなって言ったんだ……」
「ラーメン……?」
将成の言葉に、咲希が茫然として言葉を途切れさせた。
「長谷川さんは何て言った……?」
「……。『あたしも誘われたことあるわよ。サークル室に二人でいたときに、しに行こう……』って言ってた……
「ああ、それはコーヒーしに行こうって言ったんだ」
笑いながら告げた将成のセリフに、咲希は何も言えなくなった。
「お前、二人に揶揄われたんだよ……」
「揶揄われた……」
カアッと顔を赤らめると、咲希は将成の顔を見られなくなって思わず俯いた。
「それに、小鳥遊さんはナンパしたんじゃないぞ。翔琉から女の子を一人勧誘するのがノルマだって言われて連れてきただけだ……」
「でも、腕組んでた……」
消え入りそうな声で、咲希が最後の抵抗を試みた。
「俺から組んだわけじゃない。サークルに付き合うからって、無理矢理組まされたんだ……」
「……そうだったんだ」
今度こそ囁くように、咲希が呟いた。全部が自分の勘違いだと知り、穴があったら入りたかった。
「でも、よかった……。将成が浮気してなくて……」
誤解が解けて、ニッコリと微笑みながら咲希が告げた。これで将成と二人、安心して大学生活を送れそうだった。
「おいおい……。ちっともよくないぞ! お前、本当に忘れたのか?」
「え……? 何を……?」
それ以上の記憶は、咲希の脳裏にまったく存在していなかった。しばらく咲希の表情を見つめると、将成はハアッと大きなため息を付いた。
「<プレアデス>全員の前で、何て叫んだのか、まったく覚えてないのか?」
「叫んだ……? あたしが……?」
キョトンとした表情を浮かべながら、咲希が訊ねた。
「『あたしにあんなことしておいて、他の女と何しちゃってるのよ!』って大声で……」
「えッ……?」
将成が告げたセリフを聞いて、咲希は蒼白になった。
「『あたし、将成が初めてだったんだからねッ!』とも……」
「まさか……?」
そんなことをサークル員全員の前で叫んだなど、悪夢以外の何物でもなかった。
「それから、とどめの一言を……」
「とどめって……?」
咲希はその先を聞くのが怖くなった。だが、聞かざるを得ないことだった。
「『あたしのバージン、返してよッ! すっごく痛かったんだからねッ!』って大声で……」
「う、うそでしょッ! そんなこと、あたしが言うはず……」
カアッと真っ赤になりながら、長い漆黒の髪を振り乱して否定した。本当にそんなことを叫んだとしたら、二度と大学に行けなかった。
「部屋の隅々まで聞こえるほど大声を張り上げて、思いっきり叫んでくれたぞ……。あの場にいた全員が証人だ……」
「そん……な……」
ショックのあまり、咲希は全身の力が抜けてガクリとベッドに崩れ落ちた。そして、ガバッとダウンケットを頭から被ると、丸くなって布団に潜り込んだ。
「おい、咲希……」
「死ぬ……」
「え……?」
「死ぬわ! もう二度と学校に行けないッ!」
みんなの前で「バージンを返せ」などと叫ぶ十八歳の乙女が、どこの世界にいるというのか? 咲希は自分の人生が終わったことを悟った。
「おいおい……。死にたいのはお前だけじゃないぞ。俺なんか、咲希のバージンを奪っておきながら、何人もの女と浮気を繰り返す極悪人にされたんだぞ……」
「……」
将成の言うとおりだった。自爆したとは言え、咲希はあくまで被害者だった。だが、将成は咲希を弄んだ冷酷で非道なジゴロにされたのだった。
「まあ、俺が悪者になっておけば、お前に対する風当たりは弱まるからいいけどな……」
「将成……」
自ら悪役を買って出る言葉を聞いて、咲希がダウンケットから身を乗り出した。
「どんな時でも側にいて、お前を守るって決めたしな……。悪口雑言くらい、俺が盾になってやるよ」
「将成……ありがとう。それと、ごめんなさい……」
黒曜石の瞳から涙を溢れさせながら、咲希が将成に抱きついた。今日ほど将成の優しさが心に染みたことはなかった。
「それと、咲希のあだ名がまた一つ増えたみたいだぞ」
白い頬を伝う涙を指で優しく拭いながら、将成が微笑んだ。
「え……? 何て言われたの?」
「『残念美人』だって……。これに懲りたら、二度と酒なんて飲むんじゃないぞ」
「『残念美人』か……。まあ、別になんて呼ばれようが構わないけど……。もう、将成にバージンを奪われたこともバレちゃったし……」
苦笑いを浮かべながら、咲希が告げた。誰に何を言われようとも、将成さえ隣にいてくれれば他には何もいらなかった。
「そう言えば、ロストバージンって、そんなに痛かったのか?」
「……! 当たり前でしょ! 死ぬかと思ったんだからね!」
カアッと顔を赤らめながら、咲希がジト目で将成を睨みつけた。
「でも、最近はそんな風には見えないよな? それどころか、凄く気持ちよさそうに……痛ッ!」
咲希が将成の脇腹を思いっきりつねった。
「ばかッ……! 朝から変なこと言わないでッ!」
「でも、バージンを奪った悪党からしたら、まだ痛いのかどうか確認しておかないとな……」
ニヤリと笑いながらそう告げると、将成が咲希をベッドに押し倒した。
「そんな確認、いらないわよ! そろそろ準備しないと、授業に遅れ……んッ……!」
咲希の抗議の言葉を、将成の唇が塞いだ。そして、ネットリと舌を絡めると、濃厚な口づけを交わし始めた。
「んッ……はッ……んあッ……」
全身の力が抜け落ちると、熱い吐息を漏らしながら咲希は自分から積極的に舌を動かし始めた。
細い唾液の糸を引きながら、将成がゆっくりと唇を離した。そして、慣れた手つきでブラウスのボタンを外すと、背中に廻した左手でパチンとブラジャーのホックを解いた。
「授業に……遅れても……んッ……知らない……から……あッ……んあッ……!」
文句を言おうとした咲希の紅唇から、堪えきれない熱い喘ぎが漏れ始めた。
「大学の授業よりも、もっといいことを教えてやるよ……」
「ばか……んあッ……そこ、だめッ……ひぃッ!」
ビクンッと体を慄わせると、白い顎を突き上げて咲希が大きく仰け反った。将成の右手が叢をかき分けて、敏感な真珠を探り当てたのだ。
「咲希はこれが大好きだからな……」
そう告げると、将成は真珠を包み込んでいる薄皮をクルンと剥いた。そして、溢れた蜜を塗り込みながらコリコリと真珠を転がし始めた。
「ひぃいッ! それ、いやぁッ! だめッ! あッ、ひぃいいッ……!」
ビックンッビックンッと激しく痙攣すると、咲希は総身を仰け反らせながらあっという間に歓悦の頂点を極めた。そして、官能の硬直を解き放つと、グッタリと脱力して白いシーツの波間に沈み込んだ。
だが、将成は咲希が絶頂したにも拘わらず、将成は真珠を嬲る手を止めようとはしなかった。
「あッ、いやッ……! 今、イッてる……から……ひッ、だめぇッ! あッ、あッ、また……いやぁあッ……!」
長い漆黒の髪を振り乱しながら、ビクンッビクンッと裸身を震わせて咲希は二度目の絶頂を極めた。しかし、将成の責めは途切れることなく続けられた。
「俺を悪者にしてくれたんだ。今日は少しお仕置きしてあげないとな……」
「あッ、だめッ……やめッ、いやぁッ……! おかしく……なっちゃうッ! 許してぇッ! あッ、あッ、ひぃいいッ……!」
官能の愉悦を噛みしめる間もなく、立て続けに絶頂を極めさせられ、咲希は本気で許しを乞うた。
だが、将成はニヤリと笑みを浮かべると、充血して硬く突き勃った突起を舌でペロリと舐め上げた。そして、真珠を唇で咥えながら強くと吸い上げると、歯で甘噛みしたまま舌先で激しく舐り始めた。
「ひぃいいッ……! だめぇッ……! また、イクッ! あッ、あぁああッ……!」
女の急所を襲う凄絶な淫撃に、咲希は一瞬も堪えることができずに何度目かも分からなくなった極致感を極めた。
「あッ、ひぃいッ……! もう、許してぇッ! 狂っちゃうッ! いやぁああッ……!」
真っ赤に染まった目尻から随喜の涙が溢れ、滂沱の滝となって白い頬を流れ落ちた。官能の愉悦に慄える唇からは、熱い喘ぎとともにネットリとした涎がトロリと糸を引いて垂れ落ちた。
限界を超える快絶が脳髄をトロトロに蕩かし、快美の奔流が全身の細胞をドロドロに灼き溶かした。
しかし、その壮絶な責めでさえ、悪夢のような前奏曲に過ぎなかった。ビクンッビックンッと激しく痙攣をしている咲希の細腰を掴むと、将成が猛りきった男で貫いた。そして、女を狂わせる三浅一深の動きで、怒濤の如く咲希を責め始めた。
「んッ……あッ、あッ、あぁああッ……!」
グンッと白い顎を突き上げると、大きく総身を仰け反らせながら咲希が激烈に絶頂を極めた。
「……ッ! あッ、あッ、だめぇえッ! イクの、止まらないッ! 許してッ! 死んじゃうッ! あッ、ひぃいいッ……!」
止まることを知らない凄まじい快絶の奔流が、咲希の意識を真っ白に染め上げた。長い漆黒の髪を振り乱し、涙と涎を垂れ流しながら咲希は悶え啼いた。その悪夢のような凌辱は、咲希が失神するまで続けられた。
その日、咲希は生まれて初めて、凄絶な官能地獄に突き落とされた。
四限目は必修の第二外国語だったため、咲希は疲れ切った体に鞭を打って大学へ行った。だが、将成によって刻まれた凄まじい快感の残り火が、瘧のように全身を慄わせて授業の内容など何も頭に入らなかった。
(あんなに凄いの……初めて……。まだ、体が火照ってる……)
体の芯で燻っている淫気を吐き出すように、咲希は熱いため息を漏らした。ブラジャーに包まれた乳房の中心には、媚芯が痛いほど硬く尖り勃っていた。花唇から溢れた蜜液が、白い下着をぐっしょりと濡らしているのが自分でも分かった。
「もう、許して」という言葉を何度口にしたか、自分でも覚えていなかった。それどころか、何回……いや、何十回、絶頂を極めさせられたのかさえ分からなかった。脳髄がトロトロに蕩かされ、頭の中が真っ白に染まって、いつの間にか失神してしまったのだ。意識を取り戻した時にはすでに将成の姿はなく、「また連絡する」と書かれた短いメモだけが残されていた。
(将成はお仕置きだって言ってたけど、あんなの拷問と変わらないわ……。絶対に復讐してやるんだから……!)
咲希の脳裏からは、昨夜の黒歴史など綺麗さっぱり忘れ去られていた。将成の凄まじいお仕置きに比べたら、「バージンを返して」など単なる戯言に過ぎなかった。
「咲希、大丈夫? 何か顔が赤いけど、まだ二日酔いなの?」
いつの間にか終業のチャイムが鳴り終わり、凪紗が心配そうな表情で話しかけてきた。
「うん……。ちょっとね……。悪いけど、あたし、今日は帰るわ……」
「帰る? その前に、サークル室に寄っていった方がいいわよ。日を置くと、絶対に行きづらくなるから……」
昨夜の『バージン事件』を心配しているような口調で、凪紗が告げた。
「そうね……。じゃあ、少しだけ顔出そうかな?」
「うん、あたしも付き合ってあげるよ」
「ありがとう、凪紗……」
心身ともに疲れ切っていた咲希には、凪紗の好意が身に染みるように嬉しかった。
文学部が入っている三号館の裏には、三階建てのサークル棟があった。その二階にある一室が、<プレアデス>のサークル室だった。サークル室と言っても二十平方メートルほどしかない小さな部屋で、普段は執行部と数人の会員しかいなかった。全員が集まるときには、学食などを使うのだ。
ノックをして扉を開けると、中には見知った顔が並んでいた。会長の藤森朱音、渉外の水嶋翔琉と、昨日同じテーブルにいた早海省吾、門倉麗佳、長谷川裕美の五人だった。
「こんにちは!」と元気よく挨拶をした凪紗に続いて、咲希は小さな声で「失礼します」と頭を下げて部屋に入った。
「ちょうどよかったわ、神守さん。今、昨夜の状況を三人から聞いていたところよ。二十歳前の新入生に吐くまでお酒を飲ませるなんて、法律にも違反するし、会長としても看過できないことだからね……」
ジロリと省吾たちを睨みながら、朱音が厳しい口調で告げた。どうやら咲希たちが来る前に、省吾たちにお説教をしていたらしかった。
「サッキー、悪かった……。ごめん……」
「ごめんなさい、サッキー。悪戯が過ぎたわ……」
「ごめんね、サッキー。少し調子に乗りすぎたみたい……」
省吾、裕美、麗佳の順で、咲希に謝罪をしてきた。咲希は凪紗と顔を見合わせると、三人に向き直って告げた。
「いえ……。あたしが将成を信じられなかったのが一番の原因です。皆さんの冗談を真に受けて、お酒に逃げたのが悪いんです。ご迷惑をお掛けして、すみませんでした」
長い漆黒の髪を揺らしながら、咲希が三人に頭を下げた。そして、驚く三人に微笑みかけると、咲希は真っ直ぐに朱音の顔を見つめながら言った。
「将成があたしの初めての相手であることは本当です。だから、そのことであたしが何を言われても構いません。でも、彼が浮気をしていた事実はありませんでした。だから、もしサークル内で将成の悪い噂が立つようであれば、藤森会長から否定していただけませんか?」
咲希の言葉に、朱音だけでなくその場にいた全員が驚愕した。十八歳の女の子が、自分の初体験を堂々と認めたのだ。その上、その相手の立場を守ろうとさえしているのだ。
「神守さん、それは構わないけど、あなたの方が好奇の視線で見られるわよ。分かってるのかしら?」
「はい。あたしは将成を愛しています。彼にバージンを捧げたことは、あたしにとって当然のことなんです。決して恥ずかしいことでも、後ろ指を指されることでもありません」
ニッコリと微笑みを浮かべながら、咲希は自分の本心を告げた。たとえ処女でないという噂が広まったとしても、事実なのだから受け入れようと思った。
「そう、分かったわ。私たち執行部は、桐生君や神守さんの悪評が流れたら全面的に否定するわ。それから、あなたたち……」
朱音が厳しい視線で省吾たちを見据えながら告げた。
「あなたたちも、二人の悪い噂が流れたら、必ず否定しなさい。これは、<プレアデス>の会長としての命令です!」
凜とした態度で、朱音が三人に言い渡した。
「分かりました。サッキー、安心してくれ……」
「あたしも協力するわ……」
「任せといて、絶対にもみ消してあげるから……」
三人が咲希に向かって約束してくれた。嬉しそうな表情を浮かべると、咲希は三人に向かって頭を下げた。
「ありがとうございます。よろしくお願いします……」
(取りあえず、これでサークルは何とかなりそうね……。あとは、さっきの復讐を将成にするだけだわ。どうしてやろうかしら……?)
長い漆黒の髪が、下を向いている咲希の表情を隠した。そのため、彼女の美しい貌に復讐の笑みが浮かんでいることには、誰一人気づく者はいなかった。
だが、咲希の自宅である高島平からだと、片道二時間以上は優にかかった。そのため、咲希は大学進学と同時に、中央線立川駅の近くにアパートを借りて一人暮らしを始めた。ここからならば多摩モノレール一本で乗り換えもなく、三十分もあれば文学部のある三号館まで通学が可能だった。バイクを飛ばせば、二十分くらいで到着することもできた。
立川駅まで徒歩五分の距離にある、七階建てのマンションの最上階を咲希は契約した。新築で駅近物件のため、1DKにも拘わらず家賃は月十二万円と高額だった。
しかし、神社幻影隊の報酬が月額二十万円あるのと、親からの仕送りが月五万円で最低限の生活は何とかなった。万が一足りないときには、契約金としてもらったお金がまだ一千万円以上残っていた。
しかし、その日、目覚めた瞬間に咲希は違和感を感じた。シングルベッドの上に、男が寝ていたのだ。その男は上半身裸だった。咲希は慌てて自分の着衣を確認した。昨日、新歓コンパに出かけたときと同じブラウスとスカートを身につけていた。自分が着替えもせずに寝ていたことに気づいて、咲希は驚いた。それどころか、どうやって帰ってきたのかさえ覚えていなかった。新歓コンパで挨拶をした後、ビールを飲んでからの記憶がなかったのだ。
「将成……! 起きてッ! 将成ッ!」
咲希は隣で寝ている桐生将成の体を何度も揺さぶった。寝ぼけた顔を擦りながら、将成が目を覚ました。
「おはよう、咲希……」
「おはよう……。何で、ここにいるの?」
衣服を身につけていることから、将成に抱かれたとは思えなかった。だが、彼が何故自分の部屋で寝ているのか、咲希はまったく覚えていなかった。
「何でって……。昨日、酔い潰れたお前を送ってきたんだよ。もう帰りの電車がなかったから、悪いけどそのまま泊めてもらったんだ……」
「そうなの……? あたし、酔い潰れたの……?」
「やっぱり……。あの様子じゃ、何も覚えてないと思ったよ。大変だったんだぞ……」
苦笑いを浮かべると、上半身を起こして将成が大きく伸びをした。
「何であんなに無茶な飲み方をしたんだ? 普段からアルコールなんて、ほとんど飲んだことがないだろう?」
将成の言葉に、咲希は昨夜の記憶を振り返った。そして、ビールを一気に飲んだ理由を思い出した。
「だって、ぜんぶ将成が悪いんじゃない!」
「俺が……? 何のことだ……?」
まったく身に覚えがない将成が、キョトンとした表情を浮かべた。
「門倉先輩や長谷川先輩をホテルに誘ったり、小鳥遊さんをナンパしたり……。他にも取っ替え引っ替え女を口説いてるんでしょッ!」
昨夜聞いた話を思い出しているうちに、咲希はどんどんとエスカレートしていった。
「ちょっと、待て……! 俺がいつ、門倉さんや長谷川さんをホテルに誘ったんだ?」
「昨日、本人から聞いたんだからね! 二人とも将成に誘われたって言ってたわ!」
咲希の言葉に、将成が何かを思い出しながら訊ねた。
「正確に思い出してみろ……。まず、門倉さんは何て言っていた?」
「確か……『あたしも桐生に誘われたわ。突然、やりたいなんて、ストレートすぎよね?』って……」
麗佳の言葉を思い出しながら、咲希が告げた。
「たぶん、それって学食に誘っただけだぞ。ノートを写させてもらったお礼に、ラーメンを奢ってやりたいなって言ったんだ……」
「ラーメン……?」
将成の言葉に、咲希が茫然として言葉を途切れさせた。
「長谷川さんは何て言った……?」
「……。『あたしも誘われたことあるわよ。サークル室に二人でいたときに、しに行こう……』って言ってた……
「ああ、それはコーヒーしに行こうって言ったんだ」
笑いながら告げた将成のセリフに、咲希は何も言えなくなった。
「お前、二人に揶揄われたんだよ……」
「揶揄われた……」
カアッと顔を赤らめると、咲希は将成の顔を見られなくなって思わず俯いた。
「それに、小鳥遊さんはナンパしたんじゃないぞ。翔琉から女の子を一人勧誘するのがノルマだって言われて連れてきただけだ……」
「でも、腕組んでた……」
消え入りそうな声で、咲希が最後の抵抗を試みた。
「俺から組んだわけじゃない。サークルに付き合うからって、無理矢理組まされたんだ……」
「……そうだったんだ」
今度こそ囁くように、咲希が呟いた。全部が自分の勘違いだと知り、穴があったら入りたかった。
「でも、よかった……。将成が浮気してなくて……」
誤解が解けて、ニッコリと微笑みながら咲希が告げた。これで将成と二人、安心して大学生活を送れそうだった。
「おいおい……。ちっともよくないぞ! お前、本当に忘れたのか?」
「え……? 何を……?」
それ以上の記憶は、咲希の脳裏にまったく存在していなかった。しばらく咲希の表情を見つめると、将成はハアッと大きなため息を付いた。
「<プレアデス>全員の前で、何て叫んだのか、まったく覚えてないのか?」
「叫んだ……? あたしが……?」
キョトンとした表情を浮かべながら、咲希が訊ねた。
「『あたしにあんなことしておいて、他の女と何しちゃってるのよ!』って大声で……」
「えッ……?」
将成が告げたセリフを聞いて、咲希は蒼白になった。
「『あたし、将成が初めてだったんだからねッ!』とも……」
「まさか……?」
そんなことをサークル員全員の前で叫んだなど、悪夢以外の何物でもなかった。
「それから、とどめの一言を……」
「とどめって……?」
咲希はその先を聞くのが怖くなった。だが、聞かざるを得ないことだった。
「『あたしのバージン、返してよッ! すっごく痛かったんだからねッ!』って大声で……」
「う、うそでしょッ! そんなこと、あたしが言うはず……」
カアッと真っ赤になりながら、長い漆黒の髪を振り乱して否定した。本当にそんなことを叫んだとしたら、二度と大学に行けなかった。
「部屋の隅々まで聞こえるほど大声を張り上げて、思いっきり叫んでくれたぞ……。あの場にいた全員が証人だ……」
「そん……な……」
ショックのあまり、咲希は全身の力が抜けてガクリとベッドに崩れ落ちた。そして、ガバッとダウンケットを頭から被ると、丸くなって布団に潜り込んだ。
「おい、咲希……」
「死ぬ……」
「え……?」
「死ぬわ! もう二度と学校に行けないッ!」
みんなの前で「バージンを返せ」などと叫ぶ十八歳の乙女が、どこの世界にいるというのか? 咲希は自分の人生が終わったことを悟った。
「おいおい……。死にたいのはお前だけじゃないぞ。俺なんか、咲希のバージンを奪っておきながら、何人もの女と浮気を繰り返す極悪人にされたんだぞ……」
「……」
将成の言うとおりだった。自爆したとは言え、咲希はあくまで被害者だった。だが、将成は咲希を弄んだ冷酷で非道なジゴロにされたのだった。
「まあ、俺が悪者になっておけば、お前に対する風当たりは弱まるからいいけどな……」
「将成……」
自ら悪役を買って出る言葉を聞いて、咲希がダウンケットから身を乗り出した。
「どんな時でも側にいて、お前を守るって決めたしな……。悪口雑言くらい、俺が盾になってやるよ」
「将成……ありがとう。それと、ごめんなさい……」
黒曜石の瞳から涙を溢れさせながら、咲希が将成に抱きついた。今日ほど将成の優しさが心に染みたことはなかった。
「それと、咲希のあだ名がまた一つ増えたみたいだぞ」
白い頬を伝う涙を指で優しく拭いながら、将成が微笑んだ。
「え……? 何て言われたの?」
「『残念美人』だって……。これに懲りたら、二度と酒なんて飲むんじゃないぞ」
「『残念美人』か……。まあ、別になんて呼ばれようが構わないけど……。もう、将成にバージンを奪われたこともバレちゃったし……」
苦笑いを浮かべながら、咲希が告げた。誰に何を言われようとも、将成さえ隣にいてくれれば他には何もいらなかった。
「そう言えば、ロストバージンって、そんなに痛かったのか?」
「……! 当たり前でしょ! 死ぬかと思ったんだからね!」
カアッと顔を赤らめながら、咲希がジト目で将成を睨みつけた。
「でも、最近はそんな風には見えないよな? それどころか、凄く気持ちよさそうに……痛ッ!」
咲希が将成の脇腹を思いっきりつねった。
「ばかッ……! 朝から変なこと言わないでッ!」
「でも、バージンを奪った悪党からしたら、まだ痛いのかどうか確認しておかないとな……」
ニヤリと笑いながらそう告げると、将成が咲希をベッドに押し倒した。
「そんな確認、いらないわよ! そろそろ準備しないと、授業に遅れ……んッ……!」
咲希の抗議の言葉を、将成の唇が塞いだ。そして、ネットリと舌を絡めると、濃厚な口づけを交わし始めた。
「んッ……はッ……んあッ……」
全身の力が抜け落ちると、熱い吐息を漏らしながら咲希は自分から積極的に舌を動かし始めた。
細い唾液の糸を引きながら、将成がゆっくりと唇を離した。そして、慣れた手つきでブラウスのボタンを外すと、背中に廻した左手でパチンとブラジャーのホックを解いた。
「授業に……遅れても……んッ……知らない……から……あッ……んあッ……!」
文句を言おうとした咲希の紅唇から、堪えきれない熱い喘ぎが漏れ始めた。
「大学の授業よりも、もっといいことを教えてやるよ……」
「ばか……んあッ……そこ、だめッ……ひぃッ!」
ビクンッと体を慄わせると、白い顎を突き上げて咲希が大きく仰け反った。将成の右手が叢をかき分けて、敏感な真珠を探り当てたのだ。
「咲希はこれが大好きだからな……」
そう告げると、将成は真珠を包み込んでいる薄皮をクルンと剥いた。そして、溢れた蜜を塗り込みながらコリコリと真珠を転がし始めた。
「ひぃいッ! それ、いやぁッ! だめッ! あッ、ひぃいいッ……!」
ビックンッビックンッと激しく痙攣すると、咲希は総身を仰け反らせながらあっという間に歓悦の頂点を極めた。そして、官能の硬直を解き放つと、グッタリと脱力して白いシーツの波間に沈み込んだ。
だが、将成は咲希が絶頂したにも拘わらず、将成は真珠を嬲る手を止めようとはしなかった。
「あッ、いやッ……! 今、イッてる……から……ひッ、だめぇッ! あッ、あッ、また……いやぁあッ……!」
長い漆黒の髪を振り乱しながら、ビクンッビクンッと裸身を震わせて咲希は二度目の絶頂を極めた。しかし、将成の責めは途切れることなく続けられた。
「俺を悪者にしてくれたんだ。今日は少しお仕置きしてあげないとな……」
「あッ、だめッ……やめッ、いやぁッ……! おかしく……なっちゃうッ! 許してぇッ! あッ、あッ、ひぃいいッ……!」
官能の愉悦を噛みしめる間もなく、立て続けに絶頂を極めさせられ、咲希は本気で許しを乞うた。
だが、将成はニヤリと笑みを浮かべると、充血して硬く突き勃った突起を舌でペロリと舐め上げた。そして、真珠を唇で咥えながら強くと吸い上げると、歯で甘噛みしたまま舌先で激しく舐り始めた。
「ひぃいいッ……! だめぇッ……! また、イクッ! あッ、あぁああッ……!」
女の急所を襲う凄絶な淫撃に、咲希は一瞬も堪えることができずに何度目かも分からなくなった極致感を極めた。
「あッ、ひぃいッ……! もう、許してぇッ! 狂っちゃうッ! いやぁああッ……!」
真っ赤に染まった目尻から随喜の涙が溢れ、滂沱の滝となって白い頬を流れ落ちた。官能の愉悦に慄える唇からは、熱い喘ぎとともにネットリとした涎がトロリと糸を引いて垂れ落ちた。
限界を超える快絶が脳髄をトロトロに蕩かし、快美の奔流が全身の細胞をドロドロに灼き溶かした。
しかし、その壮絶な責めでさえ、悪夢のような前奏曲に過ぎなかった。ビクンッビックンッと激しく痙攣をしている咲希の細腰を掴むと、将成が猛りきった男で貫いた。そして、女を狂わせる三浅一深の動きで、怒濤の如く咲希を責め始めた。
「んッ……あッ、あッ、あぁああッ……!」
グンッと白い顎を突き上げると、大きく総身を仰け反らせながら咲希が激烈に絶頂を極めた。
「……ッ! あッ、あッ、だめぇえッ! イクの、止まらないッ! 許してッ! 死んじゃうッ! あッ、ひぃいいッ……!」
止まることを知らない凄まじい快絶の奔流が、咲希の意識を真っ白に染め上げた。長い漆黒の髪を振り乱し、涙と涎を垂れ流しながら咲希は悶え啼いた。その悪夢のような凌辱は、咲希が失神するまで続けられた。
その日、咲希は生まれて初めて、凄絶な官能地獄に突き落とされた。
四限目は必修の第二外国語だったため、咲希は疲れ切った体に鞭を打って大学へ行った。だが、将成によって刻まれた凄まじい快感の残り火が、瘧のように全身を慄わせて授業の内容など何も頭に入らなかった。
(あんなに凄いの……初めて……。まだ、体が火照ってる……)
体の芯で燻っている淫気を吐き出すように、咲希は熱いため息を漏らした。ブラジャーに包まれた乳房の中心には、媚芯が痛いほど硬く尖り勃っていた。花唇から溢れた蜜液が、白い下着をぐっしょりと濡らしているのが自分でも分かった。
「もう、許して」という言葉を何度口にしたか、自分でも覚えていなかった。それどころか、何回……いや、何十回、絶頂を極めさせられたのかさえ分からなかった。脳髄がトロトロに蕩かされ、頭の中が真っ白に染まって、いつの間にか失神してしまったのだ。意識を取り戻した時にはすでに将成の姿はなく、「また連絡する」と書かれた短いメモだけが残されていた。
(将成はお仕置きだって言ってたけど、あんなの拷問と変わらないわ……。絶対に復讐してやるんだから……!)
咲希の脳裏からは、昨夜の黒歴史など綺麗さっぱり忘れ去られていた。将成の凄まじいお仕置きに比べたら、「バージンを返して」など単なる戯言に過ぎなかった。
「咲希、大丈夫? 何か顔が赤いけど、まだ二日酔いなの?」
いつの間にか終業のチャイムが鳴り終わり、凪紗が心配そうな表情で話しかけてきた。
「うん……。ちょっとね……。悪いけど、あたし、今日は帰るわ……」
「帰る? その前に、サークル室に寄っていった方がいいわよ。日を置くと、絶対に行きづらくなるから……」
昨夜の『バージン事件』を心配しているような口調で、凪紗が告げた。
「そうね……。じゃあ、少しだけ顔出そうかな?」
「うん、あたしも付き合ってあげるよ」
「ありがとう、凪紗……」
心身ともに疲れ切っていた咲希には、凪紗の好意が身に染みるように嬉しかった。
文学部が入っている三号館の裏には、三階建てのサークル棟があった。その二階にある一室が、<プレアデス>のサークル室だった。サークル室と言っても二十平方メートルほどしかない小さな部屋で、普段は執行部と数人の会員しかいなかった。全員が集まるときには、学食などを使うのだ。
ノックをして扉を開けると、中には見知った顔が並んでいた。会長の藤森朱音、渉外の水嶋翔琉と、昨日同じテーブルにいた早海省吾、門倉麗佳、長谷川裕美の五人だった。
「こんにちは!」と元気よく挨拶をした凪紗に続いて、咲希は小さな声で「失礼します」と頭を下げて部屋に入った。
「ちょうどよかったわ、神守さん。今、昨夜の状況を三人から聞いていたところよ。二十歳前の新入生に吐くまでお酒を飲ませるなんて、法律にも違反するし、会長としても看過できないことだからね……」
ジロリと省吾たちを睨みながら、朱音が厳しい口調で告げた。どうやら咲希たちが来る前に、省吾たちにお説教をしていたらしかった。
「サッキー、悪かった……。ごめん……」
「ごめんなさい、サッキー。悪戯が過ぎたわ……」
「ごめんね、サッキー。少し調子に乗りすぎたみたい……」
省吾、裕美、麗佳の順で、咲希に謝罪をしてきた。咲希は凪紗と顔を見合わせると、三人に向き直って告げた。
「いえ……。あたしが将成を信じられなかったのが一番の原因です。皆さんの冗談を真に受けて、お酒に逃げたのが悪いんです。ご迷惑をお掛けして、すみませんでした」
長い漆黒の髪を揺らしながら、咲希が三人に頭を下げた。そして、驚く三人に微笑みかけると、咲希は真っ直ぐに朱音の顔を見つめながら言った。
「将成があたしの初めての相手であることは本当です。だから、そのことであたしが何を言われても構いません。でも、彼が浮気をしていた事実はありませんでした。だから、もしサークル内で将成の悪い噂が立つようであれば、藤森会長から否定していただけませんか?」
咲希の言葉に、朱音だけでなくその場にいた全員が驚愕した。十八歳の女の子が、自分の初体験を堂々と認めたのだ。その上、その相手の立場を守ろうとさえしているのだ。
「神守さん、それは構わないけど、あなたの方が好奇の視線で見られるわよ。分かってるのかしら?」
「はい。あたしは将成を愛しています。彼にバージンを捧げたことは、あたしにとって当然のことなんです。決して恥ずかしいことでも、後ろ指を指されることでもありません」
ニッコリと微笑みを浮かべながら、咲希は自分の本心を告げた。たとえ処女でないという噂が広まったとしても、事実なのだから受け入れようと思った。
「そう、分かったわ。私たち執行部は、桐生君や神守さんの悪評が流れたら全面的に否定するわ。それから、あなたたち……」
朱音が厳しい視線で省吾たちを見据えながら告げた。
「あなたたちも、二人の悪い噂が流れたら、必ず否定しなさい。これは、<プレアデス>の会長としての命令です!」
凜とした態度で、朱音が三人に言い渡した。
「分かりました。サッキー、安心してくれ……」
「あたしも協力するわ……」
「任せといて、絶対にもみ消してあげるから……」
三人が咲希に向かって約束してくれた。嬉しそうな表情を浮かべると、咲希は三人に向かって頭を下げた。
「ありがとうございます。よろしくお願いします……」
(取りあえず、これでサークルは何とかなりそうね……。あとは、さっきの復讐を将成にするだけだわ。どうしてやろうかしら……?)
長い漆黒の髪が、下を向いている咲希の表情を隠した。そのため、彼女の美しい貌に復讐の笑みが浮かんでいることには、誰一人気づく者はいなかった。
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